こんにちは、矢藤です。
本日はミニマルテクノ界に於ける首領Ricardo Villalobos (リカルド・ヴィラロボス)とAmbiq Trio の創設メンバーであり、 Arjunamusic Recordsの創立者でもあるSamuel Rohrer(サミュエル・ローラー)が共作したアルバム『Microgestures』を御紹介致します。

Ricardo Villalobos & Samuel Rohrer / Microgestures <ArjunaMusic>
価格:¥¥4,510-(税込)
商品番号:29-67-0129-526
初めにこの固有名詞の羅列で彷彿とするのは同じくAmbiq Trio のメンバーMax LoderbauerとRicardo Villalobosの共作やVILOD名義の作品が過ぎったりもしますが、 勿論異なる性質のサウンドです。
視聴時の第一印象はミニマルテクノ味全開の印象ですが、後味でクラウトロック味が押し寄せてきます。
そこで自分のライブラリーから立ち上がってきたのが、83年リリースのMoebius-Plank-Neumeierによる名盤『ZERO SET』の楽曲群の質感です。
個人的に凄い好きな作品で、時代性を感じさせないアノニマスであり、タイムレスな作品です。 サブスクとかにもあるので気になる方は是非!
そうした今回の『Microgestures』と共通してあげられるのがアウトフレーム(輪郭)は律儀で硬質なサウンドでありながらも、マシン・ビートにない身体性のある生ドラムとミニマルテクノの規則性との組み合わせ、そしてそこから自然発生する有機的な揺らぎがあるのだと思います。
普段は洋服屋で働いているので、同じ構造をファッションの分野に置き換えると、2000年始めのミウッチャ・プラダの<PRADA>や<MIUMIU>によくリリースされた、バッグやウェアのヴィジュアル(輪郭)はフューチャリスッティックだけど、使ってる素材はナイロンにまさかのリアルスエードみたいなそこのハイブリッドの匠さが通底していると思います。
はたまたバウハウス文脈に於ける建築家/デザイナーのCharlotte Perriand(シャルロット・ペリアン)のスチール製のフレームと木を組み合わせた『スタンダードチェア』の精神性と表象としてのハイブリッドさも同じ脈があります。
実際に87年に逝去したPlankに捧げた2007年に発表された同作の続編『Zero Set 2』を再構築した作品『Zero Set 2 Reconstruct』をRicardo Villalobosらはリリースしていたり、Mobeiusと同じバンドのKlusterの結成当時のメンバーであったConrad Schnitzlerの傑作「Zug」をRemixしたりと、確実にこの年代の周辺のサウンドが含有していると感じました。
彼のパーソナルなプロフィールも探るとRicardo Villalobmsの中学生の頃にはDepeche Modeに傾倒していたというところからもKraftwerk文脈が垣間見え身近にクラウトロックが同居していたのが分かります。
棲み分けは気にせず、デトロイト、ベルリンテクノ好き、クラウトロック好きに必聴な一作です。