観る
あとで読む一覧 📖
スケジュールはもう決まった?
2025
(wed)
(mon)

2025
(fri)
(mon)

2025
(fri)
(sun)

2025
(thu)
(tue)

「ビームス カルチャート 高輪」にて開催中の、舘ひろしデビュー50周を記念したポップアップショップ『HIROSHI TACHI 50th Anniversary Exhibition』に舘ひろしさん本人がご来場。会場に飾られているデビュー当時からの写真やコラボレーション商品に触れ、50年間の思いを語ってくださいました。盟友である写真家の長濱治氏も会場に訪れるなど、笑顔にあふれる空間となりました。 ※会期は2025年11月12日(水)〜11月24日(月)
「なんてったってこの写真だよね」。舘さんがじっと見つめ、笑みをこぼしたのは長濱氏が撮影した1枚。ニューヨークで27歳の館さんを撮影したものだ。今回の企画では〈NEIGHBORHOOD(ネイバーフッド)〉とコラボしたTシャツ、館さんの直筆サイン入り写真額装としても展開されている。
舘 やっぱり長(ちょう)さんの写真はいいよな。力があるっていうか。あの時のニューヨークで、僕は大人になった気がするよ。
ニヤリと笑うと、写真に秘められた話を教えてくれた。
舘 27歳のこの時、初めてニューヨークに行ったんだけど、夜、女の子と約束をしたんだよ。ナイトクラブで会おうって。待ち合わせは夜中の12時くらい。そこでマネージャーを伴っていこうとしたら、長さんに怒られてね。「ひろし、1人で行け。女に会いに行くのに、マネージャーなんか連れて行くな」って。それで1人で行って、朝まで帰らなかった。そうしたら、長さんがびっくりしちゃってさ。警察に捜索願を出そうとしてたらしい。でも、俺が女の子と一緒に帰ってきたから、安心したみたいだけど(笑)。だから、俺が大人としての第一歩を歩んだのは、この時なんだよ。
俳優、芸能人という肩書に縛られず、1人の男として異国の文化、人に触れろと教えられる出来事だった。そこから海外に行ったときはマネージャーなどのお付きの人などは伴わずに、1人で夜の街に繰り出すようになったという。
舘 この写真、長さんは俺にとって影響を受けた人だね。本当にあの時に1人で、世界を歩きだしたんだよ。日本では1人であっち行ったり、こっち行ったりはしないくせに、外国は1人で行ける。日本じゃ色々うるさかったりするから。そういう意味では自由を得られたというか。自由を感じる方法が俺にはあったんだよね。
原点とも言える作品をかみしめると、自らの歩みを振り返る写真たちに「ちょっと恥ずかしいね」と笑った。
芸能生活50周年を迎えた舘さんだが、デビュー当時はこんなにも長く続くとは予想だにしていなかったという。デビューしたのは大学4年の頃、建築を学んでいた。大学にはあまり行っていなかった、暴走族だったんだよと笑うが、設計図を出せばベスト5に入るほど、キラリと光るものがあった。
舘 卒論は設計で提出する計画研だった、ただ5人ぐらいの2つのグループだったけど、俺はそれには属せずそのまま映画でデビューしちゃった。そのことを教授に相談に行ったんだよ。映画やります、音楽やりますって。そしたら教授に「君は芸能はやめた方がいい。建築は続けなさい」って言われて。その時に建築を選んでいたらどうなっていたか、分からないよね。
建築への造詣も深い舘さん。これまでの人生でアートやカルチャーで影響を受けた人物を聞くと、返ってきたのは「近代建築の三大巨匠」の1人だった。
舘 僕はやっぱりフランク・ロイド・ライトだね。僕の基本的な感覚が、すごくオーソドックスというか。その流れで、アール・デコが好きになって、いろんな作家が好きになりましたけど。
日本国内では帝国ホテルなどの設計を手掛け、アメリカでは世界遺産としても登録される建築物を生み出した巨匠の作品が心に刻まれているという。建築以外、絵画への関心も語ってくれた。
舘 絵はグスタフ・クリムトが好きだね。アール・デコっぽい絵なんかも好きだし。ピカソの絵があんまりよく分からないんだけど、彼のやりたいことはちょっとわかるような気がして。彼って、こう、変な絵を描くじゃない。僕の理解だと、絵に時間を入れたかったんじゃないかなと思って。絵は2次元の世界で、遠近法とか3次元に見えるように描いていたけど、ピカソはそれに時間を足したのかなと思っていて。
アートへのあふれる思いを話していると「洋服も立体だよね」との言葉がこぼれた。立体的に作品を作り上げているアートや建築は服飾にも共通する部分だという。洋服に対して、ビームスに対しての印象を聞くと、思わぬ答えが返ってきた。
舘 ビームス、たまに行くんですよ。原宿のお店に。ビームスって割とトラディショナルだからいい。オーソドックスというのかな。例えば外国のあるブランドを着ていたんだけど、最近はモードなテイストになっていたりして。そうするとダメなんだよね。ビームスのものは着やすい。語弊があるかもしれないけどハンディー(手軽)というか。さっき、設楽さん(ビームス社長)とも話をしたけれど、多岐に渡ってスタッフがそろっているんだろうね。設楽さんだけのセンスじゃないもん。若い人に自由にやらせている器量があるというか。すごくいいよね。
愛するアール・デコのように機能性や実用性を備えた美しさがビームスの服にはある。洋服にも伝統的なスタイルが受け継がれ、その歴史が美しいと語ってくれた。
最後に店舗スタッフとの撮影を依頼すると快く引き受けてくださった舘さん。デビュー50周年。引き寄せられるような笑顔に舘さんのダンディズムが凝縮していた。
1950年3月31日、愛知県出身。76年に東映映画『暴力教室』で俳優デビュー。その後82年に出演したドラマ「西部警察」(79〜/EX)をきっかけに83年に石原プロモーションに入社。21年舘プロを設立。
36歳で主演した「あぶない刑事」(86〜/NTV)で大ブレイク。映画『免許がない!』(94)、『義務と演技』(97)、「パパとムスメの7日間」(07/TBS)とアクションのみならず、コメディーからラブロマンスまで幅広い演技力で数々のテレビドラマや映画に出演。 『終わった人』(18)にて第42回モントリオール国際映画祭で最優秀男優賞、第42回日本アカデミー賞で優秀主演男優賞を受賞。主な出演作は、『あぶない刑事』(87)、『またまたあぶない刑事』(88)、『もっともあぶない刑事』(89)、『あぶない刑事リターンズ』(96)、『あぶない刑事フォーエバーTHE MOVIE』(98)、『まだまだあぶない刑事』(05)、『さらば、あぶない刑事』(16)、『エイトレンジャー』(12)、『アルキメデスの大戦』(19)『ヤクザと家族』(21)、『港のひかり』(25)ほか。
開催期間|2025年11月12日(水)〜 11月24日(月・祝)
営業時間|11:00 ~ 20:00
開催店舗|ビームス カルチャート 高輪(ニュウマン高輪・North 4F)
カルチャーは現象。誰かと何かが出合って、
気づいたらいつもそこにあった。
世界各地で生まれる新たな息吹を、
BEAMS的な視点で捉えて、育みたい。
きっと、そこにまた新たなカルチャーが
生まれるから。