BEAMS MEDICAL

PROJECT
BEAMS MEDICAL
CLIENT
ヤギコーポレーション
YEAR
2017-

ビームスが長年培ってきたスーツやジャケットにおけるもの作りの知識を活かしたメディカルユニフォームブランド<ビームス メディカル>。クリエイティブディレクター・中村達也が監修するアイテムは、機能性に富んだ素材やディテールに加え、医療現場に適したファッション性を兼ね備えています。株式会社ヤギコーポレーションの確かな物作りの技術を駆使し、幾度もの試作を重ねて作り上げたドクターコートやジャケット、パンツ、スクラブジャケットなど、時代のニーズに合わせてアップデートしています。

Order

それまで日本ではほとんど見られなかった”テーラード”の概念を盛り込んだ白衣を中心にした新たな解釈の洗練されたドクターウェアの開発。医療用のユニフォームとしての機能性を確保しながら、シルエットにこだわった「着用時にスタイリッシュ」に見える立体的なデザインを目指しました。

Issue

それまでビームスが扱っていたユニフォーム制作に比べると多くの規制が存在する医療用ユニフォームには、衛生面や耐久性などの面でかなり高いハードルがあり、使える素材が限定されていました。「白衣は上に羽織るもの」という考え方を根本から変え、プロダクトづくりに関わるすべての人たちと、フィッティングやディテールへの細かなこだわりの必要性を何度も共有しました。

Ideas

テーラードの概念である「着た時の美しさ」に徹底的にこだわり、タイトなシルエットでありながら動きやすいデザインを提案し、モデルを使ったフィッティングを繰り返し行った。さらに取り組みに当たって、プロダクトとしての完成度はもちろん、実際の医療に携わる方々に「売れる」ことを最終的なゴールとし、「BEAMS MEDICALオンラインショップ」の展開を必須条件として提案しました。

VOICE

  • 中村達也
  • ディレクター

2008年、「株式会社高浜ユニフォーム」からスタイリッシュなドクターウェアを作れないか、という相談をいただいたのが<ビームス メディカル>のスタートです。ビームスが30年以上学生向けのユニフォームを手がけてきた実績があったことで声をかけていただきましたが、なにより期待していただいていたのは「感性」の部分だったと思います。日本のドクターウェアの世界は、ずっとファッション性やトレンドとは無縁のモチーフだと思われてきていましたので、まったく違った角度からの新しい解釈を求められていました。
これは偶然なのですが、当時親が入院していて病院に通う機会があり、その時ぼんやりとメディカルスタッフの服のディティールを観察しながら「先生の白衣、もう少しかっこいいものにできないかな」と感じていたところでした。その頃の白衣はただ上に「羽織るもの」で、どこも立体的にデザインされていなかったのです。大まかに言えば「大は小を兼ねる」というのがコンセプトで、基本はどんなアイテムも大き目のシルエットで作られている。けれどスタイリッシュに見せるためには、どうしてもある程度体に沿ったフィッティングを意識しなければなりません。そこで私たちが新しくプロデュースするドクターウェアには、ビームスで培ってきたテーラードの知識を存分に活かそうと考えました。つまり、シルエットが立体的であること、そして襟形などディテールにこだわること。特にシルエットには徹底的にこだわりました。
ドクターウェアというジャンルは機能性を最優先しなければならないですし、あれこれ制限があって難しそうに見えるものですが、実際にはとてもシンプルです。例えば色は基本的に白です。いろいろな柄やさまざまな生地を扱ってきた私にとって、白い生地から形を作っていくことはそれほど難しいことではないのです。逆に最も難しかったのは、その繊細なシルエットを、実際に服を作る方々に理解していただくことでした。体にフィットする立体的なプロダクトを作ったことのないチームに、その意味合いを伝えるのにとても時間かかりました。実際に着用した時のシルエットがなによりも大切なので、モデルに着せて何度も検証を繰り返してようやく完成しました。2008年にはそういうコンセプトのドクターウェアはほとんどなかったので、かなり話題になりましたね。着心地のよさはそれまでとまったく違うし、なにより見た目がスタイリッシュですから。特にビームスのお客さまの中で医者をされている方は、かなりの確率でビームス メディカルのウェアを着ていただいているようです。
私は担当の方に、「どうしてビームスに依頼するのかもう一度考えてみて欲しい」と言ったこともあります。なぜなら、私たちはただ「かっこいい」だけを提供する集団ではないからです。僕たちが作ったりプロデュースしたりするものはすべて「商品」なので、売れなければ何の意味もないのです。最近モディファイした際にも、その辺りを何度も繰り返し確認させていただきました。世界中で「かっこいい」と賞賛されてスタートした店が簡単に潰れてしまったりするのを今まで何度も目の当たりにしてきましたが、それはただ「かっこいい」っていうだけだったから。世の中のニーズを正確に捉え、売れるものを提供し、きちんと評価され続けないと絶対に生き残れない。だから、やりっぱなしのような仕事は絶対にしません。それはプロデュースという仕事においてもまったく同じです。逆に言えば、請け負う仕事こそ、さらに大きな責任を持って望まないといけないと考えています。そういう意味では「ビームスだったらかっこいいことや面白いことができるかも」というのは本質ではなく、かっこよくて面白く、なおかつ「きちんと売れる理由があるコンテンツ」を提供し続けていきたいと考えています。僕自身が一番大切にしている言葉が「理想は高く、現実に厳しく」ですから。