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ファッションデザイナーへのインタビューから、ニッチなマンガやアニメの紹介まで、日本のサブカルチャーを切り口に、さまざまなトピックを海外へと発信する『サブカルオンライン(sabukaru.online、以下sabukaru)』。いま、日本の若者を中心に絶大な人気を集めているウェブマガジンですが、その世界観に惹かれたのは〈ビームスT〉も同じ。今年の7月には、『sabukaru』とタッグを組み、「ビームスT 原宿」で合同展を開催しました。今回は、このイベントを企画したキーマン2人に、日本のサブカルチャーの話や、合同展を開催するに至った経緯について、語ってもらいました。
ドイツ出身。個人ブログを前身に、2018年からウェブマガジン『sabukaru』を始動。メディアの運営にとどまらず、ブランドのビジュアル制作やコンサルタント業など、幅広いフィールドで活躍中。
WEBサイト
Instagram:@sabukaru.online
愛媛県出身。2014年にBEAMSへ入社。現在は「ビームスT 原宿」でVMDや店舗マネジメントなどを手がけ、商品企画にも携わる。音楽やアートなどのストリートカルチャーへの知見が深い。
Instagram:@tk23____
まずは、おふたりが出会った経緯から教えてください。
金子 2年ほど前、渋谷にある「ブルールーム(blueroom)」という古着屋で『sabukaru』のメンバーの夏樹と仲良くなって。彼からビアンコさんを紹介してもらったんです。
金子さんはその頃から『sabukaru』のことをご存知でしたか?
金子 もちろん。当時もいまと変わらず、海外視点で日本のサブカルチャーを紹介していて、他にはないウェブマガジンという印象でした。
『sabukaru』がスタートしたのは、たしか2018年ですよね?
ビアンコ それが少しあいまいで。ぼくは2018年に日本へ移住してきましたが、ベルリンにいたときから日本のサブカルチャーをテーマにした『Biancissimo』というブログを個人的にやっていたんですよ。それが『sabukaru』の前身になっていて。
いまの『sabukaru』と内容に違いはありましたか?
ビアンコ 似ているようで、違っていましたね。例えば、『Biancissimo』では、〈ナナミカ(nanamica)〉代表の本間永一郎さんから、とある居酒屋の大将まで、気になるひとのインタビュー記事を掲載していました。それはいまの『sabukaru』と通ずるところがあります。ただ、『Biancissimo』の方が、ぼく個人の興味がより反映されていたような気がします。
そもそも、ビアンコさんが日本のサブカルチャーに興味を持ったきっかけはなんだったんですか?
ビアンコ 思い返せば、ドイツに住んでいた子どもの頃から日本のカルチャーや食事が大好きでした。明確に好きになったのは、『ドラゴンボール』がきっかけかな?
金子 やっぱり『ドラゴンボール』は海外でも人気なんですね。ぼくも小学校低学年のとき、たまたま「アニマックス」で放送していた『ドラゴンボールGT』から入って、その後『ドラゴンボールZ』も好きになりました。
ビアンコさんから見て、日本のサブカルチャーのどこに魅力を感じたんですか?
ビアンコ 日本のサブカルチャーには、魅力的なソフトパワー(自国の価値観や文化によって相手を魅了する力)があると思うんです。だから、いまとなっては日本のサブカルチャーが、海外のメインストリームにも取り入れられることも多いですよね。例えば、リル・ウージー・ヴァートのアルバム『Pink Tape』に「ベビーメタル(BABYMETAL)」がフィーチャリングで参加したみたいに。
ちなみに、ビアンコさんの好きな日本のサブカルチャーは?
ビアンコ 好きなものが多すぎて、ひとつに決められない(笑)。少しでも時間が空いたら日本のインディーズ映画やマンガをチェックしているし、いろんなことに関心が向いているので。強いて言うなら、日本の食文化は一貫して好きですね。最近だと、池尻大橋にある「不二」という鉄板焼き屋さんがお気に入りです。
金子 サブカルチャーってひと言で言っても幅広いから、ひとつに決められないですよね。ぼくはファッションを入り口に、その背景にある音楽をディグるのが好きです。
ファッションと音楽は密接に繋がっているサブカルチャーですよね。
金子 そうですね。UKラッパーのスケプタは、昔からトラックスーツみたいなスポーツ用品店に売っている服をかっこよく着ていますけど、それが彼のやっているグライムというジャンルとちゃんと結びついている。世界的ヒットを飛ばしている中でもスタイルは変わらないし、いまそれがテック系のようなひとつのファッションのトレンドになっているのがおもしろいと思います。
『sabukaru』で取り上げているトピックも、ファッションや音楽、マンガ、アニメ、ゲーム、アートなど多彩です。各ジャンルのなかでも、ピックアップする基準はありますか?
ビアンコ まずひとつ挙げるなら、どれだけ深掘りできるか、ということ。海外で日本のサブカルチャーが人気と言っても、現地のウェブメディアで紹介されているのは誰もが知る定番ばかり。例えば裏原ファッションだったら、〈ア ベイシング エイプ®️(A BATHING APE®)〉のNIGO®️さんや〈アンダーカバー(UNDERCOVER)〉の高橋盾さん。でも、裏原には〈スワイプ・オン・ザ・クワイエット(SWIPE ON THE QUIET)〉の千壽公久さんのようなあまりメディアでは紹介されていないひともいますよね。だから、ほかではピックアップされていない、かつ深掘りできるトピックを、日本で直接調べたり取材したりしながら海外に発信するように心がけています。
金子 日本人も、特に若い世代は『sabukaru』の情報を新鮮に受け取っていると思いますよ。2000年代初頭だったらナードなイメージだったアニメや漫画も、センス良くファッションに落とし込んでいるので。
ビアンコ 移住して5年経ち、まだ世界に知られていない日本の素晴らしいサブカルチャーもたくさん発見したので、さまざまなコンテンツを多角的に取り上げていきたいと思っています。その中でも、行きつけの銭湯の女将さんにインタビューするのが、ひとつの夢なんですよ。
自身の興味を純粋に取り上げているんですね。
ビアンコ ぼくらは『sabukaru』と並行して、「ビアンコ ビアンコ(BIANCO BIANCO)」という別会社でブランドのビジュアル制作などをやっているから、『sabukaru』では大きな利益を求める必要がないんです。そのおかげで、アダルトな内容や社会の闇など、少し過激なコンテンツも記事化できています。
金子 日本のウェブメディアではなかなか見られないトピックを取り上げているのが、『sabukaru』の魅力ですよね。
ビアンコさんは今後、『sabukaru』をどんなメディアにしていきたいですか?
ビアンコ 『sabukaru』はウェブマガジンですが、一種のマインドセットと考えてもらいたいです。サブカルチャーを吸収して自分の個性にしていく若者が、これからもっと増えていくはず。ひと昔前、新たなユースカルチャーを形成したウェブマガジンと同じような影響力が、いまの「サブカル」にあると感じています。そのためにも若い世代が喜ぶニッチなサブカルチャーを発信していきたいです。
今年の7月に「ビームスT 原宿」で開催された、『sabukaru』のキュレーションによる合同展の話も聞かせてください。まず、開催のきっかけはなんだったんですか?
金子 去年、『sabukaru』が「スパゲッティ(SPAGHETTI)」というギャラリーで開催したポップアップストアにお邪魔してみたら、そこでコラボレーションしていたブランドやアーティストがとてもよかったんです。それを〈ビームスT〉のフィルターを通せば、また違う表現ができて、互いの刺激になると思いまして。
ビアンコ そのときは“キオスク(KIOSK)”をテーマにしたポップアップストアだったんですが、それが『sabukaru』の初めてのリアルイベントでした。コラボしたのは、〈カーサービス(CarService)〉や〈エフエーエフ(FAF)〉、VERDYさんに「小宮山書店」などジャンルはさまざま。彼らとタッグを組んでアパレルや小物を販売したんですよ。オープンから30分ほどで会場にひとが溢れて、『sabukaru』のコミュニティが形成されていることに感激しました。
金子 新鋭からベテランまでのアーティスト、ディープからポップまでのカルチャーを網羅しているところが、〈ビームスT〉と通じるところがあるなと感じて。ぼくは当時「ビームス 原宿」に所属していましたが、直接〈ビームスT〉のディレクター水村とバイヤー佐藤に相談したら、合同展の開催に賛同してくれました。それで実際にビアンコさんとミーティングすると、「幅広くコラボレーションしたい」と言っていましたね。
ビアンコ “コネクティング・カルチャーズ”、つまりカルチャーの繋がりが、『sabukaru』に秘めているコンセプト。ハードコアパンクのレジェンド、YOYO-TOMEさんが若い世代と一緒にパーティをしているように、世代を超えて、いろんなカルチャーが共存しているイベントを〈ビームスT〉でやりたいと思いました。
金子 それで合同展のテーマは、“Past, Present, Future (過去、現在、未来)”に。
ビアンコ 〈ビームスT〉と『sabukaru』、そして、ブランドやアーティストとのトリプルネームでTシャツをつくることになって。〈アクロニウム(ACRONYM)〉から、LAの〈プレジャーズ(PLEASURES)〉、裏原世代の千壽さんが手がける〈アッパーフィールドワン(UPPER FIELD ONE)〉、10代のグラフィティライターの兄弟、SHART & BAHKまで、いろんなカルチャーを繋げていくイメージで9組をキュレーションしました。
金子 個性が違うブランド、アーティストが揃ったと思います。方向性が違うように見えて、ちゃんと『sabukaru』というフィルターを通してまとまっている。異なるジャンルだからこそ、“コネクティング・カルチャーズ”を体現できたと感じています。〈アクロニウム〉など、これまでBEAMSでお付き合いがなかったブランドやアーティストとコラボレーションできたのも新鮮でした。
Tシャツには、6月に発表した〈ビームスT〉のオリジナルボディを使っていて。7月にローンチ記念として30組のアーティストやブランドとコラボレーションしましたが、イベントでこのボディを使用したのはこれが初めてなんです。あと、合同展の会場では、アートの展示販売も行いましたね。
実際に〈ビームスT〉と企画を進行してみて、いかがでしたか?
ビアンコ 〈ビームスT〉には0から100までのノウハウがあって、クオリティの管理ができていたから、夢のようなクリエイティブができました。
イベント初日には、店頭でレセプションパーティを、渋谷の「エンター(Enter)」ではアフターパーティーも開催しました。
金子 『sabukaru』の注目度が高いので若い世代がたくさん来てくれたし、日本に住んでいるビアンコの友達の外国人や普段BEAMSで買い物をしていないひとたちも集まってくれて大盛況でした。日本の若い世代も『sabukaru』を通じて、日本のサブカルチャーのクールさを再認識しているように感じて。BEAMSだけではそこにたどり着かないと思うから、この合同展を開催してよかったです。
ビアンコ これまでの活動の中でも、『sabukaru』のハイライトと言えるほど楽しいイベントでした。この合同展は、友達同士でおもしろいことをやろう、と始まったプロジェクト。リスペクトし合っている仲間とカルチャーを形成していきたいという想いが土台にあったので、とても楽しかったし、とてもスムーズでした。この合同展が、これから続いていくストーリーの第一章になるように、『sabukaru』と〈ビームスT〉の関係を深めていきたいですね。
カルチャーは現象。誰かと何かが出合って、
気づいたらいつもそこにあった。
世界各地で生まれる新たな息吹を、
BEAMS的な視点で捉えて、育みたい。
きっと、そこにまた新たなカルチャーが
生まれるから。