ご機嫌いかがでしょうか、立川店の新井です。

パイピングニットジャケットというアイビーテイストを裏切るフレアパンツ。しかもレザーだし。
ドレススタッフなのに今までの人達とだいぶ違いますねってお店の若い子に言われました。良いのか悪いのかはそれぞれのご判断に委ねてしまいましょう。
本日は往年の名作ドラマのボート部のエグチパイセン気分でチャラい接客になってしまいそうです。
前回はかなり変化球なブログを作ってみましたが、読み返してみるとあまり面白くなかったのでドレススタッフらしい世界に誇れる商品を熱く語るブログでいってみようと思います。はっきり言ってデジタル売上やらフォロー数やらは一切気にしないし目もくれないリアル接客の為の渾身のドレススーツのお話。こればっかりは実際に着てみないと絶対にダメですからね。お店に足を運んで試着して欲しいお話。
多分ビームス全店の中でもで1番小さいです、立川のドレススーツコーナー。サイズの在庫は薄〜いので取り寄せ承ります。または試着申し込みをご利用下さい。

それでも驚く程に売上を作り出してくれる一角がこちらです。




Brilla per il gust/Ermenegildo Zegna ソリッドスーツ
カラー:グレー、チャコール、ネイビー
サイズ:42,44,46,48,50,52
価格:¥165,000(税込)
商品番号:24-17-0828-015
昨年も今年もこの2つの生地のスーツラインしか私は接客販売してないって事実が全てを物語っていると思います。
なんならこの2つの生地で色バリが3色づつ有ればこのコーナーは1年間充分に稼働する筈です。
世界に誇れるリングヂャケット製かつこのハイクオリティファブリックをこのプライスは全世界にドヤ顔出来るレベルと私は思ってます。このクラスの生地を使ってこれだけの縫製技術を使ってこの値段ははっきり言って反則のレベルです。他社様からクレームが来てもおかしくないです。なんならリングヂャケットさんの本家でもこのプライスでは出せていないのでは。有名な海外のテーラーでもリングヂャケット製は販売されてますが30万円前後になってるなんてお話もあるとか。
昨年9月に銀座で開催したリングヂャケットオーダー会で作ったブレザーが本当に良くて良くて。

追加で2着めもオーダーしちゃいましたから。

このお話はまた次にたっぷり致しましょう。
話を戻しますと、今までに見たドレススーツの中でも随一のハイプライス、ハイクオリティとなるのがゼニアとドーメルの生地を使ったこれらのリングヂャケット謹製スーツライン。とうとうオリジナルでもこれ程にすごい生地を使ってしまう時代になったのかーと。お客様にお勧めのスーツは?と聞かれたらこの2択以外は有りません、わたくしは。
スーツの良し悪しはほぼほぼ生地の良し悪しで決まるという人もいるでしょう。もう少し突っ込んだ話をすれば生地の特性を理解し活かすスタイリングパターンと、そのパターンを上手に形に出来る仕立ての技術の相性が良くなければ宝の持ち腐れになりかね無い。更に言うなら合わせる副資材の相性を見極めるセンスと経験値。
たまに生地だけやたらとイイのを使いながらもその他の資材やら縫製が残念な仕上がりのスーツを目にすると、やっぱり生地だけじゃあダメなんだよなーとつくづく思います。
前肩だのパーツ付けの手縫いだのの利点はスタッフみんな勉強してるので割愛しときましょう。お気軽に元寄りのビームススタッフをお尋ね下さい。


私的に語りたいのは別視点で、ハンガーに掛けてるだけでも見れば分かる、この背中の立体的な丸み、そしてアームホールのいせの丸み。
百貨店に出入りしてた時代にリベラーノさんとかのサルトの巨匠だったり銀座店の渡辺師匠に質問すると、皆さん必ず仰っていたのは、ジャケットの要はどれだけネックポイントを中心として放射的に背中を覆う様にジャケットの生地の重みが均等に散らせるかだと。それにより長時間着ていても疲れない、動き易い極上の着心地が生まれるのだと。
歳を重ねた歴戦の紳士の方々は皆さん背中が大きく厚いんです。この感覚は店頭で常に紳士の方々を接客しているスタッフなら分かるはず。そしてその紳士が羽織って1番響くのは勿論リングヂャケット謹製ジャケット。
このリングヂャケット謹製のジャケットを着ると分かる背中を覆い包む着用感。この感じを国内の量産縫製工場で作り出せるトコは他さんではそうそう見た事ないですね。
ゼニアの極上の柔らかい生地を綺麗にかつ特徴を最大限に活かす形に縫える工場はやっぱりリングさんなんですよねー。結局生地柔らかいのに綺麗に縫いやすくする為に肩周りが硬くなっちゃうのとか、フロントのラペルの返りが生地に合わせて柔らかく縫ったは良いが時間が経つとベローンって汚く反っちゃったりしちゃうんですよね、上手く縫えてないと。
この20年近くで数えるだけでも10数社のビームスのドレススーツを見てきましたが、やっぱりこれだけの立体的な覆い包む仕立てと日本ならではの緻密な縫製とか共存するのってリングヂャケットが随一に感じてます。そしてちゃんと技術を維持したまま残ってる工場さんとしても。

しつこくてすみません。でもこのラペルフロントやらダーツやら袖シームやらベントステッチやらが、最近じゃコスト削減で無しにしてるかマシーンステッチが横行するこのご時世でリングヂャケットさんは全てハンドステッチという神対応。


ボタンホールの先メス手縫いもマシーンや直し工房では表現出来ない繊細かつ上品な柔らかさ。


ぜーんぶステッチはハンドなので特有の立体的かつ独特の柔らかい雰囲気が極上の生地とまた相性抜群なんです。
お値段は13〜15万と高額の部類にはなりますが、皆様リモートワークも定着してここぞのスーツでドレスアップは週1とか月1とかで出番は減った分だけより長く着れる大切に出来るより良い物をお求めなので爆発的に売れるのも納得です。1,2ヶ月でネイビーカラーは早々に品切れするという動向をこの数シーズン繰り返してます。スーツ離れを言われるこのご時世でありがたい事です。
なので早速レーベルディレクターにまた企画おねだりしちゃいました。とにかくこれだけのウチのドレスコーナーの顔たる企画をもっとお客様にご紹介しやすい様に企画提案してます。来年にはお目見え出来る様にきっと商品チームは頑張ってくれる筈と信じてます。
売り場がすべきはその企画商品が必ず結果を出せる様に、若手スタッフも自信を持って販売出来るよう教育をしていかなくてはいけません。何なら女性スタッフも販売出来ちゃったら相当にカッコいいですよね。
先日も東京中のドレスセレクトショップやら百貨店のスーツフロアやらをリサーチしてみましたが、やっぱりこんな素晴らしいスーツがこれだけのコストパフォーマンスで展開されてるのはビームスだけだと思います。新井調べで断言出来るほど確実では有りませんが。
でもやっぱりこれだけ素晴らしいのなら、昔みたいにサンローラン風やらとかレノマ風とかイタリアンスタイル一辺倒じゃない大人も着たくなる新型スーツをリングヂャケット謹製で展開してくれないかと期待しちゃいますね。
今回の私の提案が成功した暁には、今のビームスドレスには無い新しいドレス企画を張り切って絵型から作って提案しちゃおうかと目論んでます。でもせっかくなら自分でやる時の為にとっておくかも知れませんが。
表題は64年にニューヨークで誕生したフォークデュオ、70年発表の永遠の名作バラード。
誰にでも当てはまる様な非常に抽象的な歌詞表現ながら、綴られるメッセージは思う君への助けになりたいと言う慈悲の気持ち。
荒れる河の流れを渡る橋の様に、僕は望んで身を投げ出す事が出来るんだ。
ビームスが世界に誇れる程のクオリティをスーツとして提供して頂いているリングヂャケットファクトリーという存在。それはきっとこの歌の様に明日に架ける橋の様な存在だと信じてます。
それでは立川で会える日を願って
新井