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ビームスが思う理想の男性像

"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。

今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。

本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。

ポケットは開けるな

a fashion odyssey | 鶴田啓の視点

ポケットは開けるな

 

コロナ禍を契機にオンライン会議がますます一般化し、(SNSに限らず)あらゆる視点から「画面映え」が重要な時代に突入した。最近ではオンラインの画面越しで自分の背景に飾る為のアート作品がよく売れている、という話も聞いたことがある。戦国武将の後ろに大きな虎の屏風が飾られているようなものだろうか。殿様と家臣のように一定の距離以上近づく事ができない(キープ・ディスタンス)関係の場合、遠目からでも認識できる背景や衣装によって、見られる本人のスケール感は大きくも小さくも変わるものらしい。視覚効果の面白さだと言える。

しかし。

私たちショップスタッフの場合。着せ替えアバターのように最後までヴァーチャルであり続けられたらよいのだが、着ている本人が現実のショップスタッフである以上、生地やボタンや肩パッドはこの世界に「実在」するのだ。結局、実際に会ったときの本人及びその衣装がネット上を先行するアバターイメージに対してどうなのか?という話になってしまう。  写真だけの見掛け倒しにならぬよう、我々ショップスタッフは日々「実物としての研鑽」を積むのである。

「実在感」といえば、ふと思い出したことがある。 僕がビームスに入社した20年前、トレンドとしてのクラシコイタリアは終盤に差し掛かっていたが、それでもドレス担当スタッフの間では不文律の「心得」みたいなものが存在した。 例えば、新品のジャケットが輸送中に型崩れしないように肩やベント、ポケットを縫い留めている“しつけ糸” について。「上着の腰ポケットにモノを入れると膨らんでしまう→シルエットが崩れる→ポケットは使わない→しつけ糸は取らない」という思想のもと、「ポケットは開けるな」と新入社員の僕は先輩から教わった。そう、当時の洋服屋にとって上着の腰についた玉縁ポケットは口が縫い付けられたままになっており使用不可能、もはや飾りだったのだ( 胸ポケットはチーフを挿すので開いてもよかった)。スーツスタイルの雑誌撮影があると当時のスタッフはみな胸の前で腕組みをしている。上着のポケットに手やモノを突っ込むという所作は美しくなかったのである。パンツのクリース(センタープレス)が抜けているのも良しとされなかったので、出勤時の電車では席がガラガラに空いていたとしても座らずに立っていた。実生活を半ば捨て去って臨むダンディズムの世界である。

時が流れて、いつしかビームススタッフのポケットは使用可能になった。時代と共に魅力的な男性像が変容したのだ。シワや崩れが許されない「非現実的」なカッコよさから、日常生活の動きが垣間見える「リアリティ」の時代へシフトしたといえる。直立不動の腕組みポーズで画面を睨みつける重厚感よりも、自然なシワが入った上着のポケットに両手を突っ込み口を大きく開けて明るそうに笑っているライトな男性の方が現代的である、ということ。これは時代と共に、重衣料がよりカジュアルで軽くなってきたことに比例している。ちなみに上着ではなくパンツのポケットに手を突っ込むのは更に砕けた表現になるが、これも数年前にはブレイシズやプリーツパンツの再燃とともに大流行した。もちろんジャケットのフロントボタンは外して写ることになる。

しかしファッションとは不思議なもので、世界各地のスナップやSNSを見ていると若い世代でドレスクロージングの世界にドップリとハマり込んだ人々が、いま再び腕組みのポーズを取り出した。彼らの玉縁ポケットは果たして開いているのだろうか?

2015年に出版された、河合正人氏ディレクションによる写真集「ジャパニーズ ダンディ」は(おそらくはアーヴィング ペンにオマージュを捧げる撮り方で)ファッション業界の重鎮や日本が誇る服道楽の人々を重々しく毒っ気たっぷりに写したものだった。プロのモデルではない諸先輩方はみな不敵な表情でカメラをじっと見つめながら、まるで静物画のような不動のポーズで写真に納まっている。このアプローチは、軽量化していく当時のメンズクロージングの世界に、ある意味で一石を投じるものであったのだろう。 ビームスのホームページでは全国のスタッフが毎日自分のコーディネートを投稿している。お気に入りのスタッフが、どのような表情とポーズで写真に納まっているか。リアリズムとダンディズム。そんな視点で見て頂ければ、洋服自体のコーディネートとはまた違った側面が垣間見えるかもしれない。

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