初夏の登山入門!
山好き夫妻は、登山のときに何を持っていく?

FEATURE

Dive into the Earth!!

SELECTOR

永井 陸

ビームス ライフ 横浜 スタッフ

「山登り」と聞くと、ハードルの高さを感じてしまうものです。実際のところはそんなことなくて、特に低山の場合、散歩の延長。いつもの装備に少しプラスすれば、誰だって、安全に登山を楽しめます。今回のガイド役は、ともに自然が大好きな永井陸&静香夫妻。舞台は、東京からクルマで約1時間の場所にある日の出山です。彼らの山行を通して、登山の楽しさやパッキング術、ギアのこだわりをお届け!

GUEST PROFILE

  • 永井 静香

    ビームス ジャパン スタッフ

    1997年生まれ、埼玉県出身。2020年にビームスへ入社。昔から自然が大好きだったものの、永井さんの影響で登山をはじめる。旅好きでもある。最近は野鳥にも興味津々。

    INSTA:@oni_shizushi

登山歴4年の永井です。ビームスに入社してから登山にどっぷりハマり、いまは日帰り登山から縦走まで、山漬けの日々を送っています。その影響は妻にも及び、夫婦で山へ行くこともよくあるし、ビームスの友人たちと一緒に行くことも多いです。いま働いている「ビームス ライフ 横浜」でも、アウトドアコーナーを担当しています。

今日、ぼくらが訪れたのは、東京の青梅市にある日の出山。約2.5時間で山頂にたどりつくコースです。

例えば、初心者の方がよく行く高尾山。アクセスは良いですが、世界遺産にもなっているため人が多いです。山頂は賑やかで、ゆっくりすることができません。それに比べて、日の出山はアクセスも良く、人は少なめ。山頂も広く、ゆっくり過ごせます。道中で迷うこともほとんどなく、ルートも明確だから安心安全。

さらに、登った感もあります。標高は902メートルで、それなりにつらいし、ゼーハーもする。下山後は達成感と充足感があり、麓には、ぼくらが大好きな温泉もあるんです。

最初の登山がつらいものになってしまうと、きっと、山を嫌いになってしまいます。日の出山であれば、山を登っている最中も、下山後も、ご褒美が待ち構えています。このルートを行けば、きっとあなたも、山を好きになってくれるはず。

よく「登山には何を着て、何を持っていけばいいの?」って聞かれるんです。なのでまず、ぼくらの格好から紹介させてください。

上が荷物の全体像で、下がパッキングの配置イメージ。快適に登山をするためには、パッキング術がなにより大切。「下部には軽量な衣類を、上部にかけて水などの重たいものを詰めることで、重心が背中に近づきバッグが軽く感じられるんです」と永井さん。重たいものから順に詰めていくと思いきや、その逆が正解。

普段からアウトドアの服ばかり着ているので、山も街もほぼ変わらないんです。ただ、昔のアメリカの雰囲気が好きで、ハイテクだけでまとめるのではなく、クラシックな要素も入れていきたい。なのでザックや帽子などはビンテージのものが多いです。

ぼくらは山頂で料理を作るので、パッキングの中身は一般的な人よりも多いと思います。食材があって、クッカーがあり、そのほか着替えであったりエマージェンシーキットなども忍ばせています。

上が荷物の全体像で、下がパッキングの配置イメージ。静香さんは、メインのバッグと、ウエストポーチの二刀流。着替えや水分などはバッグに入れて、出し入れの多い携行食や手拭いなどは、アクセスしやすいウエストポーチに。

「私は、夫の影響をだいぶ受けているんですけど、機能性だけじゃなくて、ちゃんとファッションとして楽しみたいなと思っています。だから色味があるものが好きだし、アウトドアの格好だとしても個性はしっかり表現したい。パッキングの中身はこんな感じです。食材やクッカーは夫に持ってもらっているので、割とモノは少ないかも。飲料水や行動食に加えて、野鳥を見るための双眼鏡や野鳥図鑑、そのときに見て感じたことを記録するためのメモ帳なども持参します」(静香さん)

登山に求めるものは人それぞれです。ぼくらは山頂でのご飯が大切だし、妻はバードウォッチングが好きなので、そのためのアイテムをたくさん持っていきます。

低山であれば、登山に適した靴と、動きやすい服装、着替え、飲み水があれば大丈夫。少しハードなお散歩と考えれば、自ずと持っていくものは見えてくると思います。

〈パタゴニア〉の永世定番であるフーディニ ジャケットは、僕と妻の必需品。防風性が高く、気温差が激しい山の中でも重宝します。胸ポケットにくしゅくしゅっと入れれば超コンパクトになるので、ザックのちょっとしたポケットに忍ばせておくことができるのでおすすめです。

「最近購入した双眼鏡は、グリップ力が良くて、耐衝撃性も高いので登山にうってつけです。カラフルな色使いも可愛くて気に入っています。この日は残念ながら鳥は見れなかったけど、双眼鏡のおかげで遠くにニホンカモシカを発見できました!」(静香さん)

「山に登る時に必ず持っていくドライフルーツとミックスナッツは、〈マタドール〉のキャニスターに入れています。水中に30分間浸かっても水が侵入しないほど、気密性が高いので、急な雨などで中身が濡れる心配もありません。行動食だけじゃなくて、サプリメントや小さいガジェットなんかを入れておくのもありですね」(静香さん)

荷物は少ないほうがいいとされていますが、それも自由。現に妻は、登山中にバードウォッチングもしたいから、それに付随するモノもたくさん持参しています。必要最低限のものさえあれば、他は何を持っていったっていいと思います。難しく考えなくていいんです。

!?

登山者がルートを間違えないよう、所々に鮮やかな色の紐が木に縛られている。

日の出山は、いろんな景色を楽しむことができます。岩場もあれば、深い森もあるし、急に景色が開けたりもします。どんどん景色が変わっていくから「あの角を曲がったらどんな景色になるんだろう」とワクワクさせてくれるんです。

そんな山並みを楽しみながら、ついに山頂に到着です。

そしてここから、ぼくらが大切にしている山頂での時間。

「最初、私たちも山頂でカップラーメンを食べていたんですけど、ずっとそれだと飽きてしまって。最近は、夫が事前に仕込んで、ちょっとした料理を作ってくれるようになったんです。パンに焼いたベーコンエッグを挟んで食べたり。夏はそうめんやそばも食べました。今日は、バインミーらしいので楽しみです!」(静香さん)

山で、ちょっとしたご飯を作るときは、事前の準備さえしておけば時間も手間もかかりません。バインミーなら、前の晩に食材を切っておいて、ラップやジップロックに包んでおけばパンに挟むだけ。メインの食材であるチキンは、コンビニで買ったサラダチキンをほぐしたものです。インスタントのフォーも添えて。

「月並みですけど、山でのご飯はなによりもおいしいです。普段は、何気なく食べているご飯も、ここでは特別なものに感じるし、周りは絶景で空気も澄んでる。頑張った自分へのごほうびです」(静香さん)

僕も、これがあるから重たい荷物でも我慢して登れるんです。そして、日の出山の山頂は人もまばら。静かな山の中で、ゆっくりとランチをすれば、仕事の疲れも吹き飛びます。

登山や旅に持参するメモ帳の類。道中で気になった植物や動物、思い出などをイラストとともに記録している。

登山や旅に持参するメモ帳の類。道中で気になった植物や動物、思い出などをイラストとともに記録している。

6時間ほど山の中で過ごせば、さすがに、全身ヘトヘトです。だからぼくらの登山は、温泉もセット。登山の余韻を残しながら、疲れと汚れは、下山後にすぐ洗い流します。

日の出山の麓には「つるつる温泉」という、文字通り肌がツルツルになる温泉があります。露天風呂もあって、温度は低めですがサウナもあります。

この〈マタドール〉のタオルは、広げると120×60cmと大きく、バスタオルとしていつも使っています。自重に対して2〜3倍の吸水性を誇り、速乾性にも優れているので、例えば使ったあと水分を絞って、少しの間だけフックなどに引っかけておけば、すぐ乾きます。登山に関係なく、普段から銭湯へ行くときはこれを使っています。

「銭湯に備え付けのシャンプーやボディソープだと、どうしても髪がギシギシになってしまうので、私は必ず、普段使っているシャンプーなどを〈マタドール〉のボトルに入れて持ち運んでいます。中も透けて見えるので、残量がわかるのもいいところ。旅行のときも、必ず持っていきますね」(静香さん)

便

ザックには入っているんですが、上でお伝えしきれなかったアイテムを少しだけ紹介させてください。携行必須ではありませんが、持っておくだけで快適さが段違いなものばかりです。

ZIPTOP「DISH SET」:¥8,800(inc.tax)
〈Pilgrim Surf+Supply〉のロゴが入ったシリコン製の保存容器(サイズ違いの3個セット)です。今回はスナックを入れましたが、耐久性に優れていて冷凍・冷蔵可能なので、スープ系を入れて使うのもありですね。

CNOC Outdoor「Vesica 1L Water Bottle」 ¥4,070 (inc.tax)
このウォーターボトルは、普段仕事の時も使っています。飲み終わったら、くるくる丸めてポケットに入れておけば、かさばらないので、とにかく持ち運びが楽ですね。

GRANITE GEAR「TRAIL WALLET M」 ¥2,750(inc.tax)
普段から財布として使っています。10.3×12.4cmとコンパクトで、コーデュラナイロンなので、がさつに扱っても気になりません。

GRANITE GEAR / AIR ZIPSACK M(16L) ¥4,620(inc.tax)
着替えを入れておくのにちょうどいいサイズのジップサックです。いつも銭湯にいく時にも使っています。

GRANITE GEAR「TACTICAL AIR ZIPSACK 5L」 ¥3,630(inc.tax)
「双眼鏡やバードウォッチング道具を入れたポーチなど、細々したものをまとめて入れておくために使っています」(静香さん)

東京903会「木彫り熊 手ぐい」 ¥1,650(inc.tax)
「何枚あっても困らないのが手拭い。汗を拭うためはもちろん、洗ったカトラリーを拭いたりと、使い方はいろいろ。旅先の思い出として買うのもいいですよね!」(静香さん)

さて、お風呂に入ってサッパリすれば、家に帰って、あとは寝るだけ!

登山を初めてまだ数年ですが、山登りは思っているよりもずっと身近です。日常の延長線上にある、ちょっとだけ特別な週末の過ごし方。

朝起きて、好きな服を着て、バッグに必要なものを詰めて家を出る。それだけではじめられるし、それだけで非日常にトリップできます。

急ぐ必要はないし、途中で見つけた景色に感動したら、そこでゆっくり休憩してもいい。写真を撮ったり、絵を描いたり、ただボーっとしてもいい。

そうした「自分だけの時間」を持てるのが、ぼくらが山へ行く理由です。その魅力を存分に感じられる日の出山へ、ぜひみなさんも。

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( PROFILE )

最近、ダウンヒルをはじめました!
永井 陸
(ビームス ライフ 横浜 スタッフ)

1997年生まれ、埼玉県出身。2020年にビームスへ入社。関東の各店でスタッフとして働いたのち、昨年から「BEAMS LIFE YOKOHAMA」に勤務。妻である千田さんとは高校の同級生で、大学時代に再会。6年の交際を経て2023年に入籍。昨年は新婚旅行でアメリカはヨセミテに。

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