初めて世の中にデビューする<out stand IN>(アウトスタンドイン)一つ一つのグラフィックにストーリーがあるんです。
■VALLEY OF BEAUTY S/S TEE (美しの谷)
凍えそうになりながら荒涼とした大地を彷徨っていた。
遠くに小さな光が見える。暖をとらせてもらえないだろうかと考え、光の方へ近づくと、そこには一軒の小屋があった。
静かな夜、小屋の灯りが揺れている。戸を叩くと、中から優しい声が聞こえた。
「どうぞ、中へ入って暖まりなさい。」
小屋の中では炉火が燃え、温かな空気が包み込む。
テーブルの上に置かれたテープレコーダーから優しい声が語りかける「ようこそ美し谷へ」
■76 S/S TEE(76)
FIAC’76は、1976年10月16日から24日までパリのグラン・パレで開催されたアートフェア。
古い印刷物の束からFIACのフライヤーを見つけた。ロゴは好みだが、配置されている建築物の写真は好みではない。そこで、枠の中の写真をカッターで切り取り、窓を作る。束の中から奇抜な色の建築物を見つけ、その枠の中に置いてみた。
偶然にも、その建築物も1976年に建てられたものだった。
■INZIAZIONI S/S TEE (通過儀礼)
巨大な鏡張りのビルを眺める。その鏡の中では時の流れが違うのか、空に浮かぶ雲が高速で移動している。
目を凝らすと、立っているはずの自分の姿が映っていないことに気がつく。
「そうか、またいでしまったんだ」と呟く。
青空はやがて夕焼けに染まる。そしてまた、強い日差しがビルを照らし始めた。

<out stand IN>
アートディレクター 永戸鉄也と、デザイナー/クリエイティブディレクター 倉石一樹によるブランド。
2021年よりDUSTNATIONのブランド名で展開していたが、2024年サマーシーズンよりout stand INとしてリブランディングを果たす。
人が立っている<Stand>を軸に両極なout とINを両手に持つイメージ。
それはまるで陰陽<Yin&Yang>やプラスとマイナス。
マインドセットも今日着る服も日々アップデートさせる。
そんなフラットで軽やかな心の持ちようをグラフィックで表現し落とし込んでいる。