『大人BEAMS』だけで読むことができるBEAMSスタッフのコラム。今回は〈EFFE BEAMS〉オリジナルアイテムや、多くのファンを持つブランド〈AK+1〉のデザインを務める植田が登場。
我が家は今の家に引っ越して2年ほど。
出産直後に引っ越したので、とりあえず荷物は押し込みましたって状態。
引っ越し当日は、まさかの食中毒になり役立たずだったし。
妊娠中は切迫だったので動けず、なんとかリフォームしたけど、家具はほぼ買えず。
とりあえず家が整っていない言い訳が沢山言える。
BEAMSのスタッフは、本が出版されるくらいインテリアに凝っている人ばかりなので、とても見せれたもんじゃない。
2歳児抱えてインテリアショップは、不可能すぎて買い物はまだまだできないけれど自分が好きなものを考えて棚卸し中です。
とりあえず私が白が好きなのは、明白。
先日のVMDの安藤のコラム「白って200色あんねん」は、私にとっては魅惑的な題名すぎました。
私は、白でも凸凹と表情があるものが特に好きです。
家の壁も白の凸凹にしました。
左官の壁にどうしてもしたかったんです。画像は和紙左官。
都心のマンションでもどこか田舎にいるようなクラフトマンシップを感じたくて。
食器も凸凹。文祥窯さんのお皿です。
ここは好きすぎて、佐賀の窯元まで見に行かせて頂きました。
白って奥深いと思えたお皿である。
不純物を取り除かず石そのものの色を活かされており、真っ白でなく自然で上品な佇まいだと思う。
文祥窯さんは、自ら石を採掘されるこだわりよう。
私が同じような試みをしようものなら、綿花から育てるか、羊を飼うか、飼わなくても毛を刈りに行くことくらい大変なこと。
(羊の毛を刈る自分を想像したら何故かじわる…)
不純物をわざと取り除かないというのにも惹かれるものがありました。
生地も綺麗な物を作ろうとすると、かなり不純物を取り除き捨てます。
今の時代、捨てるというキーワードに引っかかるものがあります。
生地の場合、不純物を取り除いて真っ白にして、さらに漂白したりします。
漂白すると綺麗な反面、どこか不自然に見えて、結果安っぽく見えたりもする。
一方で不純物を残したまま美しい佇まいを残すことも、とても難しいと思います。
同じ物を作る者として、いつかこれくらいこだわった物を作ってみたいと思ってしまう。
デザイナーの心をくすぐられまくりで、尊敬でしかありません。
今シーズンデザインした服だって白い凸凹でした。
もちろん個人的な好みだけでデザインしたわけではないけど、正直一番のお気に入りです。
この服、実はスーパーで思いつきました。
広尾の明治屋へ買い物に行ったときです。
我が家の近所では鯵の刺身は、せいぜい600円くらい。
明治屋では1,900円しており、誰が買うねんって、ずっと値段を見ながら一人つっこみを入れる作業をしていた私(ぶつぶつ言いながら買い物していた不審者ですね)。
コロナ禍で混沌としてる世の中。
平日昼間の広尾明治屋にいる若いマダムの服装が華やかなこと。
私が妄想するには・・・
天現寺にある幼稚舎の送迎の後にママ友とSAWAMURAでお茶をしながら、
子供教育の話や子供を連れて行きやすいお出かけ場所などの情報交換。
あと〇〇ちゃんのところは、マセラティに乗っててすごいねとか(←車の話は、私の実績)
そんな話で盛り上がってから、明治屋で買い物して帰るのでしょう。
※注意 私はお金持ちのライフスタイルを妄想するのが趣味です。
30代女性が素敵なベージュ色のセーターを着ていた。
真夏だったから、コットンのフリンジぽいセーターだったと思う。
こんな混沌とした日々だけれども、ファンシーな素材を上品に着られていることに衝撃を受けた(しかもスーパーで)。
実際に海外のコレクションも明るい雰囲気になってきつつあった。
そう、もう華やかな服をみんな着たくなってる。
家で過ごしやすいようリラックスした服が流行はしているけれど、そんな人ばかりでない。
着るだけで華やかな気持ちになる。着るだけで高揚感が得られるものを作らなければならないと頭で描いた。
偶然にもその直後に生地屋さんで、とても素敵な生地を発見し色別注して作成しました。
華やかかつ、ファンシーそのもの。
黒をベースに白いリボンが浮き立つようなイメージで。
私が拝見した若マダムのセーターとは全く違うものですが(同じだと模倣になるから完全にアウト)、とにかく華やかで上品な雰囲気に仕上がったと思う。
というような服の作り方は、かなり珍しいけれど、たまには高級スーパーには行ってみるものである。
因みにその日、私が明治屋に買いに行っていたものは、こちら。
大阪道頓堀今井のおうどん。
讃岐うどんとは明らかに違う柔らかい大阪のおうどん。
黄金色のスープが上品で堪らなく美味しいです。
スープでも上品って思うのはなんなんでしょう。
控えめなのに味が深いんですよね。
私も控えめでいれば、多少上品に見えるのでしょうね。
それは無理なので私自身は諦めるとして、私が作るお洋服は控えめで上品なものになるようデザインしたい。
少し話は脱線するが、うどんには必ず「お」を付けます。
関西人あるあるですね。
鯛は、「お鯛さん」って言います。さらに「さん」が付くんです。
お豆さん、お揚げさん、お芋さん、お日さん、お月さんなどなど。
飴は、なぜか「飴ちゃん」ですけど。
諸説ありますが、他人に薦める際に押し付けがましくないようにした言葉遣いのようです。
洋服は、必ず「お洋服」です。
「お友達」に薦めたくなる「お洋服」になれば幸いです。
植田芙未 Fumi Ueda
〈EFFE BEAMS〉designer
いくつかのアパレル企業を経験したのち、現在は<EFFE BEAMS(エッフェ ビームス)>オリジナルアイテムや、多くのファンを持つブランド<AK+1(エーケーワン)>のデザインを務める。趣味は、上質な食材探しと旅行。家ご飯を充実するために、高級スーパーの徘徊、地方からお取り寄せ、旅行先で新鮮な野菜などを買って帰るのを楽しむ毎日。身に纏うものも、身体に入れるものも上質にできるよう日々奮闘中。
@fumindaいくつかのアパレル企業を経験したのち、現在は<EFFE BEAMS(エッフェ ビームス)>オリジナルアイテムや、多くのファンを持つブランド<AK+1(エーケーワン)>のデザインを務める。趣味は、上質な食材探しと旅行。家ご飯を充実するために、高級スーパーの徘徊、地方からお取り寄せ、旅行先で新鮮な野菜などを買って帰るのを楽しむ毎日。身に纏うものも、身体に入れるものも上質にできるよう日々奮闘中。
@fuminda