JOE FALCONE 5'5" MICRO WING KEEL FISH

Ryoichi Igarashi 2021.03.23

前回からの続きです


Pilgrim Surf+Supply KYOTOにはどんなサーフボードが置いてあるのか?しばしばお問合せを頂戴しておりましたので、サーフボードの特徴も踏まえつつ、1本1本ご紹介させていただければと思います。まずはもうPilgrim Surf+Supplyではお馴染みのメインシェイパー、JOE FALCONE(※以下JOE)のMICRO WING KEEL FISH 5'5"についてお話をさせていただきます。


言葉で表現するのが難しい、絶妙なグリーン系カラーが魅力のKEEL FISH。

美色です。


日本でも波乗り経験のあるJOEが日本の波用にシェイプした、強すぎず、弱すぎずの絶妙なバランスがバッチリのロッカーライン。個人的にもこれまでデザインの異なる3本(5'5"、5'7"、5'7")のJOEがシェイプするFISHを乗ってきましたが、乗り込むほどにのめり込んでしまうFISHがこのMICRO WINGタイプなのです。理由は後ほどお伝えします。真ん中に厚みを持たせて、ノーズとテールに向かって薄くシェイプされている様子がよく分かります。


京都のPilgrim Surf+SupplyのOPENに合わせてシェイプしてくれたボードには、JOEの粋な計らいで、

J.W. FALCONE FOR Pilgrim KYOTO♡

*MICRO WING*SUSUMU

と墨入れしてくれています。これにはちょっとした理由があり、一昨年の11月頃にJOEが初来日して京都に訪れた際、JOE自身が京都に激ハマりして大好きな街になったというのも一つの理由です。京都から東京に戻ってきてから、京都でのJOEの体験談を2時間ほど聞かされたことは、今では楽しい思い出です(笑)SUSUMUに関しては、恐らく何か日本語で表現したかったのでしょう。詳しい話は聞いていませんが、翻訳するとMOVE ON、進むとか伸びるとか捗るという意味があります。私の個人的なMICRO WINGを簡単に表現するのならば、「よく動く、速い、タメが作れる」です。JOEが言いたいのは恐らくこういう感じなのだろうと、私は勝手に解釈しています。まぁ恐らくビックリするほど深い意味は無いと思いますので、あまり深く考えなくてもいいと思います。

SIZEは、5'5" x  20 7/8" x 2 3/8"。一見するともうちょっと長さが欲しいなぁという方もいるとは思いますが、個人的にJOEの5'5"のMICRO WINGに乗った感想から言わせていただきますと、まず第一に言えるのが、「実寸よりも長く感じる」です。これはどういうことかと言うと、幅と厚みも適度にあって、尚且つスムーズで伸びのあるターンが出来て、千葉一宮周辺の頭くらいのパワーある波でも、何の不安も無く気持ち良くサーフィンが出来るということです。実際に私は5'7"のJOEのFISHも持っていますが、それと比べても、「短くてサーフィンがしづらい」と思ったことは一度もありません。そのあたりで不安に思われる方がいらっしゃるのなら、長さに関しては何の問題もありませんと自信を持ってお伝えしたいと思います。


お馴染みのJF(JOE FALCONEの頭文字)ロゴは、デッキ面とボトム面の両側に配されています。


JOEがシェイプするRockaway Beach New Yorkの証である頭文字(RBNY)も墨入れされています。

この写真を見て、ストリンガー(サーフボードの中心にある木材の芯)が細くない?と思われた方、スゴイです。実はJOEのだいたいのFISHには、この「ウエッジストリンガー」が採用されているのです。ウエッジストリンガーとは何なのか?簡単に説明しますと、テール(後)側からノーズ(先端)にかけて、段々と太くなっていくストリンガーを採用しているのです。ウエッジストリンガーとは、元々はロングボードに採用されることが多いディティールで、ストリンガー自体の太さを変えることで、サーフボード自体にフレックス性能(しなり)を持たせ、伸びのあるターンを実現する為に開発された、実は昔からある伝統的なストリンガーなのです。ショートボードでは、あまりウエッジストリンガーを採用することはロングに比べると少ないです。その理由は、長さが短い分、しなりを感じ取りづらいとか、あまり効果が見られないという方も中にはいらっしゃる、というのが主な理由です。ではウエッジストリンガーにすると、どのような効力を発揮してくれるのか、それはボトムターン時の下から上に上がっていく時の「伸び」が、通常のストリンガーに比べて遥かに感じ取れるということに他なりません。言うならば、しっかりと踏み込んでボトムターンをすれば、フレックス性を活かした伸びのあるボトムターンが可能になるということなのです。伸びのあるボトムターンが可能になれば、スピードを落とさずトップまで上がれる→トップでのターンのキレが増す→スピーディーなサーフィンが可能になる、という仕組み。なので、このMICRO WING FISHはどちらかと言えばクラシックなFISHというより、NEO FISH(新しい時代のFISH)の部類に入ります。元々ショートボードをやっていた方には、すぐにアジャストし易いFISHと言えるでしょう。それを十分に理解した上でウエッジストリンガーをあえて採用したJOEは、やはり只者では無い、サーフィンオタクだなぁとしみじみ思います。


そして特記するべきはテールの形状。よく見ると、両サイドのレール部分が、少し削られていることが分かります。これを「WING(ウイング)」と呼びます。以前にサーフィンは水面に接する面積が大きいと安定し、接する面積が小さければ安定しないといった話を少ししました。ロングボードとショートボードに置き換えて考えると分かり易いと思います。なのでロングボードは長くて大きい分、安定感がある一方で、ショートボードは短くて小さい分、よく動いて小回りが利く。その原理を理解しておくと、このWINGがもたらす効果がより想像しやすいと思います。簡単に言うと、テールにWINGを入れているボードは、基本的に動かし易い=ターンがし易いように作られているのです。ただし、WINGが入っていること自体が必ずしも正解とは限りません。それはどういうサーフィンをしたいか?という目的によって大きく左右されます。クラシックで直線的なライディングに適しているFISHを好まれる方もいれば、FISHでもリッピングが出来るFISHに乗りたい方もいらっしゃると思います。こちらのJOE FALCONE MICRO WINGで言えば、どちらかと言うと後者側のボードであることを追記しておきます。このボードの持ち味は、何と言ってもタメを作って伸びのあるターンを活かした操作性とのバランス。個人的にですが、とにかく気持ち良い乗り味をお約束いたします。現に友人・知人に乗ってもらうと皆に言われるのが、「このボード欲しい!」と九割九分九厘の人たちが口を揃えて言います。かなり大袈裟に聞こえるかもしれませんが、これまでにJOEのサーフボードを購入されてハマって、2本目をご購入されるお客様が数名いらっしゃったことを振り返ってみても、JOEの削るサーフボードには、ある種の高い中毒性があるのだと思っています。かくいう私もその中毒者になった1人でもある訳ですが、、、


そしてオンフィンで採用しているのは、Larry Gephartのハンドメイドのモノ。Larryさんがどういう方かと言う説明は今回省かせていただきます(とても長くなってしまいますので)が、2021年現在、Larryさんのフィンをサーフボードに使えるシェイパーは、世界中で10人もいません。主なシェイパーでは、Skip Frye・Josh Hall・Andrew Kidman・Ryan Burch・Richard Kenvin等々、錚々たる面々しか使うことを許されていない中で、Joe Falconeも唯一ニューヨークのシェイパーで使うことを許されている1人に選出されているのです。これはなかなか分からないことかもしれませんが、かなりスゴイことだと言うことをお伝えしておきます。画像にあるフィンの右下に墨入れされているロゴがLarryさんのロゴになりますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。こういう木材のフィンは普通に見たことあるよ?と思う方もいらっしゃるかと思います。それもそのはず、この形状のフィンを開発した元祖がLarryさんであり、それを真似しているフィンが世界中に大きく広まっているのですから。フィンに墨入れされているLarryさんのロゴが目印となっています。


こちらはPilgrim Surf+Supply KYOTOでの取扱い商品になります。渋谷店にはこちらのJOEのMICRO WING FISHがございますので、詳しくは店頭STAFFまで、お気軽にお問合せください。


JOE FALCONE / MICRO WING KEEL FISH

SIZE:5'5" x  20 7/8" x 2 3/8"

No:3675-0145

PRICE:¥185,000-(+TAX)


それではまた次回