カルチャーは現象。誰かと何かが出合って、
気づいたらいつもそこにあった。
世界各地で生まれる新たな息吹を、
BEAMS的な視点で捉えて、育みたい。
きっと、そこにまた新たなカルチャーが
生まれるから。

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【UNFILTERED:TALK】 VOL.01
菊池 虎十 ×佐藤 貴史

ひとつのカルチャーが立ち上がるとき、現場では何が起きているのか? つくる人と、ビームスの仕掛け人。 表現の表と裏が交差する場所に、一切のフィルターはいらない。 サバイブするための「本音と美学」を、生のまま届けるトーク連載。

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菊池虎十 (Taketo Kikuchi)

アーティスト

1998年生まれ。東京都出身。 自身の潜在意識や時間の流れをテーマに、支持体に合わせて布を独自の形に歪ませる表現を追求する。 四肢を持つ生き物、地平線、光などを、伸縮性の高い生地にエアブラシを用いて描き作品制作している。 Instagram: @kikuchitaketo

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佐藤 貴史

BEAMS T バイヤー

2010年にビームスに入社。「ビームス メン 渋谷」「ビームスT 原宿」などの店舗での経験を経て、2018年より〈BEAMS T〉のバイヤーに就任。ヒップホップなどのストリートカルチャーへの造詣が深く、著名なアーティストやクリエイターとのコラボレーションも多数手がける。

けっこう奇跡的だった


最初の出会いは、僕が虎十くんにDMしたはず。
南
佐藤
菊池
菊池
たしか、大学の卒業制作を観ていただいて。
そうそう。それが4〜5年くらい前だったかな。
南
佐藤
菊池
菊池
はい、2022年ですね。
その頃は、BEAMS Tでアーティストの展示やブランドのポップアップをずっとやっているなかで、「ここの部分が足りないな」「ちょっと年齢層が偏ってるな」と感じていた時期で。新しい、若いアーティストを発掘していこうというマインドになっていた。普段は、自然な形で知り合って、そこからオファーをかけたいタイプなんだけど、歳も離れてるし、共通の知り合いもいなさそうだったのでDMをしました。
南
佐藤
菊池
菊池
大学の学部生のときは、今と作風が少し違って、染織をやっていました。そのなかで、染めた布が飾る場所や形状によって変形していくのが面白いなって。卒業制作は、家のような空間を自分で作って、家で普段見かけるワンちゃんやトロフィー、風景画、置物などがグニャグニャになっている、歪んだ世界の家のようなものを作ったんです。
あの卒展の作品は、シンプルにすごく良かった。
南
佐藤
菊池
菊池
ありがとうございます。それで、初めてお会いしたときに展示の話をいただいて。それが『Homesick Creature』(2023年1月・ビームス T 原宿)につながるんですけど、正式な形では初の個展だったんですよね。
あれが初個展だったんだ?
南
佐藤
菊池
菊池
そうです。だから、僕のキャリアがスタートした展示でした。
あの展示の前に、虎十くんの実家に作品を観にいくかなにかで一度お邪魔したことがあって。そのときに屋上で一服しながら虎十くんのお父さんも交えて話していると、なんとお父さんの実家と僕の実家が歩いて1分くらいの距離だった!
南
佐藤
菊池
菊池
びっくりしました。しかも愛知県の大府で。
僕が小学生のときに髪を切ってたお店が虎十くんのお父さんと一緒だったり。
南
佐藤
菊池
菊池
あれはホントにビビッときたというか。勝手に佐藤さんと心が近くなった気がしました。
けっこう奇跡的だった。
南
佐藤
菊池
菊池
小さい頃は、年に1〜2回は大府の実家にも帰っていたので思い出があります。帰ったら「イオン」に連れて行ってもらえたり。
東浦の「イオン」?
南
佐藤
菊池
菊池
そうですそうです。そこでおもちゃ買ってもらったのが嬉しかったな、みたいな。

自分がどういうジャンルなのかわからなかったりする


菊池
菊池
大学1年生のとき、Tシャツに直接絵を描いて売って、小遣い稼ぎみたいなことをしてた時期があります。
それはどういった絵を?
南
佐藤TKC
菊池
菊池
映画のワンシーンとかですね。ジョン・トラボルタだったり、もうストレートに。そこから思い立って、ひいじいちゃんの遺影みたいなものだったり、自分の親族を描くようになったんです。親族を着てるのがなんかアツいなと思って。心強いじゃないですか。
それ、いいね。
南
佐藤TKC
菊池
菊池
他人からしたら「白黒の、誰?」みたいな。
最近、Tohjiの衣装もやってたりするじゃないですか。
南
佐藤TKC
菊池
菊池
はい。エアブラシやスプレーで直接描いていくようなライブ衣装の制作は、最近増えてきていますね。
ああいう一点モノは、虎十くんらしさあるなって。
南
佐藤TKC
菊池
菊池
割と変なことやっているというか、シンプルにキャンバスに絵画っていう形ではないからこそ、自分がどういうジャンルなのかわからなかったりするんですけど。そうやっていろんな手札を増やして、道を広げていきたいですね。
〈BEAMS T〉のバイヤーの目線だと、やっぱりTシャツのレーベルという特性上、アーティストにお願いする際は、Tシャツにするのが見える人を選ぶのが大前提。でも虎十くんの場合は特殊だった。卒業制作は立体だったじゃない?
南
佐藤TKC


菊池
菊池
そうですね。
でも、その作品がめちゃくちゃ良すぎて、ちょっともうこれは1回アパレルのことを考えるのは置いとこうと思って、DMしたんですよ。
南
佐藤
菊池
菊池
めちゃ嬉しい。
そこから「これ、どうやってアパレルに落とそうかな?」という、今までとは逆の発想だった。
南
佐藤
菊池
菊池
アパレルに落とし込むときに、自分の中で大事にしていることがあって。リアルな作品って、筆がいい意味で揺らいでたりするじゃないですか。それが作品の良さで、逆にTシャツなどの製品は、もう少しかっちりしているほうがいい。作品は作品で楽しんでほしいし、日常で着れるものはまた別というか。どちらかに寄りすぎると、どっちにとっても良くないので、“それぞれ”の意識はあります。

作家さんとは1回きりじゃなく継続的に関係値を築いていきたい


虎十くんは、アートに対して一直線で真面目。真面目というか、楽しみながらも、ちゃんと向き合っている。今回の個展はどういったところから?
南
佐藤
菊池
菊池
佐藤さんも来ていただいた、表参道の「K ART GALLERY」で昨年やった展示で、星のキャラクターみたいなのがふっと偶然、出てきたんです。星ってやっぱりキャッチーで、象徴的だったりするじゃないですか。それを自分の中で噛み砕いて、「なぜ星なのか?」を探っていくなかでできたのがこの正面の作品です。都市に住んでいるというのもあるんですけど、人の気配や、人の存在のエネルギーみたいなものにずっと興味があって。それと星の関係性を今回の個展では表現しています。


まず前提で、虎十ワールド全開。それでいて、表現のアウトプットの仕方が毎回すごく進化がある。今回のグッズにしても、レンチキュラーは発想になかったので、虎十くんから提案あったときに面白いなって。
南
佐藤
菊池
菊池
やっぱり“変化する”というのが好きなんですよね。布も、着る人の体型によって変わるじゃないですか。ぴしっと伸びたり、くしゃってなったり。今回、靴下も作ったんですけど、これも脚の太さによって絵の歪み方が変わる。


ビーニーやストッキングも作りたいって言ってくれたけど、やっぱりアパレルに落とし込むのって、どうしても制限がある。例えば、ビーニーに虎十くんの作品を落とし込むとなると、リブの溝の部分にプリントできなかったり。いろいろな条件のなかで、どう面白いものを作るか。
南
佐藤
菊池
菊池
作品ってなると、価格やサイズや、どうしても難しい部分があると思うので、今回は手に届きやすいものを作ることも意識しました。Tシャツもそうですけど、クッションやハンガーもそう。そういった普段から使えるものに今は興味が向いています。


僕が常に意識してるのは、作家さんと一緒にお仕事したときに、単発で終わらない関係を作ること。1回やっておしまいじゃなくて、ちゃんと継続的に築いていきたい。
南
佐藤
菊池
菊池
佐藤さんは僕を最初に見つけてくれた方というイメージがあるので、感謝しかないです。日本のアート市場って今すごく大変じゃないですか。そうなると、次は海外も一緒に目指していけたらいいなって。〈BEAMS CULTUART〉って海外にギャラリーあったりするんですか?
今はまだ。今後は、あり得る。
南
佐藤
菊池
菊池
ホントですか。そういうところでも色々ご一緒できたら嬉しいです。
聴

カルチャーは現象。誰かと何かが出合って、
気づいたらいつもそこにあった。
世界各地で生まれる新たな息吹を、
BEAMS的な視点で捉えて、育みたい。
きっと、そこにまた新たなカルチャーが
生まれるから。

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