1976

BEAMS HARAJUKU STORY Vol.2
⼩さいけれど、 めちゃくちゃ濃い。原宿⼀号店のVR 空間を体験する。

ROOTS

text: Ryo Sudo(Jeep Creative Department)

1976年にスタートした原宿一号店を振り返った前編に続き、今回はVR技術によって完全再現されたその空間に実際に足を踏み入れてみた。写真でみるんじゃなくて、一歩空間に足を踏み入れてみると、その見え方はガラッと変わる。キーワードは、「小さい。でも、驚くほど濃い!」。そんな感じで今回覗き⾒するのは、創業店VR再現プロジェクトを推進した⽊下とアーキビストの長友、そして、完成したばかりの⼀号店を体験したVRチーム石田とプレス⽔⾕のハナシ。

– で、実際VR の中ってどうだった?

私も今日初めて体験したのですが、まず最初に感じたのは「6.5坪って、思っていたよりずっと小さいんだ!!」ということでした。写真で見ていたときは、もう少し余裕のある空間をイメージしていたんですが、実際にVRで中に入るとかなりコンパクトなスペースでした。でもその分、並べられているアイテムとの距離がすごく近い。どこを見ても何か面白そうなものが置いてある感じで、「広さ」よりも「密度」で成立していた空間なんだなと。あの凝縮された「濃さ」は写真だけでは伝わらないと思いました。(水谷)

広さより密度!
あれもこれも欲しくなっちゃう。

– 周りの店も再現したってホント?

そうなんです。一号店って、いまのように独立した路面店ではなくて、本当に普通のビルの一角にあるお店だったんですよね。今回のVR再現 では、一号店だけじゃなくて、同じフロアに入っていた店も含めて再現しています。もともと雑居ビルの中にある6.5 坪の小さな店舗だったので、周りの環境も含めて存在しないと、当時のリアルな空気感がなかなか伝わらないと思ったんです。(木下)

– 制作側は、かなり大変だったというウワサです。

はい、正直、かなり大変でした(笑)。そもそも当時の資料がめちゃくちゃ限られていて、完全な図面があるわけでもないので、数枚の写真と関係者へのヒアリングをベースに仮説を立てて、パースを制作してくださる方や、VR空間を制作してくださる方々と一緒に推理を進め、一度VR上に組んでみて違和感があればまた戻って検証する。そんな地味な作業の繰り返しでした。途中で新しい資料が見つかって、「あ、ここはそうなってたんだ!」と答え合わせができたり。(木下

– ほぼ「推理」ですね、それ。

そんな感じです。写真に写っている影の落ち方や什器の見え方から位置関係を読み解いたり、「ここにこれがあるなら通路はこの幅じゃないと成立しない」といった前提を組み立てたり。実際にVR上に配置してみると、ほんの少しのズレでも写真との違和感として出るので、それを手がかりに修正していく。実際に感じた「違和感」を頼りに、少しずつ精度を上げていく作業でした。(木下)

再現過程初期のパース(この後変更されました)

– 途中で変更になったポイントも?

例えば店舗のシャッターです。最初はVR内で表現されていたんですが、ヒアリングを進める中で「営業中は基本的に見えていなかった」という話が出てきて、最終的にはVR再現では外しました。ほかにも細かいディテールは最後まで調整が入りました。(木下)

– あ、あのウワサのシャッター!!

そうです(笑)。一号店は店舗のシャッターにもこだわったと聞いてます。よくアメリカで見られる、横にガラガラと引いてしめるあのシャッターなんですが、あの感じがどうしても欲しくて、めちゃくちゃ高価だったにもかかわらずアメリカからわざわざ輸送したという。営業していない時間帯のための設備なのに(笑)。たとえ合理的ではなくても、「街の中でどう見えるか」とか、そういうイメージやディテールまでちゃんとこだわり抜く感じがBEAMSっぽいですよね。(長友)

パース制作後、VR組み立て中に辻褄が合わなくなり、さらに詳しくヒアリングした際のメモ

お客さまには
⾒えないVMD(笑)
それだけ本気だから、⾯⽩い。

– かなりストイックな作業ですね。

そうなんです。「それっぽい感じでいいや」、という妥協だけはしたくなかったんです。あくまで実在していたものや裏付けが取れる情報だけをベースに組む。推測が入る場合でも、必ず根拠を持つ。そうじゃないと再現空間としてのリアリティや説得力は出ないと思っていたんです。(木下)

– 当時から変わってないところは?

やっぱり単なる「アパレルショップ」じゃなく「ライフスタイルを提案するセレクトショップ」だったんだな、ということでしょうか。服と雑貨を同じ目線で扱うことや、それらを単に並べるのではなく、自分たちらしい視点で再編集して「ひとつのストーリー」としてみせるやり方は、当時から一貫してるなと感じました。「これ、かっこいいでしょう?」じゃなくて、「こういう使い方をしてみたら面白くない?」という提案が必ず最初にあって、その結果としてライフスタイルが表現されているんです。(木下)

店内に配置した商品や備品は全て資料に基づいて忠実に3Dモデリングされた

– VR で空間を作る意味って?

BEAMS2020年からソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」で活動していて、2024年には仮想空間上の街と店舗を作って今も常設しています。VRでの空間演出を早くから⼿がけてきたからこそこだわりが強いのですが、今回の創業店のVR再現も、VRで映画制作をするクリエイター集団に制作していただきました。細密に作り込んであるので驚くほどリアルで、実際にその空間に⼊って⾃⾝の視点で⾒て動いてみて初めて理解できる感覚的な部分が⼤きいのがVRのすごいところ。そういうことも含めて、単純に過去を保存するということだけではなく、それらをあらためて「実際的な体験」としてまた共有できるということはとても重要だと思います。(木下)

– 初めて体験した一号店はどんな感じ? 

今の感覚でそのスペースを見ても成立しているというか、むしろ逆に今っぽく感じる部分もあるくらいでした。いま多くのショップが実践している異なるカテゴリーを横断して並べる編集センスや、ストーリーで見せるやり方が1976年の時点ですでに実践されていた。その感性がそのまま時間をかけながらより洗練されていき、BEAMSらしいスタイルとして完成されてきたんだと思いますね。(水谷)

なんと昭和51 年!
だけど、
なんだか最⾼に今っぽい。

– どんな人に体験してほしい? 

当時を知っているお客さまには記憶と照らし合わせながら、そして、その頃をまったく知らない方には「こんな場所から始まったんだ!」という発見を。そういう意味でVRというフォーマットはどんな人でも直感的に理解できる素晴らしい技術なので、できるだけいろいろな方に体験していただきたいです!(石田)

– 参加してみてどうだった?

過去を再現するプロジェクトではあるんですが、携わる中で一番強く感じたのは「あの頃と、いまのBEAMSって、根本的には全然変わっていない」ということでした。その時代ごとにセレクトや表現はどんどん変わっても「自分たちが面白いと思うことを軸に、世界中のあらゆるモノやコトを編集していく」という視点はずっと一貫している。お客さまにも楽しんで欲しいと同時に、私たち自身がBEAMSの哲学をあらためて理解できた貴重な体験でした。(木下)

Sneak Peek Notes.

めちゃくちゃ「コンパクト」。でも、めちゃくちゃ「濃い」。BEAMSの創業店、通称原宿一号店は、ヒト、モノ、コト、あらゆるものが凝縮された「密度」で成立していた場所だった。VRで中に入ってみたらその感覚はすぐに理解できる。モノを売る場所というより、あらゆるものの「楽しみ方」を提案するための場所。その感覚がなんだか今の時代の感覚にしっくりくる。VRというテクノロジーは、その感覚を「体験」に変えるための装置だ。見るだけではなく、歩いて、視線を動かして、距離を感じる。LOOK OUT。視点を少し変えてのぞいてみると、遠くに見えたBEAMSの原点が、意外なほど近くに見えてくるかも。

INFORMATION

BEAMS創業店VR再現ワールド『1976 BEAMS』のアクセス方法

同ワールドは、ソーシャルVRプラットフォーム『VRChat』にて公開されています。PC、iOS、もしくはAndroid環境でアクセス可能です。

 

・PC:Windows PCにオンラインゲーミングプラットフォーム『Steam』のアプリをインストールした上で、ソーシャルVRアプリ『VRChat』をインストールし、そのままデスクトップモード(PCのみ)でも、VRヘッドセットをPCに接続するVRモードでもアクセスできます。VRヘッドセットのみ(PCに接続しない状態)やMac OS環境ではアクセスできません。

 

・iOS:iOS 17.0以降のiPhone、iPadOS 17.0以降のiPad(2026年6月時点)で、App Storeよりアプリ「VRChat」を入手し、アカウントを作成してログインした状態で、ワールド『1976 BEAMS』を検索してアクセスしてください。

 

・Android:Android 10以上のスマートフォンで、Google Playよりアプリ『VRChat』を入手し、アカウントを作成してログインした状態で、ワールド『1976 BEAMS』を検索してアクセスしてください。

 

VRChatワールド『1976 BEAMS』起動URLhttps://vrchat.com/home/world/wrld_e14dbc6b-916d-4116-98c7-0a95ba2380e4/info

 

YouTube動画(上記VRChatワールドを撮影したもの):https://youtu.be/tGBcJQBGKCA

 

...Sneak

「ルーツ」も「いま」も「あした」のことも。
知れば知るほど、⾯⽩い。
少し未来の「ビームス」のハナシ、
覗き⾒します。

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