こんにちは、藤本です。
突然ですが、皆さんは普段どのように音楽をディグっていますか?
実は店頭でお客様とお話ししているとき、「普段どうやって音楽を探していますか?」とよくご質問をいただきます。そのたびに「自分の好みのアルバムがリリースされているレーベルの他の作品であったり、好きなDJ、アーティストのミックス配信などをチェックしてみるのも面白いですよ。」とお答えしているのですが、実際に私はBandcampで気になるレーベルをフォローし、新作が出るタイミングで覗いてみたり、NTS Radioで好きなアーティストの放送を聴いたりして新しい音楽と出会うことが多いです。
今回はそんな音楽の探し方について少しでもキッカケになれたらと思い、辟易ながら今注目していただきたいインディー・レーベルからリリースされている作品をご紹介します! ぜひそこから派生して好きな音楽を見つけていただけたら嬉しいです。
まず最初にジャンル問わず先鋭的な音楽をお探しの方にオススメしたいのが、ロンドン発のレーベル〈AD 93〉。エクスペリメンタル、ヒップホップ、テクノ、ハウス、アンビエントなど幅広いジャンルにおいて独創性に富んだアーティストによる作品が多いです。
アーティストの交友関係にも繋がるかもしれないのですが、作品ひとつひとつのジャケやビジュアル、ルックなどで割と日本ではまだまだ知られていない気鋭クリエイターを採用していて、そういった作品周りのクリエイティビティからもセンスの良さが滲み出ています。
そんな同レーベルのアップカミングなアーティストの一人、オレゴン州ポートランド出身で現在はダブリンを拠点とする作曲家、プロデューサー、多方面に渡って活動するJasmine Wood(ジャスミン・ウッド)の『Piano Reverb』のカセットテープを展開中。
【CASSETTE】Jasmine Wood / Piano Reverb〈AD 93〉
価格:¥3,520(税込)
商品番号:29-69-0177-981
ポートランドから移住した先、ダブリンの廃教会に持ち込んだ100年以上前のブリュートナーのアンティーク・グランドピアノで制作された今作は、その廃教会の空間を楽器のようにして繋ぎ合わせたピアノのリバーブが、アルバムのサウンドの90%以上を占めています。
いくつものレイヤーで重なり合う持続音はオケのような、ある意味ピアノらしくない荘厳さ。鳥の鳴き声のフィールドレコーディングが散りばめられた「Ⅱ」をはじめ、アルバムの後半にはアンティークピアノの軋む音や鐘の音が聞こえてきたりと、荘厳さの中にストーリー性のある温かみが感じられるのも魅力的です。
続いてご紹介するのは、ベルリン、グラスゴーで運営されている実験ダンスレーベル〈INDEX:Records〉です。
2016年にアムステルダム出身のConna HarawayとKing Softyが設立したレーベルで、2人の周囲には新進気鋭の才能のあるアーティストが多いにもかかわらず、彼らの音楽の出口がないという共通の認識が、このレーベルの構想を促した経緯となっています。
同時期に生まれたレーベル〈3XL〉主宰のSpecial Guest DJも同レーベルのコンピに参加していることから伺えるように、ベルリンの実験ダンスミュージック・シーンの盛り上がりが感じられ、彼らが同シーンの一端を担っていくのではないかという気配も感じられます。
そんな同レーベルの最新作は正体不明の覆面プロジェクト、 Downstairs People(ダウンステアズ・ピープル)による2nd アルバム『DSP』。

【LP】Downstairs People / DSP〈INDEX〉
価格:¥4,180(税込)
商品番号:29-67-1177-526
"年"?のような白い一文字がセンターに施されたグリーンのミステリアスなアルバムアートワークが目を惹きますね。
今作は、トラックごとにチェンジしているであろうヴォーカルエフェクトや、ハイパーポップ風なシンセサイザー・サウンド、軽快で小気味良いビートの鳴りが印象的で、特に7分にわたる長尺トラック「Kiss My Vibe」はその特徴が顕著に表れていて中毒性抜群。あまりの気持ち良さに、思わず何度もリピートしたくなります。
ネオR&Bと掲げられていますが、ダウンテンポ、ガラージの要素もあり、良い意味でもったりとしていないあっさりとした質感が◎。James BlakeやSega Bodega辺りがお好きな方にも刺さりそうです! 前述で触れたレーベルコンピはこちらから聴けますよ。
続いてラストにご紹介するのは、UKのソウルシーンで活躍する重要プロデューサー、Adam Scrimshireが主宰する、サウス・ロンドンを拠点とするジャズ~ヒップホップ~R&Bソウル系のレーベル〈Albert's Favourites〉。
個人的にデビュー当初からファンであるビートメイカー Hector Plimmerや、同じくビートメイカー/ドラマー Jonny Dropの作品を筆頭に徐々に頭角を現している同レーベルですが、最近では下記の2作品のようなネオソウル・ジャズアルバムのリリースがあったりと、レーベルの幅を利かせています。

【LP】And Is Phi / Double Pink〈Albert's Favourites〉
価格:¥5,940(税込)
商品番号:29-67-0860-526
現在サウス・ロンドンを拠点に活動するフィリピンとノルウェーにルーツを持つアーティスト、And Is Phiによる、ニュー・ソウルのインスピレーションを瑞々しく表現したデビュー・アルバムです。
Momoko Watanabe Gill、Isobella Burnham、Lorenz Okelloといった現地ロンドンのジャズシーンで活躍するミュージシャンが参加し、それぞれの楽器のピュアな音色が際立つ高次元のサウンドスケープが、And Is Phiの表情豊かな歌声を包み込んでいきます。
妖艶でかつ没入感のある空気感は、Georgia Anne Muldrow、Hiatus Kaiyoteがお好きな方にもハマること間違いなし…!

そしてこちらが前述でも紹介した、近年のロンドンを象徴するようなクロスオーバー・サウンドを届けるビートメイカー/ドラマー Jonny Drop(ジョニー・ドロップ)と、Theo Parrishとの共演で一躍話題となったガーナ出身のサウンド・プロデューサー/SSW、Andrew Ashong(アンドリュー・アション)のコラボ作品です。
終始程良い塩梅のBPMで繰り広げられる味わい深いサウンドと歌声。そしてうっすらと仄かに漂うサイケデリックな質感が癖になります。〈Rhyhtm Section〉や〈Tru Thoughts〉、〈Brownswood〉といったレーベルのファンをはじめ、ダウンテンポやレアグルーヴものをお探しの方にもおすすめです!
なんだかUKが多くなってしまいましたが、他にも様々な魅力を持つレーベルが沢山ありますので、
もし新しい好みの音楽をお探しの方は、当店で扱っている作品のレーベルもチェックしてみてはいかがでしょうか!
それでは最後までご覧いただき、ありがとうございます。
直近の出勤日は8/31、9/2、9/3、9/6です。
ご来店お待ちしております!