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10月11日(金)から14日(月・祝)の間、寺田倉庫を中心とした7会場で、国内最大級のアートとカルチャーの祭典『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024』が開催されます。3年目となる今年のテーマは“NEW ERA”。今回から新たに設置される「TOKYO ART MARKET」というエリアに〈BEAMS CULTUART〉も初出店し、アートグッズなどを展開します。出店する上でふと頭に浮かんだのが、どうしてこんなにもアートグッズに惹かれるのだろうということ。 主催者とキュレーターとイベントへの理解を深めつつ、アートとグッズの関係性についても考えてみました。
エイベックスに新卒入社後、音楽営業・アジア事業の立ち上げ、ミュージシャンやIPの海外戦略を経験。その後、文化創造企業にて建築系展覧会の企画やPRを経て、ミュージアムの立ち上げに従事。2021年よりエイベックスに戻り、現職。アートと社会との接点を模索し、新しい視点や手法でアート市場を拡張することを目指すべく、MEET YOUR ART事業に邁進している。
熱海と東京都内を拠点とするアート・アンプリファイア。都市と山村の生活経験やその地の歴史を素材とし、都市のインフラや場所をオブジェクトとして再利用する思索を元に展覧会キュレーション/アートプロジェクト実践/出版/経営を試みつつ、社会のオルタナティブな関係性を実践する。
BEAMSに入社後、店舗スタッフを経て、現在はビジネスプロデュース部に所属。ファッションはもちろん、音楽、お笑い、アートが好きで、休日は美術館や映画館へ足繁く通う。坊主頭がトレードマーク。
まず、『MEET YOUR ART』というプロジェクトがどのように始まったのかを教えてください。
古後 『MEET YOUR ART』は、2020年にavexが立ち上げたプロジェクトになります。コロナ禍の最中にスタートしたこともあって、当初はYouTubeコンテンツとして、MCに森山未來さんを迎えてのスタートでした。私たちの立場から見ると、アート業界はアーティスト自身が発信できる場所やプラットフォームが限られていると感じられる部分があったんです。それに対して、エンタメ業界で培ったノウハウを活かしてアート業界に貢献し、日本のアート市場自体をスケールアップさせたい、という思いが根底にありました。アートを新しいファン層に届けることを一番大事だと考えて、プロジェクトを進行していったんです。
最初はYouTubeなどWEB上でのプロジェクトだったと思うのですが、それがイベントになったのはどういう経緯があるんですか?
古後 avexは音楽などエンタメを発信している会社なので、やはりフィジカルの場で何かを起こしたいという思いが最初からあったんです。初めて『MEET YOUR ART FESTIVAL(以下、MYAF)』というイベントを行ったのは2022年の5月だったんですが、ようやくコロナ禍が落ち着きそうなタイミングでの開催でした。このフェスのコンセプトも、より多くの人にアートを届けたいというものになります。アート好きの方々はもちろん、敷居が高いと感じて一歩踏み出せない方も気兼ねなく入ってこれる場所をつくりたい。そんな思いから、アートを軸に音楽やフード、ファッションといったカルチャーを集結させて、感度の高い人にアートを体験してもらうきっかけをつくることをテーマに、メディアとフェスを運営しています。
そんな『MYAF』は今年、どのような内容になりそうでしょう?
古後 今年の『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024』ではテーマに“NEW ERA”を掲げ、7会場を跨いでの開催となります。今年の『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024』ではテーマに“NEW ERA”を掲げ、7会場を跨いでの開催となります。そのアートエキシビション『SSS: Super Spectrum Specification』のメインキュレーターとして、今日来てくださっている吉田山さんにご参加いただきました。また、今年初めて行う挑戦として、「TOKYO ART MARKET」というエリアを展開します。
吉田山さんには〈BEAMS CULTUART〉が『EASTEAST_TOKYO 2023』へ参加する際にもキュレーターとして参加してもらいましたが、今回の参加はどのようにして決まったんですか?
古後 指名を受けて。
古後 そう、指名を受けて。
一同 (笑)。
吉田 去年までエキシビシションエリアをキュレーションしていた山峰潤也さんにお話をいただいたんです。
『SSS: Super Spectrum Specification』のキュレーターとして、どのようにアーティストを選ばれましたか?
吉田 昨年の『MYAF』を拝見させていただいたうえで、“NEW ERA”というテーマで自分ならどうするかってことを考えていきました。監修の山峰さんの方向性を踏まえたうえで、さらに会期が4日間という短期なので、その期間だからこそ面白いことは何かということも。それで時間が進むにあたって内容が移り変わっていくパフォーマンス的なことだったり、そういう流動的なインスタレーションがいいんじゃないかと思ったんです。そうしたら、オープニングとクロージングが同時に行われてるみたいな熱気が出せるんじゃないかなと。そういった考えを他2名のキュレーターにも共有して、自分の方でタイトルを考えて進行していきました。訪れるタイミングによって体験が異なるエキシビションになっていると思います。
さきほど古後さんが挑戦とお話された「TOKYO ART MARKET」では、アートグッズやZINEなどを取り扱うショップを中心に40店舗以上が集結するそうですね。〈BEAMS CULTUART〉もその1つとして参加することになりますが、このエリアをつくろうと考えたのはなぜなんですか?
古後 『MYAF』ではアートフェアの会場で作品が買える形を取っていたんですが、金額的な意味で、初めてアートに触れた人がパッと手に取れるようなものではありませんでした。その中で、若い世代の人が何かを持ち帰れる体験をしてもらいたいと思って「TOKYO ART MARKET」という場所を設けようと考えたんです。BEAMSさんは長きに渡って、ファッションやライフスタイルの1つとしてアートを発信してきた背景をお持ちで、きっと私たちと同じ思いを持って活動されているんじゃないかってところもあり、絶対にコラボレーションしたいと思って、お願いさせていただいたんです。
岡田 BEAMSの中にも、アートグッズを専門的に扱っているレーベルが多々存在するんですけど、アート関連のレーベルやカルチャーに関わる取り組みを束ねたプロジェクトとして、2022年に発足したのが〈BEAMS CULTUART〉です。今回、「TOKYO ART MARKET」に参加するわけですが、僕らとしてもavexさんに尊敬の念を抱いているんですよね。僕らはアートを専門的に扱う集団ではなくて、ファッションやライフスタイルにアートを掛け合わせることを目指してきました。それをエンタメという土壌をベースにアートシーンを広げていこうとする『MYAF』の取り組みには、すごく共感する部分があります。このフェスに出店して、アートの魅力をより幅広い層へ届けるということには、僕らの立場としてもすごく意義があることなんです。
ちなみに、当日はどんな内容の予定ですか?
岡田 〈TOKYO CULTUART by BEAMS〉でご一緒している作家さんにお願いして、その場で似顔絵を描くというコンテンツを用意していたり、〈BEAMS T〉からは数量限定ではありますが、その場でシルクスクリーンプリントしたトートバッグをプレゼントすることを考えています。アイテムについては、現在「国立新美術館」で開催されている『田名網敬一 記憶の冒険』と〈BEAMS CULTUART〉のコラボアイテムなどを並べようと計画していますね。
「TOKYO ART MARKET」ができたことでより楽しみ方が増えたのではと思いますが、アートグッズの魅力に気づいたのはどんな時ですか?
古後 小さい頃、美術館に連れて行ってもらって、鑑賞後のお土産にポストカードなどを持ち帰った記憶があるんですよね。そこが始まりだったんじゃないかと思います。
吉田 そうですね、すごく買ってもらっていた気がします。最近ではアートグッズもアートを解釈する方法の1つになっていると思うんですよ。Tシャツにしたり、ピンバッチにしたり、クッションにしちゃったりっていう。そういう驚きが最近の展示は多くて、そこも含めて楽しみにしている部分がありますね。
岡田 おふたりが言うように、Tシャツやキャップ、トートバッグだとか、モノとして持ち歩けるのがすごくいいですよね。自分の好きな作品を身につけるっていうのは純粋に気分が上がることですし、アートグッズならではのよさなのかなと思っています。
吉田 ただ、アートグッズの定義って難しいですよね。版画や印刷物、エディションが付いてるものもアートグッズなのでは?と考えてしまうこともあります。
古後 エディションの付いた写真集などもありますし、どこまでがグッズとして捉えられるかの境界線が難しいですよね。
吉田 歴史的に見ると、ジョージ・マチューナスさんの『フルクサス』がありますよね。日常にアートを見出そうとして、日本でもオノ・ヨーコさんなどが参加していました。複数製作の印刷物などグッズ的なものを出していて、それがいまでは美術館に高額なアートピースとして飾られているという。奥が深いですよね。
そんなことを踏まえつつ、今回お持ちいただいたアートグッズについても教えていただければ!
吉田 10年前に現代アートというものがあるらしいという話をいろんな人から聞いていて、 『ヴェネチア・ビエンナーレ』がちょうど開催されるってことで観に行ったんですよ。そのときに買ったTシャツは思い出の一着ですね。あとは同じく10年前くらいに行った「広島市現代美術館」や『瀬戸内トリエンナーレ』で買ったTシャツ。それに、荒川修作さんのドローイングTシャツもありますね。現代アートのことが全然わからない頃、とにかく観に行こうと思っていた時期に買ったもので、色は黒が多いですね。Tシャツは捨てたりなくしたりしちゃうんですけど、思い出深いものとして着れなくなっても取ってある数着です。
吉田 他にも〈B GALLERY〉で買ったポエトニクのダイスや、オノ・ヨーコさんの『IMAGINE PEACE』のボックスも。どちらもエディションが付いているのですが、こういう攻めている作品ともグッズとも捉えられるようなものが好きですね。僕はもともと田舎出身で一点ものの作品は美術館に行かないと観られなかったんです。グッズや映画、写真作品とか、複製芸術は自分の中でリアリティがあり、持参したTシャツなどに対して親近感を感じていたんですよ。だから、お土産コーナーやグッズ売り場で、何かいいものがないかなって思いながらうろついてます(笑)。
古後 Tシャツの話でいくと、私はロンTがほしいんですよ。というのも、Tシャツだとラフになり過ぎて、普段使いできなかったりするんです(笑)。それで、『MYAF』で松浦美桜香さんとコラボさせていただいた際には、ロンTをつくってもらいました。
古後 あと、私が気に入っているのが、淡路島を拠点にして、香りと音をテーマに活動されているアーティストのIZUMI KANさんという方がつくったお香です。香りって持ち帰ることができるアート作品だなと思っていて、鑑賞体験の記憶をそのまま持ち帰れるのが面白いんですよ。香りと記憶が密接に繋がっていて、そのときに感じたことを思い出せるアイテムとして買っていますね。これも作品とグッズの間にあるようなものだと思います。
古後 そして、大竹彩子さんが今治タオルとコラボしたタオル。その他にもZINEはつい集めてしまいますね。持ってきたのは建築ジャーナリストの磯達雄さんのものですけど、アーティストや編集者、建築家の方が自費出版で出しているZINEが好きなんです。それに、今年の『MYAF』にも参加してくださった新城大地郎さんの作品集、加賀美健さんのカレンダー、米澤柊さんのステッカーも。好きなアーティストのグッズを見つけたら買っちゃいますね。
岡田 僕が持ってきたのは、岡本太郎さんの展示で見つけたTAROMANのハンカチと、『ヴェネチア・ビエンナーレ』のトートバッグ。そして田名網さんとコラボで製作したトートも。トートバッグは見つけたらつい買っちゃいます。
岡田 ほかにも「東京都現代美術館」の展覧会『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』で見つけたDIEGOさんのキャップなども。
岡田 あと、「DIC川村記念美術館」の『カラーフィールド』展で感動したフリーデル・ズーバスの『捕らわれたフェニックス』がプリントされているTシャツは思い出深いです。その展示にすごく感動しちゃって、思い出を持ち帰る気持ちで買って帰ってボロボロになるまで着ていました。やっぱり、その瞬間に感じた感動を少しでも持ち帰りたいという気持ちがあってアートグッズを買うことが多いです。
ありがとうございます! では、最後に『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024』でアートに触れようと考えている人へ向けて、楽しみ方についてアドバイスをお願いいたします。
吉田 僕がキュレーションしている『SSS: Super Spectrum Specification』では、状態が変化していく状況を意識的につくっているので、一回観に来ていただいて、別の会場を巡った後にもう一度訪れてみてください。変わった部分を探したり、違うパフォーマンスが行われたりしているのを発見して、楽しんでくれたら嬉しいですね。
岡田 まだまだ現代アートは難解だと思われている現状がある中で、音楽やグッズ、食の文化とクロスオーバーさせて提示するフェスというのは、非常に魅力的な場所だと思います。まずはアートを体験して、それ以外の要素も楽しみながら、「TOKYO ART MARKET」を見て回ると楽しさが倍増するんじゃないかと思います。
古後 まず、7会場あるので丸1日かけて楽しんでいただきたいですね。というか、1日では楽しみきれないくらいのボリュームかもしれません。アートフェアにも100人近いアーティストの方が参加してくれますし、トークショーもあれば、アートマーケットも開催されます。ぜひ、何日かに分けてじっくり時間をかけて空間を楽しんでいただいて、まだ作品を買えないけど何か思い出を持ち帰りたいと思う人は、アートグッズを探して手に取ってみてください。
ここまでは展示してもらう、言うなれば企画者側の意見。では、アーティストたちは、アートグッズをどんな風に思っているのだろう? 『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024』に参加するアーティストに聞いてみました。
アートグッズの魅力はなんだと思いますか?
作品を観て感じた興奮をそのまま自分のものにできるところだと思います。個人的に展覧会は最後にあるグッズ売り場までを楽しみにしていて、とても印象に残った作品がグッズになっていたら即買いです。余計なデザインを含んでいないシンプルに作品そのままのよさが出ているものが好みです。手紙を書くのでポストカードは必ずチェックしますが、自分用と送る用の最低2枚…いやもう1枚!?といつも悩む時間すらも楽しいです。
ご自身の中で、アート作品とアートグッズにはどのような違いがありますか?
作品は目でその作品の纏った空気や質感を感じるもの、グッズは展覧会で感じた興奮の余韻に浸れるものだと思います。以前購入したTシャツがよれよれになってきて、もう一枚買っておけばよかったなぁと悔しくなりましたが、そういうグッズをつくることができたら最高だなと思います。つくる立場になった今はリサーチも兼ねてグッズ売り場を訪れています。
これまで購入されたアートグッズの中で、お気に入りの1点を教えてください。
特定のアーティストのグッズではないのですが、2016年の大学在籍中、日本では英語のアウトサイダーアートという言葉で知られているアートブリュットについてリサーチをしていた時、スイスのローザンヌに「アール・ブリュット(Art Brut)」という言葉を提唱したジャン・デュビュッフェ(Jean Dubuffet)氏の蒐集した作品が寄贈されている美術館「Collection de l’Art Brut」があることを知り訪れました。そこで買った美術館のトートバッグです。決まりごとや流行に流されないピュアな気持ちを貫く作品群の存在に圧倒された空気感はいまでも忘れられません。あの場所を訪れた時の初心の気持ちを思い出させてくれるお守りのひとつです。
Instagram:@vvuugg
アートグッズの魅力はなんだと思いますか?
家にもって帰ったり身につけたりして楽しめること。
ご自身の中で、アート作品とアートグッズにはどのような違いがありますか?
作品は一点モノだけど、グッズは複数つくれてTシャツにしたりZINEにしたりと楽しみ方の幅が広がる。
これまで購入されたアートグッズの中で、お気に入りの1点を教えてください。
【会期】
2024年10月11日(金)〜 10月14日(月・祝)
【時間】
11日:16:00〜21:00 ※11日はOUTSIDE MARKET・ライブパフォーマンス/DJエリアのみの開催(アートエリア・WHAT CAFEは終日内覧会)
12日〜14日:11:00〜20:00 ※最終日は18:00まで
【場所/住所】
東京・天王洲運河一帯 (寺田倉庫ほか)
東京都品川区東品川2-1-11
【チケット】
前売チケット
一般:¥2,000、学生:¥1,000(要・学生証)
当日チケット
一般:¥2,500、学生:¥1,500(要・学生証)
※前売・当日共に中学生以下無料
カルチャーは現象。誰かと何かが出合って、
気づいたらいつもそこにあった。
世界各地で生まれる新たな息吹を、
BEAMS的な視点で捉えて、育みたい。
きっと、そこにまた新たなカルチャーが
生まれるから。