The Stories Behind BEAMS 50th

50周年別注の“”ばなし Vol.1 - Timberland

〈BEAMS〉の別注企画には、完成したプロダクトだけでは見えてこない “物語” がある。
50周年を記念した〈Timberland〉との取り組みも、その物語がコレクションの濃度を高めた。

「人気モデルをどうアレンジするか」というような単調な話ではない。
〈BEAMS〉にとって〈Timberland〉がどんな存在なのかをすり合わせ、
現地まで赴いてアーカイブと向き合い、両チームで会話を重ね、迷い、
方向を微調整しながら、少しずつ輪郭を書き足した。

これは、そんな50周年別注の過程を振り返る、バイヤーたちの裏ばなし。

〈BEAMS〉の別注企画には、完成したプロダクトだけでは見えない“物語”がある。50周年を記念した〈Timberland〉との取り組みも、その物語がコレクションの濃度を高めた。 「人気モデルをどうアレンジするか」というような単調な話ではない。 〈BEAMS〉にとって〈Timberland〉がどんな存在なのかをすり合わせ、現地まで赴いてアーカイブと向き合い、両チームで会話を重ね、迷い、方向を微調整しながら、少しずつ輪郭を書き足した。これは、そんな50周年別注の過程を振り返る、バイヤーたちの裏ばなし。

VOICES

鈴木 竹彦


1996年、BEAMSにアルバイト入社。メンズカジュアルバイヤー責任者兼〈BEAMS JAPAN〉 アパレルディレクター。「ビームス 原宿」など、旗艦店の販売員として経験を積みながら、企画会議にて数々のヒット作や長く売れ続ける定番品を生み出してきた。とんちの効いた企画を得意とし“BEAMSの一休さん” の異名を持つバイヤーの大黒柱。アーティストとしての裏の顔も。

小林 景太

1989年、福井県生まれ。中学時代からアメリカに魅せられ、20歳でシアトルへ留学。大学卒業後はカナダ・トロントに移住し、コーヒー作りを学びながら放浪の日々を送る。2015年に BEAMS に入社し、2019年から現職のメンズカジュアルバイヤーに。趣味は食べて飲むことで、1995年式の Mercedes-Benz W124 を愛してやまない。

野崎 亮佑

1991年、東京生まれ。若いときから音楽がそばにあった影響で、90’sの東海岸ヒップホップに影響を受ける。ファッションでも多大な影響を受け、いまもコーディネートの核には、その頃のイマジネーションが組み込まれている。ビームスには2014年入社。都内3店舗で販売員を務めたのち、2021年からバイヤーに。

Chapter1

アメリカの足元を象徴する
存在への敬意

チームの会話は〈Timberland〉の歴史や製品知識ではなく、それぞれの原体験から始まった。

鈴木:イメージとしては昔のPOPEYEのスタイルだよね。3eyeを履いたアメカジ。

小林:僕は高校生の時の6インチが最初で、学ランにティンバーを合わせる感じでした。

野崎:僕はもう少しヒップホップの空気と結びついていた記憶ですけど、制服に6インチを履くのがイケてる風潮はありましたね。履いたらそれとなくストリートのムードになる。

鈴木:サンフランシスコに行った時は、向こうのリアルを感じたな。オレンジベストを着ている人が、普通にイエローブーツを履いててさ。

面白いのは、世代や文化の入口こそ違っても、最終的に全員の話が同じところへ収束していくこと。アメリカのリアルワークウェアとしての〈Timberland〉と、それをストリートが自分たちのものとして引き寄せてきた〈Timberland〉。その両方が“スタイル”として、〈BEAMS〉の中では矛盾なく同居している。だからこそ、過去の別注でも、ブランドの核をなおざりにして、新しさだけを狙うことはなかった。

鈴木:Timberlandを無視したものづくりはダメ。あの匂いを残しながら、BEAMSなりに料理するのが我々の流儀だよ。

小林:ですね。意識したのは、90年代のムーブメントが香る、向こうのアーカイブとオリジナルへのリスペクトでしたもんね。

その姿勢は、今回が初めてのグローバル企画だったとしても変わらなかった。むしろ、50周年という節目だったからこそ、その向き合い方はより真っ直ぐ、真摯なものになっていた。

Chapter2

突破口を開いた“1本のパンツ”

最初にチーム内で共有されたのは、とてもシンプルな方針だった。

鈴木:50周年は『やっぱり代表作を』という想いは共通だったよね。6インチしか考えられなかった。

ただ、そこからすぐに現在の形へ辿り着いたわけではない。初期案ではスリッポンの方向も検討しており、現地に向かう前からラフな構想はあったが、完成形を固めて押し通すのではなく、あえて余白を残した状態で〈Timberland〉に持ち込んだ。

野崎:アパレルはムードボードを出して、アーカイブを見ながら考えていった感じでしたよね。ベースは固めても、仕様までは決めず、具材を見てどう方向転換していこうかと。

この“具材”という言い方が、今回のものづくりを的確に表現しているのかもしれない。用意したのは、答えではなく、答えにたどり着くための材料。90年代のアーカイブ写真、当時の空気を感じさせるプロダクト、色やバランスのヒント。それらを持ち込み、相手のアーカイブと突き合わせながら、どこまで踏み込むべきかを探っていった。

スイスの田舎町、スタビオにある「VFコーポレーション」のアパレル部門が拠点を構えるオフィス。そこでの別注会議は、一筋縄ではいかなかった。鈴木が即席でイラストとメモを描き、それをリアルタイムで共有して試行錯誤を繰り返す。完成したプロダクトこそ洗練された仕上がりとなったが、その手前ではかなり手触りのあるやり取りが行われていた。

現地で大きな転機になったのが、1本のパンツの存在だった。

小林:結構みんな「パンツの落としどころがないな…」って悩みましたよね。

鈴木:別注のポイントが中盤まで決まらなくて、パンツから決まったんだよな。

野崎:三段階で丈が切り替わるアレですよね。Y2K初頭っぽい雰囲気。『これ、いいね!』ってところから、デニムで〈Timberland〉らしい土臭さがあったらいいなって。あそこからギアが上がりましたね。

疲労もあった。時差もあった。それでも、その場で見て、その場で話し、その場で決めていくライブな感覚があった。

イエローブーツとトップスを繋ぐ、そんなパンツの存在。元々あった形を現代向けにリファインしたり、モダナイズする表現は、まさに〈BEAMS〉の真骨頂だ。パンツの決定打は、ブルゾンにも大きな影響を与え、ミディアム丈特有の難易度をボックス型で提案し、着丈がトランスフォームできる仕様を採用することとなった。

野崎:めっちゃ疲れましたけど、多分あの時間がなかったらできてないですね。

小林:後半はみんな疲れ切ってたんですけど、あのパンツが出てきて『やるならこれぐらいやっても面白いかもね』と火がつきましたね。

代表作にどう向き合うか。どこまで変えて、何を残すか。その答えは、会議室のロジックだけではなく、アーカイブの前で交わされたこうした会話の中から生まれている。

Chapter3

服好きたちによる
服好きのためのコレクション

今回の〈Timberland〉別注は、綺麗に決まった企画ではなく、迷いながら精度を上げていった企画だった。だからこそ、出来上がった時の納得感も一入だった。

コレクションを象徴する『6インチ イエローブーツ』は、アイコニックなレースアップではなく、特別感のあるリングブーツ仕様に。このパーツは別注の象徴的なデザイン言語となり、キャップのアジャスターやベルトにも同様のデザインを採用している。

何より鈴木が感動したのは、共にプロダクトを作り上げてくれた〈Timberland〉の姿勢だった。

鈴木:結構“洋服の話”をしたよね。大企業っぽいビジネストークじゃなくて、純粋にファッションが好きであるということ。BEAMSのメンバーに近いバイブスの人が多くて、あれは嬉しかったな。

小林:タケさんが着ていたレザージャケット見て『これ、めちゃいいね。どこの?』みたいな瞬間もありましたもんね。

そんな服好きたちの会話のレイヤーが生み出した、〈Timberland〉の古き良き土臭さをあえて残したフルパッケージのコレクション。どのアイテムからもオリジナルへの敬意が滲み出て、ブランドの歴史や文脈をきめ細かく、時間をかけて丁寧に読み解くことなくして、完成形に辿り着くことはなかった。

最後は、現地での思い出話にまで会話が戻っていく。

鈴木:企画会議が濃すぎて、いつ行ったのかも、地名も覚えてないよ。

小林:おいしいニョッキを食べたのは覚えてますよね?(笑)。

※本記事のアイテム画像は試作品となります。製品の最終仕様は下記をご参照ください。

Timberland × BEAMS