僕達が望む物は 〜長いブログの方〜

SHUN 新井 2022.07.03

ご機嫌いかがでしょうか、立川店の新井です




ビックリするくらいの速さで真夏となってます。

お洒落をしようにも限界というものがある事を立川店で知りました。ドレスコーナーに風こないし。

そんな訳で軽装で失礼致します。自分で作った服ばかりなんでテイストももはや不明。

アメリカを主としたトラディショナルとモードな味も有りながらのクロスオーバー感は完全に自分路線に行ってしまってます。



そしてとてもじゃないですが着れなくなったのは袖裏地付きのジャケットです。これだけでジャケット内の温度が2,3度は違うんじゃないかって。


8,9年位前のウチのあるレーベルのドレスの企画をやり出した頃に、夏に全然ジャケットが売れない原因を解明しようと躍起になって毎週末位の頻度で売場に出てましたが、その時におじさま達に何回も言われたのが袖の裏地がベタベタ腕にはりついちゃって気持ち悪い!と。

クールビズで仕事着は半袖のシャツを着るけど、どうしてもジャケットを羽織りたい場面はある際に直面するのが裏地ペタペタ気持ち悪い問題。

室内とか電車内はキンキンに冷房で冷えてるから軽く羽織る上着は欲しいけど、そこでも裏地気持ち悪い問題発生って事なんですよね。



確かその時に企画開発して作った袖裏無しの表生地だけのジャケットでした。ライトサーフニットって生地とデニム見えのプリントを施したシアサッカー生地だったと思います。

これを満を持して暑くなる6月に投入したら、思惑以上に売れに売れました。カジュアル見えじゃなく、ちゃんとテーラード仕立て見えのビジネスに使えますって作りで裏地無しって製品はその当時は全然無かったですからね。


直接ユーザーの方々の声を聞く事でリアルに商品企画に落とし込む意味と醍醐味ってヤツを知ってしまったんです。直ぐに完売しちゃったので次の年はどちらもかなりの量は作っちゃいました。今でも変わらず売れ売れの様なのでちょっと自慢しときましょう。



今のドレスクロージングフロアでは、インポートのカジュアルジャケットでちょこちょこ一枚仕立てジャケットはやってますが、メインで売るべきオリジナルのジャケット企画は全部裏地付きのかっちりした仕立てなので、この1,2ヶ月はその裏地が付いてるせいで断念するお客様もチラホラいらっしゃいました。


今はこれだけ暑くてジャケットを着るのが大変だと痛感すると、そのお客様の声がやたらと響きます。

商売としてだけじゃなく、お客様のお役に立つ商品をご用意してあげたいって気持ちが湧いてきちゃうものです。

なのでまた追加で企画書を作成しちゃって商品チームに送りつけてしまいました。売り場の声が届く事を願っております。


こんなに暑くて外出するのが辛い気候でも、皆様毎日お仕事に向かわなくてはいけません。その仕事が少しだけでも気持ちの良い快適なお洒落をしてもらえる様に商品企画を考えるのは、もはや洋服屋の使命感みたいなもんだと思います。洋服って思ってる以上に生きてく上での大切な活力なんだとも。

もうすぐですかね、そんな快適に感じるお洒落をして立川の夜に颯爽と遊びに出掛けられる日々も。


表題は70年代発表のフォーク創成期に日本に生まれた伝説的フォークシンガーさんの代表曲のひとつ。

当時彼が精神的に追い込まれ、そして外にばかり向けていた目を自分自身に向ける事により生まれたこの名曲は、たくさんの人々の心に訴えかけ共感を呼ぶ事が出来た正に時代を越えて聴かれる傑作だと。

私の母がモロにその世代だったので、幼少期にカセットレコーダーからいつも聴こえてきたのは彼のフォークソングばかりでした。そして中学生の頃にハマってたトレンディドラマでも最終回の名シーンでは彼の名曲達が流れてまして。確かマラソンのシーンかな。そのドラマのクライマックスシーンなんて同じ大学サークルの仲間達がフォークソングの歌詞を語りながら神宮前のイチョウ並木の下を横一列で歩くという今じゃ絶対にお目にかかれない様な演出が痺れます。


とりあえず僕達が望むものは、我慢するオシャレではなく、このヤバい暑さを乗り越える快適な洋服なのでしょう。



それではまた次回に。



新井