1991年7月、ジョージア州アトランタからテネシー州メンフィスまで、ところどころ立ち寄りながら、8日をかけて細い道を運転した。ジャクソンやバーミンガムやモンゴメリーといった大きな街に着くと、パーキングメーターを使って駐車し、何ブロックか歩き回った。本を作ろうという意図はなく、ただ写真を撮ろうと思っていた。30年が経ち、近年の前政権が極端な政治的無能さを露呈したあとで この写真群を見返してみて、アメリカ南部の三つの側面をさりげなく写し出していると思った。黒人、白人、そして当時のインフラ。
綿花の栽培は早くから経済を動かしてきた基幹産業であり、その収益を拡大し保証していたのは奴隷たちだ。
まず1枚目にある車の窓から見たガソリンスタンドを撮り、旅を始めた。
『COTTON』は写真集である。ただし、背景には政治的・社会的な物語を含む。私はある小さな黒人教会に立ち寄り、宗教の支配力や逞しい女性たちを強調するために2枚を用いた。何ヘクタールにも広がる綿花畑よりも、多数の小さな段ボール箱にその痕跡を見た。最後に収録したベンチに座る5人の少年たちの写真は、この地方に生じた、しばしば隔離されていた余暇のありようを象徴しているように思える。カメラはいわば、無意識のリトマス試験だ。モノクロフィルムという試験紙を用い、人種差別の辛酸を検出している。------------------
上製、 80ページ
w17.4 x h24.6 cm
80ページ
69イメージ(白黒)
上製本
白黒オフセット印刷
初版
Published in 2021 SUPER LABO
ISBN 978-4-908512-46-9
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