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Everything Is Recorded

【限定レッド・ヴァイナル仕様LP】Everything Is Recorded / Temporary〈XL Recordings〉
価格:¥4,950(税込)
商品番号:29-67-1325-813

Everything Is Recorded / Temporary〈XL Recordings〉
価格:¥2,750(税込)
商品番号:29-68-0501-813


<XL Recordings>

Radiohead、Sigur Ros、Adele、近年ではKing Krule、Fontains D.C.など、インディレーベルでありながら多くの大物アーティストを抱え、常にヒット作品を生み出し続けている、音楽好きには不可欠なロンドン発のレーベルです。

イギリスの最王手インディレーベル、<Beggers Banquet Records>によるグループ<Beggers Group>からのバックアップを経て、1989年に創業。1993年リリースのProdigyによる3rdアルバム『The Fat Of The Land』で大きく売上を伸ばしたことを皮切りに、ダンスミュージックで躍進を始めますが、00年代に入ると今度はフォークやロック、ヒップホップなどにも手を伸ばし、White Stripesにより今度はインディ・ムーブメントの中心的存在となりました。上述の若手アーティストらの他にも、古くはBasement Jaxxなど、彼らの才能にいち早く気付きバックアップする姿勢も素晴らしい限りです。

そんな同レーベルの創業者Richard Russell(リチャード・ラッセル)がスタートさせたプロジェクト"Everything Is Reorded"。彼の人望の厚さによって成立する豪華ゲスト達の集いと、Gil Scott-Herron、Damon Albernらのプロデュースを手掛ける彼自身のセンスから生まれる、このスペシャルな企画の最新作がリリースされています。

今回は自身の友人や家族、同僚の喪失や悲しみを中核のテーマにしながら完成。ダブステップなど、クラブミュージックの側面が強かったこれまでに対して、今回はメロディアスで柔らかな楽曲を多く揃えています。ただし、一筋縄ではいかないのがまさに彼の手腕。フォークを80年代のレゲエのようにデジタル化させる(!?)という実験的な試みも同時に行っています。フォークの代表的人物、Nick Drakeの母であるMolly Drakeの楽曲など、トラックの中にサンプルのループやミュージック・コンクレートのような仕掛けを施しています。まるで回想に耽っているような甘さと、未知な展開による刺激との交錯。さらに耳に残るメロディラインや、リズムの気持ち良さも重なった非常に興味深い内容になっています。

Richard Russellのセンスに改めて驚かされますが、そんな彼のアーティスト性によって、同レーベルが素晴らしくあり続けているということも再認識出来ますね。これからもよろしくお願い致します!

walking on the "left"side



【2LP】Nicolas Jaar / Piedras 1 & 2〈Other People〉
価格:¥6,820(税込)
商品番号:29-67-1317-526

2011年にフランスの<Circus Company>よりリリースされたデビューアルバム『Space Is Only Noise』で世界中から高い評価を受け、さらにバンドDarksideのリーダーとして、またミックスエンジニアとしても活躍するNicolas Jaar(ニコラス・ジャー)による最新アルバムがリリースされました。近年ではFKA TwigsやAli Sethiらとのコラボを続けてきた上に、自身の作品ではエクスペリメンタルに接近したものが続いていました。今回もやはり実験的ではありつつ、『Sirens』以来のポップさも光る一枚となっております。

そもそも本作は、自身の出身であるチリはサンディエゴにある、記憶と人権の博物館でのライブの為に2020年に制作したものと、Telegramで展開されたラジオ劇『Archivos de Radio Piedras』でのサウンドトラック用にも書き下ろしたものをまとめた2枚組LPとなっています。ともに同国の現代史を描いた政治的な内容となっていますが、彼の表現の上で重要なテーマとなっていることは過去作からも伺えます。

アンビエント~レゲトン~エレクトロポップ~ドラムンベース/テクノ~チリの舞踏音楽クエカなど今回もジャンルの幅広い混交が素晴らしいのですが、やはり"沈黙"を巧みに使って、音の立体感と幽玄さを演出する技術には脱帽です。無音のようでいて可聴域ギリギリの低音が薄く出ていたりするんですよね。だからといってと言うべきか、だからこそと言うべきか、キックがメインになるラウドなダンストラックもやはり秀逸なのです。また、瓶の栓を抜いた時のような音や雷のようなノイズなど、独特の音色が沢山聴こえてくるのですが、そのどれもが気持ち良いのです。さらに各パートの録音の仕方も明らかに普通ではないことが窺い知れるのですが、今回は割愛します。人間の聴覚を通して快感を得るポイントをとにかく研究し続けているのでしょう。

両親からレフトフィールドなものを目指すようにと言われていたそうですが(彼の父親は、写真家、建築家など多彩な活動を行うアーティストAlfredo Jaar)、ここまで拘り切った上にかっこ良い楽曲を作れるというのは驚異的です。憧れるー。

アイコン



【LP】Butterfly (Vincent Gallo & Harper Simon) / The Music of Butterfly〈Family Friend Records〉
価格:¥9,020(税込)
商品番号:29-67-1344-813

Vincent Gallo(ヴィンセント・ギャロ)。アイコンが遂に姿を現してくれましたね。

シングル・ライダースにスキニー、発色の良い赤いブーツ。何度もかき上げるオールバックヘア。フィルムの粗い映像と特異な画面構成。自身の楽曲からYes、King Crimsonの引用など、細部の細部にまで美学の詰まった映画『Buffalo'66』。John Fruscianteの楽曲を中心に哀愁を漂わせながら、過去の罪悪感に苛まれていく主人公を描いたロードムービー『Blown Bunny』。共にどこまで同情出来ているのか良くわからなくなる、ナルシシズムたっぷりの内容はさておき、唯一無二の世界観と美しさにどれだけ多くの男性が夢中になったことでしょう。結局映画監督は廃業してしまい、俳優としての活動が中心になりますが、最近では映画『トジコメ』以降どうしているのか多くの方も気になっていたところだと思います。

音楽活動の面では、周知の通りバスキアも在籍していたカルトバンドGreyに同じく在籍した経歴を持ち、<Warp>から2001年にリリースしたアルバム『When』も話題になりました。

そんな彼が遂に新作アルバムをリリースしました。Simon & GarfunkelのPaul Simonのご子息であり、自身でもSSWとして活躍するHarper Simonと組んだButterfly名義での作品です。M5をVincent、M3とM8をHarperが単身で手掛けた以外は両者によって全て作られたものとなっています。上述の『When』に通じる、ギター、ドラム、ベース、キーボード等を入れ替えながら極限までシンプルに演奏し、どちらかが柔らかに歌うスタイルが特徴的です。終始静寂を貫いてはいても、緊張感は感じさせず、寧ろ温もりが漏れ出てくるかのようで、つい身を任せていたくなります。テクニックとしての難しさは余り感じさせないのですが、絶対に真似の出来ない洗練さがあるんですよね。

M5はまさに『when』の収録曲"Laura"に大きく類似していますが、果たしてこれは敢えてなのか偶然なのか。どちらにせよファンとしてはテンションが上がりますね。

そして、音質を極限まで追求したプレス工程を採用し、装丁も全て手作業という拘りの詰まっています(手触りが気持ち良いです)。限定3000枚プレスですのでお早めに!




倍加していく


【2LP】Les Rallizes Denudes(裸のラリーズ) ‎/ The Oz Tapes〈Temporal Drift〉
価格:¥6,600(税込)
商品番号:29-67-1335-526

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、昨年末にロック好きを唸らせるリプレスを入荷しておりました。日本のロック創成期を代表するバンドの一つであり、シューゲイズの元祖とも噂される、Les Rallizes Denudes(裸のラリーズ)によるライブ音源です。1972年から僅か1年ほど吉祥寺駅にあった、知る人ぞ知るライブハウスOZでのパフォーマンスを収録したもので、久保田真琴によるリマスタリングによって完成したものです。

彼らの公式のリリース音源はごく僅かしかなくプレス数も僅か。その為に00年代のネット社会の始まりとともに世界中にブートレグが出回り、こちらのみを聴いてきた方も多いかと思います。近年公式でのリリースが続き、本作もその一つとなっています。

同バンドは水谷孝を中心に存在しており、ファンの間ではもはや水谷孝そのものと良く言われています。インタビューなどメディア露出は殆どせず、沈黙を守り続けたことで、謎に包まれた存在としてさらにカルト的な人気を得たことも興味深いお話です。ブートレグが出回ったと書いた通り、海外での評価も高く、MBVのKevins SheildsからLady Gagaなど彼の影響を示しているミュージシャンも多数います。


また黒を好み、詩を纏ったような雰囲気と、華奢で中性的なルックスは、元CELINEのデザイナー、Hedi Slimaneのコレクションにいかにも出てきそうなカッコ良さなんですよね。

肝心の音楽のスタイルはというと、爆音で鳴るギターのフィードバックノイズと極端にエコーの利いたヴォーカルが特徴的です。しかし、そんな過激さに同居するのは、彼自身の繊細さと優美さ。強烈なはずなのに、うっとりと聴けてしまうんですよね。また、個人的には当時の日本にしかなかった血生臭さのようなものを追体験しているような気分にもなれます。このスタイルになったのも、偶然の要素もありますが、根底には海外アーティストには持っていないオリジナリティを目指したが故にだったそうです。江戸時代に生まれた出目金しかり、歌舞伎、北斎の浮世絵しかり。アニメキャラクターの目の大きさしかり。特定部分を誇張もしくは倍加させることが日本人らしさの一つなのだろうといつも思うのですが、彼らのスタイルもまさにそれですよね。後に生まれたハーシュノイズという音楽ジャンルも象徴的です。

しかし本作は、まだ彼らのキャリアの中でも初期の方でもあるからか、エコーはかかっておらず彼の歌声を直に聴くことが出来ます。ギターソロもノイズが少ないので素直に聴けるものが多く、Jim Hendrixの影響等も分かり易く感じられます。ファンにとっては新たな発見の出来る貴重な音源として、未聴の方にも入り口として最適かと思います。

陽気なシティポップも勿論素晴らしいですが、同時代の陰気なサイケデリック・ロックも、もっと多くの方に聴いていただきたいですね。

即興

こんにちは。BEAMS RECORDSスタッフの和田です。
あと数日で2024年が終わってしまうと思うと恐ろしいです。自分は今年が厄年だったので若干嬉しい気持ちもありますが…。

ところで、今年よく聴いたアーティストの一人にSam Wilkesというベーシストがいます。LAを拠点に、Sam GendelやLouis Cole、Teebsなど、様々な気鋭ミュージシャンと活動を共にする彼。今年は、Sam Gendelとのデュオ、ギタリストとドラマーを迎えたトリオ、そのトリオに更に二人のミュージシャンが加わったクインテットでのライブ音源の、3作品をリリースしました。


どれも素晴らしかったのですが、3つの作品に共通するのは即興性ではないかと個人的には思います。楽曲を制作し録音して作品にするというよりは、即興でプレーしたものからセレクトしてアルバムにしているような印象を受けました。クリエイティブな発想を持ちながら高い演奏能力を持つ彼とバンドメンバーならではの方法ですね。

また、彼やSam Gendelは、以前からレコーディングスタジオに限らずツアー先やレストラン、ライブ会場など様々な場所でのセッションを録音し、作品として発表しています。


ジャズやアンビエント、エレクトロニックなど多様な音楽的バックグラウンドを持ちながら、その上でどのジャンルにも縛られない、自由で即興性が高いプレーをするのが彼の最大の持ち味ではないかと思います。Grateful DeadやPhishを音楽のルーツと語っているのも一見意外ではありますが、納得できる部分もあります。


ライブも何度か見たことがありますが、その度に違うメンバーと違う音楽を奏でていて毎回楽しませてくれるので、これからもどんな音楽を作ってくれるのか楽しみなアーティストです。


というわけで、まずは最近入荷したSam Wilkesの作品をご紹介します。




【CASSETTE】Sam Wilkes / iiyo iiyo iiyo〈Wilkes Records〉
¥3,080 (税込)

こちらは2022年来日公演時のライブ音源です。Pat Methenyのトリオのメンバーでもあるキーボード奏者のChris Fishman、Blue Note作品にも参加するジャズドラマーのCraig Weinribのトリオに加え、ギタリストのDylan Day、Thom Gillをバンドメンバーに迎えたクインテットが、静岡県掛川市の〈FESTIVAL de FRUE〉と東京・渋谷の〈WWWX〉で行ったライブが収録されています。


個性豊かな演奏者同士の親密なやり取りによって生まれた、幻想的なアンビエントジャズ。実は自分も当時〈FESTIVAL de FRUE〉の会場でこのライブを観ており、素晴らしかったのを覚えています。


では、次も即興性を感じさせるジャズ作品をご紹介します。


【国内盤CD】Jeff Parker, ETA IVtet / The Way Out of Easy〈rings / International Anthem〉

¥3,300 (税込)

ポストロックバンドTortoiseのメンバーであり、ジャズ・ギタリストであるJeff Parkerを筆頭に、Meshell Ndegeocelloのアルバムのプロデュースも手掛けるサックス奏者のJosh Johnson、LAで数々のミュージシャンからその実力を認められているAnna Butterssなど、精鋭ミュージシャンたちによるセッションから生まれた音源。 


本作は、LAの伝説的ライブハウスであった ETAで、たった4本のマイクとカスタム・ミキサーで録音された長尺の演奏を厳選したもの。実験的でありながらリズミカルに心地よく展開されていく感じが素晴らしかったです。近年のUK JAZZなどがお好きな方にもおすすめしたいです。

最後にご紹介するのも、ジャズとはまた違った即興演奏を聴かせてくれるバンドです。



【LP】カフカ鼾 (ジム・オルーク・石橋英子・山本達久) / 嗜眠会〈Newhere Music〉

¥4,400 (税込)

Jim O’Rourke、石橋英子、山本達久による即興バンド 、カフカ鼾による8年ぶりとなるニューアルバム。2023年に下北沢ADRIFTで開催された『レコーディングライブ』での音源をジム・オルークが再編集、ミックス、マスタリングを行ったものになります。


三者の卓越したセンスが混じり合い、ジャンルに括ることの出来ない唯一無二の音楽を奏でていきます。また、即興ならではのスリリングさもありながら、単なるライブ音源にはとどまらない作品としての強度を感じるのは、ジム・オルークの編集によるものなのかもしれません。

2/24には渋谷のWWWで発売記念ライブもあるようなので、気になる方は是非そちらもチェックしてみてください!


ということで、今回は「即興」をテーマに3作品ご紹介させていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
店頭ではCDやレコードのご視聴もできますので、是非お立ち寄りいただけますと幸いです!

本年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
良いお年を!


<Blue Note>の魅力


Nala Sinephro / Endlessness〈Warp Records〉
価格:¥2,640(税込)
商品番号:29-68-0451-813

【国内盤CD】Sam Wilkes / Sam Wilkes, Craig Weinrib, and Dylan Day〈Leaving Records〉
価格:¥2,999(税込)
商品番号:29-68-0475-526

【CASSETTE】Sam Wilkes / iiyo iiyo iiyo〈Wilkes Records〉
価格:¥3,080(税込)
商品番号:29-69-0243-981

【LP】Kokoroko / Could We Be More Remixes〈Brownswood〉
価格:¥4,180(税込)
商品番号:29-67-1308-526

【LP】Robert Glasper / In December〈Concord〉
価格:¥5,280(税込)
商品番号:29-67-1254-494

Robert Glasper / In December〈Concord〉
価格:¥2,860(税込)
商品番号:29-68-0477-494

Sam GendelやSam Wilkes、Nala Sinephroらを筆頭に、近年人気を上げ続けているアンビエント・ジャズや、Robert Glasperらのブラックミュージックを網羅したようなジャズ、Ezra Collectiveらのようなアフロを軸にしたUKジャズなどなど。どれもかっこ良いですが、同時に所謂渋いものも聴きたくなりますよね。そこで真っ先の思い浮かぶのは、老舗レーベル<Blue Note>。

同レーベルが支えてきたジャズ史を守りながらも、70年代にはMarlena ShawらR&Bを全面に出したリリースや、90年代初頭にはヒップホップ・ジャズを打ち出したり。00年代にはポップスを多く取り入れたNorah Johnesによる大ヒット、Madlibによる同レーベルの音源を再解釈させた名作『Shades Of Blue』など、柔軟さも忘れず新たな地平を切り開いていく姿勢は、今でも多くの音楽ファンに愛される所以となっていることでしょう。そんな彼らも創立から今年で85年。

当店でも度々ご案内しているJoel Ross(vib,marimba)から、新作アルバムをリリースしたばかりのImmanuel Wilkins(as)。そして、Gerald Clayton(p)、Matt Brewer(b)、Kendrick Scott(ds)という、レーベルの"今"を代表する奏者で構成される、Blue Note Quintetが結成されました。そして、彼らがツアーの最中に名前をOut Of / Intoと改め、レコーディングを行い完成させたのがこちらです。

【LP】Out Of/Into / Motion 1〈Blue Note〉
価格:¥4,950(税込)
商品番号:29-67-1300-494

異なるジャンルを混ぜるわけでなく、ストレート・アヘッドな表現に徹しています。しかしながら、ロックにも通じるシャープな疾走感やドラマティックな展開など、細部に現代的な要素を入れている点が憎いですね。そして終始貫かれるクールな雰囲気も含めて、思わず唸りたくなるかっこよさです。

このような素晴らしいリリースを続けているのも、やはりトップの人物による手腕が大きいでしょう。その人物とはDon Was(ドン・ウォズ)。

自身で率いたロックバンドWas(Not Was)のベーシストとしてだけなく、プロデューサーとしてもThe Rolling StonesやBob Dylan、Al Greenなど名だたるアーティスト達を支えてきた、音楽界全体を語る上でも重要な存在です。

「音楽の真実を見つけるだけの知性とセンスとオープンマインドさがリスナーにはある」

アーティストは他人になろうとせず、自分そのものを表現すればそれでいい

等々、彼のインタビュー記事も読むと必ずと言っても良いほど、愛に溢れた言葉を目にします。沁みますよね。

因みに、Herbie Hancockによる60年代の名盤の一つとして名高いこちらもリプレスされています。年末年始のお休みに新旧のアーティスト達をじっくりと比べて聴いてみてはいかがでしょうか。


【限定ブルー・ヴァイナル仕様LP】Herbie Hancock / Maiden Voyage〈Blue Note〉
価格:¥5,500(税込)
商品番号:29-67-1238-500


Out Of "Time"


【重量盤2LP】坂本龍一 / Out Of Noise R〈Commmons〉
価格:¥8,800(税込)
商品番号:29-67-1225-500

世界一美しい(個人の見解です)アンビエント作品の復刻盤が再入荷されました。2009年にリリースされた坂本龍一によるソロ・アルバムで、本人監修のもとリマスタリング。さらに未発表音源も追加されています。静寂な美しさが貫かれた一枚で、これまで何度これに癒され、もっと良い音で聴きたいという動機がオーディオの買い替えに繋がり、リファレンス用にも何度使用してきたことか…。と、書いている通り、聴いた時の気持ち良さは極上ものであることは、是非本作を聴いて確かめて頂きたいところですが、音楽的なアプローチとしても興味深い要素が沢山ある点も魅力です。

坂本龍一の作風として、西洋と東洋、伝統と革新、楽音とノイズなど、アンビバレントな要素を行き来し、または統合しようとするアウフヘーベン的な試みというのが代表的であると思います。当時、本作をリリースする前に手掛けていた映画『SILK』のサウンドトラックでは、日本を舞台にしたものでありながら敢えて西洋の楽器を駆使し、東西の文化の根源に共通項を見出していました。さらにその揺り戻しか、本作では日本の伝統楽器である笙を採用しつつ、まるでAlva Notoらのように音響派的に聴かせています。また、バイオリンを音が鳴るか鳴らないかのギリギリの音量で、ロブ・ムースに演奏してもらったそうですが、これを日本ではかけそき音と呼び、昔から雅な表現として知られているそうです。

そんな西洋と東洋の対抗軸に加えて、時間の要素を加えることも彼にとって大きな関心事でありました。時間の経過と共に音楽が進行していくというのは、一見当たり前の話をしているようですが、厳密には西洋の時間観を基に成り立っています。始まりがあって終わりに向かって行くという終末思想から、過去現在未来という一直線上の不可逆的な観念が生まれたのです。それに対して非西洋の時間観では、輪廻転生のように循環する円のようなものが代表的です。音楽では複雑に反復するジャンベのようなアフリカ音楽や、タブラを筆頭にしたインド音楽がその典型で、独特のトランス感があります。それを現代音楽ではミニマルミュージックとしてSteve Reich達が確立。それをThe Velvet Undergroudがロックの領域に持ち込み、CANやTalking Headsらも発想の出所がそれぞれ違えど反復を執拗に繰り返しました。またJBはそれをファンクとして昇華し、彼のライブ音源のある間奏部分のループは、後にブレイクビーツの代表的な一つとして重宝されました。

閑話休題。本作のA1は、即興で弾いたピアノの1フレーズをループさせているだけの一曲。しかし興味深いのは、その音の長さを変えたコピーとがズレながら繰り返し鳴っていき、最終的に一致していくという構成になっています。B1ではピアノで3つの音のみを、長さなどを変えるなどをした組み合わせだけで作ったと言います。A3では、彼のピアノの音を基に、エレキギターなど各パートが、それぞれ異なるタイミングで自由に演奏。そんなテンポのバラバラな、同期されていない音を、DAW上に自由に配置したそうです。他の楽曲でも、自宅が火災にあってしまった男性の声、犬の鳴き声をループさせるなど、どれもがランダムなようでありながら、白昼夢のような一つの世界が見事に出来上がっており、うっとりと聴けてしまいます。そのような時間のズレへの深い関心は、次作の『Async(非同期)』に引き継がれました。ファンクなどのダンスミュージックを解析し、コンピュータと同期させて演奏していたYMO時代と比較すると真反対ともいえるアプローチですよね。

深い教養と溢れんばかりの実験精神を持ちながら、世界中の人の琴線に触れる美しいメロディも奏で続けた彼の存在がいかに貴重であったかを、作品を聴くと改めて感じますね。同時に音楽の楽しさを伝えて続けてくれていたことへの感謝の念を感じずにはいられません。

こんにちは。BEAMS RECORDSスタッフの和田です。

気が付いたら夏が終わって一気に肌寒くなりましたね。秋のほどよく冷たい空気の匂いがふわっと感じられた時、自分は本当に幸せな気持ちになります。それだけで色々な曲のことやライブのことまで思い出して、なんだかいつもより音楽が自分に染み渡る感覚になります。

そんな気分の最近は、先日当店にも入荷したSam Wilkes, Craig Weinrib, and Dylan Dayのトリオ作品などをよく聴いてしまいます。入荷はしていませんが、このトリオに加えてChris FishmanとThom Gillの二人が参加したライブの音源をまとめたアルバム「iiyo iiyo iiyo」も素晴らしかったです!

Sam Wilkesは現在来日中でSam Gendelとの全国ツアーもやっていますので、気になる方は是非調べてみてください!自分も静岡で行われるフェスfrueで見に行く予定です♬

また、Sam Wilkesと並んでついついよく聴いてしまう作品がこちらです。

【LP】Jonah Yano / Jonah Yano & The Heavy Loopo〈Innovative Leisure〉

¥4,730 (税込)
【CD】Jonah Yano / Jonah Yano & The Heavy Loopo〈Innovative Leisure〉
¥2,860 (税込)


広島県出身でモントリオールを拠点に活動するシンガー・ソングライター Jonah Yano(ジョナ・ヤノ)が、彼のアンサンブル・バンドとともに収録した最新アルバム。


前作に引き続き、今作も素晴らしいですね..!ジャズのような雰囲気もありつつ、独特のローファイさを追求したようなサウンドが心地よいです。フォークやR&Bを想わせる独特のヴォーカルもまた心に染み入るような優しさを感じます。


今作のタイトルでもある「The Heavy Loop」も30分のインプロヴィゼーション・トラックになっており、ノイズやエクスペリメンタルなどの影響も感じ取れる、これまで以上に自由な演奏を披露しています。

次にご紹介するのはまた違ったフィーリングを感じることができるニューエイジ作品。

【CASSETTE】織川一 Hajime Orikawa / 穂遊 Suiyu〈造園計画〉

¥1,999 (税込)



メンバーが入れ替わる不定形のセッション集団、野流の創設メンバーでもあり、千葉県鎌取出身の音楽家、織川一による第一音源集。


ニューエイジの伝説的人物であるLaraajiのライブに衝撃を受け、オートハープを始めたという彼。今作では、オートハープ、エレピ、ムーグシンセ、オルガン、テナーサックスなどの楽器と環境音を宅録で重ね合わせています。


郊外都市のためのニューエイジとも評される独特の空気感が心地よい一枚。やはり日本から生まれた音楽は、どこか日本の土地から感じられるフィーリングの音になっているような気がします。

次にご紹介するのも日本の音楽にフォーカスしたコンピレーションです。


【LP】V.A. / Virtual Dreams II - Ambient Explorations In The House & Techno Age, Japan 1993-1999〈Music From Memory〉

¥6,160 (税込)

【CD】V.A. / Virtual Dreams II - Ambient Explorations In The House & Techno Age, Japan 1993-1999〈Music From Memory〉

¥3,740 (税込)


アンビエント/ニューエイジ最重要レーベル〈Music From Memory〉が手掛けたアンビエントテクノのコンピレーションとして話題となった『Virtual Dreams』の続編。90年代前半のIDM、ベッドルームテクノの影響を受けながらも、独自の発展を続けていた日本国内のシーンから生まれたアンビエント・テクノに焦点を当てて選曲されています。


同レーベルの名コンピ「HEISEI NO OTO」でも選曲を行っていた大阪のレコードショップ REVELATION TIMEの店主、Eiji Taniguchiと、〈Music From Memory〉の創始者であり、2023年末に急逝した稀代の音楽探求家であるJamie Tiller がセレクト。


ほとんどの楽曲がCDでしか聴けなかった希少な音源。個人的には各トラックのサウンドから日本の電子音楽らしさを感じることができて興味深かったです。また当時を知らない自分からすると、このコンピレーションを通じてこういったシーンやアーティストがいたことを知れたということもあり、そういう意味でもおすすめしたい一枚です。

最後にご紹介するのは秋の夜長にぴったりの作品です。


【CASSETTE】Diana Chiaki / Under Control〈Nocturnal Technology〉

¥2,860 (税込)

東京を代表するDJ/プロデューサーのMars89によるレーベル〈Nocturnal Technology〉からのニューリリース。BOLER ROOM、FUJI ROCK等への出演から、CMの楽曲制作まで活躍の幅を広げる、DJ/プロデューサーのDiana Chiakiによるアルバム。


ミニマルでありながら、パワフルなベースラインとビートが効いたスローテクノ。1曲目の「0:00」から最後の「6:00」までで夜明けを表現しているとのことで、どこか夜中から明け方の非現実的な雰囲気も感じます。カセットで聴くのもよさそうです。


ということで、新入荷の商品から4点ご紹介させていただきました!

オンラインショップに載らない店頭のみの商品もありますので、是非ご来店お待ちしております!店頭でレコードなどの試聴もしていただけます。


また、店頭のみの商品もinstagramのDMやお電話でお問い合わせいただければ、通販可能ですので是非お気軽にご連絡くださいませ。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

人柄は音楽に反映されますよね

Jonah Yano / Jonah Yano & The Heavy Loopo〈Innovative Leisure〉
価格:¥2,860(税込)
商品番号:29-68-0486-189

【LP】Jonah Yano / Jonah Yano & The Heavy Loopo〈Innovative Leisure〉
価格:¥4,730(税込)
商品番号:29-67-1283-189

モントリオールを拠点に活動するSSW、Jonah Yanoによる最新アルバムは既にお持ちでしょうか。まだの方は是非! 

Jonah Yanoは広島生まれの日系カナダ人。2016年に作曲&録音をスタートするとともに、トロントに移住。オンライン上で楽曲をアップロードすると、すぐにローカルの音楽シーンに注目され、BADBADNOTGOODらとのコラボを経て2020年にフルアルバムをリリースしました。Giles Petersonから故Virgil Ablohなど著名人からも支持を受けています。

本作のリリース日に早速聴いてみた私はすぐに夢中になってしまい、丁度来日中ということで、その数日後に行われたフリーライブへもお邪魔してきました。アコースティック・ギターでのシンプルな弾き語りのスタイルでしたが、想像以上のパフォーマンスで深く感動しました。また、開始15分前くらいに到着した時には、着席していたお客さんに「もっと前へお願いします」とご本人が誘導されていたり。本番が始まり、小さな子が大きな声を出してしまった時にも、優しく笑いながら演奏を続けていたり。そんな姿を見て彼の音楽そのものだなということも感じた、愛の詰まったライブでした。

さて本作は、前作までとは少し趣きが異なっています。全体的にソウルフルというよりもウィスパーに歌い上げており、ジャズ~フォーク~ネオソウルを独自に混ぜ合わせたサウンドも浮遊感を持たせつつ、ミニマルに鳴らされています。RhyeやPuma Blueを想起させますが、彼らが官能的な世界観とすれば、Jonahの方はより身近な、家族愛的な温かさを表現しているように思います(実際に彼のご家族について綴った曲はいくつもあります)本作にゲスト参加している、人気SSWのClairoの歌声とも見事にハマっていますね。さらに、ラストに収録された、およそ30分に及ぶインプロヴィゼーションのトラックもユニークでおススメです。

自身のYouTubeチャンネルでは24時間かけて行われたものもアップロードされています。ハードボイルドですね。さすがです。私は体力が不足しており最後まで見れませんでしたが、皆様も見てみてください。


90sロックの代表作が復刻


【日本語帯付きLP】Radiohead / The Bends〈XL Recordings〉
価格:¥5,830(税込)
商品番号:29-67-1205-813

こんにちは。Thom Yorke担当大臣の柳です。彼による11月からの来日公演を記念して、Radioheadの代表作と、ソロ作品が帯付き仕様で限定プレスされました。当店では、彼らが1995年にリリースした2ndアルバム『The Bends』を入荷。全リリースアルバムの中でも特に人気の本作は、ご多分に漏れず私にとってもお気に入りの一枚で、10代終わりから20代の頃(後追い世代です)深淵に沈んだ気分を癒してくれる有難い存在でした。

印象的なジャケットは救命訓練用の人形を映したもので、彼の恍惚としたような表情をThomが気に入って使用したそうです。Pixiesに影響を受けた1stに対する彼らの自己評価は低く、本作が実質初めてのオリジナルアルバムと言明しています。なるほど、Thom、Jonny、Edの3人による分厚いギターはここでも披露されていますが、中核にあるのはThomの感傷的なボーカルと甘いサウンド。エフェクトを強く利かせたギターは、シューゲイズでもない独特の浮遊感を持っているところが特徴的かと思います。この白昼夢のような甘い心地良さは、後にTravisやColdplayらによって引き継がれました。しかし本作には独特の棘のようなものがあり、そこが唯一無二の作品として評価される理由の一つとなっているように個人的には感じています。さらにそんなフォロワー達からけむに巻くかのように、後にプログレやロックンロール、ソウルなどを混ぜ合わせた『OK Computer』をリリースし、圧倒的な世界観を見せたところもよく語られているところです。

因みに1994年に、アメリカはアストリアで行われたこちらのライブ映像はリリース直前ということもあり、本作の収録曲を多数演奏しておりオススメです。

なによりThomの若さに驚きますが、ギターのJonny Greenwoodが特に変わっていない具合にも驚きます。




【限定ホワイト・ヴァイナル仕様LP】The Smile / Cutouts〈XL Recordings〉
価格:¥5,720(税込)
商品番号:29-67-1208-813

【通常盤LP】The Smile / Cutouts〈XL Recordings〉
価格:¥5,280(税込)
商品番号:29-67-1207-813

The Smile / Cutouts〈XL Recordings〉
価格:¥2,200(税込)
商品番号:29-68-0455-813

話は変わりまして、当店ではThom、JonnyとSons Of KemetのTom Skinnerによるスペシャルバンド、The Smileによる3rdアルバムも販売中です。
今回は先行リリースしていたA3をはじめ、前のめりなロックらしい楽曲が並んでいます。特にオススメはA5で、グラストンベリーでデビューを飾った時に演奏されていた曲。Jonnyがソロの時に演奏する、Steve Reichの『Electric Counterpoint』のようなギターのアルペジオの美しさと、ノイビートとアフロビートが混ざったような独特なドラム。そしてドラマティックな展開に惹き込まれます。

最後にJonnyによる『Electric Counterpoint』の演奏(33:20~)もオススメですので上げさせて頂きます。やはり見た目が変わりませんね。




音楽遍歴

こんにちは。BEAMS RECORDSスタッフの和田です。

皆さんは音楽を好きになったきっかけを覚えていますでしょうか。

自分は、音楽好きの人がどのような変遷を経て、今の音楽的嗜好に至ったのかを聞くのがすごく好きです。

そんな話をしていると音楽の話題を通じてその人の生き方や考え方を少しでも感じ取れるような気がします。


自分はというと、ジャズしか聴かない父のもとで育ち、それに対しての反抗心もあり、物心つくころにはTHE BLUE HEARTSやRed Hot Chili Peppersなどのロックばかり聴いていました。高校からは日本語ラップをきっかけにヒップホップを聴き始め、大学に入ると同時にクラブに行くようになり、ハウスやテクノなどのダンスミュージックの楽しさを知りました。


そして20歳くらいの時には週に1,2回は何かしらのイベントに行くようになりましたが、2020年の春にコロナウイルスが流行し、家から出られなくなってしまいました。

部屋でのんびり過ごしたり、たまに散歩をしたり、そんな自分の生活にマッチしたのがアンビエント。

また何かのきっかけでSam Gendelを知り、衝撃を受け彼の作品を掘り始めました。

今思うと、コロナ禍のぼんやりとした不安と退屈さに寄り添ってくれたのがアンビエントやSam Gendelの音楽だったような気がします。


そして2022年、Sam Gendelを筆頭に、Sam Wilkes、Whatever The Weather、Salamandaなど自分がパンデミック中に好きになったアーティストたちがこぞって出演するfrueというフェスがあることを知り、友人と行くことに。行ってみるとその二日間があまりに楽しく、自分は音楽が本当に好きなのだと気づき、その時に音楽に関わる仕事に就くことを決めました。また、それからご縁があり、現在のビームス レコーズで働くことになりました。


と、自分の話が大変長くなってしまいましたが、自己紹介がてらに書いてみました。

そういった経緯もあり、Sam Gendelは自分にとって思い入れの強いアーティストでして、新譜が出る度に嬉しい気持ちになります。まずは、そんな彼の最新作が入荷しましたのでそちらからご紹介します。




【LP】Sam Gendel & Sam Wilkes / The Doober〈Leaving Records〉
¥4,400 (税込)商品番号:29-67-1185-504

LAを拠点に活躍する気鋭サックス奏者のSam Gendelと実力派ベーシストSam Wilkesによるデュオ作。「Music for Saxofone and Bass Guitar」「Music for Saxofone and Bass Guitar More Songs」と傑作を続けて発表してきた二人による待望の3作目!

彼らの音楽をカテゴライズするのはとても難しいのですが、あえていうなら新しい形のジャズといったところでしょうか。

幅広い音楽の影響を感じさせながら実験的な演奏を繰り広げる彼らのサウンドは唯一無二。

本作ではJoni MitchellやブラジルのレジェンドMilton Nacimentoなどのカバーも交えながら、独自の音楽性を追求。

両者共に多くのアーティストとコラボしてますが、この二人の相性はやはり段違いに良いですね。10月30日からは二人の全国ツアーもあるので、是非そちらもチェックしてみてください!

続いてご紹介するのも自分がパンデミック中に知り、大好きになったアーティストです。



Nala Sinephro / Endlessness〈Warp Records〉 
¥2,640 (税込)商品番号:29-68-0451-813


前作『Space 1.8』で広く賞賛を集めたカリブ系ベルギー人のミュージシャン、Nala Sinephro(ナラ・シネフロ)の最新アルバム。

彼女自身はハープ奏者ですが、伝統的な奏法に縛られずアンビエント、ジャズを基調にした楽曲を作るアーティストです。

今作は3年ぶりのアルバムということもあり、かなり期待してしまっていたのですが、想像以上に素晴らしかったです…!

black midiのドラマーのMorgan Simpsonやジャズシーンで活躍するNubya GarciaなどUKの豪華ミュージシャンと、21人の弦楽器奏者が参加しており、前作より壮大なイメージを描いている印象を受けます。ジャズ、エレクトロニック・ミュージック、アンビエントをミックスさせたジャンルを超えたサウンドで、彼女の感性が伸びやかに表現された傑作。

11月25日には、めぐろパーシモンホールでライブもあるとのことで楽しみです。こちらはLPもあったのですが入荷してすぐ売り切れてしまいました…。

続いてはニューリリースのアンビエント、エレクトロニック作品をご紹介します。




Compuma / Horizons〈Something About〉
¥2,500 (税込)商品番号:29-68-0465-356

DJやプロデューサー、レコードバイヤーとして活躍するCOMPUMAの2年ぶりのフルアルバム。

こちらは自身のルーツとなる、熊本・江津湖のほとりや、各地の様々な場所を散策時に、その景色や環境にインスピレーションを得て制作された作品です。


アンビエントからゆったりとしたビートが心地よいエレクトロニック・ダウンテンポまで、日常に寄り添いながら聴き手の想像力を働かせてくれるような楽曲が揃っています。

アルバム全体の構成も素晴らしく、最初から最後まで通して聴きたい作品です。是非CDでどうぞ!

最後はジャズのリイシューから一枚ご紹介します。




【LP】Mulatu Astatke / Ethio Jazz〈Heavenly Sweetness〉 
¥4,070 (税込)商品番号:29-67-1142-526


今年7月の〈FESTIVAL FRUEZINHO 2024〉での来日も記憶に新しいエチオ・ジャズの伝説的人物 Mulatu Astatke(ムラトゥ・アスタトゥケ)キャリア最高傑作。

1974年リリースのこちらは、フランスのジャズ・レーベル〈Heavenly Sweetness〉からリイシューされました。

エキゾチックな響きをもたらすエチオピア特有の音階を用いて、ラテン音楽の影響も感じさせるファンキーなグルーヴを演奏。

タイトルにもなっている通り、まさにエチオ・ジャズそのものと言っても過言ではない作品です。オリジナルは希少かつ高騰しているので再発のタイミングで是非どうぞ!

実は自分も7月の来日でライブを見てきました!さすがの風格でグルーヴィーかつ妖しい雰囲気がとても良かったです…!



ということで、新入荷の中から4タイトルご紹介させていただきました。

どれも個人的に大好きな作品ですので、一度聴いてみていただけると幸いです!


店頭でもご視聴できますので、お近くの方は是非お店までお越しくださいませ。
レコード聴きながら音楽の話をできたら嬉しいです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

the notbale album of 2024, September




こんにちは、藤本です。


9月も終盤ですが、やっと過ごしやすい気候になってきてうれしいですね。早速ですが、今回は入荷して間もないオススメの作品をご紹介します。是非最後までご覧ください!


まずは今週リリースされたこちらから! UKジャズ・シーンをリードするイギリスの音楽教育機関"Tomorrow's Warriors"で出会った仲間内で活動するバンド、Ezra Collective(エズラ・コレクティヴ)の最新アルバムです。



昨年ビルボードライブ東京で行われた来日公演にて。Joe Armon Joensを筆頭とする即興アレンジに痺れました。


昨年3月にビルボードライブ東京にて行われた来日公演では、前作『Where I'm Meant to Be』の収録曲を更エネルギッシュかつダンサンブルに繰り広げていて素晴らしかったのですが、この前作が夜の街やクラブを捉えているとしたら、今回の新作は、そこを含めた朝の幕開けから、夜が明けるまでの一日を、彼らなりに音楽へと体現したような聴き応え&充実感があります。


Yazmin Lacey、Olivia Deanらが参加したヴォーカルトラックも素晴らしく、彼らが度々掲げている"UKジャズはダンスミュージックである"という言葉に説得力と深みが感じられる内容に…!ジャケも最高にクールです。




Ezra Collective / Dance, No One’s Watching〈Partisan Records〉

【限定レッド・ヴァイナル仕様LP】¥7,700(税込)

【CD】¥2,970(税込)



オンラインショップは近日中に入荷予定ですが、店頭ではWEB決済等も承っていますのでお気軽にお問い合わせください!



続いて今年はFUJI ROCKに出演し、2025年には来日ツアー開催予定と活躍が目まぐるしい精鋭プロデューサー、Floating Points(フローティング・ポインツ)の最新アルバム。



【通常盤LP】Floating Points / Cascade〈Ninja Tune〉
価格:¥6,270(税込)
商品番号:29-67-1197-813

Floating Points / Cascade〈Ninja Tune〉
価格:¥2,530(税込)
商品番号:29-68-0449-813


コーチェラ出演前にL.A.のジョシュア・ツリーにある、Warpaint のドラマーで親友でもあるStella Mozgawaのスタジオでわずか3週間で完成されたという今作は、音楽に対する興味を育んだ地元マンチェスターで、クラブやレコード・ショップで出会った多種多様なエレクトロニック・ミュージックの持つ魅力を発信しようと考え制作されました。


新たなアナログ機材を用いてテクノ、IDM、グリッジ、アンビエント、ドラムンベースを巡る今作は、今の音楽シーンこそ短尺のトラックが多いですが、長くたっぷりと聴かせるプリミティブな楽曲がほとんどで、細部にわたって拘りが感じられます。リリースを記念して、ニューヨークで行われたBoiler Roomで5時間セットを披露していましたが、そちらではアンビエント、ジャズ、ブラジル音楽、ハウス、テクノなどあらゆるジャンルを網羅した刺激的なセットでとても秀逸でした!(こちらでご覧いただけます。)来日ツアーも俄然期待が高まります…!



続いて最後にご紹介するのは、先日のVENTで行われたパーティーでアッパーなテクノ・ハウスを披露し盛り上げていた韓国のDJ/プロデューサー、Mogwaaによる傑作『07307』 。こちらは店頭のみの入荷となります。




韓国でのRDC出演も記憶に新しい彼が、韓国のレーベル兼レコードショップClique recordsからリリースしたカセット『07307』。今作が中国の注目レーベル〈1asia〉よりヴァイナル化されました! 

PrinceやKashif等から影響を受け、モダンファンクを突き詰めてきた彼ならではのシンセやギターの多様なアプローチが光っていて、宅録ならではのローファイな質感との相性も抜群です。



ちなみに昨年の6月に韓国を訪れた際、Clique Recordsに足を運びましたが、その洗練されたラインナップと空間、スタッフの佇まい等、全ての要素においてセンスの良さが表れていてとても素敵な場所でした。


〈Efficient Space〉、〈Smilling C〉といったレーベルや、韓国のアンダーグラウンドで活躍するプロデューサー/DJの作品が揃っていたり、中古レコードもオールジャンル幅広く展開されていて、かつドリンクも楽しめるので、ぜひ気になる方はチェックしてみてください!



アイスコーヒーも独自のブレンドで◎。この時はSuzanne Kraft 『Talk From Home』をリクエストしました。



それでは最後までご覧いただきありがとうございました!

10月にはThe Smile、Fabiano do Nascimento & Shin Sasakubo、Samara Joyなどの新譜も入荷予定ですので、こちらもお見逃しなく!



直近の出勤日は下記日程です。


9/30、10/1、4、5、7、8、9


ご来店お待ちしております!











粋な横田進



【3LP】Susumu Yokota / Acid Mt. Fuji (Remastered 30th Anniversary Edition)〈Musicmine / Sublime Records〉
価格:¥7,700(税込)
商品番号:29-67-1196-512

「楽しみながら作品を作ったことはない、ぶっ飛んで作るか、涙を流しながら作るかだ」

これは30作目のアルバム『Symbol』のLPが2021年にリプレスされた際に、帯に書かれていた横田進本人の言葉です。ライターの野田努氏によるインタビューから抜粋したものであったのですが、私はこの言葉を眺めながら同作品を聴いた時の感動を忘れることが出来ません。あまりの美しさに、どれだけ彼が作品に対して真摯に向き合ってきたのかを理解出来たような気がしたのです。きっと涙を流しながら作っていたのだろうと、野田氏が記事にて書いていましたが、その通りのことを思いました。そして、私事ばかりで恐縮ですが、一度私が弊社を離れたのもこれがきっかけの一つになっていました。彼のように心の底から全力で音楽製作に向き合いたいと思ったのです。

横田進は90年代初頭から活動を開始。日本人として初めて、当時世界最大級のテクノフェスティバル、ラブ・パレードに出演を果たしたり、海外レーベルから続々とリリースを重ね、さらに、映画『バベル』への楽曲提供など国内外のエレクトロミュージックシーンを長年支えてきた1人として知られています。Thom YorkeやBjorkらによる賛辞から、ブライアン・イーノの再来と英メディアに評されたり、米メディアPitchforkからは、日本人はなぜRadioheadを評価してススムヨコタを評価しないのかと書かれたように、海外では大きく支持されていました。しかし、そんな商業的成功に決して寄り掛かることなく、業界とも一定の距離を取り、さらに晩年は闘病生活を続けつつも自らの思い描く美を表現し続けました。

こちらの『Acid Mt.Fuji』は彼が自身の名前で94年に発表したデビュー作のリプレスです。リマスター盤として遂に発売されました。アシッド/アンビエント・テクノのクラシックとして知られていますが、美しいメロディとぐにゃりと溶けるような音色、時に和太鼓のようなキック、予測不能な展開は他の追従を許さない圧倒的なオリジナリティを持っています妖艶で時に危うい世界観は、後の彼の作品群にも通じていますが、本作は中でもその才覚が飛び出したような鮮烈さがあります。それでいてダンスミュージックとして絶妙に気持ち良いというのは、敢えて言うまでもないかもしれません。

そんな彼のような繊細であると同時に激しい、身を削るような脆さにこそ、私としては日本独特の美の1つがあるように思います。文豪で例えると、谷崎潤一郎、太宰治、三島由紀夫、川端康成らのような。俳優で例えると、松田優作、原田芳雄、三國連太郎(役の為に前歯を10本抜いたという逸話が象徴的)、勝新太郎らのような。なんだか昭和の方ばかりが浮かびますが、実際にそんなひと昔前の“粋”のようなものを感じるのです。そしてそんな一面も、彼の音楽が海外で高い評価を受けている要因の一つになっているのかなとも妄想しています。

聡明、繊細、そして柔軟な音楽性


巧みなベースプレイだけでなく、ソングライター/ボーカリストとしても突出した才能を発揮するMeshell Ndegeocello(ミシェル・ンデゲオチェロ)。彼女の楽曲は、所謂ブラックミュージックとはどこか一線を画す魅力がありますよね。影があり繊細、そして複雑な音楽性。また、ブラックミュージックらしいうねるグルーヴもあれば、ロックらしい直線的なパワーもある。オルタナティブと呼んだ方が良さそうに思います。実際彼女が2018年にリリースしたカバー・アルバム『Ventrilloquism』のラインナップを見ても、プリンスやジミ・ヘンドリックスといった共振を感じさせるアーティストから、ヴァン・モリソン、ジョン・レノン、さらにRadioheadなどの楽曲も挙げられています。また、フェラ・クティのトリビュート・アルバムへの参加や、フラメンコダンサーのジェルバ・ブエナ、ローリングストーンズなどあらゆるジャンルのアーティストと共演を重ねていることからも、彼女のバックグラウンドの特殊性がよくわかると思います。

さて、そんな彼女の最新アルバムは、公民権運動時代のスポークスマンの一人として知られるアフリカ系アメリカ人作家James Baldwin(ジェームス・ボールドウィン)をインスピレーションに制作されました。Meshellは人種としてだけでなく、同じ性的マイノリティとしてもJamesに共感と尊敬を覚えていたそうです。そんな彼の言葉を軸にアフロビート、ジャズ、ファンク、ソウルなどポエトリーリーディングとともに楽曲が展開されていきます。進行とともに次々とイマジネーションが湧いてくる感覚は、まるで映画や演劇を通して文化史を見ているようでもあります。何より洗練された各楽曲の気持ち良さや、決して軽くはないテーマにも関わらず醸し出される爽快さは、ついつい聴き入ってしまう要因にもなっていますね。


Meshell Ndegeocello / No More Water: The Gospel Of James Baldwin〈Blue Note〉
価格:¥2,750(税込)
商品番号:29-68-0437-494

【2LP】Meshell Ndegeocello / No More Water: The Gospel Of James Baldwin〈Blue Note〉
価格:¥6,160(税込)
商品番号:29-67-1170-494


注目レーベル3選


こんにちは、藤本です。


突然ですが、皆さんは普段どのように音楽をディグっていますか?

実は店頭でお客様とお話ししているとき、「普段どうやって音楽を探していますか?」とよくご質問をいただきます。そのたびに「自分の好みのアルバムがリリースされているレーベルの他の作品であったり、好きなDJ、アーティストのミックス配信などをチェックしてみるのも面白いですよ。」とお答えしているのですが、実際に私はBandcampで気になるレーベルをフォローし、新作が出るタイミングで覗いてみたり、NTS Radioで好きなアーティストの放送を聴いたりして新しい音楽と出会うことが多いです。


今回はそんな音楽の探し方について少しでもキッカケになれたらと思い、辟易ながら今注目していただきたいインディー・レーベルからリリースされている作品をご紹介します! ぜひそこから派生して好きな音楽を見つけていただけたら嬉しいです。


まず最初にジャンル問わず先鋭的な音楽をお探しの方にオススメしたいのが、ロンドン発のレーベル〈AD 93〉。エクスペリメンタル、ヒップホップ、テクノ、ハウス、アンビエントなど幅広いジャンルにおいて独創性に富んだアーティストによる作品が多いです。

アーティストの交友関係にも繋がるかもしれないのですが、作品ひとつひとつのジャケやビジュアル、ルックなどで割と日本ではまだまだ知られていない気鋭クリエイターを採用していて、そういった作品周りのクリエイティビティからもセンスの良さが滲み出ています。


そんな同レーベルのアップカミングなアーティストの一人、オレゴン州ポートランド出身で現在はダブリンを拠点とする作曲家、プロデューサー、多方面に渡って活動するJasmine Wood(ジャスミン・ウッド)の『Piano Reverb』のカセットテープを展開中。




【CASSETTE】Jasmine Wood / Piano Reverb〈AD 93〉
価格:¥3,520(税込)
商品番号:29-69-0177-981


ポートランドから移住した先、ダブリンの廃教会に持ち込んだ100年以上前のブリュートナーのアンティーク・グランドピアノで制作された今作は、その廃教会の空間を楽器のようにして繋ぎ合わせたピアノのリバーブが、アルバムのサウンドの90%以上を占めています。

いくつものレイヤーで重なり合う持続音はオケのような、ある意味ピアノらしくない荘厳さ。鳥の鳴き声のフィールドレコーディングが散りばめられた「Ⅱ」をはじめ、アルバムの後半にはアンティークピアノの軋む音や鐘の音が聞こえてきたりと、荘厳さの中にストーリー性のある温かみが感じられるのも魅力的です。




続いてご紹介するのは、ベルリン、グラスゴーで運営されている実験ダンスレーベル〈INDEX:Records〉です。

2016年にアムステルダム出身のConna HarawayとKing Softyが設立したレーベルで、2人の周囲には新進気鋭の才能のあるアーティストが多いにもかかわらず、彼らの音楽の出口がないという共通の認識が、このレーベルの構想を促した経緯となっています。


同時期に生まれたレーベル〈3XL〉主宰のSpecial Guest DJも同レーベルのコンピに参加していることから伺えるように、ベルリンの実験ダンスミュージック・シーンの盛り上がりが感じられ、彼らが同シーンの一端を担っていくのではないかという気配も感じられます。


そんな同レーベルの最新作は正体不明の覆面プロジェクト、 Downstairs People(ダウンステアズ・ピープル)による2nd アルバム『DSP』。



【LP】Downstairs People / DSP〈INDEX〉
価格:¥4,180(税込)
商品番号:29-67-1177-526


"年"?のような白い一文字がセンターに施されたグリーンのミステリアスなアルバムアートワークが目を惹きますね。

今作は、トラックごとにチェンジしているであろうヴォーカルエフェクトや、ハイパーポップ風なシンセサイザー・サウンド、軽快で小気味良いビートの鳴りが印象的で、特に7分にわたる長尺トラック「Kiss My Vibe」はその特徴が顕著に表れていて中毒性抜群。あまりの気持ち良さに、思わず何度もリピートしたくなります。

ネオR&Bと掲げられていますが、ダウンテンポ、ガラージの要素もあり、良い意味でもったりとしていないあっさりとした質感が◎。James BlakeやSega Bodega辺りがお好きな方にも刺さりそうです! 前述で触れたレーベルコンピはこちらから聴けますよ。




続いてラストにご紹介するのは、UKのソウルシーンで活躍する重要プロデューサー、Adam Scrimshireが主宰するサウス・ロンドンを拠点とするジャズ~ヒップホップ~R&Bソウル系のレーベル〈Albert's Favourites〉。

個人的にデビュー当初からファンであるビートメイカー Hector Plimmerや、同じくビートメイカー/ドラマー Jonny Dropの作品を筆頭に徐々に頭角を現している同レーベルですが、最近では下記の2作品のようなネオソウル・ジャズアルバムのリリースがあったりと、レーベルの幅を利かせています。




【LP】And Is Phi / Double Pink〈Albert's Favourites〉
価格:¥5,940(税込)
商品番号:29-67-0860-526


現在サウス・ロンドンを拠点に活動するフィリピンとノルウェーにルーツを持つアーティスト、And Is Phiによる、ニュー・ソウルのインスピレーションを瑞々しく表現したデビュー・アルバムです。

Momoko Watanabe Gill、Isobella Burnham、Lorenz Okelloといった現地ロンドンのジャズシーンで活躍するミュージシャンが参加し、それぞれの楽器のピュアな音色が際立つ高次元のサウンドスケープが、And Is Phiの表情豊かな歌声を包み込んでいきます。

妖艶でかつ没入感のある空気感は、Georgia Anne Muldrow、Hiatus Kaiyoteがお好きな方にもハマること間違いなし…!




そしてこちらが前述でも紹介した、近年のロンドンを象徴するようなクロスオーバー・サウンドを届けるビートメイカー/ドラマー Jonny Drop(ジョニー・ドロップ)と、Theo Parrishとの共演で一躍話題となったガーナ出身のサウンド・プロデューサー/SSW、Andrew Ashong(アンドリュー・アション)のコラボ作品です。


終始程良い塩梅のBPMで繰り広げられる味わい深いサウンドと歌声。そしてうっすらと仄かに漂うサイケデリックな質感が癖になります。〈Rhyhtm Section〉や〈Tru Thoughts〉、〈Brownswood〉といったレーベルのファンをはじめ、ダウンテンポやレアグルーヴものをお探しの方にもおすすめです! 


なんだかUKが多くなってしまいましたが、他にも様々な魅力を持つレーベルが沢山ありますので、

もし新しい好みの音楽をお探しの方は、当店で扱っている作品のレーベルもチェックしてみてはいかがでしょうか!


それでは最後までご覧いただき、ありがとうございます。

直近の出勤日は8/31、9/2、9/3、9/6です。


ご来店お待ちしております!







空気が鳴る

こんにちは。BEAMS RECORDSスタッフの和田です。


先日、当店でも販売中の『マジエルのまどろみ』を制作した作曲家の磯田健一郎さんのインタビューを最近読んだのですが、その内容がとても興味深かったです。90年代にアンビエント/ニューエイジ・ミュージックを発表し、吉村弘や芦川聡と近いフィールドで活躍した彼によって、過去の作品の再録音やその手法、アンビエントや音楽制作に関することが語られています。


こちらは店頭のみのお取り扱い。\2,750(税込)


その中で印象的だったのが、今のアンビエントと言われる音楽には「ソフトウェアからはみ出していない」「空気が鳴っていない」ものがあるという指摘でした。彼らはパソコンとヘッドホンを使って製作していて、スピーカーを使っていないため、和音が響いていないことが分からないからとのことです。


確かに、そもそも音とは空気の振動であり、その場で楽器から鳴っている音を録音していたのが音楽制作の始まりだったはず。ですが、いつからかパソコン一台あればその中で音を作り、その中で録音ができるようになりました。それ自体は便利で、音楽の発展に繋がったと思いますが、スタジオのマイクで録音された音に含まれるその場の響き(空気感)はそこにはないのかもしれません。



以前にアーティストの小袋成彬氏が、スタジオでレコーディングをしている場合も、楽器の音以外の余計な音の響きを減らすのが日本では主流であるのに対して、ロンドンのスタジオは(その場で)出て来たものを良しとする多様性や偶然を許容する懐の深さがある、と語っていました。


それで思い出すのは、かつてドイツのロックバンドCANは、「Future Days」をレコーディングする際に、自分たちのスタジオのドアを暑さを理由に開けっ放しにして録っていたため、独特の音の響きを生んだという話。またボーカルのダモ鈴木が座っていた椅子のクッションのカサカサとした音もマイクに入っていて、それも楽曲の一部になったというエピソードもあります。


話がだいぶ逸れてしまいましたが、音楽を聴くときにメロディやリズムだけでなく、そういった録音環境から生まれる音の響きや空気感の事も考えながら聴くと面白いかもしれません。



ということで話が長くなってしまいましたが、最近入荷した作品をご紹介します。


まずはCANのメンバーであるHolger Czukayのソロ作品から。




【帯付き初回生産限定盤LP】Holger Czukay / On The Way To The Peak Of Normal〈P-VINE〉
   ¥4,400 (税込)                商品番号:29-67-1168-538


クラウトロック・バンドCANでベースを務めていたHolger Czukay(ホルガー・シューカイ)による1981年発表のソロ・アルバム。同じくCANのドラマーJaki Liebezeitのミニマムなドラムに合わせて、ギター、ラジオ音声のコラージュ、オルガンなどが変幻自在に繰り広げられていきます。

KraftwerkやNeu!などのバンドの録音に関わり、多大な影響を与えたドイツの重要エンジニア/プロデューサーのConny Plankや、P.I.L.のベーシストJah Wobbleなど個性豊かなミュージシャンがゲスト参加。演奏の録音後に実験的な編集とエフェクトが施されており、演奏時の空気感を強調したり再構築しているような印象を受けます。エクスペリメンタルな作品がお好きな方はこの機会に是非どうぞ!


次にご紹介するのは、スタジオのセッションの空気感が楽しめる作品。




【LP】Qwalia / Abbreviations〈Albert's Favourites〉
¥5,720 (税込)  商品番号:29-67-1146-526



こちらは、ロンドンを拠点に活動するジャム・バンドQwalia(クワリア)の2nd アルバムです。ドラマーのYusuf Ahmedを中心に、ベーシストのBen ReedやギタリストのTal Janes、キーボード/シンセ奏者のJoseph Costiなど、Frank Oceanなど数々のアーティストの楽曲にも参加する実力派のミュージシャンが参加。

ジャンルにとらわれない即興演奏が特徴で、今作も1stアルバム同様、2021年4月にロンドンのフィッシュ・ファクトリー・スタジオで行われた13時間のセッションから抜粋されたものになります。即興演奏ならではの生々しさがありながらも、技術に裏打ちされたクオリティに驚かされる一作。



最後にご紹介するのは、楽器や声の重なりが美しい、話題のコラボレーション作品です。




Milton Nascimento & Esperanza Spalding / Milton + esperanza〈Concord〉
CD ¥3,300 (税込) LP ¥6,270 (税込)


「ブラジルの声」とも称されるほどブラジルを代表するミュージシャンのMilton Nascimento(ミルトン・ナシメント)。本作では、グラミー賞を通算5度も受賞してきた実力派ジャズ・ベーシスト/シンガーのEsperanza Spalding(エスペランサ・スポルディング)とコラボを果たしました!

Milton自身の楽曲や愛聴してきたブラジル音楽、The Beatles、Michael Jacksonのカバーに加え、Esperanzaが2曲を新たに作曲。UKジャズを牽引するShabaka Hutchings、坂本慎太郎ともコラボするブラジルのロックトリオO Ternoの中心人物Tim Bernardes、ロンドンのSSWのLianne La Havasなど豪華なゲストが参加している点も見逃せないポイントです。

ブラジル音楽の自由さやジャズらしい演奏が合わさりながらも、どこかポップな仕上がりになっている印象です。ブラジル音楽を聴き始めるきっかけにもなりそうな一作。

こちらは音源ももちろん良いのですが、アメリカのラジオ局であるNPRの人気企画「Tiny Desk Concert」でのライブ映像(こちら)も素晴らしかったです。ライブ音源だとそれぞれの楽器の鳴りがはっきりしていてそれも良いですね。Mlitonが座りながら歌っているのも渋いです。


以上、新入荷の中からご紹介させていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!