心地いい涼しげな音色が、暑さをそっと鎮めてくれます。「陶器ならではのやわらかくて澄んだ音がすごく心地よくて」と猪原さん。
四季をつむぐ、ものと暮らし。
静けさの中にひろがる、
夏の音と涼やかな気配。
照りつける日差しに、本格的な夏の訪れを感じる季節。
涼やかな風を呼び込む家の中には、この時期を心地よく過ごすためのちいさな工夫が散りばめられています。今回訪ねたのは、ビームス スタッフ・猪原さんの住まい。
日常にそっと寄り添い、気負わず使い込むことで愛着を増していくお気に入りの品々。
猪原さんの暮らしのひとコマから、季節に寄り添う心地よい“もの選び”と、豊かな夏の表情をお届けします。
夏を届ける道具たち
シュッとマッチを擦る音とともに立ち上る、どこか懐かしい煙と香り。愛らしい佇まいの蚊やり豚は、いつの時代も日本の夏に欠かせない風物詩です。ゆらゆらと揺れる煙を眺めているだけで、ゆっくりと穏やかな時間が流れていきます。
繊細な竹骨と土佐和紙が、夏の光をすっと透かす美しいうちわ。手首を優しく振るたび、柔らかく心地よい風がそっと肌を撫でていきます。
素足に触れた瞬間に広がる、サラッとした涼やかな肌触り。自然の恵みを丁寧に編み上げた一足を履いて。足を伸ばしてくつろぐ時間が、日常のひとときをどこか愛おしいものにしてくれます。
お気に入りの家具や音楽に囲まれた空間に、季節の花をすっと活けて。鮮やかなひまわりの佇まいが、部屋の中にみずみずしい涼感を届けてくれます。
涼しげなガラス器に盛って、お気に入りのオブジェの傍らに。「ふとした瞬間に漂う清々しい木の香りに、気持ちがすっと落ち着きます」と猪原さん。夏の湿気対策にも◎
トントンと薬味を刻む軽快な音とともに、清々しい青森ヒバの香りが広がります。たっぷりの薬味と味わうのは、夏の食卓に欠かせない手延素麺。お気に入りの道具で手際よく整える時間が、いつもの日常を少し特別にしてくれます。
「今までは陶器の器が多かったんですが、最近はガラスの器を少しずつ揃えています」と猪原さん。お気に入りの器やガラスの小皿が、季節の料理を涼やかに引き立てます。
猪原 佳博
昨年11月より入居。この部屋を選んだ決め手は最上階メゾネットならではの吹き抜けが生み出す開放感や、天窓からの採光など珍しい条件。趣味は世界各国の民藝品収集、読書、音楽鑑賞。
思い入れのあるものを、日常の中で気負わずに使う。それが今の自分にとって、一番心地よいスタイルなんです。