伸ばした音が好きです。
私は伸ばした音が好きです。
タイトル含めて3回書いてみましたが、やっぱり伸ばした音が好きです。正確には残響も好きなのです。どこか遠くへ行けるかのような気持ち良さを感じるからかもしれません(危険なことは言っていないと認識しています)。音を伸ばすことを特徴にしている音楽というと、ドローン、マントラ、声明など宗教にルーツを持つ音楽が多いように思います。伸ばした音の中から神秘的なものを見出してきた歴史があったのだろうと推測するのは難しくありません。
教会音楽についても、平均律が確立される以前は、声を伸ばしながら微妙な(不確かな)和声や音程、ビブラートなどによって展開を作っていただけでなく、教会の建物自体も深い残響が生まれるような構造になっていたようです。世界各国に同じような着眼点があったのかと思うと興味深いですよね。
さて、では音を伸ばすことを得意とする楽器を改めて考えてみると、その代表的な存在は管楽器であると思います。

【LP】Shabaka / Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace〈Verve〉
価格:¥5,060(税込)
商品番号:29-67-1028-494
Shabaka / Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace〈Verve〉
価格:¥2,640(税込)
商品番号:29-68-0392-494
UKジャズ・シーンを牽引し続ける重要人物、Shabaka Hutchingsによる最新ソロアルバム。Sons Of KemetやThe Commet Is Comingなどでの活動で代表されるテクノ/ベースミュージックとアフロビートが絡み合うストイックな作品が続いていましたが、今回はそれらの真反対をいくような静謐な1枚。フルートやクラリネット、尺八を自身で演奏しており、管楽器に改めて向き合いながら、スピリチュアル・ジャズや、癒しに焦点を当てたところからも、どこか上述の話にも繋がってくるような気がします。
また尺八といえば、このような興味深い1枚も販売中です。

1990年代に佐渡での村松流尺八との出会いをきっかけに尺八奏者として演奏・即興を始めた福島麗秋。彼の息子であり、即興演奏とコンピュータによる独自のセッションを試みるバンド Mimizのメンバーでもある福島諭による作品です。聴き始めは、我々を未知な領域へ誘って行くのかと思いきや、IDMや映画音楽、アンビエントのようにも感じてきたり、同楽器の魅力を現代のテクノロジーで表出させたような興味深い一枚となっています。
さて、この楽器についてもう少し深堀してみます。作曲家の武満徹氏は、世界に彼の名を広めるきっかけにもなった出世作『ノヴェンバー・ステップス』を1967年に発表しました。当時としては初となる、オーケストラと尺八・琵琶による混交を図った作品です。端的に言えば和洋折衷となってしまいますが、決して表面的ではなく互いの文化の深い部分にまで趣向を凝らしており、音楽史としても大事な作品といえます。特に、尺八に対する武満氏による論考は興味深く感じます。日本の音楽は、旋律や和声よりも音色に焦点を当ててきた歴史があり、尺八もその代表的な一つだというのです。そして、この楽器を吹いたときに同時に鳴ってしまう息吹きの部分をノイズではなく"味わい"として表現しており、むしろその"味わい"を出すことに注力してきたといいます。先に紹介したShabakaも音楽メディア『TURN』によるインタビューで、尺八についてこのことと本質的に同じ発言をしています。
(続きは個人のnote に書いています。)