VISION / VALUES

『大名古屋展』にこめられた、ビームスらしい想いって?

2025.12.10

Photo=Mina Soma(portrate)
Text=Maki Nakamura
Edit=JEEP CREATIVE DEPARTMENT

『大名古屋展』2025

『大名古屋展』に見るビームスビジョン

2024年11月、ビームスは新たなビジョン「happy life solution communities」と、全スタッフの行動指針となるバリューズを表明。「コミュニティ」を中心としたその考え方は、社内で運営される様々なプロジェクトにも反映されています。今回は、2025年で開催第6回目を迎えた、〈BEAMS JAPAN〉主催の『大名古屋展』をフィーチャー。発起人の佐野明政に話を聞きました。

『大名古屋展』にもビジョン&バリューズが体現されています「大名古屋展」にも、ビジョン&バリューズが体現されています

「大名古屋展」の発起人である〈BEAMS JAPAN〉プロデューサーの佐野明政は、愛知県名古屋市出身。日本各地の魅力を発信する〈BEAMS JAPAN〉の仕事と、地元愛が結びついたことで、2019年、第1回「大名古屋展」を開催することになりました。その原動力となったのは、佐野なりの「happy」の追求。開催を重ねるごとに広がっている『大名古屋展』を中心としたコミュニティは、そのままビームスの新ビジョン「happy life solution communities」を体現するものの一つになっています。

そんなコミュニティを形成するための4つの行動指針、「自分自身がhappyであれ」、「happyを提案する」、「happyを生み出す」、「happyを社会へ、未来へ」は、『大名古屋展』運営の中でいかに実践されてきたのでしょうか。これまでの経緯、2025年度のイベント内容を振り返りつつ、その根底にある“ビームスらしさ”を紐解きます。

WHAT'S 『大名古屋展』?

  • 〈BEAMS JAPAN〉が主催する、名古屋・愛知の魅力を発信するプロジェクト。2019年に第1回が開催され、今年2025年で第6回目を迎えた。地元企業や団体、スポーツチームとのコラボレーションにより制作されたオリジナルアイテムの販売を中心に、市民の地元愛を醸成。県外在住者向けには、名古屋・愛知に足を運びたいと思ってもらえるような価値創出を目指している。今年2025年は、ビームス 名古屋(8/1~17)と東京・新宿のビームス ニューズ(8/1~18)で開催。ビームス公式オンラインショップでも、商品が販売された。
    『大名古屋展』公式サイト

『大名古屋展』に込めた思いを教えてください。『大名古屋展』に込めた思いを教えてください。

『大名古屋展』のこと。『大名古屋展』のこと。

Q.『大名古屋展』が始まったきっかけは?

A.僕は2016年に、日本各地の魅力を発信する〈BEAMS JAPAN〉の立ち上げに携わりました。その仕事を通して様々な地域の方と協業し、一定の手応えを感じるなかで、どうしたらもっと多くの人に我々の取り組みの価値を伝えられないだろうかと発信方法について考えていたんです。

そんななか2018年、Jリーグの名古屋グランパスエイトさんから、「来年、地域を盛り上げるお祭りを開催するので、そこで選手が着用するユニフォームをつくってもらえませんか?」という相談をいただきました。その瞬間、思ったんです。スポーツって、地元とのつながりがすごく強くて、熱狂的なファンも多い。グランパスさんのもつスポーツの力と、僕らがそれまでBEAMS JAPANが地域と一緒にやってきたことを掛け合わせたら、大きな発信力をもつんじゃないか、って。そこで、グランパスさん以外にも名古屋・愛知の地元企業にお声がけして、2019年に第1回『大名古屋展』を開催したんです。

Q.第6回『大名古屋展』の見所、特徴を教えてください

A.回を重ねるごとに、参画企業・団体のバラエティがどんどん広がっていっているのが『大名古屋展』の特徴。今年は、スポーツからは名古屋グランパスエイトに加えて、プロバスケットボールチームの名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、ほか、愛知トヨタ、KOMEHYO、トーヨーベンディング、日本ガイシ、名鉄都市開発、中日新聞という、業種を超えて実に多様な地元企業が集まってくれました。さらに、今年から名古屋市が後援についてくれたことは、非常に大きなターニングポイントになりました。

これまでの〈BEAMS JAPAN〉の取り組みでは、行政のほうから地域PRのご相談をいただき、それについて我々が知恵を絞るというのが通常ルート。それが『大名古屋展』に関しては、ビームス主体で運営してきたプロジェクトの実績が認められ、行政があとから参画してくれたというのが特徴的です。

Q.6年間の中で、このプロジェクトはどのように変化・成長してきましたか?

A.参画企業・団体の多様化によって、発信力が格段にアップしてきました。たとえば、第2回目からは、東海地方を代表する媒体のひとつ、中日新聞さんが参画。紙面の全面広告でイベント告知をしたり、テレビ広告欄を各参加企業にひとつずつ提供して、PRに使わせてもらったり。新聞メディアならではのリーチを使うことで、それまで届かなかった層にまで大名古屋展を発信することができるようになりました。

また、まったく業種の異なる参画企業・団体同士が交流することで、新たなシナジーが生まれるのもこのプロジェクトの特徴。醸成されてきたそのコミュニティこそが『大名古屋展』の魅力であると、実際の参加企業さんからも声を寄せてもらっています。地元を愛する思いをともにする企業・団体が集まっているからこそ、「その場限りの名刺交換で終わらないのが、大名古屋展ならではだね」と言ってもらえることは、主催者冥利に尽きますね。

ビームス主体で運営してきたプロジェクトに、行政があとから参画してくれたんです!

行政との取り組み、大切にしていること、伝えられたこと行政との取り組み、大切にしていること、伝えられたこと

Q.行政や地域、コミュニティなどのプロデュースに関わる際に大切にしていることは?

A.とにかく、相手の話をしっかりと聞くこと。ビームスに声をかけてくださる方々は、自分たちだけでは解決が難しい、何かしらの課題を抱えていらっしゃいます。その課題を深堀りすることはもちろん、じゃあどうしたらもっと楽しくできるか、誰に届けたいのか、どうしたらその相手にもっと喜んでもらえるかなど、とことん対話を重ねていくことが大切だと考えています。クライアントの方たちとは、結果的にすごく近い関係性になることが多いですね。

僕たち自身が、本当に楽しみながらそのプロジェクトに取り組んでいるっていうのも、すごく大事なファクターだと思います。『大名古屋展』は、我々主催のプロジェクではありますが、その最たるものですよね。ある企業さんからは、「年に1回の大人の文化祭みたいだよね」と言われました(笑)。

Q.これまでのプロジェクトの経験はどんなふうに活かされました?

A.コンテンツを練ることももちろんですが、それをいかに発信するか、PRの部分においては、これまでの経験が活かされたと思っています。代表的なものが、記者発表。社内でも、「佐野さん、記者発表好きだよね」なんて言われたりもしますが、そのくらい、大切にしていることのひとつ。SNSも広告も、もちろん活用はするんですが、当事者が生の声で話をするって、やっぱり強烈なパワーを伴うんですよね。だからこそ、最近は弊社が全部喋るのではなくて、参加企業・団体の方、皆さんにマイクを回して発言してもらう形式をとっています。

今年は、名古屋にある大須演芸場というところで記者発表を開いて、そのままみんなで大須商店街を練り歩いたんです。グランパスやドルフィンズの選手、各企業・団体のマスコットの着ぐるみも一緒になって歩いて、そこにちんどん屋さんも呼んで。「一体、何ごと?」って、地元の人たちも集まってきてくれましたし、本当に盛り上がりました。楽しければ、みんながそれを自然とSNSで拡散してくれたりもする。やっぱり、“どれだけ人を巻き込めるか”、これが重要ですね。

Q.『大名古屋展』で伝えることができた「happy」は?

A.まず、参画してくださる企業・団体の方たちが、皆さん本当に楽しそうにしてくれているのは、間違いなく「happy」ですよね。だからこそだと思うんですが、「次はこんなところに声をかけたらおもしろそう」なんて、他社さんの紹介もしてくれるんです。

それに、『大名古屋展』の担当者以外にも、参画企業の社員さんがたくさん会場に来場してくれて。家族を連れてきてくれたりもするんですよ。あと、ずいぶん昔にその企業に勤めていたOB/OGの方もお見えになりました。「自分が勤めていた会社が、なんだかおもしろそうなプロジェクトに参加しているぞ」って、興味をもってくれたんですね。

一般来場者の人たちも、大名古屋展に愛着をもってくれている方が多くって。去年販売した商品を身につけて来てくれるリピーターの方も、多くいらっしゃいます。県外の方に魅力を伝えるイベントであることはもちろん、地元の人たちも「この会社、愛知だったの? 知らなかった!」というように、地元の良さを再発見してくれているみたいです。

地元の良さを再発見して、みんながhappy!

6年間で、本当にたくさんの企業がさまざまな形で参加する大イベントに成長した

『⼤名古屋展』とビームス VISION&VALUES『⼤名古屋展』とビームス VISION&VALUES

Q.B to B の案件において、「ビームスらしさ」はどう意識していますか?

A.そもそもビームスは、セレクトショップ。オリジナル商品も販売してはいますが、世界中から素敵なモノを見つけて、集めて、紹介するというスタイルから始まったお店です。さらには、ただ集めるだけじゃなくて、そこにどんな物語を見出して、光を当てて、魅力的に発信するのかが真骨頂。それはそのまま、現在のB to Bプロジェクトにおいて大いに発揮されている“ビームスらしさ”だと思います。

常に大切にしているのは、まず、「オリジナルへのリスペクト」。土地そのものでも、商品でも、ルーツは何で、どのような良さがあるのか、そこをまずしっかりと理解します。そのうえで、じゃあどうすればその魅力をより広く伝えることができるのか、ストーリーを紡いでいくんです。

たとえば、今回の『大名古屋展』で制作販売したサコッシュには、中日ドラゴンズのドアラと、名古屋グランパスエイトのグランパスくんがあしらわれています。でも、単にキャラクターを並べただけではない。そこには「ドアラとグランパスくんが愛知トヨタの車に乗って、海に出かける」という『大名古屋展』だから実現したストーリーがちゃんとあるんです。

Q.仕事でビジョン&バリューズをどう体現してますか?

A.ビームスのこれまでのビジョン&バリューズは、「happy life solution company」でした。それが「happy life solution communities」と、「company」から「communities」に進化した。僕自身としてはこの「コミュニティ」という概念が、非常にしっくりきています。というのも、商品を販売するにも、プロジェクトを運営するにも、「これ、おもしろくない?」と、仲間を集める感覚が不可欠だと思うんです。社長の設楽もよく言っている、“この指とまれ!マインド”ですよね。

「happy life solution communities」を達成するための行動指針として、「自分自身がhappyであれ」、「happyを提案する」、「happyを生み出す」、「happyを社会へ、未来へ」がうたわれているわけなんですけれど、そもそも「happy」を生み出すためには、必ず仲間が必要ですよね。いろんな人と集まって議論を重ねるなかで、新しいことがどんどん生まれていく。そういう意味では、これまで自分がやってきたことがそのまま、ビームスの今のビジョン&バリューズと重なっているように感じています。

Q.仕事を通じて、どんなふうに社会に「happy」を伝えていきたいですか?

A.常に期待を超えていくことで、「happy」を伝えたい。クライアントも、仲間も、お客さんも、やっぱり対価をいただいて仕事として取り組む以上は、周りの皆さんの期待を超えていかなければならないと思っています。大名古屋展も、きっと期待以上のものを生み出し続けてきたからこそ、6回目まで継続してこられたんだと思います。

ひとつ付け加えておきたいのは、その裏側には、社内のスタッフの絶大なサポートがあるということ。ビームスって、個性的な面々が集まっていて、いろんなところで新しい企画が持ち上がる。最初は、「また誰かが変なこと始めたぞ」って遠巻きに見ている人たちも、こちらが具体的なアクションを起こし始めると、「なるほど、そういうことね」って、協力してくれる、そんな社風なんですよね。

Q.個人的な「happy」はなんですか?

A.もうとにかく、みんなで集まって何かを一緒にやることが大好き。「お、今日は国立競技場でサッカーの試合があるみたいだから、みんなで観に行くか!」みたいな。向かう道中、わいわい話しながら過ごす時間も、また至福。そういう意味では、仕事の「happy」もプライベートの「happy」も、まったく同じですね(笑)。

集まってみんなで一緒にやることがとにかく大好き!

WHAT'S NEW VISION&VALUES?

  • ビームスの新しいビジョン・バリュー
    ビームスは、2026年2月に迎える創業50周年に向けて、新たなビジョン「Happy Life Solution Communities」を設定し、明るく楽しい社会現象を起こし、全ての人が幸せになれるコミュニティをめざす企業姿勢を表明。あわせて全スタッフの行動指針を初めてバリューズとして設定しました。

名古屋市長とも対談しました !名古屋市長とも対談しました !

今年から、『大名古屋展』が名古屋市シティプロモーションの後援事業となったことから、5月27日に大須演芸場で開催された合同記者発表には、市長も登壇。また期間終了後10月には、名古屋市役所本庁舎にて、市長と佐野との対談もおこなわれました。対談内では、「行政だからこそできる発信」「ビームスだからこそできる発信」、それぞれの得意分野を生かした今後の展開にも大きな期待が寄せられました。

6回の開催を経て、そのコミュニティをどんどん拡大、多様化させつつある『大名古屋展』。「このコミュニティを活かして、来年以降も期待を超える企画を仕掛けていきます」と、佐野の頭の中には、すでに新たな「happy」のアイデアがいくつも浮かんでいるようです。

  • 佐野明政
    BEAMS CREATIVE プロデューサー/愛知県名古屋市出身。2000年BEAMS入社。2010年に修士号取得。ショップスタッフを経て、アウトレット事業、ライフスタイル業態である「ビーミングライフストア」を立ち上げる。2015年よりBEAMS JAPANのプロジェクトリーダーを務め、「日本の魅力的なモノ・コト・ヒト」を国内外に発信する数々の企画を主導。持ち前のユニークな企画力・発信力・コラボ力を活かし、ファッション×地域×スポーツの可能性を追求している。大のサッカーファンで、1998年以降のワールドカップ大会はすべて現地で観戦。