6月29日にレースがスタートしたばかりのツール・ド・フランス。今回は111回目という歴史のある大会だが、どうやら今年は(も?)過酷で厳しい接戦が予想されるとか。そこで前回、レースの魅力を話してくれた別府史之さんに、注目の選手をピックアップしてもらった。2009年に日本人初の完走という快挙を成し遂げた別府さんの推しとは?
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では早速ですが、今年の注目選手を教えてください。
5月に行われた自転車の3大レースの一つ、ジロ・デ・イタリアというイタリア一周レースをぶっちぎりで総合優勝したUAEチームエミレーツのタディ・ポガチャル選手(スロべニア)には注目です。彼は、2020年、2021年のツール・ド・フランスも優勝しています。しかし、その対抗馬となるのが、2022年、2023年のツール・ド・フランスを優勝したヨナス・ヴィンゲゴー選手(デンマーク)。ただ、彼は今年の4月に大きな事故に遭い、万全の調子で参加できないんじゃないか。そうなるとタディ・ポガチャル選手が有力ですね。また、もう一人スロベニアでプリモシュ・ログリッチ選手がいるのですが、彼は元スキージャンパーという異色の経歴で、2023年のジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランス前哨戦の2024年クリテリウム・デュ・ドーフィネを制しました。さらに、ベルギーの若手でレムコ・エヴェネプールというスーパースターがいます。彼はブエルタ・ア・エスパーニャというスペイン一周のレースで総合優勝しました。この4名を中心に、大きなバトルが始まるかなと思っています!
別府さん注目の4選手を紹介!
©️aflo
01_タディ・ポガチャル / Tadej POGAČAR(スロベニア)
1998年生まれ。スロベニア出身。UAEチーム・エミレーツ所属。5月に行われたジロ・デ・イタリアに出場し、圧倒的な差で総合優勝したばかり。ツール・ド・フランス2020年、2021年総合優勝。
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02_ヨナス・ヴィンゲゴー / Jonas VINGEGAARD HANSEN(デンマーク)
1996年生まれ。デンマーク出身。オランダのチーム・ヴィスマ・リースアバイク所属。ツール・ド・フランス総合2連覇中のスター。4月のレース中に負った大怪我から驚異的な回復で今年も出場。
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03_プリモシュ・ログリッチ / Primož ROGLIČ(スロベニア)
1989年生まれ。スロベニア出身。元スキージャンパー少年だったが、2012年よりロードレース選手としてトレーニングをスタート。2020年の東京五輪では個人タイムトライアルで金メダル。2023年にジロ・デ・イタリアを総合優勝。
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04_レムコ・エヴェネプール / Remco EVENEPOEL(ベルギー)
2000年生まれ。ベルギー出身。所属はベルギーの強豪、スーダル・クイックステップ。2022年に驚異的な独創劇でプレルタ・ア・エスパーニャを総合優勝した若きロードスターは、ツール・ド・フランス初挑戦!
プロになるのも並大抵のことじゃないのに、彼らはそのさらに上をいっている規格外。人としてのポテンシャルが高すぎます。ツール・ド・フランスの現場は、選手が使っているギアも素材もウェアもすべてが超一流。そこをみてもらえれば、自転車のクオリティも知ってもらえるのでは? 世界最先端の技術と、それを動かす選手たちのチェスのような頭脳、そしてマラソン並みの体力。すべてに注目してください!
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別府 史之
Fumiyuki Beppu
1983 年生まれ。高校卒業後フランスに渡り、2005 年に日本人として初めて UCI プロツール選手となる。2006 年にロードとタイムトライアルの日本チャンピオン獲得し、2007 年に日本人初の UCI プロツール(現ワールドツアー)ポイントを獲得。2008 年にはアジアチャンピオンタイトルを獲得し、北京オリンピック出場。2009 年、日本人として 13 年ぶりとなるツール・ド・フランス出場。最終第21 ステージで「敢闘賞」を獲得。日本人初の完走も同時に果たす。2012 年ロンドン・オリンピックに出場。グランツール(世界三大ツール)、モニュメント、世界選手権、オリンピックの世界 10 大ロードレースすべて完走している唯一の日本人。
Interview & Text : Masayuki Ozawa [MANUSKRIPT]
Edit:MANUSKRIPT