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スタイリスト笹川陽介さんに聞く「THE GOLFER’S JOURNAL」と<LINKSOUL>の魅力

2021.10.19

2021秋冬の<BEAMS GOLF>シーズンスタイリングを手掛ける笹川陽介さん。彼は広告や各メディアで活躍するスタイリストであると同時に「HYPEGOLF JAPAN」の編集長も務めている。つまり最新のファッションはもちろん、今現在のゴルフシーンの動向に最も精通している人物のひとりというわけだ。

そんな笹川さんに聞いてみたいことがある。それは雑誌「THE GOLFER‘S JOURNAL」とアパレルブランド<LINKSOUL>について。共に今のアメリカ西海岸のゴルフカルチャーを体現し、<BEAMS GOLF>の世界観にも影響を与えた存在だ。「THE GOLFER’S JOURNAL」と<LINKSOUL>がなぜ世界中のシティゴルファーを魅了するのか。その理由の一端を探る。

笹川陽介

広告、雑誌、ウェブ、映画からアーティストまで、幅広い分野でのスタイリングと衣装制作を手掛けている。10年前にゴルフに目覚め、現在ではトーナメント「ZOZO CHAMPIONSHIP」のコラボアイテムのディレクションや、メディア「HYPEGOLF JAPAN」の編集長も務めている。

「THE GOLFER‘S JOURNAL」〜ゴルフの純粋な楽しさを表現〜

2017年にカリフォルニアで創刊した「THE GOLFER‘S JOURNAL」。年4回発行され、現在の最新号はNo.17を数える雑誌の魅力は、その美しいビジュアルだ。笹川陽介さんが抱いた第一印象も然りである。

「初めて『THE GOLFER‘S JOURNAL』を手にしたのは2018年のこと。LAの<MALBON GOLF>のショップで見て本当に驚きました。こんなに格好良いゴルフ雑誌が存在するのかと」

アメリカの雑誌だから、印刷されているのは当然英語だ。だが英語を理解できなくとも、ゴルフ好きであれば誰もがその素晴らしさを理解できる。コースのランドスケープと自然のダイナミズム。味わい深いプレイヤーの表情とスイングの造形美。スタイリッシュなデザインのウェア、シューズ、ゴルフバッグの数々。「ああ、やっぱりゴルフっていいな!」と素直に心が動かされるのだ。

「まず圧倒的なビジュアルに胸を打たれ、次にエディトリアル(編集)の力を感じることができます。ゴルフの純粋な楽しさを純粋な形で伝えたいという、シンプルで強い意志が伝わってくるんですよ」

以来笹川さんは「THE GOLFER‘S JOURNAL」の誌面とそのカルチャーに惚れ込み、バックナンバーまで遡って全号を所有。現在ではビジュアルディレクターを務めるフォトグラファー、クリスチャン・ヘイファーさんとも交流を持つに至っている。

笹川さんは、自身がディレクションするスタイリングや「HYPEGOLF JAPAN」でのビジュアルづくりにおいて「ゴルフの楽しさをどう表現するか」を常に考えている。そのなかで「THE GOLFER‘S JOURNAL」という存在が、大きな刺激のひとつとなっていることは間違いないだろう。

「THE GOLFER‘S JOURNAL」(書籍)は<BEAMS GOLF>の一部店舗およびオンラインショップでも取り扱っている(号数は在庫状況による)。どの号でもいい。ぜひ一度手にとりその目でチェックしてほしい。なぜならこうして言葉を尽くすよりも、ストレートにその魅力を理解してもらえると思うからである。

笹川陽介さんの注目アイテム

「THE GOLFER‘S JOURNAL」はオリジナルのアパレルや小物類も多数販売。<BEAMS GOLF>の各店舗およびオンラインショップで購入可能(*取扱アイテムは在庫状況による)だ。「この“ブロークン・ティー”(折れたティー)が『THE GOLFER’S JOURNAL』のアイコン。ほとんどのアイテムにこの“ブロークン・ティー”がデザインされています。左側のロープキャップはクラシックなデザインが逆に新鮮。右側のアースカラーのキャップは、女の子がかぶっても可愛いですよね」。

「見るからに着心地が良さそう」という笹川さん。“ブロークン・ティー”をあしらったパーカ、スウェットシャツ、Tシャツである。「ありそうでない独特の色合いがいいですね。西海岸のリラックスした雰囲気とシティゴルファーらしいセンスの良さが、うまく融合していると思います」

<LINKSOUL>〜アパレルブランド以上の存在感〜

ジョン・アシュワースさんという人物をご存じだろうか。1987年、LAにて自身の名を冠したゴルフアパレルを創業。以来30年以上にわたり、ゴルフウェア業界の第一線で活躍を続けているデザイナーだ。そんな彼が2012年にスタートしたのが<LINKSOUL>である。笹川さんが補足してくれる。

「アシュワースさんはまさにレジェンド級のデザイナー。もちろんその服は素晴らしいのですが、単なるゴルフアパレルとしてひとくくりにできる存在ではありません。<LINKSOUL>がすごいのは、ゴルフコースを所有していること。つまり服以外にも、その世界観の表現手段を持っているということなんです」

サンディエゴを拠点とする<LINKSOUL>。彼らのスタイルの発信の場となっているのが、ブランドが運営するゴルフコース「ゴートヒルパーク」である。

「Tシャツ&短パンでのプレーはもちろん、ポータブルスピーカーで音楽を鳴らしてラウンドしてもOK。いかにも西海岸という感じの、開放的な雰囲気に溢れたコースです」

もちろん開放的=ルール無用というわけじゃない。メンバーの誰もが、お互いが気持ち良くプレーできるようマナーを遵守している。いや単にマナーの良い人々というよりは、思いやりを大事にしている人々と言ったほうが正確かもしれない。

「ゴルフ場ではいろんな人たちがプレーします。上手な人もいれば初心者もいる。でもそこに壁はないんです。“ゴルフを楽しむ”というただひとつの目的で結ばれて一緒に遊ぶ。それを可能にする環境をつくり出しているのが、素晴らしいんですよね」

誰もが等しくゴルフを楽しんでほしい。そして、ゴルフの楽しさを次世代に伝えていきたい。<LINKSOUL>はウェアと所有するコースを通じて、その哲学を実現しているブランドなのである。

ちなみに<LINKSOUL>とウェア契約しているプロがいる。バッバ・ワトソン――マスターズを2度制した正真正銘のトッププレイヤーだ。正直、彼ほどの選手であればメジャーなゴルフブランドと高額な契約を結ぶことも可能であっただろう。だがしなかった。つまりワトソンは、今のゴルフシーンにおける名誉と実利よりも、<LINKSOUL>が描く未来のゴルフをチョイスした、ということ。何とも胸を打つ話ではないだろうか。

笹川陽介さんの注目アイテム

ダブルニット素材のスウェットシャツは<LINKSOUL>と<BEAMS GOLF>のコラボモデル。「胸ポケット付きの長袖スウェットって、実は結構珍しい形だと思います」と笹川さん。「ゴルフ場以外、つまり街でも十分通用するデザイン。それはこのキャップにも同じことが言えます。グリーンもマスタードも、大人がかぶって恥ずかしくない落ち着いた色味がいい」。キャップもやはり<BEAMS GOLF>の別注デザイン。どちらも実店舗のみでの取り扱いとなる。ぜひお近くのショップでチェックを。

Photographs_Chifuyu Aizawa
Text_Tomoshige Kase
Edit_lefthands