シマの航海日記エピソード6【引き算の美学】

島下 洸星 2026.07.12

皆様、こんにちは!

シマの航海日記、かなり久しぶりの更新になってしまいました。

梅雨も明けて、本格的な夏がやってきましたね。

これからさらに暑い日が続くようなので、くれぐれも熱中症にはお気をつけください。


そして今回、またまたとんでもない宝物を見つけてきました。


なんとなく長くなりそうな予感がします。


さて、紹介するのは、〈BEAMS PLUS〉のPainter Pants Nep Denim。



 【BEAMS PLUS】Painter Pants Nep Denim
カラー:USED
サイズ:S、M、L、XL
価格:¥44,000(税込)
商品番号:38-24-0453-323


1940年代や1960年代のワークウェアの歴史、生地へのこだわりがぎっしり詰まった一本。

それでは、今回も出航です。


まずベースになっているのは1960年代のストアブランドのペインターパンツ


ストアブランドというのは、昔のアメリカの百貨店や量販店が自社で展開していたブランドのこと。


有名ブランドじゃなくても、現場で働く人たちが毎日穿く”道具”として作られていたからこそ、無駄がなくて機能的。


BEAMS PLUSは、その空気感を現代に持ってきています。


そして、このパンツで一番面白いと思ったのがディテールの引き算






「ペインターパンツ」と聞くと、ハンマーループやダブルニーなど、この辺を思い浮かべる人が多いと思います。


でも実は、ペインターパンツ黎明期には、まだこれらが付いていないモデルも存在していました。


だからこのパンツは、あえて全部盛りにはしていません。


その代わり、サイドやバックヨークにはトリプルステッチを採用しているようです。




一本ではなく三本針で縫うことで強度を高め、ワークウェアらしい無骨さも演出しています。


つまり、

「飾るところは削る。でも丈夫さは削らない。」

このバランスが最高なのかもしれません。


そして生地。

ここからが個人的に一番好きなポイント。


使われているのは、1940年代のヴィンテージを再現した10オンスのセルヴィッチデニム(白耳)。


はい。もうこの一文だけでご飯何杯でもいけます。


まず10オンス。

一般的なジーンズが12〜14オンスくらいなので、これはかなり軽め。


実際に、見た目はヴィンテージらしく無骨なのに、穿くと驚くほど軽い。


真夏でも「今日はデニム無理やな…」って日が減りそうです。


さらに使われているのはUSAコットン

アメリカ綿は上品というより少し粗野で、ワークウェアとの相性が抜群です。


そして、その綿をムラ糸ネップ糸で紡績。


ムラ糸は、太い部分と細い部分をあえて作った糸。

だから穿き込むと、均一じゃないヴィンテージらしい縦落ちになります。


ネップ糸は、小さな節がある糸。

生地に細かな粒感が生まれて、新品なのにどこか昔のデニムみたいな表情になる。


つまり最初から”完成品”じゃない。

穿けば穿くほど完成していくデニムです。


さらに、それを織るのはシャトル織機

現代の高速織機みたいに一気に大量生産するのではなく、昔ながらの織機でゆっくり時間をかけて織っています。


糸に無理なテンションをかけないから、毛羽立ちや凹凸も自然に残る。


さらに、あえて毛羽感も残した仕上げ

新品なのに少し白っぽく、乾いたようなヴィンテージ物のような空気感があります。


でも、この毛羽も穿いていくと少しずつ寝てきて、

「あ、このパンツ育ってきたな。」

そんな変化も楽しめます。


シルエットも絶妙。

ヒップやワタリにはゆとりを持たせながら、裾に向かってほんの少しテーパード。




太いけど野暮ったくない。

ワークパンツなのにクリーン。

この絶妙なバランスは、BEAMS PLUSらしいなと思います。


正直このパンツ、パッと見なら「ペインターパンツやな」で終わります。


でも、

「なんでハンマーループが無いん?」
「なんでこんな軽いん?」
「なんで新品なのにこんなUSEDに見えるん?」


その答えを知ると、一気に面白くなる一本。

こういう”語れる服”って、やっぱり好きなんですよね。


服って、着るだけでも楽しい。

でも背景を知ると、もっと楽しい。


だから今回もまた、調べすぎたみたいです。


これが本当の航海なのかもしれません。


それでは、また次の航海で!


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