fennica meets tottori
写真:山本 あゆみ(Part 1 & 2)、和田裕也(Part 3)
/編集・文:小澤匡行、岡島みのり
北を望めば砂丘や日本海が、
振り返れば緑豊かな山々が。
鳥取には、豊富な自然というものつくりの
土壌がありました。
その昔、この地で生まれ育った吉田璋也は
新しい民藝を普及させ、
現代には、
その教えを受け継ぐ新しい感性が育っています。
vol.05は美しい手仕事にあふれた鳥取で出会った、
たくさんの職人や名品と、
その魅力を紹介する、特別編です。
Part 1
鳥取を感じる、
5つのものづくり
フェニカでも取り扱いがあり、親交の深い鳥取を代表する窯元やショップや工房をフィーチャー。
その土地で生きることを大事にする作家や店主それぞれが抱く、こだわりや民藝への思いを聞きました。
1.因州中井窯
伝統とモダンが交わる、
3色の染め分け皿
戦争の渦中であった1945年5月に、坂本俊郎さんによって築かれた登り窯、それが中井窯のはじまりです。鳥取に民藝を根付かせた吉田璋也の薫陶を受け、黒と緑の2色、または黒と緑と白の3色による染め分けの技法を実直に守り続けてきました。そして「もやい工芸」の故・久野恵一さんとの出会いによって、中井窯はさらに大きく成長しました。その指導を受けたのが、現在の当主である3代目の坂本章さん。坂本さんは、染め分けの特徴でもあった緑のトーンを明るくすることで、3色を力強く対比させました。釉薬の改良を重ね、現在のスタイルができあがったそう。1996年に因州・中井窯と改名。以後、日本民藝展や日本陶芸展といった名誉ある公募展で受賞することで名を全国に轟かせ、2000年には工業デザイナーの柳宗理からオファーを受け「柳ディレクション」を製作しました。鮮やかな緑は、伝統を受け継ぐだけではなく、新しい試みに生かされています。
個性の強い染め分けを、食卓に美しくなじませているのが、器の美しい輪郭です。坂本さんは「形はなるだけシンプルに。そうすることで、色が目立ちます。形まで凝ってしまうと、身近に置きたくないと思ってしまいます」とはっきり言うように、手仕事でありながら、手跡をあまり残さない繊細さが特徴。その有機的な色合いと無機的なかたちの絶妙なバランスが、因州中井窯らしさと言えるでしょう。
フェニカでは、鳥取民藝館に収蔵されている色の境目が曖昧で歪んで見える、今にはない技法でつくられた貴重な染め分け皿を限定でオーダー。「たくさんのものを正確に作る、そんな民藝の教えを守り続けてきたので、“きれいに荒れる”は新しい課題です」と、坂本さん。直線的な染め分けがつくるシャープでモダンな魅力とは違う、同じ仕上がりが2つとない、おおらかな雰囲気です。
因州中井窯
鳥取県鳥取市河原町中井243-5
TEL 0858-85-0239
09:00〜17:00 不定休 要連絡
http://nakaigama.jp
2.延興寺窯
地元の原料から生まれる、
やさしく健やかなうつわ
東部にある岩美町の内陸部にある、少し小高い丘にぽつんと立つ延興寺窯から望む景色は、美しい空気に包まれた緑いっぱいの自然だけ。そんな人里から離れた場所に陶主の山下清志さんが窯を築いたのは、1978年のこと。明治の初めに途絶えた浦富焼を吉田璋也の勧めで実兄(故・山下碩夫さん)と共に復興させ、磁器をつくっていましたが、その後によい陶土を見つけ、延興寺の地で作陶を始めたそう。
陶器を作り続けていても、目指す美しさは、装飾がほとんどない、地肌の美しい李朝の白磁。山下さんは「磁器と陶器は工程も出来上がりの雰囲気もまるで違いますが、どっちも好き。陶器だからこうでなければならないルールはありません」とのこと。大切にしているのは地元の原料を使うこと。珍しい黒石を使った独自の釉薬と、約1600万年前の泥岩と凝灰岩の陶土を使い、古作からヒントを得て、今の生活に合うものを作り続けています。和洋折衷が基本の生活や空間に自然と映える美しさが、延興寺窯の魅力。特徴的な技法は、面取りと鎬手(しのぎて)。これらはかつて山下さんが師事していた生田和孝さんによる丹波焼から影響を受けたもの。少し濁った白釉と、黒石を入れることで紺青がかったコバルトの落ち着いた柔らかさには、山下さんの人間性が表れています。
現在は、沖縄の読谷山北窯での修行を終えた娘の裕代さんと2人で作陶に励んでいます。裕代さんもまた「地元の材料を使うものづくりの姿勢は、北窯もこっちも共通しています」と言うように、根っこの部分は同じ。その中で親子それぞれの感性が、ひしめき合っています。山下さんは、民藝を凧揚げに例えていました。「強い凧糸に支えられ、いろんな風を受けながら飛んでいく。民藝もまた、軸さえしっかりしてれば、自由さがあっていいのではないでしょうか」。
3.ドモク堂
地元の木材を使った、
安全でやさしいカトラリー
ドモクとは、土木のこと。湯梨浜町に工房を構える木工作家、朝倉康登さんは、栃木県の益子町で作陶する加藤芳夫さん、みえこさん夫妻と、場所こそ離れていますがユニットで活動しています。子どもの頃から手作業が好きだった朝倉さんは、東京で金属加工の仕事をしていたとき、母から手作りのスプーンを作って欲しい、とお願いされたことをきっかけに創作意欲が湧いたとか。東日本大震災を期に、地元へ戻り、本格的に木工活動をスタートしました。
作ることと食べること、2つの好きなことが結びつきました。カトラリーや食卓に寄り添う道具は、すべて刃物で仕上げており、凹凸のある模様が特徴です。「ヤスリを使うときれいですが、水が入りやすいし、毛羽立ってしまう。刃物であれば水を弾くし、なんか自分らしいかなって」と朝倉さん。独学による試行錯誤の毎日も、いろいろな分野の職人のアドバイスに耳を傾けることで、個性を磨いてきました。刃物を研ぐ、木材を選ぶ、そして削り出す。温かく、気取らない、ありそうでない作品ばかりです。
木材のほとんどは鳥取県産にこだわっています。「最初はお金がなかったので、林業をしている人から丸太をもらって、自分で自然乾燥させていました。後になって、それが一番安心だと気がついたんです。製材所の木はそもそもの目的が違うから、虫が寄り付かないように薬が入っていたり、機械で乾燥させている。自分で材料を選べれば、安心ですよね」と朝倉さん。安全面への意識もまた、身近な地元のものを使う発想へとたどり着きました。「桜の木が好きです。桜って全国に生えていますが、場所や環境によって木目がまるで異なるんですよ。木の質はとても硬いのですが、しなりや粘りがあるし、何より匂いが好きです」。カトラリーのほか、丸皿やバターケースも人気。塗料やニスを使わずに、使い込むことで自然と表れる木の色の変化を楽しめます。
4.COCOROSTORE
新しい感性の民藝店で、
唯一無二の刃物をオーダー
かつて城下町として栄えた名残がある、古き良き赤瓦と白壁が並ぶ倉吉の旧市街にココロストアがあります。オーナーの田中信宏さんは、一度は長野県の松本市で木工に関する仕事をしていましたが、生まれ故郷に戻って、2012年に山陰の工芸品を扱うお店をスタート。縁が縁を呼び、現在は40件ほどの職人や作家の作品や食品が、田中さんの感性によって編集され、表現されています。
仕入れのモットーは、長く使えるもの。「奇抜でなく飽きがこない形を選ぶことや、器でも木工でも修理しながら使えるもの、を大事にしています。自然素材だから最終的に土に還せるもの」と田中さん。少しでも納得して買ってもらいたい想いから対面による接客を大切にしており、インターネットでの販売はしていません。そんなココロストアを象徴するのが、岡山との県境にある鳥取県智頭町で作られている大塚刃物鍛冶の包丁のカスタムメイド。「お店をするよりもっと前に大塚さんから購入させてもらった包丁があまりにも切れるのと、切れ味が長く使っていても鈍りにくいことに驚いて、お店をする時に一番最初にオファーしました」。 今では利き手や手の⻑さや幅、使う目的、身長、性別まで細かく得た情報を大塚刃物鍛冶が受け、数ヶ月後に納品というオリジナルの包丁制作も行なっています。山桜を使った柄は、田中さん自らが作っており、白漆の柄に関してはドモク堂が製作しているとのこと。
山陰地方は鉄の産地として栄えた歴史があり、かつて倉吉は稲扱千刃という脱穀道具の発祥の地でありながらも、今では鍛冶屋は数える程しかいないとか。それでも大塚刃物鍛冶の包丁は、ココロストアの発信によって、全国から少しずつオーダーが集まっています。一番人気のテーブルナイフは、吉田璋也によるデザインの影響を受けたもの。刃先が丸く、湾曲しているのが特徴です。「肉を削いだり、パンやケーキをカットしたり、果物を剥いたりと多用途で、押しても引いても切れるから使いやすいんです」とのこと。刃のかたちや柄の削り出しだけでなく、切れ味までも芸術的です。
COCOROSTORE (ココロストア)
鳥取県倉吉市魚町2516
TEL 0858-22-3526
10:00〜18:00
水曜休 (不定休あり)
http://cocorostore.jugem.jp/
5.工房ゆみはま
民藝の教えを受けて
復興させた絣文化の伝統
細長い犬の尻尾のように伸びる弓ヶ浜半島は、県西部を流れる日野川によって運ばれた砂が堆積してできたと言われています。ここに綿が伝わったのは、1600年代後半のこと。平坦で風通しがよく、痩せた土地は、綿花の栽培に適していたこともあって大変栄えました。ここで採れる伯州綿は、弾力性、保温性、通気性に優れており、その魅力を生かした素朴でふっくらとした弓浜絣は、明治中期に全盛を極めました。しかしながら近代の工業化によって衰退に追いやられた絣の文化を復興させ、その伝統を受け継いでいるのが、工房ゆみはまです。
いまも綿は工房の裏に広がる畑で自家栽培されています、手絞りによる天然の藍染め糸を、高機(たかはた)で織るのがスタイル。フェニカでは、巾着やポーチなどの小物を中心に扱っています。幾何文様や鶴亀松竹梅など、代表的な模様が多い中に、どこか民藝の味わいを感じることができます。代表の田中博文さんの義母、嶋田悦子さんは、1953年に上京し、織りの魅力を感じたことをきっかけに銀座の「たくみ工芸」で働いていた夫の太平さんの紹介で、民藝運動に生涯を捧げた思想家、柳宗悦の甥である、染色家の柳悦博に弟子入りをして学びました。そして昭和30年代の民藝ブームを先端で経験した後の昭和44年に帰郷し、実家の呉服屋のすぐそばに夫婦で工房ゆみはまを開きました。田中さんも「経済成長が優先された社会の動きの中で、本来の手仕事による絣の姿が失われることを危惧した嶋田夫妻を、柳先生達が応援してくださったようです。民藝に傾倒した工房だと感じます」と言うように、夫婦が培った感性や経験が、絣に表れています。
かつて絣といえば着物文化でした。しかしその少なくなった需要に固執することなく、伯州綿と藍の個性を大切にし続けてきたことで、工房ゆみはまは奥深い絵絣を作り続けてきました。「鳥取には豊かな自然が残っていて、みんなオンボラ(鳥取県の方言で「穏やか」の意)としている。自分たちの個性をじっくりと見つめながら、ものづくりをしている人が多い。柳宗悦さんは民藝について、自然の美とかくりかえしの美という言葉を使われます。鳥取の魅力って、そういうことなのかなって思います」。
Part 2
鳥取で訪れたい、
9つの名店や名所
鳥取、倉吉、米子の3つのエリアに点在する、訪れるべき観光スポットやショップを紹介。
若い感性によるベーカリーやカフェから老舗の個店、大自然を満喫できる名所まで。
鳥取の新しいライフスタイルや街の魅力を発信しています。
Part 3
鳥取で手に入れたい、
12の名品
古くは江戸時代から続く老舗の和菓子や郷土玩具など、鳥取を語るに欠かせない名品を集めました。
その土地の特徴や歴史に触れられて、気軽に買えるものばかり。
ちょっとしたお土産におすすめです。
写真:山本 あゆみ(Part 1 & 2)、和田裕也(Part 3)
編集・文:小澤匡行、岡島みのり
BEAMS EYE TOTTORI
新宿「ビームス ジャパン」5階、「フェニカ スタジオ」にて民藝品や地産品をはじめ、鳥取の魅力を紹介するイベント『BEAMS EYE TOTTORI』を開催します。<フェニカ>独自の視点でセレクトした陶器、木工、織物、刃物、食品など多数取り揃えました。
HAKUSEN
北欧の雰囲気が漂う、
湖のほとりのカフェ
中央部・湯梨浜町に位置する東郷湖のほとりに佇む『HAKUSEN』は、オーナーの小島毅さんが自然に囲まれた場所にお店を構えたい、という思いから2015年にオープンしたカフェです。船着き場の待合室だった古い建物を改装した店内は、1960~80年代にパリで活動した画家ロベール・クートラスの作品や、小島さんが旅先で購入したポスターなど、どこか北欧の雰囲気が漂うモダンな空間を演出しています。こだわりは、「湖水ブレンド」のコーヒー。京都の『ウィークエンダーズ・コーヒー』に依頼したオリジナルの豆を使用しています。深い苦味の中に感じるまろやかな風味は、山陰で作られた安心できる素材を使用したケーキやスコーンとも好相性。また、このコーヒー豆やお菓子、日用品などを購入できるショップもカフェに隣接されています。
HAKUSEN
鳥取県東伯郡湯梨浜町旭127-2
TEL 0858-32-1033
TAKE-OUT 11:00〜18:00/
11:00〜17:00(日曜日)
CAFE 12:00-18:00(火曜〜土曜日)
月曜定休
http://hakusen-store.com
コウボパン小さじいち
自家製酵母にこだわった、
やさしい自然派パンを
それまで兵庫県でベーカリーを営んでいた西村公明さんは2006年、自然豊かな景色に引き寄せられるかのように、訪れるにはちょっと不便な、人通りの少ない大山の麓に『コウボパン 小さじいち』をオープンしました。3種類の天然酵母と産地にこだわって契約農家から仕入れる小麦を使い分け、水と果実だけでゆっくりと、自然の力で発酵させています。全粒粉や塩など、極力少ない原材料を使って、手間と時間をかけて焼き上げたシンプルなパンは、味わいもひとしお。さらに工房の隣のカフェでは、奥様のあゆみさんの手料理が楽しめます。焼きたてのパンと、地元の旬な食材を使ったやさしい手料理のランチプレートがおすすめ。ちなみに1月〜3月は積雪のため冬季休業しています。
コウボパン小さじいち
鳥取県西伯郡伯耆町金屋谷1713-1
TEL 0859-68-6110
11:00〜16:00 (月・火・日曜定休)
1〜3月は冬季休業
https://kosaji-1.com
たくみ工芸店
鳥取のものづくりを伝える、
日本最古の民藝店
鳥取の地で新作民藝運動に励んだ吉田璋也が1932年にオープンした『たくみ工芸店』は、器や因州和紙、干支人形など山陰の名品を取りそろえた、現在も続く日本最古の民藝店です。そのスタイルは、開店当初から今まで変わらぬまま。吉田璋也がデザインした木製電気スタンドや、青龍刀からヒントを得たパン切りナイフなども、実際に購入することができます。最近の人気は手のひらサイズの小皿。さまざまな用途に使えて、買いやすいため、うつわ初心者におすすめなのだとか。因州中井窯や山根窯、延興寺窯など、さまざまな窯の中からお気に入りを探すのもこのお店の醍醐味。そして訪れた際は、隣接されている2つの建物に立ち寄って。『鳥取民藝美術館』では吉田璋也が国内外で蒐集したコレクションを、『たくみ割烹』では民藝のお皿で鳥取の郷土料理を楽しめます。
たくみ工芸店
鳥取県鳥取市栄町651
TEL 0857-26-2367
10:00〜18:00 水曜定休
https://mingei.exblog.jp
ボルゾイ・レコード
幅広いジャンルの中古から、
インディーズの新譜まで
量販店での勤務を経験した店主、前垣克明さんのセレクト眼が光るボルゾイレコードは、2009年にオープン。昭和レトロなビルの2Fでひっそりと営業しています。音楽的なルーツを感じながらも新鮮であることが、店主のモットー。最初はレコードやCDの中古販売が中心でしたが、近年は買取や仕入れに力をいれつつ、インディーズの新譜を扱う数少ないお店として県内外からお客さんが集まっています。品揃えは個性的であるものの、シンガーソングライターの名盤からジャズやソウル、ニューウェイブまでジャンルの幅は広く、最近ではシティポップや歌謡曲も人気とか。狙いを定めて買いに来るよりも、ふらりと立ち寄って店主とのコミュニケーションから発見を楽しむお店です。
ボルゾイ・レコード
鳥取市新町201上田ビル2F
TEL 0857-25-3785
12:00〜20:00 木曜定休
https://borzoigaki.exblog.jp
観音院庭園
大きな池を縁側から望みながら、
時間の経過を楽しむ
江戸時代初期に創建された観音院には、1650年から10年の年月を費やして作られたとされる、中央に庭を約半分占めるほどの大きさの池を配した観音院庭園があります。傾斜のある立地を生かした造りは、眺める場所によって印象ががらりと変わるのが特徴。まずは境内に入って縁側から鑑賞し、少し移動して横側から、そして傾斜を登って上から。それぞれの位置でまったく異なる表情をもつこの庭園は、国の名勝に指定されているほど高い評価を得ています。訪れるなら、陽が水面に映り、きらきらと輝く夕方頃がおすすめ。また、季節によって旬の花や草木の紅葉など、眺める景色が異なるのもこの庭園の魅力です。サービスの抹茶と鳥取の銘菓をいただきながら、時を忘れてのんびりと過ごせる隠れスポットです。
植田正治写真美術館
植田正治の生涯を、
膨大な写真を通じて楽しむ
『砂丘シリーズ』など多くの作品を山陰の地で撮影し続けた写真家、植田正治による写真美術館は約12000点の作品の寄贈を機に、1995年に開館しました。1階は、3月~9月上旬までコレクション展、それ以降はギャラリーやフォトコンテストを展示。2、3階は年に3回開催される企画展のための展示室がそれぞれ設けられています。また、植田作品の世界観をイメージした建物もポイントのひとつ。建築家の高松伸による植田正治写真美術館の建築は、1939年に撮影された『少女四態』の画面構成をヒントに設計されたとも言われています。建物の所々にある隙間からは高くそびえる大山を眺めることができ、まるで建物自体が作品となっているような、不思議な体験ができるのも魅力です。
植田正治写真美術館
鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3
TEL 0859-39-8000
9:00〜17:00 (入館は閉館の30分前まで)
火曜定休 (祝祭日の場合は翌日)
※12/1〜2/末日は休館
※展示替期間中は休館
入館料 一般900円、高校・大学生500円、小・中学生300円
http://www.houki-town.jp/ueda/
大山
日本の百名山に選ばれる、
山岳信仰のパワースポット
中国地方では最高峰の標高1700mを超える大山は、日本の百名山にも選ばれる鳥取の名峰です。高くそびえるなだらかな山容は西の富士山と言われるほど似ており、仰ぎ見る人々を惹きつけ、県外からの観光客が絶えないスポット。古代から山岳信仰や修験道の聖地としても知られており、大山寺や大神山神社も有名です。頂上の「弥山」を目指すには、前述した2つの寺院を通る行者登山道ルートと夏山登山ルートの二つがあり、どちらも往復4〜5時間ほどで楽しめます。独立峰ならではの山頂から広がる雄大な景色を記憶に残すのも、旅の醍醐味かもしれません。そして鳥取の冬は冷え込みが厳しく、降雪量もなかなかのもの。大山には4つのスキー場が充実しているので、登山やハイキングだけでなく、ウィンタースポーツを目的に訪れるのも一興です。
鳥取砂丘
季節で異なる、
神秘的な砂模様と景色がみどころ
日本海海岸に広がる鳥取砂丘は、1955年に国の天然記念物に選定されました。南北2.4km、東西16km、高低差は最大90mからなる個性的な地形は、まるで造形美としての圧倒的な存在感を放ちます。東口を入った先にある標高47mの起伏に富んだ「馬の背」、その近くに現れては消える「オアシス」、風が吹くと現れる砂の芸術とよばれる「風紋」など、スポットはいろいろ。そして秋は畑かららっきょうの花が、冬は真っ白なパウダースノーの雪化粧が広がるなど、季節や気候によっても美しさは姿を変え、日本海を臨んだ先の夕日や、イカ釣り漁船の灯が輝く夜の海など、時間帯によって異なる砂丘からの絶景も楽しみのひとつ。十万年もの歳月で堆積された神秘的な表情が、訪れる人々を惹きつけています。らくだ乗りを体験するのもおすすめ。
定有堂書店
店主の感性が表現された、
本好きの聖地
1980年にオープンした老舗の『定有堂書店』は、全国の書店員に一目置かれている「街の本屋さん」。特徴は、店主の奈良敏行さんが好きな本から抜き取った言葉が棚に書かれていて、それが陳列のジャンルになっているところ。“いきているふしぎ”や“孤独の愉しみ方”といった、不思議なフレーズについ引き込まれます。ともすれば曖昧な意味をキーワードにセレクトされた本は、雑誌も新書も文庫もすべてが入り混じっていて、奈良さんの個性的な感性を感じ取ることができるはず。どこにでもある書店とは異なるスタイルゆえ、普段手に取らないような本に出会えたり、意外な発見を楽しめます。オリジナルで製作しているZINE『音信不通』の配布や、毎月1回開催される「読む会」のリーディングなど、お客さんとの繋がりを大切にした取り組みも、本好きの聖地と呼ばれる理由です。
定有堂書店
鳥取市元町121
TEL 0857-27-6035
10:00〜19:30(平日)
12:00〜18:00(日・祭)
定休日なし
http://teiyu.na.coocan.jp
「山根窯」のうつわ
因州和紙の里で知られる青谷町で1985年に開窯された山根窯。窯主・石原幸二さんの器には、素朴で生き生きとした味わいがあります。山根窯を有名にしたのは、英国を発祥とするスリップウェア。飴釉を使った光沢のある褐色の器に施された縞模様は、自由さと繊細さがミックスされていています。また黒やグレーなどを使ったボーダーのカップやお椀、湯飲みなども代表的。柔らかさの中にも、手に持った時のずっしりとした重みも魅力です。飴釉土瓶 ¥16,200 ・ コーヒーカップ ¥4,860(ともに税込)
「アベ鳥取堂」の元祖 かに寿し
現在では日本中で発売されているかに寿司ですが、全国に先駆けて発売したのが昭和27年のこと。明治43年に創業したアベ鳥取堂です。程なくして蟹の甲羅をイメージした8角形の容器を考案し、地元である鳥取県東部から兵庫にかけて水揚げされるかにの身を、独自開発した保存技術を使って仕上げています。使われているブレンド酢や錦糸玉子、お米はすべて鳥取産にこだわったオリジナル。鳥取の駅弁を代表するベストセラーです。元祖 かに寿し ¥1,200(税込)
「信夫工芸店」の干支人形
昭和21年に創業された信夫工芸店は、歴史のある郷土玩具店。因伯牛やいなばの白兎をはじめとする十二支の置物は、地名や神話に縁をもち、鳥取らしさにあふれます。素材は主に県内の杉やヒノキ、ケヤキなどを使用。それぞれの動物の魅力が鮮やか、かつ穏やかな色彩で表現されています。他にも、今ではすっかり珍しくなった流し雛など、お土産に最適な玩具がいっぱい。国指定名勝地である観音院庭園から歩いて近くのところに、お店があります。干支人形・亥(大) ¥3,240(税込)
「石谷精華堂」の打吹公園だんご
日本の都市公園100選にも選ばれる、山陰を代表する公園の1つである倉吉の打吹公園。ここで元弘3年に名和長年公が後醍醐天皇をお迎えし、甘茶団子を差し上げたという故事を知ったことで、明治13年に石谷精華堂が創業。その歴史を称えるかのように、打吹公園だんごが誕生し、お土産の定番となりました。地元で採れたもち米の粉に蜜を入れ、時間をかけてできあがったお餅を、白餡、小豆餡、抹茶餡の3種で包んだ、小さくて素朴な串団子です。打吹公園だんご(5串セット) ¥520(税込)
「亀井堂」のサンドイッチ
明治36年に創業した老舗の亀井堂は、給食パンやイベント、催事に出店するなど地域との密に結びついて愛され続けています。その中でも名品がサンドイッチ。80年以上販売しているロングセラーです。耳付きパンにピーナツバターとイチゴジャムを挟んでいます。素朴なパッケージもさることながら、味もまた懐かしさを覚えるソウルフードです。他にも亀井堂には、ラスクや「マイフライ」と呼ばれるこしあん入りの揚げパンなど、昭和レトロな看板商品がたくさん。サンドイッチ オープン価格
「大山乳業」の白バラコーヒー
鳥取県内の酪農家は、すべて大山乳業農協の組合員。これは日本でもとても珍しいこと。自らが生産した生乳を処理して、販売できる一貫体制というメリットを生かすことで、搾乳からの輸送スピードも早く、安全でおいしく味わうことができるとか。細菌や体脂肪が指針となる乳質は全国でもトップクラスで、乳牛の検定実施率はなんと全国1位です。牛乳だけでなく乳飲料、ヨーグルトやアイスなど、様々な商品が鳥取のスーパーで購入することができます。白バラコーヒー(500ml) ¥170 ・ (200ml) ¥102(ともに税込)
「工房このか」のお椀
藤本かおりさんは、家具や建具の仕事を経て帰郷した後、鳥取県の伝統工芸士、山根粛さんのもとで木工ろくろを、伝統京蒔絵師の武野恭永さんのもとで漆芸を学びました。2007年に鳥取市内の自然に豊かな場所に工房このかを設立。木工ろくろを使って木地を挽くことから始まる、生活雑貨や子ども向けの玩具は、女性作家らしい、丁寧でやさしい丸みが特徴。懐かしさもあり、モダンな感覚も持ち合わせたお椀は、どんなテーブルに添えても映えそうです。取手付碗(大) ¥8,100 ・ (小) ¥5,400(ともに税込)
「因州和紙」の便箋
因州和紙の歴史は諸説ありますが、8世紀半ば、奈良時代の正倉院文書の中に、因幡印が押された和紙が見つかったと言われています。江戸時代には、藩から庶民まで幅広く愛され、近代化されても生産が増え続けました。「手すきわし」の伝統的な技術を継承することで発展した因州和紙は1975年、因州手漉和紙が和紙で初めて伝統的産地指定を承けました。写真の便箋の質感はちから強くなめらか。万年筆と相性がよく、インクの滲みやかすれも少なく、裏移りしにくいのが魅力です。便箋(三椏[みつまた]・40枚) ¥670(税込)
「宝月堂」の生姜せんべい
江戸時代より東部の因幡地方に伝わる生姜せんべい。焼いてから波をうつように曲げ、生姜蜜をハケ塗りしたそれを見て、鳥取における民藝活動の第一人者、吉田璋也はうっすらと雪の積もった鳥取砂丘に例えたよう。宝月堂の3代目である健一翁は、その生姜せんべいを駄菓子から贈呈用へと価値を高めました。現在は気高町産の瑞穂生姜を使い、1枚1枚が人の手で作られています。吉田璋也のデザインによる紋様入りのかわいい包装箱も、手土産に喜ばれそう。生姜せんべい(27枚入) ¥1,296(税込)
「泊綜合食品」の鳥取の塩らっきょう
鳥取の砂は水はけがよく、らっきょうを育てるのに適していると言われています。泊綜合食品の塩らっきょうは、合成保存料や漂白剤を一切使わず、良質な素材にこだわっています。可愛らしい卵型も特徴で、見るからに健康や美容にもよさそう。らっきょうにはアリシンが多く含まれているため、ビタミンB1の豊富な食材と合わせて食べると疲れが溜まりにくいそう。ちなみに10月下旬から11月上旬にかけて、鳥取砂丘の南側は赤紫色したらっきょうの花の見頃をむかえます。塩らっきょう80g ¥329(税込)
「亀甲や」の鳥取ブランケーキ
老舗和菓子店の亀甲やは1868年に創業。鳥取に縁のあるイラストレーター大神慶子さんによる、松葉蟹や20世紀梨といった鳥取の名産を連ねた可愛いパッケージを開けると、ふっくらとしたカステラのようなケーキが。シンプルなスポンジにブランデーがたっぷり染み込んでいます。味はプレーンとココアの2種類。紅茶やコーヒーだけでなく、お茶とも一緒に食したい大人のおやつです。和菓子屋のつくる洋菓子であるから、うつわ選びも楽しめます。鳥取ブランケーキ(プレーン)一斤 ¥1,188 ・ 半斤 ¥648(ともに税込)
「ちむら」のとうふちくわ
とうふちくわの歴史は江戸時代まで遡ります。漁港の開発が遅れていたこともあり、厳しい財政を憂いた鳥取藩主の池田公は、魚の代わりに豆腐を使ったちくわで、質素倹約を推奨しました。慶応元年に創業されたちむらのとうふちくわは、県産の大豆による木綿豆腐と白味魚をミックス。鳥取市内の神社の祭事や結婚式など、ハレの日に食される地元のソールフードでありヘルシーフードです。とうふちくわ ¥194(税込)