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ビームスが思う理想の男性像

"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。

今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。

本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。

ポロシャツ長屋①

a fashion odyssey | 鶴田啓の視点

ポロシャツ長屋①

 

「御三家」と聞いて何を思い浮かべるか。

橋幸夫・舟木一夫・西郷輝彦と言えば昭和歌謡の「御三家」。その後に続いた「新・御三家」は西城秀樹・野口五郎・郷ひろみ。「セレクトショップ御三家」はSHIPS・UNITED ARROWS・BEAMS。バスクシャツの「御三家」はSaint James・Le Minor・Orcival。そして、そもそもの意味を考えると忘れてはならないのが、尾張・紀伊・水戸の「徳川御三家」。夏目漱石の前期・後期「三部作」といい、農林水産省が認めた「日本三大珍味」といい、日本人は「三」が大好きなようです。ちなみに、日本の三大珍味は「ウニ・からすみ・このわた」だそうで…。

ドンドンドン、ドンドンドン(扉を叩く音)!「はい、今開けますからね…」ドンドンドンドンッ!「はいはい、今開けると言ってるのに、まったくせっかちな客だねぇ…。家が壊れちまうよ。熊公に違いないね、こりゃ…」(勢いよく扉を開けて)「おうっ!ご隠居ッ、いるかい?」「ほーら、やっぱり…熊の野郎だよ。いるよ、いるだろ、目の前に。なんだい、他人んちの扉ぁ無理やりこじ開けた後に、いるかい?とは。相変わらずそそっかしい野郎だね」「おうッ、こちとら江戸っ子でぇ!自慢じゃねえが、気が短けぇんだ、中から人が開けてくれるまで待ってたら日が暮れちまわぁ!」「まるで押し入り強盗だね。まぁ、お上がンなさい…おやおや、もう自分で座布団裏返して座ってるね。そこはあたしの席だよ…勝手に湯呑みに茶まで注いでるよ。世話が焼けなくていいんだか、悪いんだか」「なんだい、ブツブツ言ってやがら…(湯呑みの茶を一口に飲み干して)今日来たのは、他でもねぇ」「なんだい?」「ポロシャツ」「え?」「ポロシャツだよ、ポ・ロ・シャ・ツ!ここんところすっかり暑くなっちまったから、ポロシャツでも買おうかと思うんだけど、どういうのがいいか決めきれなくてよ。若いころから服道楽で浮名を流したご隠居なら良いポロシャツを知ってんじゃないかと思って、こうしてノコノコとオンボロ長屋まで出向いてきたってわけよ」「別に浮名なんて流しゃあしないよ。失礼な野郎だね、まったく。オンボロも余計だよッ」「まぁまぁ、そうヘソを曲げないでさ、良さげなポロシャツをササっと教えてくれよ」「調子がいいやつだね、まったく…。ポロシャツと言えば、まずは基本の御三家からじゃの」「なんだい、その御三家ってのは」「そんなことも知らずに、ポロシャツを買おうとしとったのか」「おう」「すっかり開き直りやがった…。ポロシャツで御三家と言えばラルフローレン、フレッドペリー、ラコステじゃ。それぞれアメリカ、イギリス、フランスとお国柄も違うしテイストも異なるから、むやみに選ぶよりは歴史を知る事から始めてみるのもひとつじゃな」「おうおうっ!こちとら…」「分かった分かった、お前は江戸っ子で気が短いんじゃったな…。ここはひとつ、ラコステにしてみたらどうじゃ?熊さん」

「ワニの、あれか」「そう、ワニの、あれじゃ」「そんなにいいのか?ワニの、あれ」「まぁ、ポロシャツの起源みたいなものじゃからな」「へぇ、ポロシャツはラコステから始まったのか」「1920年代に活躍したフランス人テニスプレイヤーのルネ・ラコステが着ていたシャツがルーツだと言われておる」「あれ、テニスなのか?ポロシャツなのに?ポロって、あれだろ?みんなで馬に乗って棒っきれで球を打つ」「なかなかいい質問じゃ。ルネ・ラコステの時代、プレイヤーはみなコットンオックスフォードのシャツや白いフランネルのパンツを穿いてテニスをやっておったんじゃ。ところが、グランドスラム常勝のルネ・ラコステが、英国でポロ競技に使われていたニット地のシャツを着て試合に臨んだ。しかも、半袖。ピケと呼ばれる鹿の子編み素材の半袖シャツ。それはスポーツウェアの革新だったのじゃ」「さすが、詳しいなご隠居」「テニス自体は11世紀フランスで考えられたジュ・ドゥポームというゲームが起源となる古いスポーツじゃが、その競技用ウェアに関してはポロ競技用のニット素材やクリケット用のセーターなど、異なるスポーツのウェアを上手く取り入れて拡張してきたと言える。クリケットセーターも有名テニスプレイヤーが着たことで和製英語のチルデンセーターとして現在も親しまれておる。ちなみにテニスプレイヤーのブランドとして発展したポロシャツだが、ゴルフウェアとしてのイメージもあるな?」「うん、ある。あとはスポーツ全般、体育教師とか」

「これは、ルネ・ラコステの奥さんと娘がゴルフチャンピオンだったことと関係しているかもしれんな。1930年代のラコステの広告を見ると、ワニのマークが入ったシャツを着た男性のイラストに“POUR LE TENNIS、LE GOLF、LA PLAGE”とある」「テニス用、ゴルフ用ってことか。ラ、プラージュってのは何だい?」「ビーチ。すなわち、テニスにゴルフに海辺のレジャーに幅広く使えるスポーツシャツとして打ち出していたわけじゃな」「奥さんと娘も巻き込んで、ビジネスセンス抜群だな」「そのとおり。胸にワンポイント刺繍が入ったポロシャツはいまでこそ一般的じゃが、これもラコステが初めて取り入れたデザイン。ワニ革のトランクを試合に賭けたとか、ワニのように粘り強いプレイスタイルだったとか諸説があるが、ともかく自分のニックネームであったワニをアイコンにして商標登録までしているのだから、現代のファッションブランドの草分けだともいえる。ラルフローレンもフレッドペリーも、ラコステの発想がなければ胸のワンポイントを思いついたかどうか」「なるほどな…」「あとは、じゃな…」「ちょいまち、ご隠居!」「ン?なんじゃ」「いつもよりたっぷりと喋ってるところ申し訳ないが、ま、俺はいィんだよ?俺は。聞いてる聞いてる。でもほら、読者があくびしてるんじゃねぇかな、そろそろ」「おぉ、そうか。いかんいかん、服道楽の血が騒ぎすぎたかの…」「いや、面白かったよ、ご隠居の話」「そうか?では、ちょっと休憩してまた語るとするか!」「え?そうなの?語っちゃう?ヤブヘビだったかな…藪を突いたら出てきたのは蛇じゃなくてワニだったりして。それにしても粘り強いな、ご隠居も。テニスやらせたら強いんじゃねぇのかな…」「何をブツブツ言っとるんじゃ!さっさと仲入りの幕を下ろさんかッ!!」「(わぁぁ、キャラ変わってるし…)」

ドドドんッ!!!(威勢よく太鼓を鳴らす熊)
「おなぁーーーーかぁーーーいりーーーーー!」

仲入り休憩を挟んで「ポロシャツ長屋②」へ、無理矢理続く。

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