SUSTAINABILITY

原宿の小学生×ビームス。 ファッションの特別授業

2025.08.19

Photo=Mina Soma
Text=Maki Nakamura

TOPICS

special
class

ファッションの出張授業で地域貢献!

広く全国に店舗を展開するビームスでは、地域コミュニティとのリアルな交流を大切にしています。今回の舞台は、ビームス発祥の地であり、本社を構える原宿エリア。この地域のみなさまと何か一緒にできないかと地元の自治体とコミュニケーションを重ねていくなかで生まれたコラボレーション企画が、千駄谷小学校でのファッションの出張授業! ファッション好きの小学生たちを相手に2025年7月に開催された、ビームス初の取り組み。さっそくその様子を紹介します!

ビームス原点の街、原宿とつながる。

ビームスの始まりは、1976年に原宿にオープンした「アメリカンライフショップ ビームス」。わずか6.5坪のこの小さな店が、記念すべき第1号店でした。以来、全国に店舗は増えましたが、やはりルーツである原宿との縁は、ひときわ特別なものなのです。
 サステナブルな文脈で考えた時にも、企業と地元エリアとのコミュニケーションは欠かせません。ビームスでは、全国各地の店舗を拠点として、さまざまな地域貢献活動をおこなっています。発祥の地である原宿でも、地域と一緒に何か新しい取り組みができないかということで、地元町内会との交流がスタート。その会話の中から生まれたのが今回の企画です。

ビームスの本分であるファッションについて、未来を担う子どものたち向けに特別授業をおこなうというものでした。講師を担当することになったのは、〈BEAMS COUTURE(ビームス クチュール)〉デザイナーの水上路美さん。オリジナル商品のデッドストックをベースにしたアップサイクルで商品を生み出すという、ビームスの中でもサステナブルなものづくりをしている人物です。授業に参加する千駄谷小学校の児童は、3年生から6年生、計6名。デザイナー志望の子から、スタイリングを学びたいという子、ヘアメイク好きまで、広くファッションに興味のある精鋭たちが集まりました。通常の授業が終了した昼さがり、約1時間の特別講座のスタートです。

Featuring

  • 東京都渋谷区立千駄谷小学校
    全校生徒約340人の小学校。1876年、千駄谷学校として開校。1932年東京市千駄谷尋常小学校、1947年に東京都渋谷区立千駄谷小学校と校名変更。現在に至る。地元である渋谷区とのつながりを意識した取り組みを数多くおこなっている。

SPACIAL CLASS START!!SPACIAL CLASS START!!

今回参加してくれた小学生は、ファッションに興味のある6人の子供たちです。事前にいただいた質問に答えるという内容で、いよいよ授業がスタートしました!

まずは今回の講師、水上路美の自己紹介から。まずは今回の講師、水上路美の自己紹介から。

まずはビームスというブランドと、水上さんの仕事の紹介からスタート。6人とも少々緊張した面持ちながらも、真剣に耳を傾けています。今回の授業は、水上さんがこの日のために制作したオリジナルの紙芝居形式。手書きの文字、写真を交えたプレゼンテーションに、みんな思わず身を乗り出します。

異業種とのコラボレーションも多く手掛ける〈BEAMS COUTURE〉の紹介では、食品保存袋「Ziploc」でつくったバッグ、キャップ、エプロンなどを紹介。キッチンでいつも見かけるあの袋がこんなふうになるのかと、顔を見合わせる子たちもいました。ほかにも多くの企業、ブランドとコラボしている〈BEAMS COUTURE〉ですが、そのひとつにはサンリオのハローキティも。「私は小さいときからキティちゃんが大好きでした。大好き大好き大好き…って言い続けたら、いま一緒にお仕事ができています。みんなも絶対同じようにできるよ」。そんな水上さんの言葉に、6人の表情がぱっと明るくなりました。

事前の質問に合わせて、水上先生が紙芝居形式のプレゼン資料を制作。さすがプロフェッショナルなクオリティ。

ファッションデザイナーの仕事ってなんだろう?ファッションデザイナーの仕事ってなんだろう?

「デザイナーの仕事って何するの?って、質問してくれていた人、いたよね」。事前に子どもたちから集めた質問をピックアップしながら、会話形式で授業を進めていく水上さん。「服のデザインをするだけだと思われがちなんだけど、実際は違うんです。まずは自分でサンプルをつくって、いくらで売るか、どの工場でつくってもらうか、その服の良さ伝えるための写真はどんなものがいいか。すごくたくさんのことを考えています」という話には、全員が目からウロコだったようです。ほかにも、「どうやったら、ガーリーな服になる?」、「布にはどんな種類があるの?」、「初心者でも手づくりできる服は?」など、小学生ならではのストレートな質問に対して、水上さんはわかりやすく解説していきます。

スタイリングを体験するワークショップ!スタイリングを体験するワークショップ!

そして第二部は、ワークショップ。水上さんが持ち込んだビームスの服を使って、6人それぞれにコーディネートを考えてもらいました。小さな手には重い木のハンガーを握りしめ、鏡の前で真剣に悩みます。「決まった人から、記念撮影をしましょう。テーマも教えてね」。完成したのは、六人六様の個性あふれるスタイル。「夏らしく、カジュアルに」、「おとなっぽい服にしてみました」、「個性的でカラフルな感じ」など、おとな顔負けのコンセプトトークを繰り広げる子どもたち。中には、「伸びる生地で動きやすいコーディネートにしました」と、機能性にまで配慮する子も。大盛り上がりで時間いっぱいとなりました。

「デザイナーは、とっても楽しいお仕事です。いつかみんなとご一緒できることを楽しみにしています。ありがとうございました」。子どもたちの好奇心と直接向き合って、水上さん自身も大いに学ぶ部分があったようです。

ファッションのプロフェッショナルの水上先生にアドバイスを受けながら、はじめてのスタイリングにドキドキ。

真剣な表情でアイテムを選ぶ生徒たち。今日のファッションもそれぞれこだわりの服でコーディネートしてきました。

みんなが楽しんでくれてよかった!!
私も楽しかった!

思い思いのスタイリングに先生のコメントももらって満足げな子供たち。何度もスタイリングを変えてみたり、その表情は真剣そのものでした。

AFTER SCHOOL

How was this class?

  • ファッションって、やっぱり楽しい!
    「生地の種類がこんなにあるなんて、知らなかった!」「とてもおもしろい授業でした。私でも、デザインの学校に入れるかな」「コーディネートを考えるパートがすごく楽しかった」「将来の夢はデザイナー。前よりもっと、服をつくってみたくなった!」「またやってほしい。次は、色の組み合わせのコツを学びたいです」「コラボレーションの話がおもしろかった。ほかにもどんな共同作業があるのか知りたい」

Impression from TeacherImpression from Teacher

今回の企画は、あるPTAのお母さんの提案から実現!今回の企画は、あるPTAのお母さんの提案から実現!

今回のビームスさんとのコラボレーションは、あるPTAのお母さんからの提案もあって実現した企画です。じつは、私も主人もビームスの大ファン! 今日の授業を本当に楽しみにしていました。千駄谷小学校では、3年生から6年生の児童を対象に、一人ひとりが興味をもっている分野を研究する「My探究」という学習の取り組みをおこなっています。そこで、デザインについて探究している児童に声をかけて、今回の授業に参加してもらいました。第一線で活躍しているプロの方から直接お話を聞けることは、本当に貴重な機会。子どもたちの好奇心がどんどんと刺激されていくのが、見ているこちらにまで伝わってきました。そこからまた新たな問いが生まれて、さらに探究を深める。そのサイクルが、今日を境に一段と活性化していくことは間違いないと思います。
千駄谷小学校では、3年生の学習発表会で「私たちの町渋谷区すてき発見隊」というテーマを設けるなど、地域とのつながりを意識した取り組みを多くおこなっています。今後も、地元企業であるビームスさんと協力して、おもしろいプロジェクトを企画していきたいですね。
千駄谷小学校 須川美奈子 先生(3年生学年主任・社会科、探究担当)

ビームスが、地域に還元できることって?ビームスが、地域に還元できることって?

さまざまな形で地域に貢献したいビームスにとって、原宿での貢献活動のスタートでもある今回の授業は、特別な意味を持っています。中心となった水上、本間の2人がイベントを振り返ります。

Why here?
Q.原宿という場所が
持つ意味。

A.本間:実はこの授業が実現した背景には、ある社員の発言がありました。ビームスは来年2026年に50周年を迎えますが、創業の地である原宿地域と、何もコラボレーションしてないじゃないですか、やりましょうよって。社長に直接もちかけた人がいたんです。

水上:すごい行動力(笑)。

本間:いや、でもたしかにそうだよなって、社長も納得して。そこからまずは、我々と原宿三丁目町会の交流が始まったんです。

水上:本間さんはそのとき、まだプロジェクトに関わってなかったんですか?

本間:はい。でも、この「地域貢献」とか「地域活性化」のトピックって、サステナビリティ文脈ですよねって。それで、サステナビリティ推進部の僕のところに、実際の企画運営の話がきたわけです。

水上:でも本間さん自身、もともとこのエリアに馴染みがあるんですよね。

本間:そうなんですよ。千駄谷小学校のお隣、神宮前小学校の出身なんです。

水上:原宿ローカルじゃないですか。

本間:言うなれば(笑)。

About Project
Q.他のプロジェクトも
進行中!

A.本間:それで、企画の具体的な構成を考えていくなかで、「千駄谷小学校のファッション好きのおしゃれな子どもたちに向けた授業をしよう」っていう話がもちあがって。先生候補として、真っ先に頭に浮かんだのが水上さんでした。

水上:うれしいな。でも、〈BEAMS COUTURE〉立ち上げの頃から、物流担当だった本間さんとはつながりがあって。よく飲みに行ったりもしてましたよね。

本間:そうそう。でも、もちろん抜擢の理由はそれだけじゃないですよ。デッドストックのアップサイクルとか、異業種とのコラボとか、ビームスの中でも斬新でサステナブルなものづくりをしている水上さんだからこそ、可能性のかたまりである小学生と相対するにはぴったりだって思ったんです。

水上:ありがとうございます。でも、本当にやってよかったですよね。終わったばかりですけど、興奮冷めやらぬというか…。

本間:本当に。みんなすごく一生懸命聞いてくれて。特に自分でコーディネートを考えるワークショップのパートは、盛り上がっていました。

水上:みんなのスタイリング、それぞれに個性的で、こちらもはっとする場面がたくさんありました。あと、いろんな種類の生地を貼ったボードを見せた時、特に食いつきがすごかった…。

本間:みんな本当に勉強熱心ですよね。でもこうやってリアルな交流を目の当たりにすると、これこそが地域とつながるってことだよなって。改めて実感しました。

水上:でも、「ビームスのこと知ってる人?」っていう問いに、6人中ひとりしか手を挙げなかったじゃないですか。あ、知らないんだ。そういう時代なんだって。

本間:たしかに。ファッション好きの子たちなのに、ですよね。そういう意味でも、僕らサステナビリティ推進部ができることって、まだまだいろいろあるんじゃないかって思います。実際に、千駄谷小学校とは別のプロジェクトも企画中で。それにもぜひ、水上さんに協力してもらおうと思っています。

水上:え、初耳(笑)。でも、私でできることなら、ぜひ。今後の楽しみが、ひとつ増えました。

もっともっと、サステナブルの輪を広げたい!

Feature

  • 水上路美
    〈BEAMS COUTURE〉デザイナー
    自身が幼い頃、母が手づくりしてくれた服や鞄の思い出から、「私も誰かの記憶に残る服をつくりたい」と考え、2017年〈BEAMS COUTURE〉を立ち上げ。ビームスの倉庫に眠るオリジナル商品のデッドストック品を中心に、手仕事によるリメイク手法を用いて、新たな価値を持った1着へと甦らせている。異業種とのコラボレーションも幅広く展開。
  • すごく楽しませてもらいました。
    小学生が相手のレクチャーは初めてだったのですが、「一番伝わりやすい方法は何かな…」と考えた結果、採用したのが紙芝居形式。うちの息子が小学校1年生なので、その周りにいるファッション好きのお友だちのことを思い浮かべながら準備をしました。
    参加者からの質問事項を事前に共有してもらっていたので、全員の質問を必ず1問ずつ紙芝居の中に盛り込んで、その子の名前を呼びかける工夫も。みんな、すごく目をキラキラさせながら聞いてくれたのが、本当にうれしかったですね。今日のことが、何か将来につながる一歩になれば、と願っています。