ご機嫌いかがでしょうか、立川店の新井です
最近恥ずかしげも無く着まくってます、ホワイトブレザー。
このスタイリングが気に入ってます。くどい位に毎日ブレザーにフレアパンツ。毎日色は違うんですがシルエットはほぼ一緒。ホントは上下セットで作ったのでホワイトスーツでボウタイして登場したいのですが、なかなか着て行く機会が無いのでバラ使いで大活躍してます。
何でこんなにワイドラペルジャケットにフレアパンツが好きなのかって自問してみましたが、やはり人生を豊かにするエッセンスとしてのロックミュージックが多大な影響を与えてるんでしょう。
60年代のイギリス音楽シーンを座席したあのリバプールの4人組も。
ロンドンから生まれた第一線で活躍し続ける最高峰不良ロックバンドさんも。
グラムロックの代名詞と言える変幻自在のロックスター、地球に落ちてきた男も。
みーんな輝けるあの60〜70年代の神がかった壮年期までの彼らの痺れるようなジャケットスタイリングは同様にワイドラペルにフレアパンツ。80年代になっても勿論ロンドンを筆頭に輝いたロックアーティストも然りです。好きな音楽と着る服がリンクするのは当然の理。なので昔から大先輩方のコラムなんかでその当時の時代背景と音楽と洋服とを交えて語るコラムが大好きでしたね。逆に言えば文化の背景が全く感じないトレンドを意識しただけのスタイリングとかはちょっと食傷気味です。
最近は雑誌は読まなくなってSNSのスタイリングを参考にすれば充分ですって方もいるかも知れませんが、私は益々反比例する様にSNSに洪水のように大量に流れて来るスタイリングに全く響かなくなってしまって。その代わり世界中に流れる画像収集アプリで何十年も前のアーカイブ写真の服装にばっかり惹かれる様になりましたね。
そう言えば大分前のメジャー文学作品に登場する先輩が言ってた言葉は悔しいけど響きました。
おれは何十年って時間の洗礼を受けてなお残っている物しか信用出来ないんだ。直ぐに消える様な作品を読む程人生は長くは無いから。
みたいな言葉は未だにズシンと心に残ってます。そして服にも同様の事は言えると私は思ってます。
15年位前に銀座並木通りでやってたお店も根底にはそんな感じのコンセプトがありました。
それぞれに発展し残り続ける世界中のトラッドスタイル。そしてそれをフレキシブルに飲み込んで発展していく東京都市におけるファッションスタイル。様々な伝統的スタイルを我々日本人のフィルターで表現していこうってコンセプトで、色んなセレクトショップスタッフやアパレルブランドの精鋭達が集まってたんです。私はまだまだ若輩者でしたが。そしてそのコンセプトを総称すると東京トラッドと呼んでいました。
先週のドレスレーベルの商品説明会でもコンセプトはジャパニーズトラッドだって話が出てましたので、やっぱり今後は日本人なりの洋服の表現を世界に向けて発信していく事が苦境を強いられる状況での未来への希望みたいなものだと心底思います。
一旦ビームスを出て、一緒にお店をやってたKさんって元祖師匠はその当時に、トレードマークの様に春夏にはミリオーレってブランドのナポリスタイルのカミーチャ全開のリネンのホワイトジャケットで、その日の気候や気分でブルーやオレンジのコットンカラーパンツを履いて足元はイギリス製の金刺繍エンブレムの入ったブラックベルベットルームシューズのスタイリングでした。
未だにこれが永遠の私の憧れのスタイリングです。そして正に先述のボーダーレスな東京トラッドスタイルを象徴してたなぁーって。そう言えば師匠がピーターのビスポークで作った8ボタンの金ボタンダブルブレザーなんて、イタリア人の名前のファッション雑誌の表紙で着用してましたからね。私が知る限りその20年位前にダブルブレザーとかホワイトジャケットとかルームシューズを痺れる位カッコ良く着てる人なんてまだまだ居なかったっすよ。
そんな訳で冒頭のブレザーとして私の永遠の憧れのスタイルにはホワイトジャケットが真っ先に挙がる訳でして。
こんなピュアホワイトのジャケットを若い頃はキャラ負けしちゃってダメだったんですが、流石に40代になったのでそろそろ行けそうな気がして解禁しちゃいました。でも私の洋服人生のフィルターを通すとブリティッシュでもイタリアンでもフレンチでも無いし、付け足すならクラシックとモードもごちゃ混ぜに解釈したごった煮の寄せ鍋みたいなミックス感が有るので困った物です。
最近は何だか往年のムード歌謡歌手に見えてきて心配です。でも存分に楽しんで服を着てるので良しとしましょう。きっとこれも私なりの東京トラディショナルブレザースタイルと呼ばせて頂きましょう。
表題は前回のブログの曲と同じグラマラスでロキシーな音楽を奏でるグラムロックバンド最後の最高傑作アルバムの代表曲。この曲のPVさえ見て頂けたらそれだけ分かる筈のボーカルの彼が纏うホワイトタキシード姿。淑女をエスコートするその華麗な装いは時代の流れなんて全く関係無い普遍のスタイリングの真骨頂と言える筈。
そう、紳士たる者、何故正装としてジャケットを着てお洒落するかって女性をエスコートする為に決まってます。長年愛される英国の凄腕スパイさんもそうでしょう。
ホワイトジャケットを着て颯爽と夜の銀座並木通りを歩くのを夢見て。
新井