現代アーティストのグループ展『象牙の塔からの不条理主義者』開催のお知らせ

2025.01.31

〈B GALLERY〉では、2月8日(土)より、現代アーティスト宮原嵩広がディレクションするグループ展『象牙の塔からの不条理主義者』を開催します。

現代アートは現在、社会への課題提起としてコンセプトを重視する作品群が世界的に大きな流れとなっています。その一方で、個人の文化的な背景を通じて自らの技能を磨き、オリジナルの表現を追求し続ける現代アーティストたちがいます。本展では、このような現代アーティスト5名に光を当て、作品が存在する時間や空間における“唯一性”に改めて着目することで、現代における作品制作の意義をリマインドします。

注目のアーティストたちの息吹あふれる作品群に、どうぞご期待ください。

※本展は伊勢丹新宿店アートギャラリーにて宮原嵩広が企画する『マジシャンズエンカウンター #3 象牙の塔からの不条理主義者』との共同開催です。

キービジュアルデザイン:泉美菜子
共催:伊勢丹新宿店アートギャラリー
協力:studio仕組、ピンホールブックス

本展ディレクターによる概要


フォーマリズムや、フォーディズムの影響を受けつつ、現代アートはどのように進化し、社会的文脈と結びついていてきたのか。ポップアートは消費社会を積極的に取り込み、アートと商業的価値を直結させました。この商業化の流れは、アートマーケットの拡大とグローバルな商業ギャラリーシステムの成⻑を促し、アーティストが自己表現と市場の要請に応える形で作品を制作できるようになりました。加速する技術革新の中で、技法的ユニークさを失ったアーティストはどのように世界を捉え、視覚化しうるのか。かつての労働が、物的生産に従属していたのに対し現代では、非物的な生産、すなわち人々とのコミュニケーションや社会との接続が、新たな労働の中核を成しています。ミニマルアートが暴露したアートの労働性もコンセプチャルアートなどにより、知的労働、脱物質化が芸術的アウラさえも量産を可能にしました。同時に、この流れは脱物質化や商業主義への反動としての「脱アート化」も見られます。これは、植⺠地時代の芸術に対する再評価とも関連しています。植⺠地美術は、商業主義やグローバル市場との複雑な関係性を通して、現代アートに新たな視点を提供し、文化的アイデンティティと対話を強調しています。芸術は単なる視覚的な体験から、社会的・政治的メッセージを伝えるものへと変容し、肉体的発露は機械にかわり知的労働すら人工知能が補完しうる時代において人類はなにを芸術とするのでしょうか。 芸術は死んだのか?もしかしたら有史以前の戯れに還元されるのかもしれない。芸術における労働と技術またはその社会的・文化的背景を元に、制作の主導権をアーティストの手に戻してみようと思う。
宮原嵩広


開催期間
2025年2月8日(土)〜2月25日(火) 11:00 - 20:00
※会期中無休
開催店舗
ビームス ジャパン(新宿)5F
「B GALLERY」
〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目32-6
作家によるギャラリーツアー
2月15日(土)16:00〜17:00
本展ディレクターの宮原嵩広氏と参加作家によるギャラリーツアー。
展示内容や作品について解説いたします。
皆様のご来場をお待ちしております。
※本イベントへ参加する作家は予定なく変更になる可能性がございます。ご了承ください。

参加作家(50音順)

オーガミノリ

1982年東京都出身。2007年東京芸術大学院漆芸専攻修了。漆造形作家として活動後、2020年より平面画の発表を始める。紙やキャンバス等質感を作り込んだ画面にアクリル、パステル、石粉、オイルスティック等を使用し、メディウムの枠にとらわれない表現を求め即興で描く。描かれた部分と部分は緊密な連関を持ちながら均衡を保ち、有機的に多様な素材・要素が絡み合い次元を構成する。

TENGAone

埼玉県出身。アーティスト。1992年からグラフィティを始める。暫くは誰よりも上手く描く事に、誰よりも目立つ様にと必死に活動するも、30代半ばから、大切なのは描くもののスタイルや技術だけではないと気付く。現場の匂いや湿気、虫の声や雑草を踏み締める感触、暗闇に慣れ始め視覚が戻る感覚、血管の膨張、細かな音も聞こうとする聴覚、緊張が切れるプチンという音...そこにTENGAoneが居て、そこで起こる全てがグラフィティーだった。目に見えているスプレーペイントがグラフィティーではなく、そのペイントの裏側にあるストーリーがグラフィティーだった。今、その経験から得た見解を元に、様々なシーンで作品を発表している。

細井えみか

1993年生まれ。2018年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻彫刻コース修了。ボルトナットや取手金具などの既製品をオブジェとしてファブリック素材や鉄、光などと組み合わせた什器や彫刻作品を制作。日常生活における認識の強度を確かめる行為として作品制作を位置付ける。主な展示に、個展「Nailing to the beach」(2024、Esther Okada Art Gallery)、「Study:大阪関⻄国際芸術祭」(2024)などがある。 TBSドラマ「18/40 〜ふたりなら夢も恋も〜」(2023)作品協力。2020年より同大学共通彫塑研究室助教着任。

増井岳人

1979年神奈川県生まれ。テラコッタや陶といった、土を素材とした彫刻作品を数多く発表。近作では縄文土器の破片を使い、独自の技法により作品を展開。近年の個展はHECTARE 「piece/peace」、隙間「NOW」。ART FAIR TOKYO2025にHECTAREより出品予定。

宮原嵩広

1982年埼玉県生まれ。特殊メイクの技法を習得後、東京藝術大学彫刻科にて近代彫刻をベースにもの派やミニマルアートを学び、技術や素材にとらわれない新たな彫刻の展開を試みている。2012年に大学院を修了後にカリフォルニア大学GTU大学院神学専攻で研究員を務め、ニューヨーク・アーモリーショーでデビュー。近作では天然素材とケミカル素材を合わせて用い、物の存在を問いかける兆候的な作品を制作し、物質の純粋性をテーマに立体、インスタレーション作品を発表している。近年ではグループショーのディレクションも手がけている。現在シグネチャー作品のアスファルトの球体群「missing matter」が山梨県北杜市にあるGASBON METABOLISMで展示されている。

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