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ビームスが思う理想の男性像

"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。

今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。

本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。

たしかにそこにあった

たしかにそこにあった

 

フランスのシャツメーカーと聞いて、誰もが真っ先に思い浮かべるのは世界最古のシャツメーカー<Charvet(シャルベ)>であろう。今も自国内に多くのシャツメーカーを抱えているイタリアと違い、「フランス製のフランスらしいシャツ」とは殆どの人にとって<Charvet>のスタイルを意味する。つまり、ジーンズについて言われる「501と、それ以外」に準えるならば、フランスのシャツは「<Charvet>と、それ以外」という事になる。

1930年代にパリで誕生した<Thuillier(テュイリエ)>はオーダー専門のシャツ屋として操業を続けてきた老舗中の老舗だ。長い歴史の中で、歴代のフランス大統領に愛されてきたにもかかわらず<Charvet>に比べて圧倒的に<Thuillier>の知名度が低いのは、オーダー専門店であるが故。既製品が世界中で売られている<Charvet>と違い、多くの人がその存在すら知らない小規模経営のままで90年近くの歴史を刻んできた。

2017年、世界で初めて<Thuillier>の既製品をオーダーしたのがInternational Gallery BEAMSである。この既製ラインは彼らの自社サイトとBEAMSの店頭にしか並ぶことがなかった。「なかった」という過去形になるのは、2020年を以て<Thuillier>の廃業が決まったからだ。それに伴い、彼らのハイクオリティなシャツを世界で唯一買い上げていたBEAMSが、彼らが作った最後のストックをすべて引き受けて販売することとなった。

古着で稀に見かける(ヴィンテージと呼ばれる年代の)<Thuillier>のシャツは、他では見たことのない位置で切り替えられた後台襟の凝った仕様や、1930年代の物であれば股をすっぽり覆ってしまうような長い着丈、肩と袖にドレープをたっぷりと生み出す豊かなギャザー、まさにシャツの起源を思わせるようなオーダーシャツならではの古典的スタイル。一方で、BEAMSのオーダーで実現した<Thuillier>既製ラインは現代に通ずるメンズスタイルの雛形が出来上がった1960年代以降のムードである。既成ラインの代表的な襟型はウェルドレッサーとして知られた仏大統領の名前から採って「ミッテラン・カラー」と呼ばれるもの。それはやや大ぶりのレギュラーカラーであり、<Charvet>の端正な襟型とはまったく異なるムードを放っている。

1838年に創業した<Charvet>は、歴史の刷新を繰り返しながら今も尚その歴史を紡ぎ続けている。一方で、<Charvet>の180年にすっぽりと収まる形で90年の歴史に幕を閉じた<Thillier>のアイテム群には、ある特定の時代の匂いが染みついている様に思う。小規模なオーダー専門店であり続けたがゆえに、激流の如く流れゆくグローバル感覚や時代性に身をさらすことなくパッケージされ続けた、特定の匂い。今はもう過ぎ去ってしまった、過去のある地点。

1981年、第21代フランス大統領に就任したフランソワ・ミッテラン氏。実際に彼がいつからいつまで<Thuillier>の「ミッテラン・カラー」を愛用していたのかは年代別に彼の写真を遡りながら個別に確かめるしかないのだろうが(ミッテラン氏はある時期まで<Charvet>の顧客でもあったらしい)…。<Charvet>のコンパクトで端正な襟型と一線を画す「ミッテラン・カラー」からはどことなく1970年代フランスの香りがする。狭いタイスペース、高い台襟、硬い芯地のロングポイントレギュラーカラー。それは、ナイーブとグラマラスが同居するイヴ・サンローランの時代である。ラウンドカラーの小ぶりなボタン・ダウンからはアメリカに憧れたパリの舗道のような1960年代ムードが感じられるし、ネックウェアやカフリンクスにも古き良きパリの匂いが染み付いている。世界中に拡張する「テンプレート的なフランス風スタイル」ではない、何か。

モダナイズの名の下に本来の持ち味を失ってしまう老舗が多い中、<Thuillier>のシャツには過去(つまり、ある特定の時代)に固定されたままの不思議なムードが漂っている。僕たちがクラシックウェアを愛する心には、或る意味でのノスタルジーと憧憬がいつも付きまとう。ともすれば現在に対するネガティブだと揶揄されかねない男のロマンチシズムだがしかし、過去を想うことは必ずしも後ろ向きを意味しない。今はもう手に入らなくなってしまった「あの」スタイルを、現在進行形で生きる今の力に変える事。それは単なる懐古趣味やコスプレではない。「リスペクトに値するオリジナリティとクオリティ」を備えたシャツが確かにそこに在ったのだ。最後のストックを買い取っただけあって、シャツやネックウェアなどは色もサイズもバラバラで数に限りがあるものの、今後はもう作られることのない<Thuillier>最後のコレクションを、是非お手にとってご覧いただきたい。

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