【ざばーん】
顔の火照りをごまかし冷ますかのように、僕は川に飛び込んだ。
----10年と少し経つだろうか。僕は高校1年、彼女は1つ上の学年。胸の内の想いを告げられなかった後悔の夏。
あの時の想いは今もまだ秘められたまま、ずっと僕の後ろ髪を引いている。----
その原因の人物が、今目の前にいる。(まあ原因は僕にあるのだろうが。)
先月部活の先輩と飲みに行き、そこから不意なきっかけでこのBBQに誘われる運びとなった。
彼女がいると知り、色を失いかけていた記憶が一気に鮮やかに蘇る。
今そこにある瞳には、僕は冷静に映っているだろうか。必死に考えるも、焦りと虚しさが混ざり合って濁流のように押し寄せ、すぐに何も考えられなくなる。彼女が腰を上げこちらへ向かってくる。やめろ、来るな。来ないでくれ。頭と体はいつも逆のベクトルを向き、胸の拍動は聞こえてしまいそうなほど大きくなる。「ねえ、今彼女いないんだって?」--「あ、はい。」裏返った僕の声はまるで、小学生が初めて練習するリコーダーの音だった。
----〈SAGE DE CRET×BEAMS PLUS〉の、水着として使えるショーツを履いてきて本当に良かった。〈THE NORTH FACE〉のレインジャケットは濡れた体が冷えないように風を遮ってくれる。
----今度の週末、彼女とふたりで横浜に出掛けることになった。
皆さまのご来店、心よりお待ちしております。