6'7" CHRISTIAN BEAMISH RIFLE RANGER TWIN

Ryoichi Igarashi 2021.09.14

前回からの続きです、、、


本日は京都店に入荷してきたニューボードをご紹介させていただきたいと思います。


6'7" CHRISTIAN BEAMISH RIFLE RANGER TWIN

SIZE : 6’7” x 20 1/2 x 2 5/8

No. 3675-0191

PRICE:¥192,000-(+TAX)

ショートボードとも言えない、ミッドレングスとも言い切れない絶妙なレングスの6'7"。

どちらかと言えば、ショートボードとミッドレングスの両方をやる方にピッタリな長さだと思います。ワイドポイントを前方に置いた、クラシックでありながらもバランスの良いアウトラインです。見るからに速そうなデザインが魅力のRIFLE RANGER、個人的にもかなり気になりますね。


そしてRIFLE RANGER(ライフル レンジャー)の最大のポイントは、画像のボトム側に施された4チャンネル。

このチャンネルがもたらしてくれる効果とは?

それについてはBLOGの最後の方に詳しくご説明させていただきたいと思います。

コンケーブは前方からチャンネルまでにかけて、ダブルコンケーブが徐々に深くなっていくイメージで、最後思いっきりVEEで落としています。ディティールから読み取るに、高い操作性能を意識したコンケーブだと言えるでしょう。


シェイパーは、カリフォルニア州に拠点を構えるChristian Beamish(クリスチャン・ビーミッシュ)

あの世界的有名なTHE SURFERS JORNALの執筆も手がけていたり、様々な肩書きを持っているのもクリスチャンの大きな魅力の一つです。 

少し話を戻して、何故クリスチャンのサーフボードを展開することになったのか、その経緯を簡単にお伝えさせていただきます。コロナ渦で世界が大きく変わった2020年以降、自らのライフスタイルが大きく変わった方も少なくないと思います。その中で個人的に明るい兆しが見えたことと言えば、それは「以前よりも遥かにサーファー人口が増えたこと」だと感じています。人気スポットの湘南エリアはもちろん、千葉の海沿いに住む友人からも、サーファーが増えているという類の話をよく耳にするようになりました。それは我々ピルグリムサーフ+サプライにとっても同様で、「最近サーフィンをはじめた」とか「新しいサーフボードを探している」というお客様からのお話をよく伺うようになりました。それに比例するようにサーフボードの在庫もどんどん無くなっていき(ありがとうございます)、サーフボードのラックがスカスカになってしまうという事態に。そしてすぐさまオーナーであるクリスにサーフボードの相談を持ち掛けたところ、真っ先に出てきたシェイパーの名前がクリスチャン(Christian Beamish)だったのです。JOEのALBATROSSのBLOGにも少し触れていますが、現在(ここ2年ほど)アメリカではツインピン(ツインフィンのピンテール)が流行中とクリスから言われていて、「クリスチャンのチャンネルツインは特に良いからかなりオススメだね」と言われたのが全てのはじまりでした(本国のPilgrim Surf + Supplyでもクリスチャンのサーフボードは入るとすぐに売れてしまう人気ボードなんだそうです)。それからオーダーをして、今回のボードが入荷した訳なのですが、制作依頼をしてから僅かひと月の間にカリフォルニアから我々の為に3本のサーフボードを仕上げて送ってくれたことには本当に驚きました。クリスチャンのハンドシェイプはとても早いです。クリスからも「Christian Beamish is happy to make us boards」と言われていて、なんか会ってもいないのに、クリスチャンはめちゃくちゃ良い奴なんだろうなぁと勝手に想像しています。いつか実際に会いに行って、クリスチャン本人に「ありがとう」と伝えに行きたいと思っています。


前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ本題に戻ります。

クリスチャンが掲げるRIFLE RANGERの特徴は、70's頃によく見られていたハイパフォーマンスのツインフィンを、現代版にアップデートさせたところ。それがこの画像にあるやや前方に入ったロッカーや、厚さ2 5/8という厚みにも深く関係してくると思います。あとここまでで目で見て判断できることは、パドリングスピードも申し分無いことでしょうか。このロッカーの入り具合(やや前方寄りに入っていること)とやや細めの幅と、安定感のある十分な厚みを兼ね備えたバランスから見て、このボードでパドリングをしている自分の姿を想像すると、その速さにニヤけている画が思い浮かびます。カラーは海でもどこでも映えて、気分が明るくなるような「レモンイエロー」をチョイスしました。


ノーズの先端は、これも70's頃によく見られていた「イーグルノーズ」を滑らかにシェイプし直したようなディティールです。本来のイーグルノーズは読んで字の如く、「鷲の鼻」のようにもっと角度のあるノーズの形状なんですが、それを滑らかに削って削ぎ落しています。そうすることでまず一つは「軽量化」を図ったこと(そのまんまイーグルノーズでは真っすぐ走る分には安定しますが、ノーズが重くて操作性に欠けてしまいます)が大きいです。逆に普通のノーズの形状にしてしまうと、ノーズが軽過ぎてターン時の操作性はUPしますが、今度はスピードを出したい時にやや安定感に欠けてしまいます(風が強い日は特に)。という絶妙なバランスから想像するに、20年以上100%ハンドシェイプをし続けるクリスチャンのこだわりが私にはしっかりと伝わってきます。恐らくこのRIFLE RANGERを完成させるにあたり、きっと何年も何年も試行錯誤を重ねていったことでしょう。間違いないチョイスだと思います。まさに熟練の職人技とも言うべき、細かな部分にまで一切の抜かりはありません。


続いてテールの形状です。ややテール幅の細い、ラウンドピンテールに近い形と言えるでしょうか。

見るからに先程のノーズロッカーの形状も踏まえ、サイズが上がっても存分に楽しめるサーフィンが出来る、そんな魅力的なデザインが随所に垣間見られます。


クリスチャン直筆のサイズ表記は、6'7" 14 1/2" x 20" x 14 1/4" (2 1/2)。

ボードの真ん中と、上半分の真ん中と、下半分の真ん中の幅を丁寧に墨入れしてくれています(厚みの表記はボードの真ん中)。馴染みの無い方には少し分かりにくいかもしれませんので、こちらでワイドポイントの一番広い幅がある部分と、一番厚みのある部分を計測して、6’7” x 20 1/2 x 2 5/8 という数値を出させていただきました。予めご了承ください。


そして、このRIFLE RANGERを語る上で欠かせないディティールが、この4チャンネルのテールとツインフィンです。

ラミネートはカリフォルニア州ベンチュラにある、HULL FIBERGLASSING。リビングレジェンドGerry Lopez(ジェリー・ロペス)さん自身がシェイプするLightning BoltのサーフボードもここのHULL FIBERGLASSINGで行われています。


日本では正直あまり乗っている人はそうそう見かけないチャンネルボードですが、海外ではよく見かけるファンの多いディティールです。かく言う私もチャンネル好きの1人でもある訳ですが、チャンネルがもたらしてくれる効果とは一体何なのか?最後はそこに焦点を当て、個人的な主観満載でお届けできればと思います。まず乗ってみて思ったことは、チャンネル無しのボードと比較すると、「推進力が高い」というのがはじめに出てきます。どうしてそう感じたか?と聞かれれば、一番それが分かるシーンがダックダイブ(ドルフィンスルー)です。チャンネルボードで思いっきりパドルして波をくぐり抜けようとノーズから沈めていき、最後にテールを蹴ってボードが崩れる波に引っかからないようにかわして水面に浮上した時、いつもより前に進んでいると即座に気づきました。ボードを水中に潜らせている最中に、勝手にボードが前進している。そんな言葉がしっくりくるかもしれません。そしてもちろんチャンネルはダックダイブ時の推進力のみにあらず、一番の大きな特徴は「スピード」と「操作性能」です。チャンネルの溝が水の流れる道を作ってくれて、波の上を滑走している時こそそれが顕著に表れ、チャンネルが無いボードと比べると明らかなスピードの違いが感じ取れることでしょう。とても気持ちの良いスピーディーなライディングが可能になります。このRIFLE RANGERで言えば、TWIN FINなので、真ん中にFINが無い分、スピードを生かした状態でTWIN FIN独自のルースするターンも楽しめるという仕組み。さらにこの絞られた細めのテールなら、なおさらターンのレスポンスはとても良いです。思いっきりスピードを出したい時はやや前方に重心(前足)を置き、出来るだけ重心を落として乗ると良いと思います。そしてボトムターンやカットバックの時は、後ろ足をやや下げてフィンの上に足を置き、ヒザを曲げて上半身をうまく使ってターンをすればスピーディーなターンが可能になります。エリスのEdge Boardも基本的な要素は「スピードと操作性の高さ」が大きな特徴ですが、クリスチャンのRIFLE RANGERも同様に「スピードと操作性の高さ」が大きな醍醐味のボードです。全く違うデザインながらも、両者がアプローチをかけたデザインには比較的共通点も実は多かったり。そんなことを考えながら、サーフボードを見るのもとても面白かったりします。


そしてサイドのレールはあまり落とさず、しっかりと厚みを残したデザイン。これにも理由があって、もしサイドレールを細く落としたデザインだとすれば、このRIFLE RANGERは「超スピード特化型」と言っても過言では無かったかもしれません。レールを細くすると波のフェイスに食い込み易くHOLD感が良くなる一方で、レールが食い込み易いとターンのレスポンスが悪くなるという悩みが出てきます。その点このRIFLE RANGERはTWIN FINなので、「TWIN FINの持つルース感を生かしたターンを楽しんでもらいたい」というクリスチャンの想いが、このレールのデザインに繋がったのでしょう。ノーズからチャンネルにかけて入ったダブルコンケーブも、操作性の大きな手助けとなってくれていて、とても理に叶ったデザインだと思います。


フィンについては左のCLASSIC TWIN SMALLか、右のCLASSIC TWINからお選びいただけます(別売です)。オーストラリアのフィンカンパニーとして、ここ最近の評判の良さは昇り竜とも言えるalkali FINです。

さてこうなってくると、迷うのがフィンのチョイスです。「一体どちらのフィンがいいんだろう?」という疑問が出てきます。はじめにお伝えしておきますが、「こっちが正解です」というのは正直ありません。どちらかが正解かという話では無く、「どういうサーフィンをしたいか?」という理想による部分が大きいと思います。以前にも少し触れましたが、一般的には小さいフィンの方がよく動き、大きいフィンの方が安定します。こちらのalkali FINにおいてもその原理は全く同じです。なのでどちらかと言えばSMALLは小波の方がより楽しめて、CLASSIC TWINは大きい波で安定する。その一方で、SMALLは大きい波の時に安定感を欠き、CLASSIC TWINは小波の時にターンのレスポンスがやや遅い。そういったデメリットがあることも付随しておきます。私なら、比較的リズム良く小刻みなターンを好まれる方にはSMALL、ドライブを効かせた比較的大きめのターンを好まれる方にはCLASSIC TWINをお勧めいたします。こればっかりは乗り手の好みによるところが大きい分、どういうサーフィンを自分がしたいか?という問いに、素直に出た答えに従ってチョイスするのがベストな選択だと思います。それでも悩まれる方は、お気軽に店頭スタッフまでお尋ねください。


よろしくお願いいたします。




それではまた次回