Sustainable Action
国のサステナブル実証事業に参画!
2022年よりビームスの一部店舗で導入がスタートし、利用者が年々増えている衣料品回収サービス。「服を捨てない」という選択肢が少しずつスタンダードになっていく中で、ビームスとしてすべきこと、ビームスだからできることとは何か? そんな次のフェーズへの大きなステップとなったのが、今年参画した国の実証事業。前編では、サステナビリティ推進部・金城、金子の視点から、この取り組みに対する意義を語ってもらいました。
国の実証事業をきっかけに深まる、ビームスらしい循環型ファッション国の実証事業をきっかけに深まる、ビームスらしい循環型ファッション

ビームスのサステナビリティ推進部が発足して約1年半。またひとつ、ビームスらしい循環型ファッションへの構想が、実践へとつながりました。きっかけは、環境省による「使用済衣類回収のシステム構築に関するモデル実証事業」にビームスが採択されたこと。
「服を捨てずに活かす仕組みを、もっと生活者が参加しやすい形でつくる」というゴールに向け、新たな企画が動き出し、既存の取り組みもアップデートを重ねています。そんな本事業を通したビームスの活動プロセスを、サステナビリティ推進部の視点、現場スタッフによる実働、そして成果報告レポートと、全3回にわたってお届けします。
サステナビリティ推進部の二人に聞いてみました。サステナブル推進部の二人に聞いてみました。

サステナビリティ推進部として、さまざまな取り組みに関わる金城、金子。
国との共創プロジェクトで目指すもの国との共創プロジェクトで目指すもの

- Q.「使用済衣類回収のシステム構築に関するモデル実証事業」に応募したきっかけとは?
A.金城:ビームスでは、「廃棄物の削減」と「循環型経済の促進」を重要な目標に掲げています。その中核をなす取り組みのひとつに、「環境負荷を低減するために、ビームスらしい衣料品回収の活用方法を決めて実行する」ことがあります。その達成に向けて、以前から〈PASSTO〉や〈WAMEGURI〉という衣料品回収サービスを一部店舗で導入していました。アップサイクルや二次流通など、回収した衣類をより多様な形で活用し、かつ社会実装可能なレベルで循環させるための戦略ですが、そこにどう“ビームスらしさ”を見出すか、ということが次のステップでした。ちょうどそのタイミングで、この実証事業の公募を知ったんです。「2030年までに家庭から廃棄される衣類の量を2020年度比で25%削減する」という国の定量的な目標は、ビームスと一致している部分があります。一企業だけでは構築が難しい社会的な回収や循環のインフラを、国と共に創り上げることができれば、私たちの取り組みにとっても大きな一歩になると思い、応募しました。
ビームスらしい衣料品回収ってなんだろう?

- Q.衣料品回収サービスの現在までの利用状況は?
A.金子:2022年12月からスタートして、毎年右肩上がりで増えています。現在、ビームスの衣料品回収としての実績の総重量は約20,000kg(〜2025年10月までの回収実績)。
- Q.衣料品回収ボックスを以前よりもさまざまなところで見かけるようになりました。
A.金子:そうですね。現在ビームス全体では、約50店舗で衣料品回収サービスを導入しています。当初は店舗単位で取り組んでいるところは少なかったのですが、今は商業施設や自治体、駅構内などの設置も増え、インフラが整ってきているように思います。将来的には、ペットボトルの回収ボックスと同じ感覚で、街に当たり前にある環境が作れたら、衣料品を捨てずに回収してもらうという意識が、自然と生活に根づくのではないかと思っています。
「回収ボックス」が、あたりまえの風景になって欲しい。

- Q.衣料回収を通して実感することは?
A.金子:年々回収量が増えているということで、お客様もスタッフも関心が高まっていると感じています。サステナビリティに対する意識というのは目に見えないものですが、衣料品の回収量が増えたことが、自分ごととして捉えている人が増えたことを示していると思います。また、地場に根づいた店舗から導入しているということもあるので、地元のリピーターの方が増えているようです。もともとビームスのお客様だった方が利用してくださることはもちろんですが、衣料品回収をきっかけにビームスへご来店いただくお客様もいらして、嬉しいですね。ビームスに対する信頼や共感が、衣料品回収を通して生まれているのだと実感しています。
- Q.衣料品回収を通した今回の実証事業の目的や意義とは?
A.衣料品を回収した後、外部の運営会社さんにただ委託するだけでなく、どのような活用ができるかということを、模索していました。お客様が店頭にわざわざ持ってきてくださるということは、ビームスを信頼して衣料品を預けてくださっているということだと思います。ですから、お客様が愛着ある一着をさらに長く楽しむためのお手伝いや、価値ある服が捨てられない仕組みを構築したいのです。今回の実証事業をきっかけに、衣料品を回収したその先の出口戦略への挑戦や、製品の長寿命化、再価値化という目的を達成するためのアクションを起こすことが、重要な一歩だと考えています。
このプロジェクトがいいきっかけになりそうです!

- Q..回収後のアクションの具体的な内容とは?
A.金城:ビームスが目指す「製品の長寿命化」と「再価値化」を軸に、3つの施策を考えています。1つ目は、「最適な顧客体験と回収システムの高度化」です。これまで特にインセンティブを設けずに、お客様による寄付という形で衣料品を回収していましたが、その行動に価値を認め、感謝の意を込めて、ビームスクラブ会員さまには行動マイルを付与し、ポジティブな仕組みづくりを目指します。同時に、回収した衣料品の総量やCO2排出削減への貢献度を可視化したいと考えています。それにより、お客様が自分の行動の貢献度を実感でき、今後も回収という選択を続けてくれることを期待しています。2つ目は、「製品長寿命化サービスの需要検証」です。衣料品回収のご利用者様限定で、『ビームス工房』が中心となっておこなうワークショップにご参加いただけます。このワークショップでは、ボタンの付け替えなどお客様自身が体験しながら、職人の指導のもとでリメイクを行います。そして3つ目は、「二次流通における新しい価値創造を検証」です。スタッフが“目利き”としてアイテムを厳選し、『ビームス工房』の技術でリメイクした世界にひとつの一点モノをスタイリング、店頭での展示を通して、リメイク文化の醸成を図ります。
ABOUT
「使用済衣類回収のシステム構築に関するモデル実証事業」とは?

- 国の目標である「家庭から廃棄される衣類の削減」に貢献するための公的な実証実験であり、環境省の公募のもと、ビームスを含む複数の事業が採択されました。
ビームスでは、衣料品回収〈PASSTO〉を導入している店舗と『ビームス ライフ 横浜』を主な協働拠点として、お客様参加型の新しい循環モデルの構築を目指す取り組み。
- 国の目標である「家庭から廃棄される衣類の削減」に貢献するための公的な実証実験であり、環境省の公募のもと、ビームスを含む複数の事業が採択されました。
ビームス工房とタッグを組んだ、新たなプロジェクトビームス工房とタッグを組んだ、新たなプロジェクト

- Q.ビームスが考える「リメイク文化の醸成」とは?
A.金城:時代の変化やライフスタイルの変化によって、クローゼットに眠ってしまっている服をお持ちのお客様も多くいらっしゃいます。その服はなぜ着られないのか、どうしたら着られるかを一緒に考えるきっかけになればと思い、ビームス工房と取り組む「リメイク」の企画が生まれました。それは例えば、今の時代に合わせて、肩パッドを取り外したり、ボタンをつけ替えたりすることで、着なくなった服がまた着られるかもしれない。そしてそういったことを、自分が普段買い物に行くお店で相談できるとよいのでは? といった内容です。回収した衣料品を素材として再資源化するだけでなく、お客様が気に入った一着をより長く、より深く付き合っていただくためのお手伝いをしたい。セレクトショップとして培ってきた編集力やスタイリング提案力、一着の服が持つストーリーや背景を尊重して、新たな視点で価値を再編集する力を活かすことが、ビームスらしいファッションの循環の実現に繋がっていくと考えています。そして、単に服を循環させるだけでなく、修理やリメイクを「かっこいい」「楽しい」といったポジティブなカルチャーとして発信することで、売って終わりではない、お客様との新しい関係性が生まれると信じています。
- Q.リメイク企画のプロジェクトチームについて
A.金城:今回、ビームス工房の発起人でもあり職人の新井がリメイク制作、ビームス ライフ 横浜の合田がディレクションを担当しています。ビームス工房は2021年のコロナ禍に修理専門の店舗として開設されたサービスです。横浜の工房は、さまざまな修理やリメイクを提案できる高い技術とポテンシャルを持った施設ですが、もっと積極的な提案ができないかと感じていました。そんなところに今回の企画が生まれ、新井の強い想いもあり、企画の初期段階から一緒に取り組んでいます。ビームス ライフ 横浜はオープンして1年ですが、当初の想定以上に、古着やヴィンテージに関心の高い若い世代のお客様にも多くご来店いただいています。合田は、お客様のリアルな感覚や、今の時代のムードを的確に伝える編集力や提案力を持っており、このリメイク企画にふさわしい存在だと思います。
ビームス工房で、スペシャルなリメイクを!

- Q.ビームス ライフ 横浜でリメイクイベントを開催。
A.まず、11月10日(月)から11月24日(月・祝)までの期間、「ビームス ライフ 横浜」にて、リメイクアイテムの特別な展示を行います。この取り組みでは、回収プラットフォーム〈PASSTO〉を通じて集まった古着の中から、『ビームス工房』の職人・新井と『ビームス ライフ 横浜』の合田が『ECOMMIT 東京サーキュラーセンター』にて厳選したアイテムを使用します。それらを『ビームス工房』の技術と、私たちらしい「編集力」を掛け合わせて、世界に一つの“一点モノ”へと再生させます。 リメイクアイテムを特別なスタイリングで展示し、新品と古着の境目なく楽しんでいただく、新たなファッションの価値を提案します。 さらに、11月17日(月)から11月24日(月・祝)の期間は、衣料品回収にご協力いただいたお客様が参加できる『リペア・メンテナンス体験ワークショップ』も開催します。 お客様の愛着ある一着をさらに長く楽しんでいただくため、修理やリメイクをポジティブで「かっこいい」カルチャーとして、プロの技に触れながら体験いただける機会です。ぜひ、皆様のご参加をお待ちしております。
どんなリメイクになるのか、ワクワクします。

“ビームスらしさ”とともにつくる、未来のサステナブル“ビームスらしさ”とともにつくる、未来のサステナブル

- Q.実証事業後の展望とは?
A.金城:今回の実証実験は、挑戦へのスタートです。回収量の推移のデータやお客様からいただいた貴重なご意見や反響を踏まえ、お客様とのよりよい関係づくりや、ファッションの楽しさを伝えながら、今後の活動に活かしていきたいと考えています。
- Q.Q.サステナビリティ推進部のこれから
A.金城:発足から1年半が経ち、ようやくいま、実践のフェーズに入っていると認識しています。初年度に取り組んできた、今あるものの整理、可視化、体系化によって、より明確にやるべきことが見えてきました。現在、大きく3つの柱でその活動を加速させています。1つ目が、「責任のあるものづくり」です。服がつくられる背景にある労働環境、また環境への配慮を大切にし、透明性を持った商品づくりにシフトしたいと考えています。
2つ目が、「環境負荷の低減」です。事業活動全体で排出される温室効果ガスの把握を進め、その削減に向けた取り組みを検討しています。そして3つ目が、「サーキュラーエコノミーの推進」です。ビームスの中では「循環型経済の促進」と言っていますが、これが今回の実証事業にも直結する部分で、ビームスの企業ビジョン「Happy life solution communities」とも共鳴します。お客様が手にした服の“その後”にもポジティブに関わり、その価値を未来へ繋いでいくために、服を長く楽しむための多様な選択肢を提案することが私たちの役割であると考えています。
サステナブルアクション、実践のフェーズに入りました!

- Q.サステナビリティの浸透・実践のためにすべきこと
A.金子:店舗の視点で言うと、まだまだサステナビリティ=「環境に優しい」「エコ」という印象が強いのが現状です。サステナビリティ推進部ができて、サステナビリティ経営という言葉が掲げられるようになり、サステナビリティ=環境配慮だけではなく、地域活性化やものを長く使うことなども意味するということは、以前にも増して、社内で広まってきていると感じます。私は店舗とこの部署を兼務しているので、時間は少しかかってしまいますが、店舗マネージャーとコミュニケーションをとりながら情報交換し、サステナビリティの広域な意味を地道に伝えています。
金城:地道な作業ではありますが、だからこそ、全社一丸の体制が不可欠です。全従業員に半期の目標の一つに、サステナビリティ重要課題に紐づく目標を入れてもらうようにしています。また、各本部室の本部長や室長と定期的に目標確認や課題のヒアリングやサポートもおこなっていきます。サステナビリティは、環境に配慮した事業活動や、今回の取り組みのような廃棄物削減と循環型経済の促進など、非常に広範囲の課題なので、目標達成には全部署が主体的に目標を持って実装できる推進体制の構築が不可欠だと、この1年半で痛感しています。例えば、温室効果ガスの排出量削減も、店舗でのエネルギーの効率化や物流の見直しなど、すべきことはたくさんあります。それを全部署に理解してもらい、横断して取り組んでもらわないと達成できません。基盤は作ったあとの実装が重要ですし、相互の理解とより開かれたコミュニケーションが非常に大切です。現場の気づきやお客様の声を大切にし、全社で「自分ごと」として取り組む意識を、これからも育てていきたいと考えています。
サステナビリティの本当の意味を伝えたい!


- PROFILE
- 金城 奈美
サステナビリティ推進部 2005年に入社。店舗マネジメント、CRMを経て、リアル店舗とECの連携を促進するビームス独自の役割「オムニスタイルコンサルタント」の立ち上げを担う。現在は「サステナビリティ推進部」にて、ビームス全体のサステナビリティ活動の体系化を進めながら、衣料品を軸としたサーキュラーエコノミーの構築や、温室効果ガス削減に向けた再生可能エネルギー導入の推進など、未来につながるアクションを多角的に担当しています。
金子 葵
アルバイトを経て2007年にBEAMSへ入社。池袋、渋谷の店舗を経て、現在は「ビームス 辻堂」に。6年程前からは子育てをしながら働いている。2024年からはサステナビリティ推進部と店舗との兼務。「学びが多く暮らしの中にも自然と活かされています。今1番夢中なコトは“家”。8年程前に町田でログハウスの暮らしをスタートして以来、家具や雑貨など“長く使えるモノ”に拘ってモノ選びをしています。現在は子ども部屋を構想中。一つ一つじっくりと考えながら我が家に合うモノを探す時間を楽しんでいます。」

次回、実際にプロジェクトがスタートします!次回、実際にプロジェクトがスタートします!
中編は、リメイク企画の活動現場を追って、ビームス工房の新井、ビームス ライフ 横浜スタッフの合田とともに「ECOMMIT 東京サーキュラーセンター」へ。回収された大量の衣類の中から、どんなアイテムがピックアップされ、どんなアイデアが生まれるのでしょうか。ファッションへの並々ならぬ愛情とサステナブルな取り組みが融合した、あたらしい価値観がそこにはありました。

