サンタクロースを信じていますか?

大久保 マキ 2019.12.22

私には、サンタクロースを信じていた記憶がない。

小学生になってからも、サンタクロースを信じていた同級生の従兄弟がいたのだが、

「従兄弟には本当のことを言ってはいけないよ」と祖母にきつく言われたことがあった。

それが、私のサンタクロースについて持っている最も古い記憶だ。


©Disney

娘とクリスマスの絵本を読んでいると、小さいころのことを思い出す。

小さなツリーに白いわたをちぎってのせて、いろんな飾りをぶらさげた。

キラキラ光を灯す時にかすかにツリーが揺れて、サンタクロースに映った影が、ゆらゆらと美しかった。

私には、サンタクロースを信じていた記憶がない。

それでも赤い服を着た、白いひげのおじいさんの飾りはやっぱりすこしだけ特別だった



©Disney


まだ、いまいちサンタクロースを理解していない娘とクリスマスの絵本を読む。

クリスマスの絵本は、どれもやさしい。

絵本は、こどもにとってとてもやさしいものであるけれど、

そこにクリスマスという魔法がかかって、よりやさしくなっている。


娘が幼稚園で覚えてきたジングルベルを歌う。

一緒に歌っていると、「なんで知ってるの?」と聞かれた。

「そうだね、私もあねちゃんくらい小さい頃、とても好きな歌だったからかな。」

そう伝えると、娘は不思議そうな顔をして、すぐにまた笑って歌い出した。

外れた音程が愛おしい。

そういえば、クリスマスソングは好きだったな。

あわてんぼうのサンタクロースのちょっと切ない感じがたまらなかった。

そんなことを思い出した。



サンタクロースを信じていた記憶はない。

クリスマスに格段素敵な思い出もない。

だけど、こんなに懐古的になるのはやっぱりクリスマスだからだと思う。

いつもと少しちがう、街を包む空気。

いつもより少し、みんなが楽しそうな音。

いつもより少し。

その、いつもより少しが、いままでクリスマスを過ごした時間の分だけ私に降り積もっているみたいだ。

娘と絵本を読んだ時間も、口ずさんだクリスマスソングも、未来のクリスマスに向かってゆっくりと降り積もってゆく。



@Disney


おとなのクリスマスは良い。

歳を重ねるとは、こんなに美しいことなんだな。

いつも忘れてしまうこと、通り過ぎてしまうこと、そんなひとつひとつが魔法のように浮かんでくる瞬間。

今ならサンタクロースがなんなのか、すこしわかる気がする。

そして、サンタクロースはいるのだと信じられるような気がするのだ。



文中の絵本

「サンタクロースのしろいねこ」

「サンタクロースとあったよる」


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