昼も夜も忙しく過ごしている人が、もっとも自分らしくいられる時間。限られた時間だからこそ、好きなことや大切なことに向き合えるし、普段出会えない人との交流が生まれたり、ライフスタイルが豊かになります。そんな「朝活」を自然と楽しんでいる人たちをフォーカスしたB:MING by BEAMSの連載企画。第7回は、フラワーアーティストの前田有紀さん。出産を機に大好きな自然に囲まれた郊外に移住。花と暮らす生活に密着しました。

Photo_Ayumi Yamamoto
Edit&Text_Masayuki Ozawa

“朝が早くてハードでも、花が好きな気持ちが上回っています”


Q:前田さんの朝の過ごし方を教えてください。

「そうですね、とてもバタバタしています(笑) 店舗をもっている訳ではないので、その時々のお仕事に応じた必要なお花を考え、早朝に市場に行って仕入れています。スタッフのみんなと交代で、私は週にだいたい1〜2回市場に行くので、その日は4時半に起きて、自宅のある鎌倉から1時間半ほど車を走らせています。夜は子どもを寝かしつけながら自分も一緒に寝てしまったりするので、基本的に睡眠はしっかりとっている方だと思います。また、運転中は気が張っているので、そんなに眠くなることはありません。車の中ではいろんなことを考えたり、ちょっと気持ちを切り替えたり、大切な自分一人の時間になっています。新聞をゆっくり読んだり、テレビでニュースをチェックする時間もあまりないので、ラジオを聴いて情報を収集することも多いですね」


Q:ライフワークバランスを意識していますか?


「会社員の時は、受け身な姿勢だったなと思うんですけど、自分で選んで今の仕事を始めたのでやりがいはあるし、忙しくても自分が主導権を握っているという気持ちはすごく強いです。本当にお花が好きなので、不規則でも、朝が早くてもちょっと好きな気持ちが上回っている、って感覚です。あと、朝早く仕事が終わって時間があるときは、スタッフのみんなと展示会をまわったり、美術館へ行ったりとか、そういう気分転換を取り入れるようにして、自分の時間だと思うようにしています」


Q:一方でお子さんとの、家族との時間を作るのが大変そうですが?


「子どもに関することは主人と協力し合っています。私が市場に行く日は主人が、そうでない日は私が朝ごはんや保育園への送り迎えをしてから仕事場に向かっています。ただ、自宅にちょっとしたアトリエがあるので、そこで作業を済ませたり、テレワークで仕事をする日もあります。週末は、2日間のうちのどちらかは休むようにして、家族の時間を過ごしています。私、コーヒーがすごく好きなんです。だから朝は、主人と豆を挽いてコーヒーを淹れてゆっくりすることが多いですね。私の自宅は、最寄りの駅から30分以上も歩いた山の中にあるんです。360度緑に囲まれた、気持ちのいい風が吹き抜ける場所にぽつんと建っている感じなので、その周りをのんびりと散歩したりしています」



Q:転職と移住は、とても大きな決心だと思います。そこまでして花や自然が好きになったのはどうしてですか?


「子どもの頃からお花が好きだったんです。小学校から満員電車で通学していたので、かなり都会の中で生きてきた感覚がありました。だからこそ、映画に出てくるような木々や花があまり身近ではない育ち方をしていたので、憧れが強かったんです。自然が恋しい、というか自然にふれたいとずっと思っていたので、小さい頃に母が花を買ってきてくれるとすごく嬉しくて。その気持ちは前職(アナウンサー)の頃からずっとあったので、人生は一度きり、本当にやりたいことを仕事にしようと決めました。花の仕事をしていると、冬になると本当に手が荒れます。最初の頃は赤切れだらけの手が恥ずかしいという気持ちもありましたが、今では好きなことをやれている手ですから、それも結構悪くないぞ、と思えるようになりました」

“都会の中で、花を飾る人が増えるきっかけを作りたい”


Q:どんなお花が好きなんですか?

「自宅のまわりを散歩していると、雑草のようになんてことなく咲いているお花が可愛かったりして。だから野草が好きですね。市場で買うときも、枝振りが変わっていたり、個性がある花にキュンときてつい手を伸ばしてしまうんです。一本一本違うところにすごく愛おしさを感じるので、ユニークなものとか、みんなと一緒じゃないよと言っているかのようなお花を選んでしまいますね。その日、市場で出会った花との一期一会を楽しみ、組み合わせることに魅力を感じています」


Q:お花の仕事に欠かせないインスピレーションがありますか? またはその逆、お花が日々の生活に与える影響はありますか?


「街の中にある、ありとあらゆるものがすごくヒントになっています。中でもファッションはすごく好きなので、服や色のトレンドから作品の世界観を決めることも多いです。そして、花から感じる四季を大切にしています。もし、男性が女性にプレゼントするなら、旬の花をあげると喜ばれると思います。部屋の中で季節を感じられたり、嬉しくないですか?」


Q:花に関わる仕事を始めて7年と伺いました。今後の目標を教えてください。


「お花の仕事をしていると、お花に興味がない人ってまだまだたくさんいるんだなと実感するんです。私自身、花があることで暮らしがよりよいものになり、すごく元気をもらっているので、もっと多くの人に花の魅力を知ってもらえるようにやっていきたい。自然の少ない都会でも花を飾る人がたくさんいて、街が花であふれるようになったらいいなとすごく思います」



Q:最後に、花のある朝のよいところってなんですか?


「やっぱり空間が明るくなりますよね。そして朝、水を替えるときに花に触れてしっかり整えるって、とても気持ちのいい習慣だと思うし、その日がすごくよい1日になると思うので「1日が楽しくなる」ところですね」

【 WEAR ITEMS 】
ジャケット ¥15,000+tax セットアップ ¥11,000+tax ネックレス ¥2,900+tax、全て<ビーミング by ビームス>

前田 有紀
YUKI MAEDA


10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いからイベントやウェディングの装花や作品制作など、様々な空間での花のあり方を提案する。2018年秋に自身のフラワーブランドguiを立ち上げる。
HP:gui〜flower and life〜

前田 有紀
YUKI MAEDA


10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いからイベントやウェディングの装花や作品制作など、様々な空間での花のあり方を提案する。2018年秋に自身のフラワーブランドguiを立ち上げる。
HP:gui〜flower and life〜

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