Mie Takahashi Solo Exhibition<REPEAT>開催中。高橋美衣さんインタビュー

Y 2022.04.13

高橋美衣さんの展示が4月8日(金)よりスタート。


日々描き貯めているドローイングの線や形からヒントを得て、立体作品を制作されており、テラコッタ、樹脂をベースにオリジナルの塗料でグラデーションに彩色された作品たちは様々な角度から鑑賞を楽しむことが出来ます。

個展タイトルにもなったリピートをテーマに複数の作品からなる繰り返されるグラデーションの妙も見どころとなっております。





会期は4月24日まで。

個展テーマや高橋さん自身のことについてインタビューさせて頂きました!



ー 出身はどちらですか?


北海道です。大学に入学するタイミングで上京しました。


ーもともと幼い頃から絵を描いたり、モノを作ったりするのがお好きだったのでしょうか。


全然そういう感じじゃなくて。どちらかというと男の子と一緒に外で遊ぶような子供でした。


中学とかの時はバスケとかしてました。でも部活というシステムがあんまり好きじゃなくて。

根性が体育会系じゃないので。笑

楽しくやれたらいいな、みたいな。

でもなんだかんだ中学3年まではつづけてたんですけど、高校では部活に入らなくて。

沢山遊ぼうと思ってました。


ーアートへの興味はどのように生まれたのでしょうか。


札幌って結構個人経営のカフェというか、雑貨とか日用品を取り扱う小さい店が多くて。

そこにいくのハマったんですよ。コーヒーが好きになって、本読んだりとかしてて。


そのときにこういうのいいなって思い始めました。

当時ハマってたのはポーランドとかチェコとかの素朴な食器とか雑貨とか。

見るのが好きで。

将来は自分でカフェやるか、買い付けに行って自分でセレクトのお店とかやりたいなってその時思い始めました。


ーへー!意外な入り口です!


結構進学校だったので最初は普通に行ってたんですけど、友達と話しても勉強頑張って大学行って会社入るっていう答えしかでなくて。

それはなんか嫌だなーって。


それでそういう進路を考えた時に、自分でモノを作れた方ががいいなって思って。

そうしたほうがモノを見る目が養われるなと思って。

美大の工芸系とか家具作ったりする学科を目指して美術の予備校行き始めました。


木工で家具作ったりとか漆で食器作ったりしましたね。

東京には出ようと思ってました。東京だと見れるものが多いから。それは決定事項でした。


私も地方出身なので東京への強い思い分かります!

でも、あくまで作品やアートとしてのモノづくりというより実用性のあるものを作るのに興味が、っていう感じだったんですね。


基本的に遊びたいが多くて、ストイックに美大に通うってよりは、物の仕組みを知りたいだけの感覚でした。

でも大学に入ったら工芸科が結構面白くて。

木工の助手とか、人の手伝いとかをめちゃくちゃしてて。

バイトはせず、とにかく手伝いをしてて。勉強として。

休み無しで、楽しくて手伝ってました。


アーティストとして作品を作っていくようになったキッカケは何ですか?


それで、今も一緒にアトリエでそれぞれの作品作ってる河本(染織家・アーティストの河本蓮太朗)が2つ先輩で同じ工芸科だったんですけど、やる気がメチャクチャあって、現代美術館とか色んな展示とか見に行く人だったんですよ。

それで一緒にいろんなとこに行くようになって、それまでは目の前のこと一生懸命やってたんですけど、そこで目にするものがすごく良いなーって思って。

そういうのもあってオブジェ作るようになったんですよね。


ー実用性のあるモノづくりから、作品としての製作を始めるようになったんですね。転機ですね。


でも作品のコンセプトって言われても、とくになくて。

かっこいいなーと思った形を作っていただけなので説明することは何もなくて。

大学の授業での制作ってコンセプトとか筋を求められちゃうところがあるんですけど。

だから作品作るのは向いてないと思ってたんですよ。

暗い過去があるわけでもなく、何かを強く考えながら作るって感じでも無かったので。


それで制作はやめようと思ってたんですよ。

それで卒業して色々バイトをして過ごしました。

飲み友達だった材木屋さんの手伝いとか、美大で助手の助手みたいなのやってみたり、

デザイン事務所で働いてみたり、金属の作家さんのアシスタントやったりしてて。


ーそこからどうやって、作家として活動されていくようになったのでしょう。


卒業後鎌倉に住んでたんですけど、職場がどこも遠くて。

帰りに歩いてて、ふと、「こういうことするために生きてるんじゃないな、作品作りたいかもな。」って思いました。

バイト掛け持ちしてても、なにものでもないじゃないですか。

私は作品作る人になりたいなと思って。

それで仕事辞めました。

やりたいならやんないと進まないって河本にも言われたし。


ただ金属の作家さんのアシスタントは制作に繋がる部分もあるから続けてて、休みの日とかにドローイングとかやってて。

しばらくして、大学の教員の人からこういう展示あるけど出さない?って言われました。

それが3331アートフェアです。

あれで大学別でブースごとに作品出すコンペがあって、そこに出すってことになって。

卒業して作家やってる3人で出しました。



ーその時はもうこういう作風だったんですか?


工芸科あるあるだと思うんですけど、素材が最初に来ちゃうんですよね。

漆で作ることしかできなかったんですよ。

発砲スチロールを造形して、みたいな感じで。

塗装はその時からこういう感じでした!


強度のある立体物を作るっていうのが漆しかわからなくて。

ただ塗料はその時からビビットでマットでこの手触りのものあんまり見たことないからいいなって思ってて。

その時は筆とかローラーで塗ったりしてて。

試行錯誤して吹き付けられるようになって、テラコッタを使うようになって、今に至るんですよ。


アートフェア出したら、スパイラルやアシュペーのギャラリーの人に声かけてもらって。

そこから今の活動に至ります。ラッキーですよね。

その後にアナグラとかで展示するようになって幅も広がりました。



ー立体作品の元になるドローイングの線や形は、なにか具体的なものなのでしょうか。

それとも、頭の中に浮かんで気持ち良いなーって思う形を描いているんですか?


作品作ることっていうか、すべてのことに対してなんですけど、意外によく分かんないほうが、楽しかったりとか。

分かってないほうが面白かったりとか。

人間関係とかもそうだと思うんですけど。

男女も付き合ってるか付き合ってないときのほうが、楽しかったりするような感じで。

すごく、ハッキリさせることを求められてきたんですけど、そうじゃなくてもいいよな、と。


人によって見方が違っておもしろいというか。

だからそのままでもいいかなという感じで。

「花」とか「山」とか言っても、人によって想像するものが違うじゃないですか。

皆が、「花」っていったときの、それぞれ違うけど共通している部分があると思うんですけど、

その部分を作ってたりはします。


ー 開催中の“REPEAT”というテーマは、どのように浮かんできたのでしょうか。


これも深く考えて無いです。

今回の展示の為の制作で、同じ形をいくつか作ったり、繰り返す作業があったので。

繰り返すことは説得力があるなと思いました。



ー同じ形が並んでいたり、でも色や角度で印象が違ったり。とても気持ちの良い空間です。

ありがとうございました。







インタビューにもあったように、それぞれの感覚で自由にゆったりと楽しめる展示です。

ぜひ、会場にお越し頂き、作品と空間をお楽しみください。


高橋美衣 個展『REPEAT』

会期: 2022年4月8日(金)〜4月24日(日)

営業時間: 11:00〜20:00
会場: B GALLERY
住所: 東京都新宿区新宿3-32-6 BEAMS JAPAN 5F