2020.07.01
ロンドンの名門<Domino>より、またしても傑作がリリースされました。UKソウルの新星ニルファー・ヤンヤのプロデュースや、バイオリニスト/SSWで人気を集めるスーダン・アーカイブスとのコラボレーションでも知られるロンドンの才人、ウィルマ・アーチャー(Wilma Archer)の1stアルバム『A Western Circular』です。 Slimeという名義で、<Domino>傘下の<Weird World>から2015年にリリースしたアルバム『Company』でも大きな話題を呼んでいた人物なのですが、それ以前のキャリアも濃厚です。音楽に目覚めたきっかけは、幼少期によく訪れていた父親のコーヒー工場での機械音だそうで、機械のリズムからということなのか、はっきりとした理由はわかりませんが、それを機にドラムを独学で習得。その後、ウッドベースやサックス、ギター、ピアノなど多くの楽器も自身でこなすマルチプレイヤーへと成長(今作でもほとんどの楽器を自身で演奏しています)。そして10代の終わりには、イギリスを代表する国立現代美術館テート・ギャラリーでパフォーマンスを敢行するという偉業を成し遂げています。 そんな彼のキャリアや個性が際立つ本作。フランク・ザッパから清水靖晃、ロバート・ワイアットやアーサー・ラッセルといった先人達をリファレンスとして掲げ、ジャズ、R&B、ヒップホップ、ソフトロック、エレクトロミュージックを独自の美意識で混交させたスタイルを聴かせていきます。特にストリングスによる演出が絶妙で、エレガントで怪しげな雰囲気を醸し出すと同時に、映画音楽的な奥行きも生んでいます。スーダン・アーカイブスやサムエル・T・へリングなどゲスト陣による歌心も素晴らしく、ラストまであっという間に聴き入ってしまいます。