

「ビームス プラネッツ リミテッドストア 下北沢」は、旅する〈BEAMS Planets〉の安息の家。
酒も軽食も楽しめるこの店でこのたび、
牛革づくりで全国ナンバーワンの兵庫県にフォーカスしたイベントを開催しました。
日本レザーの魅力をお伝えする4日間。お客様をお迎えしたのは、
同県でレザーづくりに従事するプロの職人たち。
カジュアルな下北沢の街の空気とリンクする、
野外フェスのようにリラックスしたひとときを本記事でお届けします。
( 編集・執筆:一史 )

「ビームス プラネッツ リミテッドストア 下北沢」は、
旅する〈BEAMS Planets〉の安息の家。
酒も軽食も楽しめるこの店でこのたび、
牛革づくりで全国ナンバーワンの
兵庫県にフォーカスしたイベントを開催しました。
日本レザーの魅力をお伝えする4日間。
お客様をお迎えしたのは、
同県でレザーづくりに従事するプロの職人たち。
カジュアルな下北沢の街の空気とリンクする、
野外フェスのようにリラックスした
ひとときを本記事でお届けします。
( 編集・執筆:一史 )



兵庫県が日本有数の牛革の産地ってご存知でしたか?約200社ものタンナー(レザーのなめし業者)が集う土地です。そもそも日本でレザーがつくられていること自体あまり知られていないかもしれません。そこで伝統文化を未来につなげるビームスのプロジェクト『Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING』が約3年前に、この〈HYOGO LEATHER〉と取り組みをはじめました。ブランドロゴをビームスが手掛け、服とグッズをオリジナルで製品化。このたびのイベントで店に並んだ品も、〈HYOGO LEATHER〉を使った〈BEAMS Planets〉のアイテムです。タンナーと大手ファッションレーベルが顔を合わせて製品づくりするのは、職人たちもほぼ初めての経験だそう。


〈HYOGO LEATHER〉の主たる個性は、人工的でない自然な風合い。牛革本来の味わいを活かした仕上がりです。長く愛用できる丈夫さと、使ううちに増していく奥深いニュアンスは、日本のレザーがまじめにつくられていることの証。等身大な日常生活に馴染むレザーです。 例えば、上写真のミニウォレット。ビームスのスタッフが愛用している私物の色を見れば、魅力を感じていただけるのでは?店に並んだ新作とは別商品なのですが、エイジングがカッコいいのはどちらも同じ。さらにこのウォレットは、たっぷりのカード類、わずかな小銭とお札まで入るスーパー収納力の持ち主。スマホやカードで支払うのが主流の現代的な発想と、伝統の〈HYOGO LEATHER〉との出会いです。

タンナーってどんなお仕事?

固くなったり傷んでしまう生皮を、植物性の液体に浸けたり「皮」から「革」へと変える仕事です。牛一頭分の革をつくるのに染色も含め約1.5〜2トンもの水が必要で、歴史的にタンナーは川沿いに工場を設けてきました。


贅沢なレザーウェアのバリエーションも増えました。大人女性に評判なのはショート丈でフレンチテイストのカーディガン。男性にはポケットTシャツが人気です。どちらも男女を問わないジェンダーレスタイプ。すべてのレザーウェアは実用的なポケットつきで、裏地は肌に優しいコットン。さらになんと、どれもウォッシャブル!水に弱い印象があるレザーが洗えるとなれば、着る頻度もアップするというもの。古い時代にはデニムと同様のワークウエアだったレザーを、気軽に着るデイリーユースのご提案です。


兵庫県が日本有数の牛革の産地ってご存じでしたか?約200社ものタンナー(レザーのなめし業者)が集う土地です。そもそも日本でレザーがつくられていること自体あまり知られていないかもしれません。そこで伝統文化を未来につなげるビームスのプロジェクト『Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING』が約3年前に、この「ひょうごレザー」と取り組みをはじめました。ブランドロゴをビームスが手掛け、服とグッズをオリジナルで製品化。このたびのイベントで店に並んだ品も、ひょうごレザーを使った〈ビームス プラネッツ〉のアイテムです。タンナーと大手ファッションレーベルが顔を合わせて製品づくりするのは、職人たちもほぼ初めての経験だそう。

〈HYOGO LEATHER〉の主たる個性は、人工的でない自然な風合い。牛革本来の味わいを活かした仕上がりです。長く愛用できる丈夫さと、使ううちに増していく奥深いニュアンスは、日本のレザーがまじめにつくられていることの証。等身大な日常生活に馴染むレザーです。 例えば、上写真のミニウォレット。ビームスのスタッフが愛用している私物の色を見れば、魅力を感じていただけるのでは?店に並んだ新作とは別商品なのですが、エイジングがカッコいいのはどちらも同じ。さらにこのウォレットは、たっぷりのカード類、わずかな小銭とお札まで入るスーパー収納力の持ち主。スマホやカードで支払うのが主流の現代的な発想と、伝統の〈HYOGO LEATHER〉との出会いです。
タンナーってどんなお仕事?
固くなったり傷んでしまう生皮を、植物性の液体に浸けたり「皮」から「革」へと変える仕事です。牛一頭分の革をつくるのに染色も含め約1.5〜2トンもの水が必要で、歴史的にタンナーは川沿いに工場を設けてきました。
贅沢なレザーウェアのバリエーションも増えました。大人女性に評判なのはショート丈でフレンチテイストのカーディガン。男性にはポケットTシャツが人気です。どちらも男女を問わないジェンダーレスタイプ。すべてのレザーウェアは実用的なポケットつきで、裏地は肌に優しいコットン。さらになんと、どれもウォッシャブル!水に弱い印象があるレザーが洗えるとなれば、着る頻度もアップするというもの。古い時代にはデニムと同様のワークウエアだったレザーを、気軽に着るデイリーユースのご提案です。

今回のイベントの目玉のひとつが、1980年代から日本に住み続けるイギリス人、トニー・クロスビー(Tony Crosbie)さんによるワークショップ。ファッション&グッズデザイナー、スタイリストなど多才な彼がトート&ショルダーバッグづくりを指導しました。参加者が自ら革を切り抜き、穴を空けて縫うプロセス。切りっぱなしの端がほつれないレザーだからこそできるラギッドなモノづくりです。 日本語が達者な彼は周囲の人を笑わせ続けるギャグマンですが、指導のときはやや真剣な眼差し。「どうする?定規で線引く?このまま切っちゃう?」と参加者のやり方に寄り添いつつ、プロの顔を見せていました。
今回のイベントの目玉のひとつが、1980年代から日本に住み続けるイギリス人、トニー・クロスビー(Tony Crosbie)さんによるワークショップ。ファッション&グッズデザイナー、スタイリストなど多才な彼がトート&ショルダーバッグづくりを指導しました。参加者が自ら革を切り抜き、穴を空けて縫うプロセス。切りっぱなしの端がほつれないレザーだからこそできるラギッドなモノづくりです。 日本語が達者な彼は周囲の人を笑わせ続けるギャグマンですが、指導のときはやや真剣な眼差し。「どうする?定規で線引く?このまま切っちゃう?」と参加者のやり方に寄り添いつつ、プロの顔を見せていました。

牛革が兵庫で全国80%も生産されるワケは?

京都や大阪が経済の中心だった時代に、農作業の家畜として牛が使われ飼育が盛んだったから。土地が広く「なめしの発祥」とされる河川の「市川」が海に流れていたから(水が適していた)。なめしに欠かせない塩が近隣の瀬戸内海で採れたから。なめしの技術は朝鮮半島を経由して伝わり、西日本から北方に向けて広がる途中で兵庫県がベストな土地だったから。などなど。

牛革が兵庫で全国80%も
生産されるワケは?
京都や大阪が経済の中心だった時代に、農作業の家畜として牛が使われ飼育が盛んだったから。土地が広く「なめしの発祥」とされる河川の「市川」が海に流れていたから(水が適していた)。なめしに欠かせない塩が近隣の瀬戸内海で採れたから。なめしの技術は朝鮮半島を経由して伝わり、西日本から北方に向けて広がる途中で兵庫県がベストな土地だったから。などなど。


〈BEAMS Planets〉のディレクターで『Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING』主催でもある佐藤幸子(さとう・さちこ)は、〈HYOGO LEATHER〉と深く関わる理由についてシンプルに、「出会ったから」と語ります。素敵な人と出会い、サポートする“人つながり”が活動の原動力のようです。同じ感情をお客様ともシェアしたい望みから、職人らを兵庫から招き対話の場を用意しました。ゆっくりとプロたちの話を聞ける買い物体験です。 上写真でトニーさんが手に持つトートは、2種類のレザーのコンビネーション。別々のタンナーのレザーをミックスしています。実はバッグの両端にいる男性2名が、この2社の代表(写真左端は佐藤)。兵庫のタンナー同士が下北沢で顔を合わせ、しかもふたりは以前からの仲良し。モノづくりの現場の空気が店内に流れるユニークな4日間になりました。

上写真右が、「松本皮革製造所」の松本智和(まつもと・ともかず)さん、左が「森本商店」の森本拓也(もりもと・たくや)さん。おふたりとも先代を引き継ぎ職人を抱えるタンナー会社の代表です。ライバル同士かと思いきや、「同じタンナーでも扱う品が違うから、いがみ合うことはありません。僕は工業用の靴専門で、森本さんは女性用の靴専門。取引相手も異なりますし、タンナーの感覚からするとまったく別のジャンルなんです」と松本さん。彼のレザーは防衛省や消防庁の職員らが履く安全靴などに使われる頑丈なもの。一方で森本さんのレザーはしなやかで、パンプスに合う風合い。2種類の個性をひとつの製品に重ねたデザインは、ディレクターの佐藤が現地のタンナーを訪問して生み出したアイデアです。

「ビームス プラネッツ リミテッドストア 下北沢」に集ったタンナー会社の代表たちがこぞって「僕らをまとめてくれる素晴らしい人」と褒め称えるのが、「兵庫県皮革産業協同組合連合会」の副会長であり「中田製革所」の代表でもある中田裕史(なかた・ひろふみ)さん。ここのコラムに載せたレザーの豆知識も、多くが中田さんに教えていただいたものです。まさしく〈HYOGO LEATHER〉の歴史に精通するプロフェッショナル。そんな中田さんに、日本のレザーが世界に誇れる点を尋ねてみました。お答えは以下の通り。「一番は安心安全なことでしょうか。国、県、市の補助を得てレザーのなめし工程で出る汚れた水の処理施設をつくり、きれいな水だけを川に放流しています。日本人のまじめなモノづくり気質はタンナー業界でも同じです。『それどこの革?』と聞かれて『兵庫だよ』と答える日常会話が成り立つ世の中になってくれることを願っています」

〈HYOGO LEATHER〉の商品開発の要であるディレクターの佐藤が目指すのは、衰退するかもしれない文化や産業にスポットを当て、未来へとつなげていくこと。「モノを売ってきたビームスが、つくり手に気持ちを向ける試みです。逆方向からファッションを見つめ直すプロセスでもあります。今回のイベントの取り扱いアイテムでは、6社のタンナーさんとお仕事しました。裏テーマのひとつに、『牛肉を食べるわたしたちがレザーをどう考えるか』があります。〈HYOGO LEATHER〉の原皮の多くはアメリカからの輸入ですが、食肉用の副産物である皮しか使いません。レザーのあり方についてアパレル界でさまざまな意見があるなかで、『皆が牛肉を食べるいま無駄のないモノづくりをして、レザー生産者の生活も守りたい』というのがわたしの考え。店に来ていただいたお客様にも同じ気持ちを感じていただけたら、これほど嬉しいことはありません」

食肉用の余った皮だけってホント?

輸入の原皮も、神戸牛などの国産原皮も、〈HYOGO LEATHER〉はすべて食べるために飼育された牛の皮です(世界の共通認識でも、皮のためだけに育てられる牛はいないとされています)。ほかに利用価値のない皮や、肉は美味しくても薄くなめしにくい和牛の皮を、兵庫のタンナーは最上級のレザーにすべく日々取り組んでいます。


〈BEAMS Planets〉のディレクターで『Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING』主催でもある佐藤幸子(さとう・さちこ)は、〈HYOGO LEATHER〉と深く関わる理由についてシンプルに、「出会ったから」と語ります。素敵な人と出会い、サポートする“人つながり”が活動の原動力のようです。同じ感情をお客様ともシェアしたい望みから、職人らを兵庫から招き対話の場を用意しました。ゆっくりとプロたちの話を聞ける買い物体験です。 上写真でトニーさんが手に持つトートは、2種類のレザーのコンビネーション。別々のタンナーのレザーをミックスしています。実はバッグの両端にいる男性2名が、この2社の代表(写真左端は佐藤)。兵庫のタンナー同士が下北沢で顔を合わせ、しかもふたりは以前からの仲良し。モノづくりの現場の空気が店内に流れるユニークな4日間になりました。
上写真右が、「松本皮革製造所」の松本智和(まつもと・ともかず)さん、左が「森本商店」の森本拓也(もりもと・たくや)さん。おふたりとも先代を引き継ぎ職人を抱えるタンナー会社の代表です。ライバル同士かと思いきや、「同じタンナーでも扱う品が違うから、いがみ合うことはありません。僕は工業用の靴専門で、森本さんは女性用の靴専門。取引相手も異なりますし、タンナーの感覚からするとまったく別のジャンルなんです」と松本さん。彼のレザーは防衛省や消防庁の職員らが履く安全靴などに使われる頑丈なもの。一方で森本さんのレザーはしなやかで、パンプスに合う風合い。2種類の個性をひとつの製品に重ねたデザインは、ディレクターの佐藤が現地のタンナーを訪問して生み出したアイデアです。
「ビームス プラネッツ リミテッドストア 下北沢」に集ったタンナー会社の代表たちがこぞって「僕らをまとめてくれる素晴らしい人」と褒め称えるのが、「兵庫県皮革産業協同組合連合会」の副会長であり「中田製革所」の代表でもある中田裕史(なかた・ひろふみ)さん。ここのコラムに載せたレザーの豆知識も、多くが中田さんに教えていただいたものです。まさしく〈HYOGO LEATHER〉の歴史に精通するプロフェッショナル。そんな中田さんに、日本のレザーが世界に誇れる点を尋ねてみました。お答えは以下の通り。「一番は安心安全なことでしょうか。国、県、市の補助を得てレザーのなめし工程で出る汚れた水の処理施設をつくり、きれいな水だけを川に放流しています。日本人のまじめなモノづくり気質はタンナー業界でも同じです。『それどこの革?』と聞かれて『兵庫だよ』と答える日常会話が成り立つ世の中になってくれることを願っています」
〈HYOGO LEATHER〉の商品開発の要であるディレクターの佐藤が目指すのは、衰退するかもしれない文化や産業にスポットを当て、未来へとつなげていくこと。「モノを売ってきたビームスが、つくり手に気持ちを向ける試みです。逆方向からファッションを見つめ直すプロセスでもあります。今回のイベントの取り扱いアイテムでは、6社のタンナーさんとお仕事しました。裏テーマのひとつに、『牛肉を食べるわたしたちがレザーをどう考えるか』があります。〈HYOGO LEATHER〉の原皮の多くはアメリカからの輸入ですが、食肉用の副産物である皮しか使いません。レザーのあり方についてアパレル界でさまざまな意見があるなかで、『皆が牛肉を食べるいま無駄のないモノづくりをして、レザー生産者の生活も守りたい』というのがわたしの考え。店に来ていただいたお客様にも同じ気持ちを感じていただけたら、これほど嬉しいことはありません」
食肉用の余った皮だけってホント?
輸入の原皮も、神戸牛などの国産原皮も、〈HYOGO LEATHER〉はすべて食べるために飼育された牛の皮です(世界の共通認識でも、皮のためだけに育てられる牛はいないとされています)。ほかに利用価値のない皮や、肉は美味しくても薄くなめしにくい和牛の皮を、兵庫のタンナーは最上級のレザーにすべく日々取り組んでいます。

HYOGO LEATHER(ひょうごレザー)
兵庫県の豊かな自然から生み出されてきた革は国産レザーの約8割を占め、その品質や機能性は国内外から高く評価されています。〈HYOGO LEATHER〉は、“レザーの聖地”兵庫エリアにある、たくさんのなめし工場と歴史ある職人技術を持つタンナーによって、それぞれの得意分野で生産された多様性に溢れる“革”となって届けられています。
https://www.hyohiren.or.jp/product/index.html
HYOGO LEATHER
(ひょうごレザー)

兵庫県の豊かな自然から生み出されてきた革は国産レザーの約8割を占め、その品質や機能性は国内外から高く評価されています。〈HYOGO LEATHER〉は、“レザーの聖地”兵庫エリアにある、たくさんのなめし工場と歴史ある職人技術を持つタンナーによって、それぞれの得意分野で生産された多様性に溢れる“革”となって届けられています。
https://www.hyohiren.or.jp/product/index.html












