2025年5月30日(金)から6月9日(月)にわたり開催された、台湾の気鋭フォトグラファー・アーティスト、マンボウ・キー氏による個展『Home Pleasure|居家娛樂』。この個展の開催と、Tokyo Pride ウィークエンドを祝して、6月6日(金)渋谷PARCO 10F PBOXにて、一夜限りのスペシャルパーティーが開催されました。

マーケット・トークセッション・DJ・SHOWCASE、そしてフォトシューティングを軸とした、多層的なコンテンツにて構成されたスペシャルパーティー。多様な要素の広がりを意味する“spectrum”をテーマに、従来の二次的な価値観を超えた、新たな“混ざり合い“や“彩り”を感じさせるイベントとなりました。

会場ではハッシュタグ投稿していただいた方に、ビームスが制作したトートバッグをプレゼント!


ー TALK SESSION ー


ー TALK SESSION ー




Manbo Key × Yo Takami × BEAMS staff

今回のパーティーのハイライトは、マンボウ・キー氏と、『loneliness books(ロンリネス・ブックス)』オーナーの潟見 陽氏、そしてビームス スタッフによるトークセッション。
手法は異なれど、それぞれの分野で“自分らしい表現”を追求する彼らは、対話の中でどのような気づきや発見と出会ったのか。ここでは、そのトークの一部をご紹介します。

前田:今回は貴重な機会をいただき、ありがとうございます! ビームスはこれまで、台湾のLGBTプライドへのサポートや、LGBTパートナーシップ制度の制定など、社員やビームスに関わる皆様が自分らしく生きていける社会を目指して活動してきました。ただ、私たちもまだまだ難しさや理解が足りていないと感じる部分があります。今日はこのトークセッションを通して、“表現”という観点から、色々と学ばせていただきたいと思ってます。

小峯:マンボウさんの個展は日本初開催となりますが、この個展にはどんな思いが込められているのでしょうか。

マンボウ:僕が個展を準備する段階で一番重視したのは、対話型の展示にすることです。 単にクィアコミュニティに向けた展示ではなく、 一般のお客様にも楽しんでいただける展示を目指しました。人権における公平性であったり、平等というのはどういうことなのかといった、ある種のインタラクティブな交流が生まれる場になればいいなと思ったんです。

小峯:個展にはパートナーやお友達と来ている方もいらっしゃって、ただ観るだけでなく、その場で対話が生まれている印象を受けました。

— 『小さな声』を本屋から世界へ

小峯:『ロンリネスブックス』さんでも、マンボウさんの作品(写真集)を扱われていますが、普段からどういう視点で本をキュレーションされているのですか。

潟見さん:クィアやマイノリティの人たちの小さな声を、読者に届ける本を選んでいます。他にも移民や社会運動についての本も扱っていますが、例えばクィアの人でもアジアでは、自分自身のセクシュアリティをオープンにしづらかったりとか、自分を抑えて生きなきゃいけないのが苦しかったり、自国にいるのがしんどくて海外に出ることもあると思うんです。 そういう意味で全部の問題が繋がっているなって。

絵本なんかもそうですが、うちで扱っているのは韓国の絵本が多いんです。 韓国の絵本って、社会の今の状況を子どもにもわかるように噛み砕いて、読みやすく作られているんですよ。 そういったものを入り口として読んでいくことで、自分たちの暮らしている今の社会問題を考えるきっかけになる。テーマを横断して、 個人の声や、小さな物語を通じて、読み手に考えるきっかけを持ってもらえることを念頭において、いつも本を選んでいます。

マンボウさん、潟見さん、ビームススタッフのレコメンドブックを紹介!

New Vitamin Boys - 浦芝眞史

大都会の愛し方 - パク・サンヨン

女ふたり、暮らしています。- キム・ハナ (著), ファン・ソヌ

— 表現は違えど、叶えたい想いはひとつ

小峯:マンボウさんの写真と、 『ロンリネスブックス』さんが選ぶ本、ビームスが提案するスタイル。それぞれ表現手段は異なりますが、 社会の空気を少しずつ変えていこうという志には共通する部分があるかと思っています。 そんな中で、お互いから受けている影響や、これからも大切にしたい思いがあれば教えてください。

前田:ビームスのスタッフの多くはアートや本から、 洋服の着こなしや表現方法を吸収して、自分たちのスタイルに落とし込んでいると思います。なので、アートや本は私たちにとって切っても切り離せない存在。今回もマンボウさんの表現する独自のスタイルが魅力的だったからこそ、共鳴してご一緒したい! という気持ちになりました。潟見さんのお話しも聞いて、私たちもセレクトショップとして様々なコトやモノをキュレーションしてきた身でもあるので、繋がるところがたくさんあるなって。 今後もまた何かご一緒できたら嬉しいです。

潟見:「ロンリネスブックス」の本棚は、ジャンルごとに綺麗に整理されておらず、いろんなジャンルの本ができるだけ混じり合うように並べられています。「ロンリネスブックス」がある東中野の隣の大久保には、いろんなルーツの人がいたり、見たこともないようなものを置いているお店があったりするんです。違う文化が重なり合って、刺激し合って、新しい活気が生まれている場所。そういう一つの雑把な町のような本屋になれたらいいですね。 マンボウさんの写真も理路整然としていないというか、いろんなものが混じった面白さがあって、その感じがすごく好きです。 今後もそれぞれの道を進みながら、どこかでぶつかったり、混ざり合ったりすることで、違う色やノイズみたいなものが出せたらいいなと思いますし、そうすることで面白いものがまた生まれる気がしています。

マンボウ:僕は日頃から色んなコラボレートの話をいただくのですが、その度にコラボレーターや企画をかなり長い時間かけて、自分の中で消化してから取り組むようにしています。というのも、写真ってかなり楽に撮ることができるからこそ、時間をかけて愛のある形で実行、実践していきたい。今後もそのスタイルを貫きたいと思っています。

Profile

マンボウ・キー

1986年台湾生まれ。写真、映像、音楽など様々な表現手法を用いて、「家族の記憶」や「アイデンティティ」に向き合う作品を制作。思春期に、父の秘蔵していたビデオテープを偶然見つけた出来事をきっかけに、自身と家族関係の深層に迫る探求を開始。その体験をもとに制作された三部作《Father’s Videotape(父のビデオテープ)》《Avoid A Void》《Diverse : Identity》では、個人的記憶、身体、ジェンダー、家族の物語が交差し、独自の視点で表現。 (通訳:池田リリィ茜藍)

潟見 陽

映画の宣伝美術や本の装丁、LGBTQI+コミュニティに向けた広報資材のデザインワークに関わりながら、アジアから眼差したクィアやジェンダー、孤独と連帯、多様な文化に触れられる出版物を取り扱う本屋兼出版レーベルloneliness booksを運営する。東京・東中野のオルタナティブスペース”platform3"でloneliness booksを営業中。

前田 瑞貴

株式会社BEAMS 宣伝販促部 宣伝課 LGBTQ+に関する社内理解を深めるため発足された社内コミュニティに所属。

小峯 れいな

株式会社BEAMS クリエイティブ部 オウンドメディア制作課 LGBTQ+に関する社内理解を深めるため発足された社内コミュニティに所属。


ー PHOTO SHOOTING ー


ー PHOTO SHOOTING ー




パーティーの後半では、マンボウ・キー氏がビームススタッフを撮りおろすスペシャルなフォトシューティングも。5名の個性溢れるファッションスナップにご注目ください。

マンボウ・キー|Manbo Key(登曼波)

映像、音楽、ならびに多様な創造的表現を用いて、「家族の記憶」および「アイデンティティ」を主題に据えた作品を展開するアーティスト。思春期、父が秘蔵していたビデオテープを偶然発見した体験を契機として、自身のアイデンティティおよび家族関係の深層に迫る探求を開始。これをもとに制作された三部作『Father’s Videotape(父のビデオテープ)』『Avoid A Void』『Diverse : Identity』においては、個人的な記憶と身体、ジェンダー、家族の物語とが織り交ぜられ、独自の視点から表象されている。 2019年に『Father’s Videotape』において台北美術賞のグランプリを受賞し、その表現力が高く評価された。また、作品『Plastic Ceremony(塑の儀式/Ā bǐ bǎi)』においては、客家(ハッカ)としての民族的ルーツと、性の意識との交錯を新たな儀式的形式に昇華させている。 2022年に開催された個展『HomePleasure』では、家族関係、トランスジェンダーのイシュー、ならびに社会的周縁性といった主題にまで関心を広げ、台湾におけるクィア・カルチャーとの関わりをいっそう深化させた。同年、アートとパーティカルチャーの交差を探究すべく、HomoPleasure Collectiveを共同設立するに至る。2024年にはデンマーク、東京、バルセロナで作品を発表し、アジア人としての身体性およびアイデンティティに関する国際的な対話の場を拡張している。 Instagram:@manbo_key