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“On The Way To The Peak Of Normal” Holger Czukay



【帯付き初回生産限定盤LP】Holger Czukay / On The Way To The Peak Of Normal〈P-VINE〉
価格:¥4,400(税込)
商品番号:29-67-1168-538

Holger Czukay(ホルガー シューカイ)はジャーマンエクスペリメンタルの源流であるCANの元メンバー。演奏に加えエンジニアリングも担当し、独自のコラージュ的センスを発揮していました。そして今作はソロアルバムとして3作目にあたります。


ここから昔話を少々...

実は初めて買ったHolger作品がこちらでした。彼については最初はDavid Sylvian作品を通して知っていた位。その作品での担当楽器が“Dictaphone&Radio”...一体何者???という認識でした。そしてある日、たまたま授業をサボって入ったレコード店のセールコーナーにて今作に邂逅。この偶然の出会いによってその後の私の音楽人生??が大きく変わりました...という極私的思い出話はこの辺りで。

私物2種:紙ジャケP-Vine盤と独EMI盤


さて、アナログA面をフルに占める“Ode To Perfume”が先ずはとにかく美しい。盟友Jaki Liebezeitのミニマムなドラムス、そしてヴィブラートの効いたギターがほぼ全編響き続けるトラックの上に〜ラジオ、フレンチホルン、ディストーションで割れ過ぎなギター、咽び泣く様なヴォコーダーetcが絶妙に重なり合って美しくもスリリングな展開を繰り広げ、そしてあっという間に終わります。20分超とは思えない感覚。


これはHolgerのエンジニアとしてのセンスが大きいと思われます。録音した音源を徹底して素材として吟味し効果的に再配置、加工する〜まさにDubを連想させます。実はHolgerはLee Perryを“ジャマイカにいる兄弟”と呼んでいてリスペクトしていました。手法に違いはあれど近いベクトルを描いていると思います。(どちらも私のヒーローです。2人の共演が無かった事は本当に残念。)


話を戻して、B面に。こちらは様々なシチュエーションでレコーディングされた実験曲のコンピレーション的な楽しさ。


先ずはドイツ、ゾーリンゲンにて活動していたバンドS.Y.P.H.とのセッション曲“On The Way To The Peak Of Normal”からスタート。ラジオから流れる音と即興セッションを行ったもので、実は彼らのアルバムにも別ヴァージョンが全く異なる曲名で収録されています。同一リズムトラックが別々の曲に生まれ変わる...正にジャマイカばりのヴァージョン流儀です。


以下、全曲についていくらでも語りたいところですが、時間超過になりますので...B面ラスト“Hiss ‘N’ Listen”に。当時、Public Image Ltd.を脱退して間もないJah Wobble、Jakiとのトリオです。WobbleはReggae〜Dub狂で、その影響下で編み出された太く丸みのあるベース奏法で頭角を表していたところ。そんな彼らしいクセだらけの強力なベースがひたすらカッコ良い。きっと存在するであろう別ミックスとかも聴いてみたかった...(ちなみにこのトリオによる強力アルバムも存在します。また別の機会に)

この味のあるイラストは?

今作に参加している盟友Conny Plankの子息Stephan作。



学生時代に出会い聴き続けている作品が2024年に再びリリースされる...本当に素晴らしくエキサイティングな出来事。祭りです。


Holgerの作品は機材の発達とは全く別の次元でクリエイトされていて、旧いとか新しいとかは関係がありません。ちなみにサンプラーが生まれる遥か前から、手作業でサンプラーよりも面白い事を成し遂げていました。とにかく聴く度に新たな発見がある名作。次に押さえるべき一手として、是非おすすめします。


丹羽 望

ビームス プラス 丸の内

NEU!“2”

NEU!“2”



【限定ピクチャー・ヴァイナル仕様LP】Neu! / Neu! 2〈Groenland〉
価格:¥5,060(税込)
商品番号:29-67-0727-538



初期KRAFTWERKに在籍していた

KRAUS DINGER(クラウス ディンガー)と

MICHAEL ROTHER(ミヒャエル ローター)の

デュオ。通常のロックバンドと共通の楽器を

用いながらも、他に類を見ない不思議な位に

ミニマムで浮遊感のある美しさ。精巧に響く

ギターリフ&永遠に続きそうなドラムス。

恐ろしい位に展開しないシンプルな演奏は

いつの時代に聴いても新しいと思います。(=NEU)


今作は1973年発表の2作目。前作の

コンセプトを更に発展させています...

が、実はA面のレコーディング終了時点で

予算を使い果たしたそうです。で、B面は?

何とA面収録曲や既発売のシングル曲の

回転数を極度に早くor遅くしたものを

新曲として収録し、アルバムとしての

体裁を整えています。針跳びの箇所もあり

ますが、何とそのまま収録されています。

最初に聴いた時、本当に針跳びしたと

勘違いしてびっくりした記憶が...

それにしても、何という発想でしょうか。

当時はB面の“蛮行”に対しては全く理解を

得られなかったそうです。しかしながら

この発想は偶然にも、後世のサンプリングや

リミックスの概念を先取りしていたとして、

時代を経るにつれ、評価が変わりました。





ちなみに、この作品含むNEU!3部作は

CONNY PLANK(コニー プランク)による

エンジニア/ミキサーとしての貢献が

かなり大きいです。一度録音した音源を

ひとつの素材としてニュートラルに捉え

大胆にエフェクトを駆使する事によって

NEU!独自の世界を完成させています。

ある意味ではレゲエ〜ダブと地続きだと

私は思います。(かなりの持論ですが。)




そして何と言ってもKRAUS自身による

アートディレクション。手描きの“NEU”

文字は前作と同一で、その上からは“2”

スプレーにて乱暴に加えられています。


曲名はタイプライター表記です。

収録時間は味のある手描き数字にて

訂正されています。(何故?)



それにしても、50年後の2023年に

ピクチャーディスク化されるとは!

きっと宇宙のどこかにいるKRAUSは

びっくりして喜んでいるでしょう。


そう言えば、当時日本盤が発売された

際は邦題は“電子美学”...ちなみに1stは

“宇宙絵画”、3rdは“電子空間”...なるほど。

当時のレコード会社担当者の当惑ぶりが

伝わってきます。笑



最後に

個人的思い出を少し。

2000年代前半にKRAUSは自身の

プロジェクトLA?NEU!(ラ?ノイ!)を

率いて来日しました。顔をシルバー色で

塗りたくり、白いオーバーオールを着て

颯爽とギターを弾いていました。

そして2周り位若いドラマー×2人が

完全シンクロで例のミニマムなリズムを

叩き出していました。45分を超えた

演奏もあり、ノックアウトされました。

やはりKRAUSはいつの時代も稀代の

ミニマリストのままでした。



いつの時代も新しく(=NEU)

幅広いジャンルのアーティスト達に

刺激を与えていたNEU!の音楽。


皆様にも是非おすすめ致します。


以上、ビームス プラス 原宿の

クラウトロック愛好家 丹羽でした。






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