
BAUM
Vol.2
BAUMの木製パーツを製作する「カリモク家具」へ突入!
Featuring
Karimoku
(カリモク家具)
創業70年以上の老舗家具メーカー。長年培った知識と技術、そして日本が誇る職人魂を融合させた製品は、まさに匠の技。多くの人の暮らしに寄り添う家具は、やはりすごかった! BAUMを展開する資生堂とタッグを組んだボトルは、お互いに妥協を許さないプロ同士のものづくりへの愛がたっぷり。出会うことで互いにポジティブな影響があったという、情熱のものづくりが魅力の日本を代表する家具メーカーです。
美しく手入れされたカイヅカイブキ。至るところに美意識を感じます。

04 Factory Tour
木製パーツをどうやって作っているか知りたい!
呼吸を繰り返し、常に形を変える「木」をどうやってあれほど精度の高いデザインに? しかも端材だなんて! コスメ業界ではありえないようなプロジェクトへの挑戦と向き合ってきたBAUMとカリモク家具、日本を代表する2つのブランドの情熱をのぞいてみます。

使用しているのはすべてカリモク家具の端材。
STEP 1
どんな木で作られているの?
木製家具メーカーのカリモク家具の工場には、やっぱりいろんな種類の木材がありました! その表情は本当にさまざま。BAUMのパッケージに使われているのは「オーク材」ですが、そのニュートラルな色合いがブランドイメージに一番しっくりきたのだそう。

大量の木に囲まれて、思わずテンションUP!


端材を利用する発想、実は技術的にかなり難しい!

「フィンガージョイント」と呼ばれる工法を採用。


STEP 2
どうやって形にしていくんだろう?
匠の技をたっぷり学びます。
端材をあの美しいボトルの形にする。そのためには小さな端材同士をくっつけて、ある程度大きな形に成形していく。それって実は家具業界の常識ではありえないような発想の転換が必要で、BAUMとカリモク家具は、あえてその困難なプロジェクトに取り組んでいるのです。

ものづくりに対する姿勢は常に真剣です。


「なんだコレ?」働きがすごい!

「端材同士をくっつける」まずはそこから。

不安定な形を融合する技術が素晴らしい。


STEP 3
磨いて理想の形に整えていく。
家具作りと同じやり方。
小さな端材同士をくっつけて成形していく工程を経て、ようやく全体を整える作業に移ります。私たちが思っていたよりもずっと丁寧で精細な作業を目の当たりにして、心の底から感激しました!

カリモク家具も初めての挑戦だったというコスメ分野。


木屑は絶対NG。だから人の手でトントンと叩くのだ。



特徴的な丸いキャップも、最終的には人の手で仕上げる!



STEP 4
入念なチェックを経て、いざ塗装。
その工程にも職人の細かいこだわりが。
人の手によるたくさんの工程を経てようやく完成するBAUMの特徴的な美しいボトル。形を整えたあとには、塗装が加わります。ここでもまたカリモク家具だからこそ可能な「ウレタン塗装」を採用し、木の魅力を最大限に活かした仕様を目指したと言います。

家具で培ったノウハウを最大限に活かせる工場。


カリモク家具だから可能な、丁寧な仕上げ。


製品の美しさの裏には、経験に基づいた綿密な技術が。
STEP 5
ミリ単位の作業に取り組み、ようやく完成! この工程のために新たな機械も開発したとのこと。
BAUMのパッケージは、家具とはスケールがまったく違う。木は「生きている」ので、大きな家具と小さなボトル製作においてはその「公差」の許容範囲がまったく違うのだという。まさに技術とこだわりの極み! また、工程を効率化するために新たな機械も製作したとのこと。カリモク家具の本気度がすごすぎる!

最終チェックはひとつひとつ人の手で。

ミリ単位でサイズを調整し、ようやく完成した製品。


04 Talk to Talk
カリモク家具のものづくりって?
カリモク家具にとって、コスメブランドとプロダクトを共同開発するのははじめてのこと。その難しさと喜びを感じながら悪戦苦闘する日々。あえて「端材」を使うという新しい挑戦においても、ブランドの世界観を表現するためクオリティには絶対妥協しない。カリモク家具の伊串さんに、そんなカリモク家具の心意気をうかがいます。


社員しか目にすることのないキャップには、カリモクブランドの誇りが。
BAUMのプロダクトに携わることになった経緯を教えて!
2018年から一緒に仕事をさせて頂いているプロダクトデザイナーの熊野亘さんに紹介していただきました。まずは「あの資生堂さんだ!」とすごくうれしく思った記憶があります(笑)。SDGsについてはカリモク家具としても取り組んでいながら、上手に情報発信ができていませんでした。こういったサステナブルなブランドコンセプト、それにまつわる木製パーツの構想をおうかがいして、是非ご一緒したいと感じました。ただ、端材を使うというコンセプトを実現するのは実際のところ相当難しく、だいぶ試行錯誤しました。だからこそ、このプロジェクトを成功させたことは、私たちの技術向上につながりましたし、たくさんの衝撃と学びを頂いた、大切な仕事のひとつになりました。
製造していく中でどのようなことを大切にしましたか?
家具業界では「フィンガージョイント」という、いわゆる端材を接着した部分を見せるのは良くないことなんですね。木の材色も個体差が大きいので、そのあたりの意匠的な許容範囲について、本当に何度も話し合いました。もちろんデザインに関して口を挟むことはなかったですが、今までにないブランドの価値観をどう形にするかということについては常に手探りだったんです。だからこそ結果として、新しい発見が多い充実したプロジェクトでした。

業界が違えば常識も違う。それが学びになったと伊串さん。
はじめて完成品を見た時の感想を教えて!
もう、本当に感無量でしたね。完成までに1年近く時間をかけていましたし、自社製品と同様に愛着を感じています。パッケージには「karimoku」とロゴを入れて頂きました。私たち自身もこのようなサステナブルなプロジェクトに関わることができてとてもうれしく思っています。今は店舗に飾るシーズナルアイテムにも関わらせて頂いています。古来から受け継いできた樹木の力とその魅力を、もっとたくさんの人々に伝えられたらうれしいです。


BAUMの箱には「karimoku」の名前がしっかり刻まれている。
今後BAUMとチャレンジしてみたいことは?
今後、新しいパッケージを生み出す時には当然参加したいと思っていますし、木を使ったアクセサリーなども一緒に作れたらと考えています。店舗のディスプレイや期間限定のノベルティグッズなど、さまざまな形でプロジェクトに関わりながら、私たちらしく樹木の魅力を広く伝えたられたらと思っています。

05 About Product Design
プロダクトデザインについても聞いてみました。
BAUMがこだわるのは「サステナブルであること」と同時に、気分が上がるようなデザインだといいます。「人々の楽しさの先に、地球が喜ぶことがある」。そう信じて製作に臨んだプロダクトデザイナーの熊野亘さんにも話をうかがいました!

BAUMのプロダクトデザインはカリモク家具と資生堂をつないだ熊野亘さんが担当。木の有識者としても知られる熊野氏は、スキンケア業界では難しいとされる木を使ったパッケージ製作に注力。化粧をする場所イコール洗面場という既成概念を取り払い、自宅のどこでも使用でき、オフでもインテリアにも馴染む新しい生活提案を模索。さまざまなことがボーダレスになっている今、コスメの世界にも新しい風を吹き込んだ。親和性のあるメッセージや植樹活動など、エシカルなブランドとして無理なく樹木をメインテーマに捉えているところやその一貫性に共感したという熊野さん。木とプラスティックなど異なる素材を組み合わせると、どうしても伸縮率や生産の違いで、嵌合が課題となるものの、さまざまな工夫を入れることで、誤差を最小限にし、精度をUP! 使いやすくて佇まいが美しい。BAUMのストーリーに沿ったボトルが完成したことは、プロダクトデザイナーとしても幸せな出来事だったと言います。「この使い心地があれば、きちんと伝えることができると確信しました。違和感ゼロで手に馴染みましたから」。今後はリサイクル材など、より踏み込んだマテリアルを使った商品開発にも関わりたいと意気込みを見せる。
【プロフィール】
熊野亘(プロダクトデザイナー)
1980年石川県金沢市で生まれ、東京で育つ。 ヘルシンキ芸術大学大学院を卒業後、プロダクトデザイナーのジャスパー・モリソンのアシスタントとして働く。 2011年にデザインスタジオ”kumano”を設立し、国内外のクライアントとインテリアやプロダクトデザインのプロジェクトを進める。2021年より武蔵野美術大学准教授に着任。



ものづくりの裏側はやっぱり楽しい。匠たちとピース!
Impressions
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やっぱり愛の力はすごいんです!
アパレルのイメージが強いBEAMSですが、実は「ライフスタイルショップ」と謳っています。つまり、暮らしを豊かにすること全般を扱っています。そういう視点で見た時にBAUMというブランドはとても興味深く、今回、話をたくさんうかがうことができて本当に良かったです。特にものづくりの現場というのは、自分たちだけではなかなか踏み込めない部分。職人の金型の情熱に触れ、実際に製作の現場を見ることができて、いろんな意味で勉強になりました。私も人の手の温かさに囲まれたい(笑)。森林浴でリラックスしたい〜。
特徴的なBAUMのボトルに使われている木製パーツの加工は、あの「カリモク家具」が担当! 「高級家具の端材」から作られた圧倒的なクオリティの裏には、ブランドと日本を代表する老舗家具メーカーの驚くような企業努力がありました。「ものづくりに一生懸命な人大好きっす!」というb/beaut BEAMS編集長の堀が、鼻息も荒く愛知県の工場へ突入!