スタッフ「Ryoichi Igarashi」の記事

MORNING OF THE EARTH

前回からの続きです


今回は知る人ぞ知るオーストラリアが誇る最高のサーフムービー、「MORNING OF THE EARTH」のお話をさせていただこうと思います。


その前に、何故今になって1971年公開の「MORNING OF THE EARTH」?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。その理由は、Pilgrim Surf+Supplyもかなりお世話になっているRIDE SURF+SPORT(以下RIDEさん)にて、この「MORNING OF THE EARTH」リマスター版の上映会が行われるということで、ご招待いただき行ってきたのが理由です。実は招待と同時に、Christian Beamishの日本代理店、JOY SURF JAPANのNathan(ネイサン)からも、「お前(私)はこの日ここ(RIDEさん)に来て、この映画をちゃんと観るべきだ」とわざわざメールをもらっていたので、行かないと怒られる(笑)というのは冗談ですが、行くべきだと判断して行ってきました。はじめにお伝えしておきますが、恥ずかしながらわたくし「MORNING OF THE EARTH」はまだ観た事が無かったので、個人的にもこのタイミングでちゃんと観られることを嬉しく思っておりました。


上映会と同時に、Pilgrim Surf+Supplyでも以前大盛況の末に幕を閉じた「THE SURFER'S JOURNAL」のイベントもRIDEさんで同時開催していたので、日本版編集長の井澤さんにもPilgrim Surf+Supplyでのイベント開催のお礼と、改めてご挨拶が出来て良かったです。Pilgrim Surf+Supplyでもやっていただいた、このWINDOWを広々と使ったレイアウト、やっぱりいいですね。


RIDEさんならではの「THE SURFER'S JOURNAL」とのスペシャルT-shirtsやParkaなども陳列されていました。Pilgrim Surf+Supplyの入口にも飾ってある「Litmus(リトマス)」のアート作品もRIDEさんにはあります。リトマスもサーファーなら避けては通れない、必ず観て欲しい映画の1つです。


そして間もなくして上映会の前に、THE SURFER'S JOURNAL日本版編集長の井澤さん(左)と、RIDE柴田さん(右)のお二方によるトークショーがスタート。THE SURFER'S JOURNAL日本版創刊の経緯や、井澤さんがサーフィンを始めた1972年(「MORNING OF THE EARTH」の日本での公開は1972年)当時の日本でのサーフィンのあれこれや、私たちが知らない日本サーフの歴史について等々、非常に興味深いお話をお聞かせいただき感謝でした。1972年当時にやっと「リーシュコード(サーフボードと後ろ足を繋ぐコード)」が普及されてきて、井澤さんもフィンに自分でドリルで穴を開けてリーシュを結んでサーフィンをしていたそう。※1972年当時は「リーシュカップ」はもちろん無い時代&リーシュコードも2021年現在にあるリーシュとは到底言えない、ただのゴムを通して結んでいたそうです。その為、ワイプアウトした時に離れたサーフボードが、ゴムの伸縮によって自分の方向に向かってきてしまうという、想像するとなかなか恐ろしいリスクと戦いながらサーフィンをしていたのです。ゴムを足首に直巻きするのも想像するに、かなり痛そうです、、、もちろんそれ以前は全てノーリーシュが基本だったんですから、泳いでボードを取りに行くのは当たり前の時代だったんですよね。昔の方はここで相当な泳力を磨かれたんだなと勝手に予想してしまいました。


Pilgrim Surf+Supplyではお馴染みのこちらのFin Window。お店にいらっしゃったことのある方なら、お分かりの方も多いと思いますが、ヴィンテージフィンコレクションが展示してあります(非売品)。1960年代後半から1980年代頃の、実際に使われていたフィンが所狭しとレイアウトされています。中にはプラスチック製のフィンや、ゴム素材で覆われたフィンなど今では考えられない、本当に機能するの?と疑ってしまうようなフィンが並んでいますので、気になる方はこの辺もぜひチェックしてみてください。先人のサーファー達が、どんな風に、どんなライディングを狙ってフィンの制作にあたっていたのか、想像しながらこのヴィンテージフィンコレクションを見るのが個人的には楽しかったりします。昨今ではEllis Ericsonが開発したパワーブレイドフィン然り、フィンを変えるだけでサーフボード自体の動きが大きく変わるのですから、やっぱりシングルフィンは究極であり、一体これから先、どれだけの経験と知識を得られるのか、終わりなき旅はこれから先もずっと続いていきそうな気がしています。だからこそやっぱりサーフィンは面白いですし、下手だからまだまだうまくなりたいですし、きっとこれから先も同じようなことを私は言ってると思いますね。


そしてフィンの下の方に開いたこの穴こそが、先程井澤さんが仰られていたリーシュを付ける為にドリルで開けた穴です。今はサーフボードには必ずリーシュカップが付いていて、リーシュコードもどんどん良くなっているので、時代は本当に進化しましたよね。サーフィン以外でも現在私たちが日常で当たり前のように使用しているものも、当然昔は無かった訳であって、そこには先人の知恵と発明と、並々ならぬ努力があってこそ産み出されたものであって、、、と考えるとPCも携帯電話もネットも何も無い時代に何かを発明して、それを世の中のスタンダードにしてしまった人がいるって、やっぱりスゴイことだよなぁーと改めて考えたりもします。


色々話が脱線してしまいましたが、そろそろ本題の「MORNING OF THE EARTH」に話を戻します。1971年公開の映画ですから、撮影が行われたのは恐らく1969年・1970年でしょう。この時はまだリーシュコードが無い時代なので、もちろん全員ノーリーシュです。簡単に歴史をおさらいすると、この当時はちょうどショートボード革命が起こって少し経った時期であり、サーフボードは5ft台の短いものから7ft台のミッドレングス、セミガン・ミニガンなどが新たに登場した時代でもあります(この辺りの歴史を紐解きたい方は、2009年公開の映画「GOING VERTICAL」が特にオススメです)。「MORNING OF THE EARTH」の内容に関しては、まだ観てない方もいらっしゃると思いますので、詳細まではここに書き記しませんが、個人的な感想のみに留めておきたいと思います。というよりも、とてもじゃありませんが、この映画の解説や時代の背景などなど、全てこちらのBLOGでご紹介するのは正直言って今の私には無理です。それほどこの映画は、私のちっぽけな知識や経験で簡単にまとめられる映画では無いということも、念を押して追記しておきます。そして「お前(私)はこの日ここ(RIDEさん)に来て、この映画をちゃんと観るべきだ」とメールをくれたネイサンにも、この場をお借りしてお礼を言いたいと思います。来てよかったーって本当に思いました。この映画を観てまず思ったことは現在から50年、半世紀も前の時代に、オーストラリアやアメリカではもう既にこんなことまでやってのけていたのか!というのが率直な感想です。今では世界でも名高いサーフポイント(毎年世界大会が行われるほど)として有名なバリのウルワツが世界中に広く知れ渡ったのも、実はこの「MORNING OF THE EARTH」の映画がきっかけだったり。とにもかくにもこの映画が昨今のサーフシーンに及ぼした影響は数知れず、偉大過ぎる先人のサーファー(もちろん錚々たる面々が登場しています)にただただ脱帽しました。


そしてPilgrim Surf+Supplyのレコードコーナーには、この映画「MORNING OF THE EARTH」のサウンドトラックレコードがオープン当初からあります。この映画はサーフィンのみにあらず、音楽としてもかなり高い評価を受けています。それをPilgrim Surf+Supplyのオープンに合わせて「MORNING OF THE EARTH」のサウンドトラックを真っ先に導入したオーナーのクリス。サーフィンはもちろん、音楽やアート等々、あらゆる分野に深く傾倒しているクリスの頭の中には、一体どれだけの歴史や知識が凝縮されているのか。どんな生き方をしてきたら、これだけのありとあらゆる知識を習得できるのか。本当に謎です。音楽にしても1970年代の楽曲をカバーしている現代アーティストもたくさんいて、現在私たちが使っているようなサーフボードのデザインも、ほぼ1970年代には既に発表されているものがほとんどです。そう考えると1970年代が現在にもたらした功績や歴史や文化は、個人的にも無視できないとても重要な時代なんじゃないかと思ったりもします。あり得ない話ですけど、もし時をまたいで旅行ができるならば、確実に1970年代を私は選びます。あり得ない話ですけど。


見開きに登場しているこの「MORNING OF THE EARTH」のジャケットにも使用されているサーファーは、オーストラリアのレジェンド、Michael Peterson(マイケル・ピーターソン)。世界中から彼の名の頭文字を取った「MP(エムピー)」という愛称で広く親しまれています。そしてMPと聞いて「あれ?どっかで聞いたことがあるような?」もしくは既にご存知の方も多いと思います。それもそのはず、MPが発明したEGG(タマゴ型のサーフボード)は今現在もなお「MP EGG」として、世界中の様々なシェイパーがこぞって真似(MPへのリスペクトやオマージュへの意味合いが強くあると思います)をしていたりするのです。私も知人からANDREINIのMP EGG7'4"を借りて乗ったことがあるのですが、これが7'4"のレングスとは思えないほどに軽快なターンを実現し、尚且つテール側に適度に立ったエッジが効いていることで、程良いホールド感も感じ取れました。それが私のはじめてのMP EGGに乗った時の感想です。終わってすぐに知人に「MPメッチャいいですねー!欲しいです!」って言ったことを今でも鮮明に覚えています。MP EGGの真骨頂はシングルからダブルに入れられたコンケーブによって生まれる、高い操作性能にあるのではないかと私は感じています。今のトライフィン(ショートボード&コンペティターボード)に見られるコンケーブは、シングルからダブルに入っているのが主流です。言うならば、現代ショートボードの基礎とも呼べるこのコンケーブは、Michael Peterson(マイケル・ピーターソン)によって生まれたものなのではということになります。そしてもちろんMPが開発したEGGはコンケーブのみにあらず、絶妙なアウトライン、特にややエッジの効いたテール側に個性がより強く反映されているように私は感じます。ぜひ機会があればお試しいただくことをオススメいたします。RIDEの柴田さんが面白いお話をされていたので、ここで少しご紹介させていただきます。柴田さんが上の画像にあるMPが乗っているボードのディメンション(サーフボードのサイズ)について、Andrew Kidman(アンドリュー・キッドマン)に聞いてみたそうで、その返答にはこうあったそうです。「5'8 x 20 x 3 1/4」(かなりうる覚えですが、これくらいのディメンションであったことは間違いないと思います)。レングスとワイズはまぁまぁ普通のショートボードのサイズですが、厚みがロングボード並みに分厚いことが分かります。そしてこの元祖とも言うべきMP EGGボードのフィンにご注目ください。見る限り、9.5くらいありそうな長いフィンが付けられています(現代では7か7.5くらいのフィンセッティングが一般的でしょうか)。そんな今ではなかなか考えづらいフィンセッティングで、こんなにキレイなラウンドハウスカットバックをキメているなんて、私には到底無理な話であり、シェイパーとしてもサーファーとしても超一流なマイケル・ピーターソンはやはり只者ではありません。当時世界最高峰のサーファーとの呼び声が高かったのは、間違いないと思います。


色々話が脱線して長くなってしまいましたが、個人的には「MORNING OF THE EARTH」の映画を観れたことによって、サーフィンはもちろん人々の暮らしや本当に必要なものはなんなのか、自分自身に置き換えて考えさせられたとても良い機会になったと思います。


もし機会があればぜひ「MORNING OF THE EARTH」を観てみてください。




それではまた





RASH WETSUITS CUSTOM ORDER EVENT Vol.6

前回からの続きです。


今年もこの時期がやってまいりました。

RASH WETSUITS CUSTOM ORDER EVENT Vol.6

毎年恒例の本イベントも気が付けば6回目。月日が流れるのは早いもので、Pilgrim Surf+Supplyも10/1でオープンから丸々6年の月日が経ち、7年目に突入いたします。ここまで続けることが出来たのも、毎年必ずこのオーダー会を心待ちにしてくださるお客様がいらっしゃるからこそであり、本当に感謝しかありません。そしてこのイベントの度に毎年ウエットスーツの採寸をしにきてくださるチームRASH WETSUITSの皆様にも、この場をお借りして感謝の弁を申し上げたいと思います。いつも本当にありがとうございます。


今回のイベントに関しまして、基本的には前回と前々回のサービス(通常20%のオーダーUPチャージが無料etc)と、大きな変更はありません。

違う部分は「選べる素材」が増えたことでしょうか。あとはもちろんセミドライ(冬用ウエットスーツ)以外の冬以外に着用する為のウエットスーツも、このタイミングで作っておくことも可能です。私も過去にこのオーダー会のタイミングで夏用ウエットスーツのオーダーをしました。

個人的に今現在はセミドライx2、ジャーフル、ロングジョン、ロングタッパーの5着で一年を通じ、全てRASH WETSUITSで快適にサーフィンをさせてもらっています。セミドライがなんで2着あるのかというと、今から6年前にはじめて作った最初のセミドライが未だ現役で使用出来ているからです。流石に5年も着ていると、ところどころ修理が必要になってきたり、身体のサイズが微妙に変わってきたりとか出てくるんですが、そのタイミングで昨年セミドライを新たに新調しました。以前に作ったセミドライも、インナーネックの素材がボロボロだったので、ひとまず修理に出してみることに。その修理が上がってきてビックリしたのは、ボロボロだったインナーネックがものの見事に復活しており、試しに修理上がりのセミドライで海に入ってみると、何の問題も無く真冬の海でサーフィンが出来ていました。なので現在は、新調したセミドライを一軍、修理上がりのセミドライを二軍として今も現役で使用しています。セミドライが二着あると、冬のサーフィンに対する心の余裕のようなものが全然違いますね。セミドライを二着持って行って2Rサーフィンするのも良し、二日連チャンで海に行ったとしてセミドライが乾ききらなかったとしても、もう一着のセミドライで難無く行けちゃうのですから、セミドライ二刀流は個人的にもかなりお勧めです。


サーフィンを上達させたい方に特に意識していただきたいのは、ずばり「冬のサーフィン」です。

その理由を数ある中から個人的な主観ですが、3つ抜粋して挙げたいと思います。

1.冬の海は、夏に比べてサーファーの数が圧倒的に少ない

2.冬の海は、夏に比べて波が良い

3.厚手のウエットスーツを着用していた方が圧倒的にケガが少ない

1.に関して言えば、誰しもが頭では分かっていることだと思います。単純に寒いのが嫌だからという理由で冬場の海へ足が遠のいてしまう方も少なくないと思います。逆に言えば、サーファーの数が減った冬場こそ、実は思いっきりサーフィン出来る環境が作り易く、それがゆくゆくは上達への大きな近道となるはずです。

2.に関して言えば、一つは「台風」の影響によるところもあると思いますが、あとは「気圧」でしょうか。基本的に高気圧よりも低気圧の方が波が立つイメージです。夏場の高気圧よりも冬場は寒さと比例して低気圧に覆われる日が多いように感じます。よって波が立つ日が多いのは、どちらかと言えば冬場の方かもしれません。「風」の向きもとても重要です。千葉で言えば、夏場には滅多に吹くことの無い「西風」が冬場に吹くことが多く、この風が千葉の地形的に「オフショア」となり、波の形状を整えてくれている。そんな風に毎年思っています。専門的な知識を要している訳ではありませんので断言は出来ませんが、私と同じように考えていらっしゃる方も少なくないと信じたいです。

3.に関して言えば、例えば夏にサーフショーツ一丁でサーフィンをしていて、フィンが身体のどこかにぶつかって切れてしまったりとか、上裸でパドリングをしているとWAXと擦れてみぞおち部分が痛くなったりなど、単純にセミドライを身にまとっていればそういった悩みが解消されます。冬のウエットスーツは体温を低下させない為の重要なギアでありながらも、外部からの衝撃からも身を守ってくれる役割も実は担ってくれているのです。

結局何をお伝えしたいのかと言うと、「サーフィンの上達への道のりは、いかに冬場ちゃんとやるかどうか」これに尽きると思っています。

そこにRASH WETSUITSという最高品質を掲げるWETSUITSがあれば、上達への道のりが、二乗分くらいの速さで近づけるという訳です。その理由についてはこちらのBLOGでも少し説明させていただいておりますので、良かったらぜひチェックしてみてください。


そしてこれも個人的な主観ですが、RASH WETSUITSの良い点TOP3も併せてお伝えしたいと思います。

1.ワセリンなど余計なものを付ける必要が無い

2.保温性や機能面は申し分無く、それでいて長年愛用できる

3.独自のパターンや採寸方法でパドリングが速くなる

言い始めたらキリがないので、今回は上記3点に絞りました。要はRASH WETSUITSを冬場に着用すれば、余計なストレスから解放され、ノーストレスで100%サーフィンに集中出来るということ。その結果がサーフィンの上達へと、ここでイコールになるのです。ウソのような本当の話、一度でも着た事がある方なら、私の言っていることが理解していただけると思います。


と言う訳で、改めて告知です。


RASH WETSUITS CUSTOM ORDER EVENT vol.6

開催日 2021年10月2日(土)・3日(日)

会場 ピルグリム サーフ+サプライ(渋谷)

開催日 2020年10月9日(土)・10日(日)

会場 ピルグリム サーフ+サプライ 京都


渋谷と京都の計4日間、どちらの店舗にも私五十嵐が常駐しておりますので、皆様のご来店を心よりお待ちしております。




それではまた次回





6'7" CHRISTIAN BEAMISH RIFLE RANGER TWIN

前回からの続きです、、、


本日は京都店に入荷してきたニューボードをご紹介させていただきたいと思います。


6'7" CHRISTIAN BEAMISH RIFLE RANGER TWIN

SIZE : 6’7” x 20 1/2 x 2 5/8

No. 3675-0191

PRICE:¥192,000-(+TAX)

ショートボードとも言えない、ミッドレングスとも言い切れない絶妙なレングスの6'7"。

どちらかと言えば、ショートボードとミッドレングスの両方をやる方にピッタリな長さだと思います。ワイドポイントを前方に置いた、クラシックでありながらもバランスの良いアウトラインです。見るからに速そうなデザインが魅力のRIFLE RANGER、個人的にもかなり気になりますね。


そしてRIFLE RANGER(ライフル レンジャー)の最大のポイントは、画像のボトム側に施された4チャンネル。

このチャンネルがもたらしてくれる効果とは?

それについてはBLOGの最後の方に詳しくご説明させていただきたいと思います。

コンケーブは前方からチャンネルまでにかけて、ダブルコンケーブが徐々に深くなっていくイメージで、最後思いっきりVEEで落としています。ディティールから読み取るに、高い操作性能を意識したコンケーブだと言えるでしょう。


シェイパーは、カリフォルニア州に拠点を構えるChristian Beamish(クリスチャン・ビーミッシュ)

あの世界的有名なTHE SURFERS JORNALの執筆も手がけていたり、様々な肩書きを持っているのもクリスチャンの大きな魅力の一つです。 

少し話を戻して、何故クリスチャンのサーフボードを展開することになったのか、その経緯を簡単にお伝えさせていただきます。コロナ渦で世界が大きく変わった2020年以降、自らのライフスタイルが大きく変わった方も少なくないと思います。その中で個人的に明るい兆しが見えたことと言えば、それは「以前よりも遥かにサーファー人口が増えたこと」だと感じています。人気スポットの湘南エリアはもちろん、千葉の海沿いに住む友人からも、サーファーが増えているという類の話をよく耳にするようになりました。それは我々ピルグリムサーフ+サプライにとっても同様で、「最近サーフィンをはじめた」とか「新しいサーフボードを探している」というお客様からのお話をよく伺うようになりました。それに比例するようにサーフボードの在庫もどんどん無くなっていき(ありがとうございます)、サーフボードのラックがスカスカになってしまうという事態に。そしてすぐさまオーナーであるクリスにサーフボードの相談を持ち掛けたところ、真っ先に出てきたシェイパーの名前がクリスチャン(Christian Beamish)だったのです。JOEのALBATROSSのBLOGにも少し触れていますが、現在(ここ2年ほど)アメリカではツインピン(ツインフィンのピンテール)が流行中とクリスから言われていて、「クリスチャンのチャンネルツインは特に良いからかなりオススメだね」と言われたのが全てのはじまりでした(本国のPilgrim Surf + Supplyでもクリスチャンのサーフボードは入るとすぐに売れてしまう人気ボードなんだそうです)。それからオーダーをして、今回のボードが入荷した訳なのですが、制作依頼をしてから僅かひと月の間にカリフォルニアから我々の為に3本のサーフボードを仕上げて送ってくれたことには本当に驚きました。クリスチャンのハンドシェイプはとても早いです。クリスからも「Christian Beamish is happy to make us boards」と言われていて、なんか会ってもいないのに、クリスチャンはめちゃくちゃ良い奴なんだろうなぁと勝手に想像しています。いつか実際に会いに行って、クリスチャン本人に「ありがとう」と伝えに行きたいと思っています。


前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ本題に戻ります。

クリスチャンが掲げるRIFLE RANGERの特徴は、70's頃によく見られていたハイパフォーマンスのツインフィンを、現代版にアップデートさせたところ。それがこの画像にあるやや前方に入ったロッカーや、厚さ2 5/8という厚みにも深く関係してくると思います。あとここまでで目で見て判断できることは、パドリングスピードも申し分無いことでしょうか。このロッカーの入り具合(やや前方寄りに入っていること)とやや細めの幅と、安定感のある十分な厚みを兼ね備えたバランスから見て、このボードでパドリングをしている自分の姿を想像すると、その速さにニヤけている画が思い浮かびます。カラーは海でもどこでも映えて、気分が明るくなるような「レモンイエロー」をチョイスしました。


ノーズの先端は、これも70's頃によく見られていた「イーグルノーズ」を滑らかにシェイプし直したようなディティールです。本来のイーグルノーズは読んで字の如く、「鷲の鼻」のようにもっと角度のあるノーズの形状なんですが、それを滑らかに削って削ぎ落しています。そうすることでまず一つは「軽量化」を図ったこと(そのまんまイーグルノーズでは真っすぐ走る分には安定しますが、ノーズが重くて操作性に欠けてしまいます)が大きいです。逆に普通のノーズの形状にしてしまうと、ノーズが軽過ぎてターン時の操作性はUPしますが、今度はスピードを出したい時にやや安定感に欠けてしまいます(風が強い日は特に)。という絶妙なバランスから想像するに、20年以上100%ハンドシェイプをし続けるクリスチャンのこだわりが私にはしっかりと伝わってきます。恐らくこのRIFLE RANGERを完成させるにあたり、きっと何年も何年も試行錯誤を重ねていったことでしょう。間違いないチョイスだと思います。まさに熟練の職人技とも言うべき、細かな部分にまで一切の抜かりはありません。


続いてテールの形状です。ややテール幅の細い、ラウンドピンテールに近い形と言えるでしょうか。

見るからに先程のノーズロッカーの形状も踏まえ、サイズが上がっても存分に楽しめるサーフィンが出来る、そんな魅力的なデザインが随所に垣間見られます。


クリスチャン直筆のサイズ表記は、6'7" 14 1/2" x 20" x 14 1/4" (2 1/2)。

ボードの真ん中と、上半分の真ん中と、下半分の真ん中の幅を丁寧に墨入れしてくれています(厚みの表記はボードの真ん中)。馴染みの無い方には少し分かりにくいかもしれませんので、こちらでワイドポイントの一番広い幅がある部分と、一番厚みのある部分を計測して、6’7” x 20 1/2 x 2 5/8 という数値を出させていただきました。予めご了承ください。


そして、このRIFLE RANGERを語る上で欠かせないディティールが、この4チャンネルのテールとツインフィンです。

ラミネートはカリフォルニア州ベンチュラにある、HULL FIBERGLASSING。リビングレジェンドGerry Lopez(ジェリー・ロペス)さん自身がシェイプするLightning BoltのサーフボードもここのHULL FIBERGLASSINGで行われています。


日本では正直あまり乗っている人はそうそう見かけないチャンネルボードですが、海外ではよく見かけるファンの多いディティールです。かく言う私もチャンネル好きの1人でもある訳ですが、チャンネルがもたらしてくれる効果とは一体何なのか?最後はそこに焦点を当て、個人的な主観満載でお届けできればと思います。まず乗ってみて思ったことは、チャンネル無しのボードと比較すると、「推進力が高い」というのがはじめに出てきます。どうしてそう感じたか?と聞かれれば、一番それが分かるシーンがダックダイブ(ドルフィンスルー)です。チャンネルボードで思いっきりパドルして波をくぐり抜けようとノーズから沈めていき、最後にテールを蹴ってボードが崩れる波に引っかからないようにかわして水面に浮上した時、いつもより前に進んでいると即座に気づきました。ボードを水中に潜らせている最中に、勝手にボードが前進している。そんな言葉がしっくりくるかもしれません。そしてもちろんチャンネルはダックダイブ時の推進力のみにあらず、一番の大きな特徴は「スピード」と「操作性能」です。チャンネルの溝が水の流れる道を作ってくれて、波の上を滑走している時こそそれが顕著に表れ、チャンネルが無いボードと比べると明らかなスピードの違いが感じ取れることでしょう。とても気持ちの良いスピーディーなライディングが可能になります。このRIFLE RANGERで言えば、TWIN FINなので、真ん中にFINが無い分、スピードを生かした状態でTWIN FIN独自のルースするターンも楽しめるという仕組み。さらにこの絞られた細めのテールなら、なおさらターンのレスポンスはとても良いです。思いっきりスピードを出したい時はやや前方に重心(前足)を置き、出来るだけ重心を落として乗ると良いと思います。そしてボトムターンやカットバックの時は、後ろ足をやや下げてフィンの上に足を置き、ヒザを曲げて上半身をうまく使ってターンをすればスピーディーなターンが可能になります。エリスのEdge Boardも基本的な要素は「スピードと操作性の高さ」が大きな特徴ですが、クリスチャンのRIFLE RANGERも同様に「スピードと操作性の高さ」が大きな醍醐味のボードです。全く違うデザインながらも、両者がアプローチをかけたデザインには比較的共通点も実は多かったり。そんなことを考えながら、サーフボードを見るのもとても面白かったりします。


そしてサイドのレールはあまり落とさず、しっかりと厚みを残したデザイン。これにも理由があって、もしサイドレールを細く落としたデザインだとすれば、このRIFLE RANGERは「超スピード特化型」と言っても過言では無かったかもしれません。レールを細くすると波のフェイスに食い込み易くHOLD感が良くなる一方で、レールが食い込み易いとターンのレスポンスが悪くなるという悩みが出てきます。その点このRIFLE RANGERはTWIN FINなので、「TWIN FINの持つルース感を生かしたターンを楽しんでもらいたい」というクリスチャンの想いが、このレールのデザインに繋がったのでしょう。ノーズからチャンネルにかけて入ったダブルコンケーブも、操作性の大きな手助けとなってくれていて、とても理に叶ったデザインだと思います。


フィンについては左のCLASSIC TWIN SMALLか、右のCLASSIC TWINからお選びいただけます(別売です)。オーストラリアのフィンカンパニーとして、ここ最近の評判の良さは昇り竜とも言えるalkali FINです。

さてこうなってくると、迷うのがフィンのチョイスです。「一体どちらのフィンがいいんだろう?」という疑問が出てきます。はじめにお伝えしておきますが、「こっちが正解です」というのは正直ありません。どちらかが正解かという話では無く、「どういうサーフィンをしたいか?」という理想による部分が大きいと思います。以前にも少し触れましたが、一般的には小さいフィンの方がよく動き、大きいフィンの方が安定します。こちらのalkali FINにおいてもその原理は全く同じです。なのでどちらかと言えばSMALLは小波の方がより楽しめて、CLASSIC TWINは大きい波で安定する。その一方で、SMALLは大きい波の時に安定感を欠き、CLASSIC TWINは小波の時にターンのレスポンスがやや遅い。そういったデメリットがあることも付随しておきます。私なら、比較的リズム良く小刻みなターンを好まれる方にはSMALL、ドライブを効かせた比較的大きめのターンを好まれる方にはCLASSIC TWINをお勧めいたします。こればっかりは乗り手の好みによるところが大きい分、どういうサーフィンを自分がしたいか?という問いに、素直に出た答えに従ってチョイスするのがベストな選択だと思います。それでも悩まれる方は、お気軽に店頭スタッフまでお尋ねください。


よろしくお願いいたします。




それではまた次回





6'6" ELLIS ERICSON EDGE 1st MODEL

前回からの続きです・・・


本日は先日入荷したEllis Ericson Edge 1st Modelを改めてご紹介させていただきます。

こうやって改めて見てみると、前回ご紹介させていただいたHOTWIRE REDのワイドポイントが、如何に後方に下がっているかがよく分かりますね。


6'6" ELLIS ERICSON EDGE 1st MODEL

SIZE : 6’6” x 21 1/8 x 2 7/8

特徴的なのは、幅21 1/8。手に持った感じは、気持ちやや幅が細め、といった印象。この辺りについては後で詳しくご説明させていただこうと思います。


ロッカーは、どちらかと言えばHOTWIRE REDの方が気持ちスムーズに入っていると思います。

ロッカーがより効いている方がターンのレスポンスは良くなる、という仕組みです。


そしてこのEdge Boardには、実は知られざる秘密が隠されているのです。

こちらのシェイパーEllis Ericson直筆の墨入れされた文字にご注目ください。

「CHRIS・PILGRIM・KYOTO」

実はこのEdge Board、我らがPilgrim Surf+Supplyの生みの親、Chris GentileがEllisに直々にオーダーしていたEdge Boardなんです。では何故クリスのオーダーボードがここにあるのか?その辺りにも少し触れておきます。今からおおよそ約2年〜3年ほど前に話は遡ります。元々クリスとエリスは、昔から仲の良い関係を築いていたのですが、エリスが日本の代理店をRIDEの柴田さんに任せたという情報をクリスが受け、クリスが来日しているタイミングで柴田さんと実際に会うという話になったのがはじまりでした。その時クリスが「Ryo(私)、お前も来い」という事で皆で晩御飯を一緒に食べに行った時の話です。そこでクリスは自分自身用にエリスのエッジボードを柴田さんに依頼していました(依頼していたのは会食後の事ですが)。そのオーダーボードがこちらのエッジボードなのです。次回の来日時に日本でオーダーボードを引き取って、日本の波で試してからニューヨークに持って帰る。それがクリスの狙いでした。しかしながら、その願いは叶わず、お蔵入り寸前だったボードを急遽日本で販売する事になった、という経緯が実はあったのです。今現在クリスは、これと全く同じボードを新たにオーダーしていたので、きっとニューヨークの波に乗りまくっていることでしょう。ちょうどピルグリム サーフ+サプライ 京都のOPENに合わせてオーダーしたタイミングだったので、エリスからの京都店オープンおめでとうという粋な計らいで「KYOTO」という文字が入っています。


通常販売のボードには見られない、バリーさん(Barry McGee)のディケールも、スペシャルなポイントです。これが出来るのも、クリスとエリスの関係性があってこそなので、通常我々には入手する事の出来ないディケールのエッジボードが、ここで手に入れられる事になりました。


詳しいディティールは前回もご説明させていただいておりますので、今回は割愛させていだたこうと思います。


クリスがチョイスしたカラーは、おそらく「Purple Rose」だと思います。この何とも言えないペールトーンの優しいパープルとブルーを混ぜたような色味がナイスカラーです。


お馴染みのパワーブレードフィンもエリスエッジにはマストです。


先程、幅について「気持ちやや細め」というお話をさせていただきましたが、何故そう思うかと聞かれれば、これまで私の知っている限りのエッジボードの中では、このクリスがオーダーしたエッジボードが一番幅が細いです。そこにもクリスのこだわりがあって、何故幅を通常のエッジボードより気持ち細くしたのか、私にはある程度理解というか、想像ができます。その理由はクリスのホームポイントでもあるニューヨークの波(RockawayやLong Beach、New Jerseyなど)に大きく関係していると思います。結構前に、私が行ったニューヨークでのサーフィンについてのBLOGを書いたことがありますが、そこで「ニューヨークの波は結構掘れて速い波が多い」という話をしました。勘の鋭い方はもうお気付きでしょうね。速くて掘れる波に適したボードはいくつかあるんですけど、ザックリ言うと「幅が広いボードよりも、幅が狭いボードの方が圧倒的に安定感があって良い」ということです。ビッグウェーブにはガン、上記リンクのBLOGでクリスは11'1"のグライダーをチョイスして、実際に誰よりも多くテイクオフしてました。すなわち、クリスがこの幅をチョイスした大きな理由は、「比較的に速くて掘れるニューヨークの波に対応し易い幅でオーダーした」という部分が大きいと私は思っています。もちろんクリス本人に確認した訳ではありませんが、クリスが来日する度に一緒にサーフィンをしてきて、ニューヨークの波も経験してきた私には、それが理解できます。そしてクリスはやっぱりサーフィンが大好きなんだなぁって改めて思いましたし(そりゃあそうですけどね)、理に叶ったボードチョイスは流石の一言に尽きます。そしてこのエッジボードを日本の波で使用するにあたっては、紛れも無く大きい波でこそ、このボードの持つ最大の魅力が存分に感じれることでしょう(とは言いつつも、小波は小波で踏むだけでグングン走っていきますので、大きい波が苦手な方もご安心ください)。個人的にはサイズの上がった千葉北や鎌倉方面のリーフでも試したいですが、宮崎などのサーフトリップにも持っていきたい一本ですね。絶対良いはずですし、こう書いていて自分が欲しくなってきちゃいました、、、


という訳で、

Ellis Edge 1st MODEL for Chris Gentile Special Edition

No. 3675-0170

ピルグリム サーフ+サプライにて発売中です。




それではまた次回





6'2" ELLIS ERICSON EDGE HOTWIRE RED

前回からの続きです。


久しぶりのニューボードのご紹介です。

一昨年のEDGE OF A DREAMの発表から、瞬く間に一躍「Edge Board」を再び世界中に広げた立役者となったEllis Ericson。そのEllisのEdge Boardが今回3本Pilgrim Surf+Supplyに入荷いたしました。渋谷店での前回入荷分は早々にSOLD OUT。そこからオーダーをしていた分がようやく店頭に到着いたしました。もちろんシェイプはEllisのオールハンド、ラミネートは日本のファクトリーで行われています。


そして今回、Pilgrimでは初のお披露目となる「HOTWIRE RED」というニューモデルのご紹介です。RIDE SURF+SPORTに足繁く通っていらっしゃる方や、RIDEの柴田さんのBLOGを熟読している方はもう既にご存知かと思いますが、こちらでも改めてご紹介させていただきます。


SIZE : 6’2” x 21 3/8 x 2 7/8

まずはこのHOTWIRE REDが、1stモデルのEdge Boardと比べてどのように変わったのか、今回はその辺りをメインに個人的な主観を含めてお届けさせていただきます。HOTWIRE REDのアウトラインについて、1stモデルとの大きな違いは大きく分けて3つあります。

1. ノーズが丸い 

2. ワイドポイントがやや後方にズレている 

3. テール幅が広い

上記した3つのポイントが、1stモデルとの大きな違いと言えるでしょう。ではこの3つの特徴がどのような性能を発揮しているのか、考えてみます。まずこのHOTWIRE REDを一言で表現するのならば、「パフォーマンス重視のEdge Board」。この言葉がしっくりくると思います。このワードを頭の片隅に置いていただくと、これからの説明が理解し易いはずです。1. のノーズが丸くなっている意図は、スピードが持ち味のEdge Boardにおいて(一般的なサーフボードよりも遥かに速いスピードを持っています)、「風の影響を受けにくくする為のデザイン」と「スピーディーなライディング時でも安定したターンを可能にしている」という点です。前述したパフォーマンス重視のEdge Boardとは、言い換えれば1stモデルと比較して「ターンがし易くなった」ということになります。そのターンをより快適に操作する為の効果的なディティールがこの丸みを帯びたノーズなのです(ノーズが尖っていない分、風の影響を受けにくいという原理です)。2. のワイドポイントが後方にズレたということは、ボードを回す(ターンをする)際のウエイト(重さ)が後方に下がり、ノーズ(前方)が軽くなったことによって、よりアグレッシブなターンを可能にしてくれているのです。3. の幅が広くなったテールにおいては、もう少し後に出てくるテールの画像のところで改めてご説明いたします。


厚みが2 7/8という事もあり、けっこうしっかりとした厚さが感じられると思います。そしてこの厚みこそがスピードを出す為の水面に接する部分であり、浮力があればその反発でグングン進んで行くという仕組み。Edge Boardはロッカーを強めに入れるというよりかは、ボトムの真ん中あたりから、ノーズとテールに向かって薄くシェイプしている。というような印象です。この辺も比較的厚みのあるボードならではのディティールかと思います。


1stモデルと比べると、HOTWIRE REDのテール幅はやや広く、テール幅が広い分(テイクオフの時に幅があるとテールを波が押してくれる)、波をキャッチする事に優れています。かと言って小波用に特化したボードという訳ではありません。EllisのEdge Boardは、「波のサイズが上がれば上がるほど機能する」という事を念を押してお伝えしておきます。それでいて小波でも普通のショートボードでは抜けられないようなセクションも抜けられるのですから、大抵のサーファーなら誰しもがそんな夢のようなサーフボードに、いつか乗ってみたいと考えていると思います。


そしてテール部分、ボトム側のエッジが終わる位置にご注目ください。


※画像手前がHOTWIRE RED、奥2本が1stモデル

HOTWIRE REDは、1stモデルよりも高い位置でエッジを終わらせている事がこの画像から見てとれます。ここが重要なポイントです。

前述した「パフォーマンス重視のEdge Board」を分かり易く言い換えると、「1stモデルよりも遥かに動かし易い」または「ターンがし易くなった」という事になります。では何故このエッジが高い位置で終わってる方が動きがいいのか考えてみます。それはターンをする時の水の抵抗(引っ掛かり)によるところが大きいです。基本的にターンをする時は、テール部分に後ろ足を置いて、テール(後ろ)を軸にノーズ(前)を動かしてサーフボードを回転させます。1stモデルのようにエッジをテールエンド(一番下の最後)まで入れた時にターンをすると、エッジがあるとどうしても少し引っ掛かりのようなものが感じられます。それはそうです、エッジは簡単に言うと「段差」みたいなものですから、シンプルにその段差で水の抵抗を受けてしまう事は避けられません。では逆にHOTWIRE REDのテールエンドならどうなるか、答えは簡単です。エッジを高い位置で終わらせているので、1stモデルに見られた“引っ掛かり”のようなものが無くなり、シンプルにエッジが無い分、スムーズにテールが滑り易くなり、ターンのレスポンスが非常に良くなる仕組みに変貌を遂げているのです。EllisのinstagramのHOTWIRE REDに乗っている動画をよく見ると、このEdge Boardをスラスター並みに動かしながら乗っている動画もあったりするので、気になる方はぜひチェックしてみてください。ただでさえ1stモデルの発表から、「こんなに速くて動くエッジボードは過去に見た事が無い」と世間を賑わせたにも関わらず、それに満足せず、さらなる操作性能の向上に努めたEllis。この男のサーフボードへの飽く無き探求心は、何処まで行けば辿り着くのか、とどまるところを知りません。


この部分がエッジです。まるでレイル(側面)とボトムの間にもう一つのレイルがあるかのようなデザインが大きな特徴とも言えます。では何故エッジボードがスピードに特化したデザインなのか?この辺りにも少し触れておこうかと思います。一般的にスピードが速いサーフボードってどんなデザイン?と聞かれたら、私なら「ガン」とか「グライダー」などの「細くて長いサーフボード」を頭に浮かべます(日本では海外ほど、殺人級のサーフィン可能なビッグウェーブはそうそうお目にかかれないので、「ガン」は特に日本人サーファーの所持率は極端に低いでしょう。「グライダー」も長さが11ft以上あるので、小さい家が多く、道路も狭くて車も小さければ、日本だと持ち運びや収納場所に困るので、これも所持している人はほとんどいないと思います)。では何故「細くて長いサーフボード」が速いのか、それはサーフボードが水面に接する面積によるところが大きいです。このエッジボードで考えるならば、波の上を滑走している時にボードと水面が接しているのは、エッジとエッジとの間(カラーが入っているボトム部分)になります。このHOTWIRE REDの幅は21 3/8ですから、滑走中の水面に接している部分がエッジとエッジの間となると、21 3/8の幅よりも細い面積で滑走している事になります。分かり易いかどうかは分かりませんが、船で例えて考えてみます。めちゃくちゃデカイ豪華客船と1人乗りのジェットスキーでは、どちらの方がスタートのスピードが速いか?恐らく大体の方がジェットスキーと答えると思います。この原理でサーフボードに置き換えると、幅広のロングボードは小波にこそ安定感あるテイクオフと安定したライディングを楽しめる一方で、サイズが上がってグリグリに掘れた波ではテイクオフですら危ういです。その一方で幅が細く厚みの少ないトライフィンは、サイズとパワーのある波でこそ機能しますが、ヒザモモ程度の小波では浮力が少ない分テイクオフですら危ういです。話が少し逸れてしまいましたが、エッジボードのスピードをもたらしているのは、あのエッジとエッジとの間が、波の上を走っている時の水面に接している部分であるからこそであり、それこそがスピードに特化したEdge Boardの大きな特徴と言えるのです。


そしてEllis Edge Boardはこちらのパワーブレイドフィン無しでは完成ではありません。このフィンあってこそ、今までにあり得なかったEdge Boardでのアクションが可能になります。※こちらのフィンは別売ですが、単品での販売は致しかねます。ボードとセットという認識でお考えください。


このボードのレングス(ボードの長さ)を選ぶポイントは、だいたいフィッシュボードを選ぶ感覚で長さを選ぶと入り易いそうです。Pilgrim Surf+Supplyでは、最近6ft台のフィッシュボードだったり、ミッドレングスの問合せをよく受ける関係で、6'2"ftのレングスをチョイスしました。短過ぎず長過ぎず、それでいて安定感もあってターンも容易。通常HOTWIRE REDは6'0"以下でのオーダーしか受けていませんが、今回はあえてより様々な波とあらゆるレベルのサーファーに楽しんでもらいたいという願いから、このサイズでご提供させていただきます。

どちらかと言えば、ロングボードやミッドレングスメインで普段サーフィンをしている方には1stモデル、ショートボードやフィッシュボードメインの方にはHOTWIRE REDモデルをオススメいたします。


6'2" ELLIS ERICSON EDGE HOTWIRE RED


気になる方は店頭スタッフまでお気軽にお問合せください。




それではまた次回





“THE SURFER'S JOURNAL'S VIEW OF EPOCH-MAKING MOMENTS”

前回からの続きです


現在好評開催中のこちらのイベント、“THE SURFER'S JOURNAL'S VIEW OF EPOCH-MAKING MOMENTS”

そして今回は、雑誌OCEANSとのサーフィンを共通項とする3社合同企画にて、Pilgrim Surf+Supplyの店舗にて開催しております。このスペシャルなイベントの開催を記念して、トリプルコラボレーションT-shirtsも同時リリース。早速初日からご来店してくださったお客様も多数いらっしゃり、我々も嬉しい限りです。本当にありがとうございます。


THE SURFER'S JOURNAL × OCEANS × Pilgrim Surf+Supply

Color:WHITE, OLIVE, BLACK

Price:¥8,250(inc.tax)


気になるトリプルコラボレーションT-shirtsがこちら。THE SURFER'S JOURNALの本国(アメリカ)版第2弾の旧ロゴをバックプリントに配し、ファンにはたまらない仕様になっているスペシャルなT-shitsをリリースいたしました。数に限りのある限定アイテムになりますので、気になる方はお早めにお問合せください。

※こちらは6/21(月)より、Pilgrim Surf+Supply Online Shopでも販売をスタートしています。


さらにはスペシャルT-shirtsをご購入いただいたお客様に、アーティスト花井佑介さんが特別に書き下ろしてくださったスペシャルステッカーをノベルティとしてプレゼントいたします。※T-shirts1枚の購入につき、1枚のステッカーを差し上げます


そしてこちらがPilgrim Surf+Supply渋谷店の入口WINDOW。過去のTHE SURFER'S JOURNALのアーカイブを吊るすような大胆な発想で、手前味噌ではありますが、かなり良い感じにレイアウトされています。


こちらが店内の様子です。


創刊者である、スティーブ・ベズマンさんのお話や、


スティーブ・ベズマンさんの後に編集長に就いた、スコット・ヒューレットさんや現日本版編集長の井澤さん、


日本版副編集長の高橋  淳さん、日本版マネージング・ディレクターのジョージ・カックルさんの非常に興味深い内容も必見です。


店内では、過去のアーカイブも販売しておりますので、GETしときたい号を今のうちに探しておくのもアリかと思います。

THE SURFER'S JOURNALとは、一体どんなサーフィン誌なのか、個人的な主観で一言で表現するのならば、「世界一のSURF雑誌」というのがまず頭に浮かんできます。その理由を簡単にまとめると、大きく分けてこの3点がずば抜けていると私は感じています。

1. 写真がとてもキレイ

2. 文章も素晴らしい

3. まるで教材のような知識の宝庫

写真に関しては、これはもはやサーファーのみならず、誰が見ても素晴らしく、家に飾ったとしても申し分ない写真ばかりが目に飛び込んできます。文章においても、まるで短編の小説を読んでいるかのような、とても引き込まれる内容がとにかく豊富。そしてこれを読んでサーフィンの勉強も出来るほど、知らなかった知識が数多くここに掲載されているのです。はっきり申し上げますと、THE SURFER'S JOURNALを超えるサーフ誌は世界中どこを探しても絶対にないと自分は断言できます。個人的にもサーフィンについての歴史やカルチャーを学ばせていただいたのは、このTHE SURFER'S JOURNAL無しでは考えられなかったと思います。

そんな素晴らしいTHE SURFER'S JOURNALと、日本を代表するファッション誌OCEANSとのトリプルコラボレーションイベントは、6月27日(日)までの開催です。

まだご覧になられていない方は、このスペシャルな機会にぜひご来店ください。




それではまた次回





WESTERN HYDRODYNAMIC RESEARCH

前回からの続きです


今回は、6/4(金)から6/13(日)までPilgrim Surf+Supplyの店頭にて開催される、こちらのイベントのお話をさせていただきたいと思います。


既にNEWSページにはUPされているのをご存知の方も多いとは思いますが、「イマイチ何をやってどんなイベントなのか分からない」と思っている方も少なくないと思ったので、個人的な主観満載でお届けいたします。


まずは簡単なブランドリリースから。

生粋のカリフォルニア・ニューポートビーチローカルとして育ったパット・タワジーが2017年に実験的にスタートしたプロジェクトは、クレイグ・ステシックにより<Western Hydrodynamic Research (ウェスタン ハイドロダイナミック リサーチ)>(*以下<WHR>)と言う名称を授かり、2020年より本格的にスタート。

ビーチユーティリティとして機能的かつ実用的な用品を製作することにフォーカスしながら様々な人々にビーチライフを知って楽しんでもらうために、細部にアイデアを盛り込んだ商品が特徴のブランド。その<WHR>がこの2021年夏、「ピルグリム サーフ+サプライ」(渋谷)と「ピルグリム サーフ+サプライ 京都」でのポップアップショップを皮切りに、日本での展開を本格的にスタートします。

ポップアップショップでは、ブランドコレクションを豊富にご覧いただけるほか、今回の取り組みのために作られた、コラボレーションTシャツも発売します。Tシャツのデザインには、デザイナーであるパット・タワジーが直筆のハンドリトゥンで施したブランドロゴをバッグプリントに配しスペシャルな1枚に仕上げました。

また、週末に開催されるワークショップではご購入アイテム、もしくはお持ち込みいただいたご私物に<WHR>のブランドアイコンであるアイレットとバンジーコードを取り付けることができます。


という内容。


これはちょっとした裏話になりますが、WHRのデザイナーであるパットさんは、あのトム・サックスさんのサーフィン仲間の1人なんだそうです。その関係性があって、実はトム・サックスさんもWHRのお手伝いをしている。という事で、なにやら面白そうな気配がプンプン感じられてきますね


イベント内容としては、持ち込みの私物もしくは、ご購入したアイテムにアイレットを取り付けて


バンジーコードを装着。


さらにはこんなことも出来ちゃったりします。


こちらは参考画像なので、CAP限定ではありません。どんなアイテムのどこに穴を開けてコードを通すかは、皆さんの自由です。ただし、あまりにも厚手の生地だと穴が開けられない場合もございますので、そこは自己責任でお願いいたします。一昨年には本国のPilgrim Surf+Supplyでこのイベントを開催して、かなり大盛況だったという報告も受けています。


皆さまお誘いあわせの上、当日はPilgrim Surf+Supplyへお越しください。


開催期間:2021年6月4日(金)〜6月13日(日)

※WORKSHOPは6月5日(土)・6日(日)の開催となります。

京都店でも同時開催しますが、京都府の条例により、WORKSHOPの開催は見送ることとなりました、ご了承ください。



それではまた次回





Ellis Ericson Edge Board

前回からの続きです。


こちらのボードを心待ちにしていた方も少なくないのではないでしょうか。今回は巷で話題の、Ellis Ericson Edge Boardのご紹介です。こちらもPilgrim Surf+Supply Kyotoでのお取扱いになります(渋谷店では、昨年の入荷から瞬く間に完売。今月末に追加入荷が控えておりますので、そちらもぜひ楽しみにしていてください)。さて何からお話をするべきか、正直このBLOGで全て完結させることは、恐らく無理であろうこのエッジボード。お伝えしたいことが多過ぎるので、掻い摘んで分かり易くお届けできればと思います。


まずはじめに、エッジボードとは何なのか?1960年代後半から1970年代初頭に、鬼才George Greenoughが開発したと言われている、元々は長い歴史を持つデザインの一つ。現代サーフにおいて、Georgeさんが成し得た功績は、皆様もご存知の通り、ここでは言い切れ無いほどに多大な影響を世界中に及ぼしてきました。昨今では、AndreiniやAndrew Kidman、そしてEllis Ericsonが当時のEdge Boardのデザインにフューチャーし、新たな開発に取り組んだことで、一躍Edge Boardというデザインが再び世に知れ渡ることになりました。


Ellis Ericson Edge Board 7'0" x 21 3/8" x 3

鬼才George Greenoughが元々持っていたテンプレート(パターンと言えば分かりやすい)を使用し、エリスとジョージさんが共作で製作をはじめたのが、こちらのEllis Edge 1st model。Edge Boardの魅力はなんといってもテイクオフの速さ、そしてライディング時のスピード。自らシェイプしているエリス本人でさえも、そのスピードに驚いてしまうほど、その圧倒的な速さは折り紙付きです。そこにこれまでのEdge Boardには無かった、高い操作性能(よく動きます)が加わるのですから、サーフボードもどんどん進化が進んでいる事が伺えます。


デッキ面はこのようにWHITEで統一。エッジがあるボトム面にカラーを入れているのもポイントです。ちなみにPilgrim Surf+Supplyで展開しているカラーは限定カラーなので、他では展開していないカラーになる。いわばスペシャルカラーでのご提供です。では7'0"のEdge Boardがもたらす魅力とは何なのか。通常7'0"のミッドレングスボードで大半の方が想像するのは、「ショートボードだとやや物足りないスモールコンディション用」という風に捉えている方も少なくないはずです。ではこのEdge Boardはどうなのか?それは波のサイズが大きければ大きいほど本領を発揮するボード。それに加えてパワーの無い小波でもグングン走っていく。というなんとも信じがたいフレーズが出てきます。「あらゆる波に対応するマジックボード」みたいなフレーズはよく耳にしますが、このボードを既に持っていて実際に乗っている方の話を聞いてみると、「もうこのEdge Boardはもはやそんな次元のレベルではない」というような、かなり興奮した感じで皆口を揃えて同じような事を言っています。7'0"のEdge Boardは、ミッドレングスが得意な方、またはトライしたい方にお勧めできます。私自身は元々ショートボードからツインフィッシュ、ミッドへと移行したタイプなので、そんな方にもぜひお勧めしたいと思います。


Ellis Ericson Edge Board 5'8" x 20 3/4" x 2 3/4

サイズレンジから見ても、こちらはよりショートボードに近い感覚でサーフィンが出来るEdge Board。今までのEdge Boardで、ここまでレングスの短いEdge Boardは個人的に初めて見ました。


それにも実はちゃんとした理由があって、これまでのEdge Boardはどちらかと言えば、「Edgeを活かしたスピード重視のサーフボード」というのが主流でした(これはこれで私は好きなんですけど)。何故今EllisがEdge Boardを作って、これだけの脚光を浴びているのか、それはこれまでに不可能だったバーティカルな動き(縦の動き)にも対応出来るように改良をした、というのも大きな理由です。分かり易く言えば、今まではスピード特化型しかなかったボードに、コントロール性能を加えた、という事です。簡単そうに聞こえるかもしれませんが、EllisはこのEdge Boardを製作するにあたり、5年間研究を重ね、その完成系としてこのEdge Boardを満を持して世に送り出しました。言わば、今まで誰も成し遂げる事が出来なかった事を、Ellisがやってのけた。それが時代の風雲児として一躍脚光を浴びている要因の一つなのです。そしてこの5'8"のEdge Boardは、サイズからも読み取れるように、いわゆるショートボードが得意な方にお勧めしたいです。ただし、厚みが2 3/4と通常のショートボードに比べると厚いので、浮力は十分にあります。体重80kgの男性でも難無く乗りこなせるボードという事も追記しておきます。


もちろん全てにおいて、ハンドシェイプ。Edge Boardは、その特異な形状から通常のデザインのサーフボードと比べて、シェイプするのに何倍もの時間がかかります。そしてラミネートに関しても、通常のサーフボードの2倍から3倍の時間を要し、さらにはかなり難易度の高い技術が必要なので、シェイプもラミネートも簡単に出来るファクトリーも実は世界基準で見ても、非常に少ないのです。こちらのラミネートは日本で行われており、Ellis自身も実際に日本のラミネートファクトリーを訪れ、そのクオリティの高さに驚いたそう。なので日本に入ってくるEllisのEdge Board(年間40本までしか入ってきません)は、Ellisがオーストラリアでシェイプを終えた後に空輸で日本へ、着後日本のラミネートファクトリーにて完成させる。そういう流れになります。


そしてもう一つ。Ellis Edge Boardはこのパワーブレイドフィン無しでは完成とは言えません。TRUE AMESに特別に製作してもらったBarry McGeeのアート入りフレックスフィンが必要不可欠となります(※単品での販売はしておりませんので、ご注意ください)。サイズは7'0"も5'8"も全て共通の7.8です。

Ellis Edge Boardのパワーブレイドフィンの付ける位置は、フィンボックスの一番後ろに装着します。ここ、とても重要です。以前に、フィンは前方に付けると回転性が増し、後方に付けると直進性が増す、という話をしました。ということは、このEdge Boardはフィンを一番後方に付けているから、直進性に特化したボードになるのか?という疑問が出てきます。しかし、答えはNo。このEllis Edgeに関してだけ言えば、フィンは最後尾に設置し、パワーブレイドフィンのフレックス性能の高さを活かし、操作性を高めているのです。通常サーフボードを操作するポイントは、フィンの真上に後ろ足を置いて、ターンをするのが基本です。例えばフィンの上では無く、フィンの付けた位置よりも前方に後ろ足を置いてターンをしようとすると、全くボードが動いてくれないのです。多くのサーファーは、この内容はすぐに理解できると思います。しかしこのEllis Edgeに関して言えば、フィンを付けた真上に足を置くのではなく、フィンの付けた位置よりも、前方に後ろ足を置いてターンをします。そんなことはこれまでの常識から言えば、到底あり得ない話なのですが、その基本的な理念が良い意味で一切通用しない、全く新しいサーフボードということになります。それでいてこのEdge Boardの特徴でもある操作性能の高さ(リッピングも可能です)を考えると、もはや異次元としか言い様がありません。これまでの常識を大きく覆したシェイパー、その張本人がEllis Ericsonなのです。そしてこのBLOGでは正直お伝えできない部分(実際のライディングレポート等)に関しましては、Ellis EdgeマスターでもあるRIDE SURF+SPORT代表、柴田さんのBLOGもぜひチェックしてみてください。


簡単ではありますが、以上でPilgrim Surf+Supply Kyotoにあるサーフボードのご紹介を終わります。手前味噌ではありますが、とても面白いボードが揃っていると思います。Joe FalconeとEllis Ericson、実はニューヨークとオーストラリアの距離感がありながらも、JoeとEllisは良き友人同士でもあります(確か歳も近かったような)。新進気鋭のシェイパーとして世に名を馳せるEllisと、今ではMade in New YorkのローカルヒーローJoe。2人が織り成す見応えあるラインナップを是非お見逃しなく。




それではまた次回





JOE FALCONE 6'9" ALBATROSS

前回からの続きです


今回は、本国アメリカでは既にトレンドの1つとして流行中のツインピン(ツインフィンのピンテール)ボードのご紹介です。こちらもPilgrim Surf+Supply KYOTOのサーフボードになります。3年前に行ったニューヨークトリップでは、このALBATROSS(ボードのモデル名)のテストライド中だったJOE。その時のボードがようやく完成し、ここ日本にも到着しました。日本でも本当に少しづつではありますが、ツインピンの需要がでてきたように思います。恐らくこのデザインのボードは、今後日本でも増えて行くだろうと個人的に予想しています。既にこのツインピンの取扱いをスタートしているショップも徐々に増えてきていますね。どのように流行っていくのか、今後の動向にも要注目です。


このALBATROSSの気になるサイズは 6'9" x 21 1/8" x 2 3/4"。

ミッドレングスと言えばミッドレングスですが、ギリギリミッドもしくはギリギリミッドではないくらいの絶妙な長さもポイントです。シルエットは前方に幅と厚みを十分に持たせ、後方がウイングとラウンドピンテールでボリュームを落としている。前重心でホールドしたらかなり加速してくれそうなデザインです。コンケーブはシングルからダブルに切り替わり、最後は深めのスパイラルVEEボトムでテール側をフィニッシュ。分かる方は見て触っただけで、このボードの操作性能の高さが分かるかと思います。


ロッカーはどちらかと言えば弱めかと思いますが、厚みが結構ある(2 3/4)真ん中から後方に薄くシェイプされているのがよく分かります。なので前方に重心をおいている分、安定したテイクオフを実現しながらも、ウイングと薄めにシェイプされたテールの形状により、パワーのある波でもパーリングしにくい。これ1本でかなり幅広い波に対応出来るのですから、もっぱら次のメインボード候補に個人的にもなっています。


ちなみにJOEのフルネームは、Joseph William Falconeなので、J.W.FALCONEと墨入れされています。


ウイングの入ったラウンドピンテールのツインフィンって、実は元々70'sくらいに流行ったサーフボードのディティールで、近年進化系Edge Boardを制作し、サーフィン業界を騒がせている新進気鋭のシェイパー、Ellis Ericsonも過去によくこのデザインのボードをシェイプしていました。Pilgrim Surf+Supplyでもそのボードは過去に取り扱っていた経緯があります。


その温故知新の考えで、古き良きディティールを現代に蘇らせたリバイバル的なツインピン。このボードの大きな特徴は、ずばり操作性能の高さ。例えばフェイスの広い波で思いっきりカットバックをしてみると、6'9"とは思えないほどターンのレスポンスが非常に良く、思ったほどよく動きます。これは同じ長さのシングルフィンとかと比べてみると一目瞭然だと思いますが(もちろん様々なボードの形状によって差異はあります)、ツインフィンの持つルース感と、ウイング入りのラウンドピンテールの操作性能の高さが見事にミックスされたのが、このALBATROSSなのです。レールはほど良く丸みを持たせ、あまりレールが波に食い込み過ぎないようなデザインに設定されています。その理由は、このボードの持つ操作性能を最大限に活かす為、あまりレールを薄くし過ぎるとホールド感が良過ぎてしまい、逆にターンのレスポンスが落ちてしまうからです。だからと言って、レールtoレールのサーフィンが出来ない訳ではありません。写真ではお伝えできないのですが、このALBATROSSは、後方三分の一程度のところまでエッジを立たせていることも大きなポイントです。エッジを入れることによって、波のフェイスにレールが食い込みやすくなり、ホールド感が良くなり、それが直線的なスピードに直結することもお伝えしておきます。なので最近話題のEdge Boardは、元々直線的なスピードを重視したモデルと言え、今まで直進的な動きしかできなかったところを、Ellis Ericsonが縦に動かせるEdge Boardを開発した、そのことがこれまでの常識を覆した新進気鋭のシェイパーとして、評される理由の一つになったのです。話が少し逸れましたが、このALBATROSで言えば、Edge Boardほどエッジはもちろん効いていないが、多少のホールド感は感じ取ることができる。というボードになる訳です。


個人的な主観で言えば、これは初心者の方には正直おすすめはしません。ツインフィン自体は歴史のある素晴らしい発明だと思っていますし、個人的にツインフィンの乗り心地は大好きです。ですが、やっぱり基礎となるのはシングルフィンかトライフィンなので、その基礎を知らずにツインフィンに乗っていても、その性能と特徴を理解できないままでは正直もったいないような気がしてしまいます。やはりまずはサーフィンをするにあたり、フィンというものがどういう役割を担っているのか、そこの部分を理解した上で、このボードにトライしていただきたいと思っております。


余談ですが、前にシェイパーであるJOEとのメッセージの中で、私が「FLOW EGGとALBATROSS、オレにはどっちがいいと思う?」って聞いたら、即答で「ALBATROSS」とだけ返ってきました。それまでは「FLOW EGGは7'5"以上の長さにしろ」とかずっと言ってたじゃん!と思いつつ、このALBATROSのBLOGを書き綴りながら、JOEが自分にALBATROSSをすすめる理由が今では分かったような気がします。次のマイボードはこれですね。たぶん。


JOE FALCONE 6'9" ALBATROSS


SIZE:6,9" x 21 1/8" x 2 3/4"

No.:36-75-0148

PRICE:¥185,000- +TAX



それではまた次回




JOE FALCONE 7'5" FLOW EGG

前回からの続きです


今回はPilgrim Surf+Supplyの中でも特に人気のある、初級者から上級者まで楽しめるボード、JOE FALCONE(※以下JOE)シェイプのFLOW EGG7'5"をご紹介させていただきます。こちらのお取扱いも、Pilgrim Surf+Supply KYOTOのサーフボードになります(渋谷店では現在ご好評につき完売中)。


FLOW EGGという名のシングルフィン。EGGとは読んで字の如く、タマゴのような形だから名付けられたデザインの名称であり、このEGGにも長い歴史がある伝統的なサーフボードなのです。まるで満開の桜のようなカラーリングが魅力のCHERRY PINK。春らしくていいですね。私がもしこのボードの大きな特徴は?と聞かれて一言で表現するとすれば、「ハルボトムならではの浮遊感が心地良い」です。ではハルボトムとはなんなのか、簡単に言うと「船の底面を表す言葉が“ハル”であり、その形状に似た少し膨らんだようなボトムのサーフボードのことを言います」。近代サーフでは主にコンケーブ(ボトムに溝をつけて水の流れを作り、またコンケーブによって作られた空気の層が、ボードの機動性を上げてくれています)が入ったボードがほとんどですが、これとは真逆の発想になります。ボトムの中央が膨らんでいることで常に水面に接している訳なんですが、「お椀型」と言えば分かりやすいかもしれません。この特徴は言葉に出来ない感覚に近いですが、個人的にはその独特の浮遊感や浮いている感覚というのは、このハルボトムでしか味わえることのできない感覚だと思っています。かなり癖になる乗り心地ですね。


そこまで強くない印象を受けるロッカー。テイクオフの速さがズバ抜けて良さそうです。

事実誰でも乗れるとは大袈裟かもしれませんが、そのくらいテイクオフの速さは折り紙付き。ゆえに初心者から上級者まで楽しめるボードという冒頭の謳い文句を使わせていただきました。


お馴染みのロゴ。

京都店のオープンを祝して入れられた墨入れも、もちろんJOEの直筆です。


サイズは7'5" x 21 7/8" x 3 1/8"。通常のミッドレングスと比較すると、幅と厚みを大きめにとっています。よってこのサイズから察するに、十分な浮力を活かした安定したパドリングや素早いテイクオフが出来ることが分かります。なので個人的には初心者の方や女性の方にもおすすめしたいと思います。他にも小波用のミッドレングスとして楽しむのも十分アリだと思います。その一方で、このボードは大きくて速い波にはあまり向いていません。幅がある分、テイクオフが少し遅れますので、大きくて掘れた波でのサーフィンは難易度が高くなることを理解しておく必要があります。自分ならこのボードでサーフィンをするならば、波のサイズは胸肩くらいまででおさめておきます。とはいえ肩くらいの波までは十分に対応可能なボードなので、メインボードとして十分に楽しませてくれそうですね。


FLOW EGGはハルボトムのシングルフィンの為、先日ご紹介させていただいたTRUE AMESのPHD FINとの相性がとても良く、JOE自身もFLOW EGGにはPHD FINの使用をおすすめしています。PHD FINの効果については、こちらのBLOGをご確認ください。 フレックスの効いた伸びのあるボトムターンは病みつきになること間違いなしです。


そしてこのFLOW EGGはただテイクオフが速くて、浮遊感が感じ取れるのみにあらず。なんと言ってもEGGならではのラウンドしたテールが、スムーズなターンをする為の大きな助けとなってくれているのです。個人的に乗った感想としては、独特の浮遊感を感じながら体全体を使って伸びのあるターンを決めると、これはもうとにかく癖になる心地良さを体感できます。テイクオフが速くて、伸びのあるドライブの効いた大きなターンも出来て、あらゆるレベルのサーファーを満足させてくれるのが、このFLOW EGGなのです。京都店のスタッフに「ホダカ」という波乗りバカのスタッフが、このJOEのFLOW EGGに乗っているので、機会があればぜひ乗った感想などを直接はもちろん、電話などでもぜひ聞いてみてください。


JOE FALCONE 7'5" FLOW EGG

No:36-75-0150-769

SIZE:7'5" x 21 7/8" x 3 1/8"

PRICE:¥190,000- (+TAX)


それではまた次回





JOE FALCONE 5'5" MICRO WING KEEL FISH

前回からの続きです


Pilgrim Surf+Supply KYOTOにはどんなサーフボードが置いてあるのか?しばしばお問合せを頂戴しておりましたので、サーフボードの特徴も踏まえつつ、1本1本ご紹介させていただければと思います。まずはもうPilgrim Surf+Supplyではお馴染みのメインシェイパー、JOE FALCONE(※以下JOE)のMICRO WING KEEL FISH 5'5"についてお話をさせていただきます。


言葉で表現するのが難しい、絶妙なグリーン系カラーが魅力のKEEL FISH。

美色です。


日本でも波乗り経験のあるJOEが日本の波用にシェイプした、強すぎず、弱すぎずの絶妙なバランスがバッチリのロッカーライン。個人的にもこれまでデザインの異なる3本(5'5"、5'7"、5'7")のJOEがシェイプするFISHを乗ってきましたが、乗り込むほどにのめり込んでしまうFISHがこのMICRO WINGタイプなのです。理由は後ほどお伝えします。真ん中に厚みを持たせて、ノーズとテールに向かって薄くシェイプされている様子がよく分かります。


京都のPilgrim Surf+SupplyのOPENに合わせてシェイプしてくれたボードには、JOEの粋な計らいで、

J.W. FALCONE FOR Pilgrim KYOTO♡

*MICRO WING*SUSUMU

と墨入れしてくれています。これにはちょっとした理由があり、一昨年の11月頃にJOEが初来日して京都に訪れた際、JOE自身が京都に激ハマりして大好きな街になったというのも一つの理由です。京都から東京に戻ってきてから、京都でのJOEの体験談を2時間ほど聞かされたことは、今では楽しい思い出です(笑)SUSUMUに関しては、恐らく何か日本語で表現したかったのでしょう。詳しい話は聞いていませんが、翻訳するとMOVE ON、進むとか伸びるとか捗るという意味があります。私の個人的なMICRO WINGを簡単に表現するのならば、「よく動く、速い、タメが作れる」です。JOEが言いたいのは恐らくこういう感じなのだろうと、私は勝手に解釈しています。まぁ恐らくビックリするほど深い意味は無いと思いますので、あまり深く考えなくてもいいと思います。

SIZEは、5'5" x  20 7/8" x 2 3/8"。一見するともうちょっと長さが欲しいなぁという方もいるとは思いますが、個人的にJOEの5'5"のMICRO WINGに乗った感想から言わせていただきますと、まず第一に言えるのが、「実寸よりも長く感じる」です。これはどういうことかと言うと、幅と厚みも適度にあって、尚且つスムーズで伸びのあるターンが出来て、千葉一宮周辺の頭くらいのパワーある波でも、何の不安も無く気持ち良くサーフィンが出来るということです。実際に私は5'7"のJOEのFISHも持っていますが、それと比べても、「短くてサーフィンがしづらい」と思ったことは一度もありません。そのあたりで不安に思われる方がいらっしゃるのなら、長さに関しては何の問題もありませんと自信を持ってお伝えしたいと思います。


お馴染みのJF(JOE FALCONEの頭文字)ロゴは、デッキ面とボトム面の両側に配されています。


JOEがシェイプするRockaway Beach New Yorkの証である頭文字(RBNY)も墨入れされています。

この写真を見て、ストリンガー(サーフボードの中心にある木材の芯)が細くない?と思われた方、スゴイです。実はJOEのだいたいのFISHには、この「ウエッジストリンガー」が採用されているのです。ウエッジストリンガーとは何なのか?簡単に説明しますと、テール(後)側からノーズ(先端)にかけて、段々と太くなっていくストリンガーを採用しているのです。ウエッジストリンガーとは、元々はロングボードに採用されることが多いディティールで、ストリンガー自体の太さを変えることで、サーフボード自体にフレックス性能(しなり)を持たせ、伸びのあるターンを実現する為に開発された、実は昔からある伝統的なストリンガーなのです。ショートボードでは、あまりウエッジストリンガーを採用することはロングに比べると少ないです。その理由は、長さが短い分、しなりを感じ取りづらいとか、あまり効果が見られないという方も中にはいらっしゃる、というのが主な理由です。ではウエッジストリンガーにすると、どのような効力を発揮してくれるのか、それはボトムターン時の下から上に上がっていく時の「伸び」が、通常のストリンガーに比べて遥かに感じ取れるということに他なりません。言うならば、しっかりと踏み込んでボトムターンをすれば、フレックス性を活かした伸びのあるボトムターンが可能になるということなのです。伸びのあるボトムターンが可能になれば、スピードを落とさずトップまで上がれる→トップでのターンのキレが増す→スピーディーなサーフィンが可能になる、という仕組み。なので、このMICRO WING FISHはどちらかと言えばクラシックなFISHというより、NEO FISH(新しい時代のFISH)の部類に入ります。元々ショートボードをやっていた方には、すぐにアジャストし易いFISHと言えるでしょう。それを十分に理解した上でウエッジストリンガーをあえて採用したJOEは、やはり只者では無い、サーフィンオタクだなぁとしみじみ思います。


そして特記するべきはテールの形状。よく見ると、両サイドのレール部分が、少し削られていることが分かります。これを「WING(ウイング)」と呼びます。以前にサーフィンは水面に接する面積が大きいと安定し、接する面積が小さければ安定しないといった話を少ししました。ロングボードとショートボードに置き換えて考えると分かり易いと思います。なのでロングボードは長くて大きい分、安定感がある一方で、ショートボードは短くて小さい分、よく動いて小回りが利く。その原理を理解しておくと、このWINGがもたらす効果がより想像しやすいと思います。簡単に言うと、テールにWINGを入れているボードは、基本的に動かし易い=ターンがし易いように作られているのです。ただし、WINGが入っていること自体が必ずしも正解とは限りません。それはどういうサーフィンをしたいか?という目的によって大きく左右されます。クラシックで直線的なライディングに適しているFISHを好まれる方もいれば、FISHでもリッピングが出来るFISHに乗りたい方もいらっしゃると思います。こちらのJOE FALCONE MICRO WINGで言えば、どちらかと言うと後者側のボードであることを追記しておきます。このボードの持ち味は、何と言ってもタメを作って伸びのあるターンを活かした操作性とのバランス。個人的にですが、とにかく気持ち良い乗り味をお約束いたします。現に友人・知人に乗ってもらうと皆に言われるのが、「このボード欲しい!」と九割九分九厘の人たちが口を揃えて言います。かなり大袈裟に聞こえるかもしれませんが、これまでにJOEのサーフボードを購入されてハマって、2本目をご購入されるお客様が数名いらっしゃったことを振り返ってみても、JOEの削るサーフボードには、ある種の高い中毒性があるのだと思っています。かくいう私もその中毒者になった1人でもある訳ですが、、、


そしてオンフィンで採用しているのは、Larry Gephartのハンドメイドのモノ。Larryさんがどういう方かと言う説明は今回省かせていただきます(とても長くなってしまいますので)が、2021年現在、Larryさんのフィンをサーフボードに使えるシェイパーは、世界中で10人もいません。主なシェイパーでは、Skip Frye・Josh Hall・Andrew Kidman・Ryan Burch・Richard Kenvin等々、錚々たる面々しか使うことを許されていない中で、Joe Falconeも唯一ニューヨークのシェイパーで使うことを許されている1人に選出されているのです。これはなかなか分からないことかもしれませんが、かなりスゴイことだと言うことをお伝えしておきます。画像にあるフィンの右下に墨入れされているロゴがLarryさんのロゴになりますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。こういう木材のフィンは普通に見たことあるよ?と思う方もいらっしゃるかと思います。それもそのはず、この形状のフィンを開発した元祖がLarryさんであり、それを真似しているフィンが世界中に大きく広まっているのですから。フィンに墨入れされているLarryさんのロゴが目印となっています。


こちらはPilgrim Surf+Supply KYOTOでの取扱い商品になります。渋谷店にはこちらのJOEのMICRO WING FISHがございますので、詳しくは店頭STAFFまで、お気軽にお問合せください。


JOE FALCONE / MICRO WING KEEL FISH

SIZE:5'5" x  20 7/8" x 2 3/8"

No:3675-0145

PRICE:¥185,000-(+TAX)


それではまた次回




RASH WETSUITS for Pilgrim Surf+Supply 5mm SURF BOOTS

前回からの続きです。


今回は冬のサーフィンを快適に過ごす為の必需品、RASH WETSUITS for Pilgrim Surf+Supply 5mm SURF BOOTSをご紹介させていただきます。

まるで靴下のように履けるシンプルなデザインのサーフブーツ。素材は主にジャージ素材で製作されている為、柔らかくてスムーズな着脱が可能になりました。


5mm厚の裏起毛ジャージは、肌触りも良く寒い冬場でも安心の暖かさをお約束いたします。

足の甲部分には、お馴染みのPilgrim Surf+Supplyのペナントロゴを両足に配置。


そしてかかと部分にRASH WETSUITSの羽根付きロゴがプリントされています。


足の裏の素材も全てジャージ素材。ここが大事なポイントです。これまでのサーフブーツって言えば、足の裏部分の素材はラバーだったり割と固めの素材で作られているものがほとんどだったのですが、これは前述したジャージ素材を採用していることで、限りなく素足に近い感覚でサーフィンが出来るのです。自分自身もこれまでに様々なサーフブーツを試しましたが、歴代最高のサーフブーツがまさにこれなのです。足の裏の素材が固めに作られていると、サーフボードの上に足を置いても感覚が慣れなかったり、どうしてもターンの時に踏ん張れず違和感を感じていたのですが、このサーフブーツを使い始めてからは、そんな悩みは一瞬にして無くなりました。よくお客様にも「この素材ですべらない?」といった質問をよくお受けするのですが、そんな心配も一切ありません。まるで素足のようにサーフィンが出来て、それでいて保温性能も抜群なので、個人的には冬のサーフィンにおいてこれ無しではもう考えられないといった感じです。湘南方面でサーフィンをやられる方は水温が暖かいので、ブーツはいらないっていう方も多くいらっしゃると思いますが(自分もその1人です)、千葉北以北でサーフィンをやられる方はブーツが無いとかなり厳しいと思いますので、サーフブーツを選ぶ際の参考になれば幸いです。


付属のベルトはリーシュコードを付ける反対側の足首に付けると、さらに水の侵入を防いでくれます。


千葉北がメインポイントの自分にとっては、サーフブーツとの付き合い方がかなり重要になってきますので、水の侵入をさらに防いでくれる足首ダブルカフのオプション付き(プラス料金が発生します)でウエットスーツをオーダーしています。比較的大きい波でパーリングしたり、変な転び方をしてしまったりした時、どうしてもブーツの中に水が侵入してしまうことがあります。足首ダブルカフのオプションを装着してからは、そんなことがあっても水の侵入が全く気にならなくなりました。冬場にブーツをはくと水の侵入が気になるという方には、ぜひオススメしたいオプションですので、詳しくは店頭スタッフにお気軽にお問合せください。


RASH WETSUITS for Pilgrim Surf+Supply 5mm SURF BOOTS

COLOR:BLACK

No.:36-75-0137

PRICE:¥12,500- (+TAX)



それではまた次回





TIM STAMPS / 9'5" JAVELINA

前回からの続きです


今回はTIM STAMPSシェイプ、クラシックなロングボードの“PIG”を現代版にアップデートさせたモデル、「JAVELINA」をご紹介させていただきます。


“PIG”は直訳すると“ブタ”。では何故ロングボードが“PIG”と呼ばれるのか、それは本物のブタの体型(シルエット)によるところが大きいです。ブタは下半身(お尻まわり)がふっくらとしていて、上半身が下半身に比べて細い。それをロングボードで言うと、ボードの後方のテール側がノーズ側(ボードの前方)よりも幅と厚みがあってボリューミー。言い換えれば、まるでブタのようなシルエットのロングボードだから“PIG”と呼ばれているのです。誰が名付け親かは私は存じ上げておりませんが、この“PIG”という名前は世界共通のロングボードのデザインになっていますので、覚えておくと良いと思います。


お馴染みのTIM STAMPS for Pilgrim Surf+Supplyのスペシャルディケール。ストリンガーに合わせたBLACKフォントも良い感じです。


SIZEは 9'5" x 23 1/8" x 3 1/8"。クラシックなロングボードという位置付けされているボードなので、幅と厚みを十分に出しています。


ラミネートは前回のBLOGでもご紹介させていただいた、アメリカ西海岸最大の老舗ラミネートカンパニーである、WATERMANS GUILD。信頼感No.1です。

テール部分には、さりげなくVeeボトムを採用することで、クラシックで重ためのボードながらも操作性を高める配慮にも妥協はありません。


続いて“PIG”がどんなスタイルのサーフィンをするのに適しているのか、簡単にご説明させていただきます。

まず他のロングボードと比べて一番違うポイントは、テール側にボリュームがあることにより多くのステップワーク(ボードの上を歩くこと)を必要とせず、基本テール側でスタンスを取りながらサーフィンをすること。例えばノーズライダーのロングであれば、シルエットはノーズ側にボリュームを持たせたボードが多いので、ノーズの先端までステップして歩くスタイルが一般的だったりしますが、この“PIG”に関して言えば、そういう乗り方には向いていないボードになります。

言い換えれば、ノーズまで歩かなくていいボードという風に捉えると分かり易いかと思います。基本的にはテイクオフをして立った位置で足場を決めたら、最後までスタンスはその辺りで決めてサーフィンをします。なぜ“PIG”がクラシックなロングボードの部類に属しているかは、50sや60sのサーフ画像などを見ていただければ分かると思いますが、ほとんど直立でステップも踏まず、なるがままにボードの上に立っているようなサーフィンを想像する人もいらっしゃるかと思います。あれこそがクラシックスタイルそのものなのです。中にはロングボードはクラシックなPIGが一番好きだという無類のPIG好きな方もいらっしゃるくらい、ヘビーなユーザーも多くいらっしゃるほど。ロングボードにも多種多様な種類が実は多くありますので、お好みのスタイルに合ったボードをぜひ選んでみてください。


TIM STAMPS / 9'5" JAVELINA

SIZE:9'5" x 23 1/8" x 3 1/8"

No:36-75-0046-302

PRICE:¥248,000-(+TAX) ¥173,600-(+TAX)


それではまた次回



TIM STAMPS / 5'8" FRITTER

前回からの続きです


今回はTIM STAMPSシェイプの中でも、あらゆるレベルのショートボードサーファーを満足させてくれるマジックボード、「FRITTER」をご紹介させていただきます。


まずこのボードの見た目の大きな特徴はと聞かれれば、まずパッと見で目に飛び込んでくるのがノーズとテールが対称に近い、ミッドレングスに多く見られる「EGG」の形に近いこと。そして前回ご紹介させていただいた、FXモデルと同じfuturesの5フィンボックスであることが挙げられます。この2点については、後でどのような性能を発揮してくれるのかをご説明させていただきます。


まずはロッカーから。ノーズの反り返り具合は強過ぎず弱過ぎずといったところでしょうか。個人的に手に取ってロッカーを確認した感想を一言で言わせていただけるのであれば、「これくらいがちょうどいい」という言葉がパッと出てきます。もちろんロッカーの強弱に関しては、その日の波のコンディションやそれぞれ好みもあるかとは思いますが、TIMさんの言う「あらゆるレベルのサーファーでも楽しめるボード」と謳っている通り、このロッカーなら比較的どんな波にでも上手く適合してくれると思います。では「あらゆるレベルのサーファーが楽しめるボード」とは、何を基準に言っているのか、個人的な見解も踏まえてご説明させていただこうと思います。このボードで言うならば、それは「圧倒的にパドリングスピードが速いこと」これが絶対条件の1つに入ります。このFRITTERで言えば、前半分に十分な厚みと幅を持たせることにより、程良く前重心でパドルを行っても、安定したスピードを維持出来るということです。パドリングスピードが速ければ一体どんなメリットがあるのか?それは単純に「波に乗れる回数が格段に増える」ということに他なりません。テイクオフが速ければ速いほど波に乗れる本数が多くなり、それがゆくゆくはサーフィンの上達するスピードにも直結することをお伝えしておきます。波に乗るためにはパドリングが必須→そのパドリングスピードが速ければ速いほど波に乗れる回数が増える→波に乗れる回数が増えることでサーフィンが上達する。そういう仕組みなのです。海の中でも上手いサーファーってなんであんなにパドリングが速いのだろう?って感じている方も少なくないと思います。もちろん今でも自分は上手いサーファーに対してそう思ったりしてます。そう考えると、「サーフィンが上手い人=パドリングが速い人」と言っても自分は間違いではないと普段から感じています。その一番大事な「パドリング」について考え、誰でも比較的楽に速くパドリングが出来るボードというのが、この「FRITTER」モデルなのです。その部分にフォーカスしたTIMさんはサーファーにとってなんとも心優しいお方なのだろうと、このBLOGを書き綴りながらTIMさんの優しさをつい感じてしまいます。


少し長くなってしまったので、次にいきます。このディケールもPilgrim Surf+Supply限定のスペシャルロゴ。これを考え依頼したPilgrim Surf+Supplyオーナーのクリスもそうですが、それを快く引き受けてくれたTIMさんの懐の深さも然り、こういう良いビジネス関係を築ける間柄ってやっぱり良いですよね。サーフアイテム以外にもPilgrim Surf+Supplyではこれまでに数多くの別注アイテムを送り出してきましたが、こういう関係を築けることこそ、販売員冥利に尽きることだと改めて実感しています。


そしてこちらのピンテール。ピンテールとは元々1970年代に広まった当時の人気デザインの一つでしたが、現在でもこの理にかなったピンテールは数多くのシェイパーやサーファーから愛され続けているディティールの1つ。その大きな持ち味の1つとなるのが、何と言っても「操作性能」。一般的にはピンテールってもっと尖っているイメージですが、このFRITTERに関して言えば「ほど良くピンテール」と私は勝手に言ってますが、EGG型に近いのもこのテールあってこそのディティールになります。そしてラミネートはカリフォルニアで35年以上の歴史を持つ、言わばアメリカ最大のラミネーターチームと言っても過言では無い、WATERMANS GUILD(ウォーターマンズ ギルド)です。西海岸の名だたるシェイパーがこぞってこのWATERMANS GUILDにラミネートをお願いしているのは、やはりずば抜けた信頼感があるからでしょう。サーフボードが世に出るまでには、大きく分けて2つの工程があります。それはブランクスを削る人→シェイパー、シェイパーが削り終わったボードを樹脂などでラミネート(コーティング)する人→ラミネーターという工程が必ず必要になります。中にはシェイプとラミネートを1人で全部やってしまう強者もいらっしゃいますが、通常シェイプルームとラミネートルームは別で行わなければなりませんので(要は部屋が2つ必要になります)、だいたいのシェイパーはラミネートを別で依頼することがほとんどです。


サイズは5'8" x 19 11/16" x 2 3/8"(29.8L)。一般的なフィッシュボードと比べてると幅はやや細め、厚みはほぼ同等といったところでしょうか。パドリングスピードにフォーカスしたボードでもある為、パドリングがし易いように幅を出し過ぎず、程良く厚みを残して安定感と浮力を確保している。まさしく前述した内容がピタリと当てはまるような見事なサイズバランスです。


そして、フィンのセッティング。クアッドとトライフィンの説明については、前回のBLOGでもご紹介させておりますので、今回は「私ならどうするか?」という観点でお伝えさせていただこうと思います。ざっくり簡単に言うと、私ならムネくらいまでの波のサイズなら「クアッド」、カタアタマくらいのパワーがある波なら「トライフィン」をセッティングします。一般的なショートボーダーの大体の方が好きな波と言えば、8割くらいの方が「サイズはムネくらいの面ツル」と答えると思います。サイズも大き過ぎず、ビギナーから上級者まで幅広く楽しめる波のイメージは、大体の方がこのくらいだと私は考えています。中には「波は大きければ大きいほど好き」というような、恐い物知らずのビッグウェーバーもいますが、、、このボードに近いデザインを乗った経験から言うと、EGGに近い丸いアウトラインがターンの時の回転性を高めてくれ、さらに程良いピンテールが操作性能をアップさせてくれる。個人的にはムネくらいまでの波ならゆるーくサーフィンを楽しみたいので、ムネ以下なら基本クアッドで行きます。逆に波のサイズがカタアタマを超えるようになってくると、クアッドのみだと太刀打ち出来ないような日もあります(真中にフィンがあった方が安定する為)。そんなパワーのある波の日は少し大きめのトライフィンが個人的にはベストです。そのセッティングで行けば、一瞬一秒の判断が重要になってくる大きめの波でも操作性能を維持しながら、大きめのフィンを付けることで安定感のあるライディングと、バーチカル(縦)な動きにも十分に対応出来るボードだと思います。コンケーブは比較的ゆるめにシングルからダブルコンケーブへと移行するシステムを採用し、しっかりとした浮力を感じながらもスムーズな操作性を体感出来ます。ピンテールの特徴はもう一つ、テール幅が狭いことによってテイクオフの際に余計な浮力がかからない為、ささる(パーリング)ことがテール幅が広めのボードよりも遥かに少ないことが挙げられます。だから比較的大きめの波に対しても安定したテイクオフを実現してくれるのです。そのことも踏まえて、TIMさんはこのFRITTERを「あらゆるレベルのサーファーを満足させられる」と位置付け、このボードを完成させたのだと思います。

様々な波に対応出来るボードの為、メインボードとしてはもちろん、トリップのお供などにも最適なTIM STAMPS 5'8" FRITTER。ぜひお気軽にお問合せください。


TIM STAMPS / 5'8" FRITTER


SIZE:5'8" x 19 11/16" x 2 3/8"(29.8L)

No.:36-75-0045-302

PRICE:¥175,000- +TAX ¥122,500- +TAX



それではまた次回




TIM STAMPS / 5'6" FX

前回からの続きです


本日はTIM STAMPSシェイプ、 5'6" FXをご紹介させていただきます。


まずはシェイパーであるTIMさんのご紹介から。

TIM STAMPS(ティム・スタンプス)

カリフォルニア州シールビーチ出身のシェイパー。1989年頃からシェイプをスタート。現在はカリフォルニア州ウェストミンスターに工場を構えて自身のサーフボードをシェイプをする傍ら、生まれ故郷でもある、シールビーチの"Harbour Surfboards"のメインシェイパーも務める。自身がスポンサードしているハイパフォーマンスボードからクラシックなロングボードまで、多種多様なあらゆるデザインのサーフボードを削る事ができる唯一無二のシェイパーとして、アメリカ国内をメインに人気を集めている熟練のシェイパーです。


そういえば昔(Pilgrim Surf+Supplyがオープンして間もない2015年頃)TIMさんがシェイプの為に日本の千葉夷隅(いすみ)に来日していたタイミングで、直接会いに行ったことがありました。ちょうどTIMさんは日本で入ったオーダーサーフボードをシェイプしている真っ最中でしたが、挨拶してすぐさま「Picture is ok!(好きに写真撮っていいよ)」と気さくにお話してくれたり、記念に一緒に写真を撮ってくれたり、とっても優しくて良い方だったことを鮮明に覚えています。正直当時はTIMさんがどんなシェイパーかは詳しく存じ上げていなかったのですが、時間の経過とともに色々調べていくうちに、なんともスゴイお方だったということが判明し(失礼)、今では当時の事をとても貴重な体験だったなぁとしみじみ思ったりしています。コロナ以前は年に数回日本に訪れていて、こちらのシェイプルームで日々日本で入ったオーダーボードをシェイプしていたみたいです。


前置きはこれくらいにして、そんなTIMさんがハンドシェイプするFXを簡単にご説明させていただこうと思います。

形は5'6"のやや短めショートボードといった第一印象ですが、5FINシステム(フィンボックスが5つ付いている事)の為、状況に応じてトライフィン(3本のフィン)かクアッド(4本のフィン)か選べる仕様に。またノーズ部分は一般的なトライフィンよりも程良く丸みがある為、「アグレッシブに波を攻めたい」というよりかは、どちらかと言えば「波を楽しむ為のボード」の部類に入ります。


このボードは一見スラスターに近いデザインではありますが、ロッカーは然程強くは入っていない仕様に。ロッカーが強く入っていると掘れたパワフルな波に効力を発揮してくれますが、逆に小波などの比較的フラットな波に対してはテイクオフが遅くなってしまうというデメリットがあります。その為このFXモデルで言えば、どちらかと言えば小波向きのボードという事になります。ただ一概に小波でしか効力を発揮しないボードという訳ではありません。そこはある程度のデカ波でも、サーファーの技量次第にはなりますが、問題無く機能するボードである事も追記しておきます。一般の平均的なサーファーであれば、モモ腰くらいから頭くらいの波(グリグリに巻いた波以外)であれば対応出来ますので、日本ならば台風直撃で炸裂した波以外の、大抵の場所でサーフィンが楽しめるというボードである事は間違いありません。


そしてTIM STAMPSのディケールがこちら。このディケールに関して言えば、今までに見た事がある方はほとんどいないと思います。それもそのはず実はこのディケール、Pilgrim Surf+Supplyだけのスペシャルロゴだからなのです。これはPilgrim Surf+SupplyオーナーのクリスとTIMさんは昔から仲良しだった事から、スペシャルなディケールでの販売が許されているのです。通常のディケールはTIMさんのホームページにありますので、このディケールを見れば分かる方もいらっしゃるかと思います。個人的にはこちらのPilgrimスペシャルのディケールの方が好みではありますが、、、


ラミネートは真っ白では無いスモークがかった生成りのような、ややクリームっぽいホワイトなので文字が見えにくいのですが、サイズは5'6" x 20 1/2" x 2 7/16"と記載されています。サイズ感が肌に染み付いている方は既にお分かりいただけたと思いますが、幅と厚みが一般的なスラスターよりも大きく作られているのがこの数字から読み取る事が出来ます。レングス(長さ)は短いけど、幅と厚みは一般的なフィッシュサーフボードに近く、「短いながらもしっかりとした浮力を味わえるボード」という事になります。


そしてテール部分。一般的なスカッシュよりも幅を出しています。前回そして前々回のBLOGでも書かせていただきましたが、簡単に言うと「テール幅が広ければテイクオフがし易い」という事です。では前述した「グリグリに巻いた大きい波には向いていない」という点について説明させていただくと、そこはロッカーの形状に起因している事が大きく、このFXモデルは「そこまで強くロッカーを入れていない」為、グリグリの大きい波に突っ込むと、浮力が強い幅広のテールが波のトップから持ち上げられてしまい、テイクオフの際にノーズから板が波のボトムに刺さってしまう(パーリングと言います)のです。波を見る目に長けている中上級者はその感覚に慣れているのと、確かなパドル力を持ち合わせているので、刺さらずにメイク出来てしまう方も多くいらっしゃるかとは思います。


続いてフィンのセッティングについてお話させていただきます。元々TIMさんはこのFXモデルの原型は「クアッドフィッシュ」と謳っている通り、スタンダードなフィンセッティングはクアッドだと言えます。しかしトライフィンでももちろんサーフィンを十分に出来ますので、言い換えれば「クアッドとトライフィンが楽しめる一石二鳥ボード」という事になります。ではそのフィンのセッティングについて、どちらが正解なのか?という疑問に対しては、正直どちらが正解とは言い切れない部分が大きいです。クアッドならば、小刻みに板を動かしながらスピードをつけていき、リズム良く滑走するのに優れていますが、バーチカル(縦)な動きに対してのレスポンスはあまり良くありません。その一方でトライフィンならば、クアッドでは出来ないバーチカルな動き、所謂「リッピング」が可能になります。その特性を踏まえた上で、ツインフィンやクアッドに見られるルース感を楽しむサーフィンがお好きな方は「クアッド」。どちらかと言えばリッピングが出来てスラスターに近い感覚で乗りたい方は「トライフィン」という風に考えると分かり易いかと思います。真ん中にフィンがあるかないかだけで、これだけ違うサーフィンが出来てしまうのですから、やっぱりサーフィンは奥深いですね。コンケーブについては、ノーズからゆるくシングルコンケーブを入れて、テールに近づくに連れてダブルコンケーブへと変化するシステム。これは一般的なスラスターにも採用されている事が多いコンケーブで、シングルのみよりもシングル→ダブルへ変化させる事で、サーフボードの操作性をアップさせてくれる重要な役割を担ってくれているのです。気になる方はぜひ店頭までお問合せください。


TIM STAMPS / 5'6" FX

SIZE:5'6" x 20 1/2" x 2 7/16"

No.:36-75-0044-302

PRICE:175,000- +TAX ¥122,500+TAX(30%OFF)



それでは続きはまた次回




HYDRODYNAMICA / 5'8" GOLDEN MEAN MACHINE

先週からの続きです

本日はHYDRODYNAMICA / 5'8 GOLDEN MEAN MACHINEをご紹介させていただきます。

今回も前回同様に上記リンクの説明は省き、「一体どんなボードなのか?」というところに焦点を当て、個人的な主観満載でお届けいたします。


ノーズとテールを垂直にパツっと切ったようなシルエットが特徴のトライフィン。


ノーズのロッカーはまぁまぁある方なので、多少掘れている波でもテイクオフはし易いはずです。


「流体力学」をサーフボードのシェイプにも活用しているHYDRODYNAMICAのディケールがこちら。

サーフボードのシェイプに学問的な要素を取り入れているって今まで聞いたことありませんでしたが、このボードを完成させるにあたり、シェイパーのDaniel Thomson(ダニエル・トムソン)が8年という歳月をかけて制作したのがこちらのGOLDEN MEAN MACHINEになります。様々な要素を取り入れつつ、デザインを0からスタートして完成までにここまで時間をかけたボードというのも、私が知る限り、HYDRODYNAMICAがはじめてなのではないでしょうか。HYDRODYNAMICAを率いるRichard Kenvin(リチャード・ケンビン)をはじめ、シェイパーのDaniel Thomson(ダニエル・トムソン)も然り、サーフボードに対する確かな拘りが半端じゃなく強いことが伺えます。このことを踏まえても、日本ではまだ知名度が深く浸透していないプロジェクトだとしても、本国アメリカで抜群の人気を誇っているのも私には理解できます。Pilgrim Surf+Supplyオーナーのクリスも、このGOLDEN MEAN MACHINEの愛用者の1人でもあり、本国のPilgrim Surf+Supplyでは入荷する度に即完売してしまう大人気ボードなのです。クリスのオフィスにもこのGOLDEN MEAN MACHINEが置いてあったので、前回のニューヨークサーフトリップの時に借りて乗っておけば良かったなぁなんて今では少し後悔しています。


日本では製造が禁止されている(輸入はOK)XTRのエポキシ素材を使用している為、軽くて丈夫なのが大きな特徴と言えます。

HYDRODYNAMICA主催のRichard Kenvin(リチャード・ケンビン)は言います。「XTRこそ今まで試した素材でベストだ」と言うほど、そのクオリティの高さは折り紙付き。ノーズからテールまで比較的ストレートなアウトラインで、レイルは少し丸みを残したままにしているのも注目すべきポイントです。逆にレイルを薄くし過ぎてしまうとホールド感はズバ抜けて良くなりますが、波のフェイスに食い込み過ぎてしまい、操作性能が落ちてしまいます。この辺りはスラスターに匹敵するトップターンを可能にするならば、このほんのり丸みを残したレイルは、その操作性能を助けてくれる大きな役割を担っていると言って間違いないと思います。


そして特徴的なノーズの形。まるでシャベル(スコップ)のような形から、「ショベルノーズ」という言い方もします。ではこのデザインがどのような効果を発揮してくれるのか考えてみます。まず想像していただきたいのが、もしこのように先端部分をカットしていなければ、5'8"の長さが6'2"くらいの長さまで伸びると仮定してみます。それでも実際にテイクオフをする時は、ノーズ(先端)が水面に接することはまずありません。それは前述した「ロッカー」の有無にも大きく関わってきますが、先端が水面に触れてしまうとノーズから板が沈んでテイクオフ(波の上に立つこと)が出来なくなってしまうからです。なのでこのデザインの大きな意味は?と聞かれれば、不要な先端部分をカットすることによる「軽量化」を最大限求めたデザインであることを理解しておかなければなりません。では軽い方が良いのか?ならば全てのボードの先端をカットすればいいのでは?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、それは一概には言えません。このGOLDEN MEAN MACHINEで言えば、軽量のXTR素材を使用していることも、このショベルノーズに設定した一つの大きな要因であると私は考えています。


続いてスクエア型に近い幅広に取られたテール部分。これにも実は深い意味があります。使用している軽量のXTR素材のデメリットを先にお伝えさせていただくと、その一つに「強風に弱い」ということが挙げられます。サーフボード本体が軽いと、強風の具合によって風力に負けてしまい、テイクオフがしづらくなってしまうこともあります。エポキシボードを持っている方ならば、特に強いオフショアが吹くとテイクオフがしづらいという経験をお持ちだと思います。そんな時に役立ってくれるのが、この広く取られたテールなのです。テール幅が広めに取られている分、水面に接する面積が広くなります。「水面に接する面積が広い=浮力が増す」すなわち、軽量化を第一に考えられたボードだとしても、テイクオフがしづらければ意味が無いので、このテール幅はそんな不安を払拭してくれる役割も担ってくれているのです。


SIZEは 5'8" x 19 1/2" x 2 1/2"。HYDRODYNAMICAがこのGOLDEN MEAN MACHINEを「ハイパフォーマンス Mini Simmons」と位置付けている通り、 一般的なスラスターに近いサイズ感でデザインされています。


そしてこのオンフィン(取り外しが出来ないフィン)にも大きな拘りが。実はこのフィン、我々日本人には特に馴染み深い「竹」で出来たフィンなのです。竹素材の大きな特徴としてまずお伝えしたいのが、「柔と剛2つの顔を持つ理想的な素材」だということ。竹本来の強靭さには不釣り合いな柔軟性をも兼ね備えており、その素材にいち早く目を付けたのが、チームHYDRODAYNAMICAなのです。加えて通常の木材よりも遥かに軽く、まさにこのGOLDEN MEAN MACHINEには打ってつけのフィン素材だと言えるでしょう。実際このボードを持ってみると、その軽さに驚いてしまう方がほとんどだと思います。加えてオンフィンならば、フィンボックスや金具等の余計な重量をかけなくても済む為、軽量化に特化するという点では、まさにこの上ない組み合わせなのです。


そして比較的浅めに設定されたチャンネル(ボードに溝を入れること)がさらに水の流れを増進させ、程良くスピードのあるライディングを楽しめるという構造。実際にチャンネルの入ったボードに乗るとよく分かるのですが、チャンネルが無いボードと比較すると、遥かにボードが前に進むことが感じ取れます。それはこの水面に接するチャンネルが水の流れる「川」のような役割を担ってくれていて、パドリングでもライディングでもダックダイブ(ドルフィンスルー)の時でさえ、その推進力は肌で感じることができます。そして画像ではなかなかお伝えしづらい部分ではありますが、GOLDEN MEAN MACHINEのコンケーブは、ノーズからテールまでにかけて、深いシングルコンケーブが入っているのも大きなポイントに。この深く入れられたシングルコンケーブによって水の流れを確保し、よりスピーディーなライディングを実現しています。GOLDEN MEAN MACHINEについて書いていて思ったことは、シェイパーであるDaniel Thomson(ダニエル・トムソン)然り、HYDRODYNAMICA主催のRichard Kenvin(リチャード・ケンビン)然り、使用している素材や細かなディティールまで一切の抜かりが無い、全て計算し尽くされた完成形であるということ。全てのディティールに深く確かな意味を持ち、サーフボードにおいてここまで計算し尽くされたボードが他にあるのでしょうか。はっきり言って物凄いボードだと思います。


HYDRODYNAMICA(ハイドロダイナミカ)

Richard Kenvin(リチャード・ケンビン)率いる、1940年代~1950年代にカリフォルニアで名をはせたBob Simmonsのコレクションを現代の理論を使って復興させようとしたプロジェクトチーム。Hydrodynamicaのサーフボードを通じ、過去のサーフボードから現代のサーフボードへの進化を体感することができます。主なメンバーはSimmonsのシェイプを体現するJohn Elwell、Hydrodynamicaの総括をするRichard Kenvin、KeelフィンクラフトマンのLarry Gephart、シェイパーのHank Warner、Larry Mabile、Carl Ekstrom、そしてDaniel Thomsonで構成されています。Simmonsのプレイニングハル理論を使って、未来系のサーフボードを作り上げるプロジェクトとして、アメリカ西海岸を中心に幅広く活動しています。


HYDRODYNAMICA / 5'8 GOLDEN MEAN MACHINE

SIZE:5'8" x 19 1/2" x 2 1/2"

No.:36-75-0025-302

PRICE:¥192,000- +TAX ¥134,400- +TAX(30%OFF)




続きはまた次回