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スラッカー

お正月からの連休が一旦落ち着きましたね。精神的に少し辛めですが、どうかご安心下さい。この世には音楽があります。

無気力のときには無気力を肯定してくれる音楽を聴くと、特に何も変わらず無気力でいられるのでおススメです。そして無気力といえばスラッカー・ロックです。

元々スラッカーというワードは、大戦時に徴兵制を拒んだ人々を指していましたが、90年代に働く意欲のない若者を指すものとして欧米で使われ始めました。近年でも中国で寝そべり族が流行したように、経済の発展と共に現れる社会現象の一つとして、研究している方が多くいらっしゃるようです。また社会活動のアクティヴィズムと混ぜて、スラックティヴィズムというワードも生まれたりしています。

PavementやSparklehorseらはまるで彼らの代弁者かのように、粗削りな楽曲構成から脱力したヴォーカル、ローファイな録音。チューニングがずらされていたりと、あえてのルーズな姿勢を見せ、商業的な音楽への反発も示しましたニューウェイブも段々と熟練さを見せ、シンセ等機材の進化もあり、どのジャンルも洗練された印象のあった80年代後半への揺り戻しもあったのでしょう。個人的にはOasisやNirvanaが隆盛を極めたのもこの流れに起因していると思いますし、世代、音楽性としても重なりますね。反対に、英ガーディアン紙にスラッカー・ロックの代表曲の一つに『creep』を挙げられていたRadioheadは、アルバムの度にロックの枠を飛び出し高度な音楽性へと進化していきました。

スラッカー達がIT革命と共に、インターネットと迎合したことで自分たちのユートピアを作り出すことに成功しますが、それも束の間の出来事。すぐさま新たなビジネスの開拓地となり今日のYouTubeやSNSへと繋がっていきました。

音楽の面でもPCが大きな負荷に耐え得る規格へと進化したことでDTMが世界中に普及。マルチトラックにオーバーダビングすることで楽曲を作っていたことがデビュー前のミュージシャンにとって一般的だったのが、録音をクリックで簡単に繋ぎ合せられるなど、果てしない可能性を手に入れました。この間にヒップホップが音楽産業の頂点に上り詰め、ロックンロールもリバイバルが起こりました。とはいえ、その中心となったThe Strokesはデビュー時からテクノと60年代のThe Velvet Undergroundを結びつけるなど、それまでにはなかったミックスのさせ方をしていたようでしたし、Arctic Monkeysはitunesのダウンロードによって大きく売り上げを伸ばし名声を手にしたので、ネット以前の土台とは異なることがわかります。さらに2010年代からは、インターネット社会が作る情報過多のカオスを体現したようなヴェイパー・ウェイブや、OPN、ARCAらが現れますが、アナログな流れもまた同時に起こるものです。Mac DemarcoやAlex Gらを中心にスラッカーが再び脚光を浴びました。シティポップの再燃とも混ざって独自のスタイルへと進化しており、より牧歌的で温かい雰囲気が彼らの特徴のように思います。

【CASSETTE】Bloody Death / Some More Poison〈Smoking Room〉
価格:¥2,750(税込)
商品番号:29-69-0222-526

さて本作は、如何にもエモいアーティスト名とタイトル、そしてジャケットデザインです。しかしながら、意外にも穏やかでまさに初期スラッカーのような懐かしい雰囲気と、ソングライティングのセンスの良さが際立っています。特にギターのリフやソロが醸し出すイナたい感じが堪りませんね。インディロック好きや郷愁の甘いコタツに入って疲れを取りたい方など幅広くおススメです。

大きい音と小さい音


「沈黙は口論よりも雄弁である」ーカーライル『英雄崇拝』

「ことばが役に立たないときは、純粋に真摯な沈黙がしばしば人を説得する」ーシェイクスピア『冬の夜話』


【CASSETTE】Duster / In Dreams〈Numero〉
価格:¥2,530(税込)
商品番号:29-69-0216-526

90sのUSインディーを代表し、サッドコア/スロウコアのスタイルでも知られるDusterが活動を再開。そして、新作アルバムを発売しました。時にドラムマシンやシンセを用いるなど意外な展開も魅力ですが、一貫したメランコリックで繊細な各楽曲にはやはり心を慰められます。

サッドコア/スロウコアは、グランジの反発として出てきたシーンとして知られています。ギターの歪みは抑えられ、言葉通りテンポはスロウ。音数は最小限。ボーカルはウィスパーに歌い上げる等、正にグランジとは反対のアプローチを特徴としています。しかし興味深いのは、それにも関わらずグランジと同じ威力を感じさせるところにあると思います。憂鬱さ、無気力さが音の隙間から洩れてくるかのようです。かつてNirvanaのKurt CobeinがJonny Cashのようなフォークをやりたいと語り、また伝説となったMTVのライブ企画Unplueggedでの彼らの演奏を考慮すると、既にこの時点で確立されていたと言っても過言ではないかもしれません。

Nirvana / All Apologies (Live On MTV Unplugged, 1993 / Unedited)

ところで、小さい音、若しくは少ない音数の音楽というのは、聴いていくと段々と耳が慣れてきて、次第に無音の塊が姿を現してくるように感じませんか。さらに、その塊が少なく鳴らされた音の周りを囲んで、重みを持たせて来るようにも感じますよね。文学で言えば行間、絵画で言えば余白と表現出来ます。Neil Youngが大きい音を出したければ小さい音を出せるようにすることだと言っていたと、My Bloody ValentineのKevin Sheildsがインタビューで語っていました(紛らわしいエピソード)。確かに音量の振れ幅が大きくなるほど、そう感じるものですよね。しかし、そもそも小さい音も無音を纏っている分、大きい音と同じだけの力を持っているのではないか、とも思ったのです。


(続きは こちらに載せています)



"Tastee T Box"カセットテープ棚BOX


こんにちは、藤本です。


今回は、先日から新たに取り扱いをスタートしたカセットテープに特化した日本のレーベル〈Tastee T Production〉のカセットテープ収納ラック"Tastee T Box" をご紹介します。


〈Tastee T Production〉は、2017年にカセットテープ特有の音質にひかれ発足したレーベルで、最近では先日亡くなられたプロデューサー/DJ、矢部直氏のミックステープのリリースでも話題となりました。こちらのミックステープのように、幅広いジャンルを網羅していて、自分たちがカセットテープで聴きたい音楽に焦点を置き作品をリリースしています。


また、レーベルの傍らカセットテープに関連したアートプロダクト、他レーベルからのカセットテープリリースサポートなど幅広い活動を行っていて、この棚BOXも代表的なアイテム!


BEAMS RECORDSでは、カセットテープを約48本収納することが可能なL Sizeと、約16本収納することが可能なM Sizeの2種類を展開しています。


こちらがL Size。




店頭実物。持った時の軽量さに驚きました!







こういった形でカセットプレイヤーも一緒に収納することもできます!





右側板下部にTastee T Productionロゴ焼印が入っています。




Tastee T Production / Tastee T Box・L-size
価格:¥5,940(税込)
商品番号:29-58-0061-901

こちらがM sizeです。




店頭実物がこちら。




カセットテープだけでなく、アクセサリーなど小物も収納可能です!






Tastee T Production / Tastee T Box・M-size
価格:¥2,750(税込)
商品番号:29-58-0063-901


下記写真のように縦置きにしてみたり、異なるサイズを組み合わせて自分好みにフレキシブルにレイアウトできます。





国内家具工場にて、非常に軽い桐(無垢材)を使用して作られているため、置く場所を選ばず、持ち運びや移動にも便利です。カセットテープが増えていくにつれて、追加で揃えてレイアウトすることもできますね!カセットテープ愛好家の方はもちろんマストで、これからカセットテープを集めていきたいという方もぜひチェックしてみてください。



店頭では実物を展示中なので、気になる方はお気軽にお立ち寄りください。

それではご来店お待ちしております!




近日中の出勤日は下記になります

10/24、25、28、29、31


ロマンティシズムに満ちたロック再び

【CASSETTE】The Libertines / All Quiet On The Eastern Esplanade〈EMI〉
価格:¥3,520(税込)
商品番号:29-69-0231-500

Oasisの再結成ライブについて、まだまだ世界中で話題沸騰中。当店では、同じレーベルで後輩となるThe Libertines(リバティーンズ)による新作アルバムのカセットを販売中。90s、00sと共に時代を代表するバンドですが、この二組の中でもOasisのLiam GallagherとThe LibertinesのPete Dohertyの関係は良くも悪くも音楽メディアでよく取り上げられていたので、つい両バンドをリンクして思い出してしまいます。MTVに偶然インタビューされ、Oasisについて熱弁する、まだデビュー前のPeteを映した奇跡的な映像(機知に富んだコメントもさすが)から、ブレイク後のプライベートの関係等々…。

両バンドそれぞれの破天荒さはロックをまさに体現していましたが、敢えて比較するとOasisに対してThe Libertinesは内向的で、詩も文学的。フォークやシャンソン、ジャズなどを吸収した音楽性も違いであると思います。因みに自分の青春時代はThe Libertinesにのめり込んでいました。だらしない演奏でヘロヘロな歌声、だけれども洒脱で心に染みる彼らの楽曲を聴いて、「こんなに下手でも良いのか」と衝撃を受けたときの感覚は今でも忘れません。上手いから良い音楽とも限らないんですよね。その分浮かび上がってくるのはアーティスト達のセンス。まさにパンクの洗礼ですね。

当時の私は若者特有の持て余したエナジーで、無駄にWikipediaを何度も読み返し、授業中にノートの空いたスペースにThe Libertinesと謎にサインする。彼らに影響を与えたバンドは勿論、ボードレールやワイルドなど、上述の通り文学好きなPeteとCarlに影響を与えた作家の本も読んでみては耽溺を繰り返す。画像検索しては真似をする。ナポレオンジャケット。ネックレスの重ね掛け。ビリビリに破れたポロシャツ。タイトなシングルライダース等々…。当時Dior Hommeのデザイナーを務めていたHedi Slimaneが展開した、彼に影響を受けたコレクションも私にとって大御馳走でした。

ということで本作についてですが、2015年の再結成に伴ってリリースされたアルバムからおよそ9年を経てリリースされました。しっかりと安定した演奏を見せている点が特に大きな違いで、逆説的にその分彼らの楽曲単体の魅力が浮かび上がってくるところがまた興味深く感じます。他にも、歌詞も環境破壊やブレグジットなど社会問題を題材にしていたり、PeteとCarlそれぞれがソロで披露していたストリングスとの合奏も加わったりと、至る所に成熟した魅力を感じさせます。

互いに時間が流れていたのだなと、ファンならではの視点で聴くのもオススメですし、AORの一つとして捉えて聴いてみるのもオススメです。どちらにせよ、彼らのロマンティックな音楽に浸っていたくなることには変わりなさそうです。

注目レーベル3選


こんにちは、藤本です。


突然ですが、皆さんは普段どのように音楽をディグっていますか?

実は店頭でお客様とお話ししているとき、「普段どうやって音楽を探していますか?」とよくご質問をいただきます。そのたびに「自分の好みのアルバムがリリースされているレーベルの他の作品であったり、好きなDJ、アーティストのミックス配信などをチェックしてみるのも面白いですよ。」とお答えしているのですが、実際に私はBandcampで気になるレーベルをフォローし、新作が出るタイミングで覗いてみたり、NTS Radioで好きなアーティストの放送を聴いたりして新しい音楽と出会うことが多いです。


今回はそんな音楽の探し方について少しでもキッカケになれたらと思い、辟易ながら今注目していただきたいインディー・レーベルからリリースされている作品をご紹介します! ぜひそこから派生して好きな音楽を見つけていただけたら嬉しいです。


まず最初にジャンル問わず先鋭的な音楽をお探しの方にオススメしたいのが、ロンドン発のレーベル〈AD 93〉。エクスペリメンタル、ヒップホップ、テクノ、ハウス、アンビエントなど幅広いジャンルにおいて独創性に富んだアーティストによる作品が多いです。

アーティストの交友関係にも繋がるかもしれないのですが、作品ひとつひとつのジャケやビジュアル、ルックなどで割と日本ではまだまだ知られていない気鋭クリエイターを採用していて、そういった作品周りのクリエイティビティからもセンスの良さが滲み出ています。


そんな同レーベルのアップカミングなアーティストの一人、オレゴン州ポートランド出身で現在はダブリンを拠点とする作曲家、プロデューサー、多方面に渡って活動するJasmine Wood(ジャスミン・ウッド)の『Piano Reverb』のカセットテープを展開中。




【CASSETTE】Jasmine Wood / Piano Reverb〈AD 93〉
価格:¥3,520(税込)
商品番号:29-69-0177-981


ポートランドから移住した先、ダブリンの廃教会に持ち込んだ100年以上前のブリュートナーのアンティーク・グランドピアノで制作された今作は、その廃教会の空間を楽器のようにして繋ぎ合わせたピアノのリバーブが、アルバムのサウンドの90%以上を占めています。

いくつものレイヤーで重なり合う持続音はオケのような、ある意味ピアノらしくない荘厳さ。鳥の鳴き声のフィールドレコーディングが散りばめられた「Ⅱ」をはじめ、アルバムの後半にはアンティークピアノの軋む音や鐘の音が聞こえてきたりと、荘厳さの中にストーリー性のある温かみが感じられるのも魅力的です。




続いてご紹介するのは、ベルリン、グラスゴーで運営されている実験ダンスレーベル〈INDEX:Records〉です。

2016年にアムステルダム出身のConna HarawayとKing Softyが設立したレーベルで、2人の周囲には新進気鋭の才能のあるアーティストが多いにもかかわらず、彼らの音楽の出口がないという共通の認識が、このレーベルの構想を促した経緯となっています。


同時期に生まれたレーベル〈3XL〉主宰のSpecial Guest DJも同レーベルのコンピに参加していることから伺えるように、ベルリンの実験ダンスミュージック・シーンの盛り上がりが感じられ、彼らが同シーンの一端を担っていくのではないかという気配も感じられます。


そんな同レーベルの最新作は正体不明の覆面プロジェクト、 Downstairs People(ダウンステアズ・ピープル)による2nd アルバム『DSP』。



【LP】Downstairs People / DSP〈INDEX〉
価格:¥4,180(税込)
商品番号:29-67-1177-526


"年"?のような白い一文字がセンターに施されたグリーンのミステリアスなアルバムアートワークが目を惹きますね。

今作は、トラックごとにチェンジしているであろうヴォーカルエフェクトや、ハイパーポップ風なシンセサイザー・サウンド、軽快で小気味良いビートの鳴りが印象的で、特に7分にわたる長尺トラック「Kiss My Vibe」はその特徴が顕著に表れていて中毒性抜群。あまりの気持ち良さに、思わず何度もリピートしたくなります。

ネオR&Bと掲げられていますが、ダウンテンポ、ガラージの要素もあり、良い意味でもったりとしていないあっさりとした質感が◎。James BlakeやSega Bodega辺りがお好きな方にも刺さりそうです! 前述で触れたレーベルコンピはこちらから聴けますよ。




続いてラストにご紹介するのは、UKのソウルシーンで活躍する重要プロデューサー、Adam Scrimshireが主宰するサウス・ロンドンを拠点とするジャズ~ヒップホップ~R&Bソウル系のレーベル〈Albert's Favourites〉。

個人的にデビュー当初からファンであるビートメイカー Hector Plimmerや、同じくビートメイカー/ドラマー Jonny Dropの作品を筆頭に徐々に頭角を現している同レーベルですが、最近では下記の2作品のようなネオソウル・ジャズアルバムのリリースがあったりと、レーベルの幅を利かせています。




【LP】And Is Phi / Double Pink〈Albert's Favourites〉
価格:¥5,940(税込)
商品番号:29-67-0860-526


現在サウス・ロンドンを拠点に活動するフィリピンとノルウェーにルーツを持つアーティスト、And Is Phiによる、ニュー・ソウルのインスピレーションを瑞々しく表現したデビュー・アルバムです。

Momoko Watanabe Gill、Isobella Burnham、Lorenz Okelloといった現地ロンドンのジャズシーンで活躍するミュージシャンが参加し、それぞれの楽器のピュアな音色が際立つ高次元のサウンドスケープが、And Is Phiの表情豊かな歌声を包み込んでいきます。

妖艶でかつ没入感のある空気感は、Georgia Anne Muldrow、Hiatus Kaiyoteがお好きな方にもハマること間違いなし…!




そしてこちらが前述でも紹介した、近年のロンドンを象徴するようなクロスオーバー・サウンドを届けるビートメイカー/ドラマー Jonny Drop(ジョニー・ドロップ)と、Theo Parrishとの共演で一躍話題となったガーナ出身のサウンド・プロデューサー/SSW、Andrew Ashong(アンドリュー・アション)のコラボ作品です。


終始程良い塩梅のBPMで繰り広げられる味わい深いサウンドと歌声。そしてうっすらと仄かに漂うサイケデリックな質感が癖になります。〈Rhyhtm Section〉や〈Tru Thoughts〉、〈Brownswood〉といったレーベルのファンをはじめ、ダウンテンポやレアグルーヴものをお探しの方にもおすすめです! 


なんだかUKが多くなってしまいましたが、他にも様々な魅力を持つレーベルが沢山ありますので、

もし新しい好みの音楽をお探しの方は、当店で扱っている作品のレーベルもチェックしてみてはいかがでしょうか!


それでは最後までご覧いただき、ありがとうございます。

直近の出勤日は8/31、9/2、9/3、9/6です。


ご来店お待ちしております!







気概。洒脱。ポストパンク。

長年囁かれていたOasisの再結成が遂に実現するようです。ロック好きとしては箸の持ち方を忘れるほど動揺してしまう案件ですが、先週末にリリースされたFontanes D.C. の新作アルバムもお忘れなく!


【限定ピンク・ヴァイナル仕様LP】Fontaines D.C. / Romance〈XL Recordings〉
価格:¥4,840(税込)
商品番号:29-67-1192-813

【通常盤LP】Fontaines D.C. / Romance〈XL Recordings〉
価格:¥4,620(税込)
商品番号:29-67-1191-813

【CASSETTE】Fontaines D.C. / Romance〈XL Recordings〉
価格:¥2,200(税込)
商品番号:29-69-0213-813

アイルランドはダブリン出身のバンドで、2019年にリリースしたデビューアルバムからあっという間に次世代のロックシーンを代表する存在へと急成長した彼ら。今回は遂に名門<XL Recordings>からのリリースです。先月のフジロックでも素晴らしいパフォーマンスを披露していましたね。2019年当時、まさに彼らをネットで見つけ、デビューアルバムを当店で販売させてもらっていた私としても、なんとも感慨深いものがあります(目利き自慢)。

今回はプロデューサーをArctic MonkeysやGorillazなどを手掛ける辣腕プロデューサーJames Fordに、そして録音も70年代の機材を揃えるフランスのとあるスタジオへと変更したそうです。

彼らのスタイルとして、往年のポストパンクを想わせる敢えての野暮ったいサウンドと、Morrisseyのように低音でルーズに歌うGrian Chattenのヴォーカルが特徴的だと思います。また、シングルのマイクスタンドを使って堂々と歌う彼の姿は、まさに前述のLiam GallagherやThe StrokesのJulian Casablancasのようでもありますし、ギター/キーボードを担当するCarlos O'Conneのヴィヴィッドなファッションなど、メンバー全員の洒脱な佇まいが魅力的なのです。


今作は、過去の時代に想像していたような未来の姿を表現することをテーマにしたといいます。先行リリースのM2が00年代のニューメタルを思い起こさせたり、M10も80年代のギターポップのようであったり、まさに彼らとともに時代を遡りながら、"懐かしい"未来を覗こうとしているかのようです。

ストリーミングの影響で、どんな時代の音楽も平行に並べられて聴かれるこの時代において、そんな彼らの視点は我々に新たな価値観を見せてくれているのかもしれません。そしてなにより、そんな彼らの創意工夫に満ちた気概は、我々が昔から知っているポストパンクそのものではないでしょうか。


ドラマーのTom Collが先月来店し、当店の壁にサインをして下さいました!

OTHER MUSIC



こんにちは。BEAMS RECORDSスタッフの和田です。


先日目黒シネマという映画館にて「アザー・ミュージック」という映画を見てきました。たくさんの音楽好きやミュージシャンに愛され続けていた、ニューヨークの伝説的なレコード屋“OTHER MUSIC”が閉店するまでのドキュメンタリーなのですが、とても良かったです。


1995年にアルバイト先のレンタルビデオ屋で知り合ったジョシュとクリスが大手レコード屋の目の前にお店をオープンさせ、“OTHER MUSIC”と名付けます。メジャーなものなら何でも売っている大手のレコード屋に対して、文字通り”他の音楽”を販売し続けた彼らの店には、メジャーなものより、よりインディーでオルタナティブな作品を求めている人々が来るようになりました。


しばらくすると、音楽への愛と探究心が強く、変わり者のスタッフたち(かつてはAnimal Collectiveのメンバーも!)が働き始め、お店には沢山の音楽好きが通うようになりました。そして、単にレコードを買うだけではなく、スタッフとのコミュニケーションによって新しい音楽を知るための場所として人気を得ていました。しかし、その"OTHER MUSIC"が、iTunesの普及やNYの家賃高騰を理由に2016年に閉店してしまいます。


というのが映画の内容なのですが、劇中で映されるお店の雰囲気が素晴らしく、感銘を受けました。決して気取ることなく、真摯に良い音楽を伝えようとするスタッフたちを見て、自分もこのようなレコード屋の店員でありたいと思わされました。


ということで早速、最近入荷したものから個人的にother music感のあると思うものをご紹介します!



【CASSETTE】V.A. / Skateland Soundtapes, 1980-1986〈Death Is Not The End〉

商品番号:29-69-0199-526    ¥3,520 (税込)


まず一つ目はこちら。世界各地の骨董音楽を掘り起こすロンドンの気鋭レーベル〈Death Is Not The End〉から、10周年を記念したリリースの第一弾です。ダンスホール・レゲエ黄金期の1980~1986年に、ジャマイカのキングストンで最も有名なローラースケートリンクであるHalfway Treeで行われたセッションの録音から構成されたミックスになります。当時のジャマイカやサウンドシステムの生々しい熱気が感じられる音源は、カセットで聴くとまた一味違う味わいがありそうです。


続いても、これからの季節に合いそうなDJミックスをご紹介します。


DJ サモハンキンポー / Imaginary Island〈Noche Tropical〉

商品番号:29-68-0422-170  ¥1,320 (税込)

AIWABEATZと共にパーティー/レーベルを主宰するDJサモハンキンポーの新作ミックスCD。吉祥寺 bar Cheekyにて開催されているパーティー発のレーベル〈Noche Tropical〉からリリース。電子音楽、アシッドダブ、アンビエント・ジャズを用いて、エキゾチックでサイケデリックな世界観を爽やかに表現しています。ジャンルや時代を飛び越えながらも一貫した心地よさが続くミックスです!


続いてはLAのアンビエント・ジャズのシーンでも活躍するアーティストの作品。


【LP】Mia Doi Todd & Andres Renteria / Morning Music〈City Zen〉

商品番号:29-67-1096-526   ¥4,950 (税込)

シンガーソングライターとしてLAで活躍するMia Doi Todd(ミア・ドイ・トッド)が2009年にCDでリリースした作品。ハルモニウム、ピアノ、ティン・ホイッスル、タンブーラ、アコースティック・ギター、ドラムなど様々な楽器によって作られたインストゥルメンタルは、ミニマルながら豊かな世界を表現しています。LaraajiやScientist、Andre 3000、Calros NInoなどとのコラボレーションでも知られる、彼女の唯一無二の個性を感じられる作品です。


最後にご紹介するのはポルトガルのアーティストによる実験的な作品です。

【LP】Rafael Toral / Sound Mind Sound Body〈Drag City〉※店頭のみ
商品番号:29-67-1103-526   ¥6,600 (税込)

ポルトガルの実験音楽家/ギタリストである Rafael Toral(ラファエル・トラル)が1994年にリリースした1stアルバムが、30周年を記念して初ヴァイナル化! Jim O'Rourkeのレーベル〈Moikai〉からも再発されるなど、ドローンの傑作として愛されてきた一枚。洗練されたギターと電子音の響きはアンビエントのように聞き流すこともできますが、実験的な印象も感じます。現行のアンビエントを追っている方にも、是非今聴いていただきたい作品です。

以上、最近の新入荷から4点ご紹介させていただきました!
店頭のみの商品もありますので、お近くにお越しの際は是非お立ち寄りくださいませ。


最後まで読んでいただきありがとうございました!




シーズナブル・レコメンデーション【2023 EARLY SUMMER①】



こんにちは。藤本です。


本日は、恒例のシーズナブル・レコメンデーションです。これからの梅雨の季節や夏の手前の時期に聴きたくなるような音楽をご紹介します。



早速ですが、まず最初にご紹介する一枚は、UKロンドン拠点のシンガーソングライター Arlo Parks(アーロ・パークス)の最新作です。




【LP】Arlo Parks / My Soft Machine 〈Transgressive〉
価格:¥5,500(税込)
商品番号:29-67-0672-512

【限定カラー・ヴァイナル仕様】Arlo Parks / My Soft Machine 〈Transgressive〉
価格:¥5,500(税込)
商品番号:29-67-0673-512





Arlo Parks / My Soft Machine 〈Transgressive〉
価格:¥2,750(税込)
商品番号:29-68-0286-512

【CASSETTE】Arlo Parks / My Soft Machine 〈Transgressive〉
価格:¥1,870(税込)
商品番号:29-69-0117-512



昨年夏にお店に立ち寄ってくれたArlo Parks。お店の壁にはサインもありますよ~


これまで同様セルフ・プロデュースの楽曲もいくつか収録されていますが、今作の注目すべき点はその強力な制作陣。


Adeleの『21』を手掛けたことでも有名な世界で最もホットなプロデューサーの一人、Paul Epworthや、Brockhamptonのプロデューサー/ツアーDJ、Romil Hemnaniをはじめ、Frank Oceanの『Endless』『Blonde』に名を連ねるBuddy Rossに、Mount Kimbieの片割れ、Dom Makerといった様々な音楽界隈のプロフェッショナルが集結しています。


そんな強力サポートのもと生み出されたネオ・ソウル・ロック・エレクトロの狭間を行き交う浮遊感のあるサウンドは文句なしのクオリティ。これまで以上にArloの音作りに対するこだわりが感じられ、内省的なトーンで綴られるパーソナルなリリックも相まって胸を打つものがあります。



音楽コラムサイト"Mikiki"でのインタビューでは、今作について、



「アルバムの最後を何かモヤモヤが残る感じの終わりにしたかったんだよね。こうして自分の内で経験している葛藤も混乱もまだまだ解決なんてしていないし、みんな癒しのプロセスには始まりと終わりがあると思ってるけど、私は生きていく限りずっと続いていくものだと考えてて、アルバムを通して成長や変化していく様子が描かれている。私はまだこの世界に存在していて、いまだにもがいている最中なんだよって」



と述べています。


"まだもがいている"というArloの心情や、青色の背景が印象的なアルバムアートワークから、"マンスプレイニング"という言葉を世界的に広めたアメリカの作家・エッセイスト、Rebecca Solnitの著書『迷うことについて』を彷彿とさせられました。


この本の原題は"A field guide to getting lost"。LOSTという語には失うことだけでなく、自分を見失う、道に迷うなどの意味が含まれていてその部分に着目しています。


祖先がロシア系のユダヤ人のRebecca自身の失くした記録、アメリカというヨーロッパ人が見出したロストワールド、若くして死去した友人への喪失感。人生は振り返ってみると予測されないことばかりで、いつの間にか以前の自分は失われていることに気付くこと。さ迷いながら生きていく私達に必要なのは、コンパスでも地図でもなく、今への気づきと精神の回復力である。とアメリカの歴史や土地、様々な民族の特性、哲学者、音楽家、映画監督などの言葉たちを交えながら綴っている本です。


各章の間には「隔たりの青」The blue of distanceが挿入されているのも魅力的。


「世界はその際や深みで青みを帯びる。この青は迷子になった光の色だ。水にはもともと色がなく、浅い水はそのまま透き通らせる。しかし深みは散乱した光線に満たされ、濃い青色となる。隔たりの青。わたしたちまで届くことなく、その旅路をまっとうできなかった迷ってしまった光。この世に美を添えるのはその光だ。世界は青の色に包まれている」



このRebeccaの美しい言葉は、まさにArloが目論んでいた本作でのテーマと近いのではないでしょうか。そんなことを想起させながら、ひたすら繰り返し聴いてしまう中毒性も備えた今回の新作。BEAMS RECORDSでは、通常盤LP、グリーン・ヴァイナル仕様LP、CD、カセットをご用意しています。




続いてご紹介するのは、Four Tet率いるUKポスト・ロックバンド、 Fridge(フリッジ)が2001年に発表した作品『Happiness』の20周年記念盤。




【日本語帯付き国内盤2LP】FRIDGE / Happiness - Anniversary Edition〈Temporary Residence〉
価格:¥4,950(税込)
商品番号:29-67-0728-488


ダウンテンポ、チルアウト、エレクトロ、ダブといったジャンルをポストロック的な解釈で最低限のエディットと生楽器によるミニマルな演奏を施してオーガニックに昇華させた本作。


1990年後半のIDMやポスト・ロック、エレクトロニカの発展と共に境界線が曖昧になったこと。そして、機材が進化し、フォークとエレクトロニカが融合したことで"フォークトロニカ"と呼ばれるようになったジャンルの筆頭ともいえる作品の1つです。


Four Tet名義では、ユニークでポップな音作りの印象ですが、Fridgeではシリアスで緊張感のあるムードの中でいかにメロディアスな音を紡ぎだすかという挑戦をしているように感じられます。


ただただボケーッと流し聞きながら、物思いに耽りたい時のBGMとして優れモノです。


こちらは、日本語帯付き国内盤仕様LPと店頭のみでCDを取り扱い中です。シカゴ音響派~テクノ~ジャーマン・プログレ周辺がお好みの方で、まだ聴かれていない方は是非!




最後にご紹介するのは、前述のFridgeと同時期にジャパニーズ・エレクトロニカ・シーンを牽引してきたausによる2作品。


【イエロー・ヴァイナル仕様LP】aus / Everis〈FLAU〉
価格:¥4,180(税込)
商品番号:29-67-0663-488

ausが15年ぶりに発表した最新アルバムです。「Ever」と「is」を掛け合わせ自ら造ったアルバム名『Everis』は、本人曰く「過去も現在も未来も、タイムラインのどこの場所でもどこかで存在している」といったイメージを描いているそう。


レーベル〈FLAU〉の主宰でもあるausですが、2017年に事務所が空き巣の被害に遭い、それまで制作していたデータまでも失われてしまうという無惨な結果となり、しばらく落ち込まれていたとのこと。ですが、なんとか立ち直り、頭の中にまだ残っているメロディの断片を再構築していった希望のサウンドが今作には収められています。



今回ゲストで参加しているアーティストも、昔の知り合い、いわゆる今はコネクションが無くなってしまった人ともう一度繋がったことで共演が実現したそうです。そういった意味でも、一貫性の感じられますね。



架空のパレットの上で混ぜ合わさったその一時期は失われていた日常の音の破片(例えば駅の改札、商店街、空港の滑走路、校舎から聴こえる吹奏楽、旅先で出会った民謡など)。それらがパーソナルな記憶を辿るようにアナログ機材を通して有機的にコラージュされた楽曲群は素晴らしく、全体通してアトモスフェリックな魅力を放っています。




【完全生産限定盤LP】aus / Lang〈p*dis〉
価格:¥4,730(税込)
商品番号:29-67-0695-491


そしてこちらは、ausが2006年に発表したアルバム『Lang』。当時はヴァイナル化されていなかった一枚ですが、今回の新作リリースに伴ってLP化が叶いました。


パーカッシヴなビートとドリーミーなうわものがマッチしたスムースな流れが心地良く、前述のFridgeの『Happiness』とも通じるシリアスで緊張感のあるエレクトロニカ展開も堪能できます。


まだ聞かれていなかった方は、この機会に是非聞いてみていただけると嬉しいです。


①は以上となります。

気になる商品ございましたら、お気軽にお問合せください。


続きは②編へどうぞ!








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シーズナブル・レコメンデーション【2023 SPRING 第二弾】



こんにちは、藤本です。


今回は、3月にご紹介したシーズナブル・レコメンデーション 2023 SPRINGの第二弾です。

最近続々と入荷してきたタイトルから、今の晴れ晴れとした春らしい気候の時期に、ぜひ聴いていただきたい音楽が沢山あったので前回に続けてご紹介していきます。



まず一枚目にご紹介するのは、奈良県山添村にある障がい者支援施設『大和高原 太陽の家』を利用している12名による、単音打楽器"クワイヤーチャイム"(振りおろすだけで音が出る楽器)の即興演奏を収録した作品です。




【限定盤2LP】Wa No Wa / Wa No Wa 〈CROSSPOINT / 17853 Records / Tuff Vinyl〉
価格:¥4,950(税込)
商品番号:29-67-0584-034


2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、震災で亡くなられた方々への追悼と、多くの問題を抱える世界の為に何か発信できないかという思いのもと施設のアートディレクター兼パーカッショニストの山浦庸平氏によって始動された『Wa No Wa』。


数ヶ月のリハーサルで楽器に馴染んだ後、2011年10月8日に施設内のホールにて録音が実施された今作は、12名がその場で抱いた直感でチャイムを選び演奏されたそう。彼らが放った音と意図せず生まれるメロディは、神秘的かつメディテイティヴな音世界を創造しています。自宅でひっそりとリラックスしたい時、寝る前の一時のBGMとしても良いかもしれません。


BEAMS RECORDSで受注販売中の〈Taguchi〉の水平無指向性スピーカーLITTLE BELとも相性抜群で、より"クワイヤーチャーム"の高音の柔らかい響きが楽しめます。

ぜひ気になる方は、店頭でお試しいただけますのでお気軽にお立ち寄りください。




続いてご紹介するのは、L.A.の人気レーベル〈Stons Throw〉からの初めてのリリース、シンガーEddie Chacon(エディ・チャコン)の最新作。このアンニュイなアルバムアートワーク、とても魅力的ですよね。




【LP】Eddie Chacon / Sundown〈Stones Throw〉
価格:¥4,510(税込)
商品番号:29-67-0645-504


昨年初めてフジロックに出演し、グラミー賞にもノミネートされていたプロデューサー John Carroll Kirbyの全面バックアップによって完成された今作。

Frank Ocean、Solange、Stev Lacyらへの楽曲提供でも知られているだけに、彼の名前が挙がると期待大ですが、この作品のメインである、90年代にデュオで活動していたという経緯を持つベテランシンガー Eddie Chaconの歌声も引けを取らない、とても美しい歌声を披露しています。


Quincy Jones直系の70年代のスウィートソウル~ファンクテイストが際立っていて、生音とエレクトロニクスの絶妙なバランス加減が◎。さらっと心地良く楽しめるので、日常の様々な場面のBGMとして重宝しそうです。



続いては、個人的にもイチオシの、イギリス出身で現在はニューヨークを拠点に活動するアーティスト、Fenne Lily(フェンネ・リリー)の最新アルバムのカセットテープ。



【CASSETTE】Fenne Lily / Big Picture〈Dead Oceans〉
価格:¥2,090(税込)
商品番号:29-69-0113-512


最近の作品でよく見受けられる、パンデミック中の喪失感や孤独感を表現したという今作。

全体的に退廃的なムードでありながら、そのダークさの奥底から溢れ出る優しさや温もりが感じられるキャッチ―でセンスの良いメロディに、美しい陰りを持つ歌声が素晴らしく、他の同テーマの作品(いずれもどれも良い作品である上で)とは、一線を画す見事な表現力を披露しています。


個人的に、二曲目の「Lights Light Up」を初めて聞いた時の衝撃は忘れられず、今年のベストトラックの1つに入っています。

カセットテープのローファイな質感で、散歩中や公園でゆったりと過ごしている際に聴くとより味わい深く楽しめると思いますので、

ぜひそういったロケーションでご堪能ください!



次に紹介するのは、The Beatlesの楽曲をジャズ・ボサノヴァ風にカバーしたアルバム『Os Sambeatles』。



【LP】Os Sambeatles / Os Sambeatles〈Vampisoul〉
価格:¥2,640(税込)
商品番号:29-67-0657-526

ブラジル出身でボサノヴァ黄金期を支えた盲目のピアニスト Manfred Festが中心に、覆面バンドという形で制作された本作。


華麗なジャズボサ、ジャズサンバでカヴァーしたセンスあふれるインストの楽曲群が並び、元々のオリジナルがどんな情感の曲であろうとも、穏やかにリラックスとした仕上がりなのがジャズ・ボサノヴァの魅力だなとこのアルバムを聴いているとつくづく感じます。


ぜひ、The Beatlesが好きな方からブラジル音楽好きの方までに聴いて頂きたい一枚です。



以上、シーズナブル・レコメンデーション2023 SPRING 第二弾でした!


店頭ではそのほか沢山の新入荷タイトルが揃っていますので、どうぞお気軽にお立ち寄りください。


ご来店お待ちしております!




Not escape but face.

こんにちは、矢藤ジョーです。



今回はUKを拠点に活動するDJ/プロデューサー/コンポーザー Daniel Avery(ダニエル・エイヴリー)が<Phantasy Sound> からリリースした浮遊感のあるディストピアファンタジーの作品を紹介します。




【CASSETTE】Daniel Avery / Ultra Truth <Phantasy Sound>
価格:¥¥2,530 (税込)(税込)
商品番号:29-69-0086-512


まずこれはジャケ買いでした。


昔からある人物やセルフポートレートを素材として、ダダイズムや脱構築的な手法を駆使して有機的な物をモノ化(ある意味でコンセプチュアル)させたアートワークが個人的に好みで見つけてはジャケ買いをしてしまいます。

 

その為今回の『Ultra Truth』も恐らく人物の輪郭がメタモルフォーゼされていく過程を切り取ったようなアートワークが決め手でした。


Jesse Kanda(ArcaやFKA twigs、Bjorkのアートワークを手掛ける)が表現するアグリーなハイパー美にも近い質感を覚えます。



アルバムに合わせて公開されたミュージックビデオもとてもクールです。


 素早いシーンチェンジで対象が変容していく様は刹那的な美を表現し、イメージビデオでは対照的にシーンチェンジの感覚はゆったりとしていて昔懐かしいWindowsのスクリーンセーバーのような永劫の美を感じます。 


是非ムービーも合わせて視聴頂きたいです。   


話を本題へ。

作品の中へと入っていくと90年代のコーンウォール一派の知的な暴力性と 00年代のPSゲームからなる想像力や横並びにSFアニメ「攻殻機動隊S.A.C.」の世界観のような退廃的なアトモスフィアを纏ったような郷愁があります。 

*実際彼について調べてみると10代の頃、輸入ゲームの会社でアルバイトをしていて、日本のゲームやアニメ文化への関心があったようなので意識的なのか無意識的なのかは定かではありませんが、多少なりともこの線の作用はある気がします。


また近年のNia Archivesを台頭にするドラムンベースリバイバルに潮流にも乗れるようなトラックやmogwaiの初期のような耽美的なノイジーなメロディー、Portisheadのトリップ・ポップな要素も顔を覗かせるように先人達の築いてきたレガシーの継承も見受けられます。


そして楽曲群の下地に鳴り響いているノイズが何処か瞑想的な安寧をもたらします。 


今作以前までの彼の作品に対する態度は"逃避"というアイデアを元に作られているようですが、今作は"暗闇から逃げずに、暗闇を直視することをテーマにしている"とインタビューで語っています。


このテーマからディストピア小説や映画の主題として扱われる「人工知能の実存主義」のような「個」に対して内省的な視点にも通底しているようにも感じ取れます。  


上記で述べたアーティスト名やジャンル、作品の固有名詞が刺さる人や無機質な自然美から生まれるファンタジーの世界観が好きな人、UKテクノやアンビエントテクノなど好きな人必聴です。 


是非に。

魂の箸休めに。


こんにちは、矢藤です。


本日紹介するのは個人的にハマっていた10年代のインディーフォーク、ロックなサウンドを彷彿とさせるブルックリン出身のインディー・フォーク・デュオ、TOLEDO(トレド)です。


その彼らのデビュー・フルアルバム『How It Ends』がNYの気鋭レーベル<Grand Jury>よりリリース。


 


価格:¥¥3.520 in TAX(税込)
商品番号:29-69-0077-526


やっぱり秋に入るとインディーなサウンドが気分になります。 


何故なんでしょうね。 


暖かくウェットな空気から冷たくドライな空気へと切り替わり、触れていた温もりが離れていく事で身体が油断してこういうサウンドを求めるんですかね。


それに油断してる時にアコギのエコー掛かったフィンガーノイズ(コードチェンジする時のスライドから鳴るノイズ)を聴くととても感傷的になりますよね。 


大学生の時によく聴いていたサウンドなので、凄く昔じゃないけど、けど"今"でない独特のもの懐かしさがあります。


いつも視聴すると、最初に思い出すのが2010年代〜16年くらいまで隆盛であった少し懐かしいHostess Club Weekender。


その中でも当時恵比寿ガーデンホールや新木場スタジオコーストに出演していたアーティスト達も思い浮かべます。


DaughterやTeam Me、Real Estate etc. 


同時期は横並びにOff monsters and men通称オブモンやArcade fire、cigarettes after sex etc. 


それと大阪のレーベルFastcut Recordsがプッシュするアーティスト達も思い出します。


特にデビューして間もない台湾のFour Pens(四枝筆)やI Mean Us、ノルウェーのDylan Mondegreen。スウェーデンのAlpaca Sportsのこの辺り人達は秋によく聴いていました。


映像業界もこの年代は音楽モノの映画(はじまりのうた等)やアメリカ海外ドラマでもよくサントラでインディーサウンド起用されていた印象です。


あと日本では麻呂(米林監督)の思い出のマーニのサントラを担当したPriscilla Ahnも懐かしいです。





さてやっとの本題である楽曲に関しての個人的な感想です。


アートワークは牧歌的でエリック・ロメールのワンシーンのようです。


楽曲の持つ柔らいシルキーな質感が多様性を孕んでいて、そんな特性だから万人にとって寄り添える楽曲群です。


歌詞は楽曲の心地よい軽快さと裏腹にインディーテイストならではの内省的で個人の訴えが伺えます。


当然、家具の音楽(イージーリスニング)としても作用するし、神経を耳へと注力して凝らしてしまった瞬間からはTOLEDOの世界観へのダイヴを余儀なくされるし、何か綺麗な景色を観ながらの視聴では対象の景色のアクセサリーとしても担ってくれるし、楽しかった会合の帰り道では、その楽しさをより密で神秘的なモノへとさせてくれるし、節目節目のタイミングより生まれる喪失感に苛まれた時のヒーリングとしても寄り添ってくれます。 


なので、正直、全曲いいですし、シャッフル再生でも楽しめると思います。


騙されたと思って、1週間このアルバムをかけ続けてみてください。


必ずやどこかでシーンと楽曲が結ばれてしまう瞬間が訪れます。


更にはこのアルバムが収録されているPVも是非ご視聴頂きたく思います。


ディゾルブ(一枚目のシーンと2枚目のシーンが重なりながら移行していく手法)のタームのスロウさやLo-fiな粒子感の強い映像(映画監督ビクトル・エリセ的なノスタルジー)が楽曲の世界観をより強固なモノへとしてくれます。


また全盛のMTV、サーフムービーの時間軸とエフェクト(TOLEDOの2人を青く照らすところ)加減がより懐かしさを情緒させます。


テン年代のあのインディーシーンが好きな人、今で言えばLAの<Leaving Records>のアーティストや同じ田園風景が過ぎるBibio。


物語を感じるSufjan Stevensやルカ・グァダニーノの映画作品の空気感が好みの方にも必聴。


付言するならば、Elliott Smith、更に煽ってKinks好きもいいし、The Beach Boysのコンセプチュアルなあのアルバム好きにも唸ると思います。


結局は2レス(ジャンルレス、タイムレス)な作品。


是非に。

週末の起き抜けに


こんにちは、矢藤ジョーです。


最近少しずつですが、秋めいて時間も増えましたね〜、18時とかはもう普通に真っ暗ですし。


本日の商品紹介は、こちらです。

【CASSETTE】Morteza Mahjubi / Selected Improvisations From Golha, PTⅡ <Death Is Not The End>
カラー:RECPRD
サイズ:FREE
価格:¥2,200(税込)
商品番号:29-67-0193-491


世界中のアンティークな音楽を発掘する<Death Is Not The End>イギリスのレーベルより1956年から1965年にかけてイランの国営ラジオ番組『Golha』で放送されていた、同国のピアニスト/作曲家のMorteza Mahjubi(モルテザ・アジュビ)による秘蔵音源を全14曲収録したテープです。




このアーティスト、自分は全く知らず、アートワークの雰囲気と<Death Is Not The End>ならきっと親しみがありながら新しい骨董級の音楽を提供してくれるであろう信頼から購入しました! 


あとはイランというと好きな映画監督である

アッバス・キアロスタミや90年代にロンドンで活躍したShrin Guild(シリン・ギルド)という女性デザイナーなど、独創性がありながらデイリーで、ミニマリズムが根底にある姿勢の人が多いので勝手に良い先入観でしかなかったです。



さて楽曲に耳を凝らして聴いていくとやはりイランという東洋とも西洋とも似つかないペルシャの素地となる独自の音階と意匠を感じます。


これが所謂、ペルシャ音楽の音階なのだろうと想像して聴くことも楽しみです。


ペルシャ音楽と言われて感覚的にしか分からなかったので、少し調べてみると、西洋音楽の音階にはない微分音(半音より更に細かい音)が、特にイランの古典音楽に存在するみたいです。


これは、ピアノの鍵盤の黒と白の鍵盤の間に別の鍵盤があるみたいなニュアンスのようです。


また私個人の楽曲への印象を別のカタチで置き換えるならば


同じルーツであるペルシャ絨毯の意匠を視覚で捉えて生まれる印象、そこから自然発生するクオリア(感覚質)と等しい状態です。



自分がこの音楽とのタイミングはやっぱり起き抜けが最適です!


この音楽の良いところは起き抜けに聴く毎日が繰り返されても嫌にならないところです。



よくアラームに設定したお気に入りの音楽が繰り返し流れ続けると嫌いになる条件反射(パブロフの犬)ってあると思うんですけど、


それがこの楽曲群にはなくて、ヒーリング音楽やアンビエントとは違う成分の、どこか慣れ親しんだキャッチーさを保持しながらも、隣の家から漏れてくる見知らぬ誰かが弾くピアノみたいな距離感があるそんな楽曲であると思います。


きっとどんな人の生活のどこかで当てはまる瞬間のある作品だと思うので、是非聴いてみて下さい!



シーズナブル・レコメンデーション【2022 SUMMER】



こんにちは。


ここ数日気温が一気に上がり、いつの間にか夏のような暑さが続く日々ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今年の夏は、昨年に比べて続々と海外アーティストの出演が決定しているフェスやライブが多く、既にチケットを取って予定を立てている方も多いのではないかと思います。また、まだまだ気が抜けない状況で、悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そんな方に向けて、『フェスシーズンにかけて聴きたい音楽』と題したPICK UPより、来日予定のアーティストや、それとは関係なくともフェス気分で楽しめる作品をご紹介したいと思います。


それでは早速ご紹介していきます!






【2LP】Khruangbin / Mordechai Remixes <Dead Oceans>
価格:¥5,060(税込)
商品番号:29-07-0267-512

(写真右)


今年11月に来日公演を行う、60~70年代のタイ・ファンクに影響を受けた作品をリリースし、2019年には初の来日公演、そしてフジロックにも出演しているテキサス発のトリオバンド、クルアンビン(Khrunagbin)。彼らが2020年にリリースした3rd アルバム『Mordechai』のリミックス・アルバムです。個人的に、リミックス音源を聴く際は少し勇気がいります。特にオリジナルの楽曲が好きであればあるほど、聴けなくなってしまったり、かといってリミックスを聞いてまた違う感覚でオリジナルを楽しみたいという気持ちもあったり、、。そんな人に快くお勧めしたいのが今作。

それまでの音楽性と、更に西アフリカ、インド、パキスタン、韓国など古今東西、様々な土地の音楽的要素を吸収しながら、ほぼ全編にボーカルを取り入れた彼らの中でも大胆な変化を遂げた『Mordechai』。この収録曲を、L.A.を拠点とするシンガーソングライター Kadhja Bonetや同じく同地のビートメイカーKnxwledge、更にYMOや中森明菜をはじめとした日本の音楽から影響を受けていて先日も日本に来ていたキャメロン・ルー率いるユニット Ginger Root、Khruangbinと同様2019年にフジロックで圧倒的なステージを魅せていたマルチ天才音楽家Quanticなど、様々なジャンルや国籍のリミキサー10名がアレンジを施しています。最高のミックス・バランスなので、何でも聴かれる方やバラエティ豊かなBGMを探されている方などに大推薦です。まだ未聴の方は是非!



【通常盤12"】Khruangbin & Leon Bridges / Texas Moon <Dead Oceans>
価格:¥3,960(税込)
商品番号:29-67-0049-512

【限定カラー・ヴァイナル仕様12"】Khruangbin & Leon Bridges / Texas Moon <Dead Oceans>
価格:¥4,070(税込)
商品番号:29-67-0050-512


(写真左)


また、今年リリースされた同郷のソウル・シンガー、Leon Bridgesとの共作『Texas Moon』も必聴です。また11月に開催されるライブは、7/9(土)から一般チケットが発売されています。もうすでに東京公演のチケットは完売しているようですが、是非気になる方はチェックしてみてください!いずれにせよ、お早めにがオススメです~




【CASSETTE】Black Country, New Road / Ants From Up There <Ninja Tune>
価格:¥2,090(税込)
商品番号:29-69-0027-813

続いてご紹介するのは、今年フジロックに出演予定のUKを拠点に活動するポストロックをベースに唯一無二のサウンドを鳴らすバンド、ブラック・カントリー・ニュー・ロード(Black Country New Road)略してBC,NRによる最新アルバム。一般的にバンドで使われている楽器(ギターやドラム、ベースなど)に、BC,NRはヴァイオリンやサックス、キーボードをふんだんに取り入れているのが特徴的。更には、ヴォーカルのアイザックによる、”シュプレヒゲザング”という音程とリズムのみを保ち、絶対高音は歌い手の選択にまかせ、純粋に歌うというよりはむしろ語るように歌う事を求めた声楽の演奏方法を用いた歌声によって彼らの個性が更に際立って見えていたのではないでしょうか。そんなアイザックは、今作を発表後、メンタルヘルスが原因でBC,NRを辞めています。


個人的にまさにその魅力的な声に釘付けになったため、このタイミングでアイザックが辞めてしまい悲しいですが、新生BC,NRがこれからどのようなサウンドになるのか全く想像がつかないのでとても楽しみです。今後はライブなどでアイザックが居た頃の曲は演奏しないと現メンバーは割り切って公言していて、フジロック前には新しいアルバムを掲げて来るとのこと。BC,NRの魅力は他にも沢山ありますが、メンバーのチェックシャツにデニムといったナチュラルで着飾らないファッションスタイルには特に惹かれるものがあります◎。イギリスの音楽やカルチャーがお好きな方は是非!





【LP】Jameszoo / Blind <Brainfeeder>
価格:¥3,740(税込)
商品番号:29-67-0121-813


続きまして、少し不気味な顔のイラストが印象的なこちらのアルバムは、オランダを拠点に活動するプロデューサー、ジェイムスズー(Jameszoo)による最新アルバム。L.A.ビート・シーンの代表格、Flying Lotus主宰のレーベル<Brainfeeder>からのリリースです。ジャズ、とも、エレクトロニック、とも包容できない摩訶不思議なサウンドを披露していく本作は、以前こちらのブログでご紹介した事もあるドラマーRichard Spavenをはじめ、ピアニストKit Dwanesや、フリー・ジャズシーンの中心的存在であるサックス奏者 Evan ParkerなどUKジャズシーンを轟かせているプレイヤーたちをはじめ、アメリカ、ドイツ、スイスの気鋭たちも参加。本作のプレスリリースでは、下記のような本人の言葉が引用されています。


『音楽やそのほかの芸術では、アーティストが重視される。どの作曲家が、どのソリストが、その演奏家が、そして、それらの間の重点の移動が、私たちが聴くものに色を付けている。これを回避するようなものを作ることは可能だろうか? 能動的で客観的なリスニングをうながすようなプロジェクトはできないだろうか?』


非常に興味深い問いから、この作品の制作が始まっていますが、何故今回のテーマでこの作品を紹介させてもらったかと言いますと、コンピューターの自動演奏ピアノを使用して、人間の手では演奏するの事の出来ないフレーズを正確に演奏するなど、既存の音楽からの脱却を図った画期的なサウンドを聴いていると、まさにフェスやライブといった現実から離れた空間、つまり異次元へと連れて行ってくれるような感覚を覚えるからです。大げさに聴こえるかもしれませんが…、割と真面目です。モロッコ出身の盲目のコンテンポラリー・ダンサー、Saïd Gharbiを採用した「music for bat caves」のMVも素晴らしいので是非ご覧ください!


以上、少し長くなってしまいましたが、この夏にフェス気分で楽しめるアルバムをご紹介させて頂きました。

店頭でも気軽にご視聴いただけますので、是非お近くにお越しの際は、お立ち寄りください!

最後までご覧頂き、ありがとうございます。皆様のご来店、心よりお待ちしております!


近日中の出勤日↓

【7/19,20,24,26,27,31】


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シーズナブル・レコメンデーション【2022 EARLY SUMMER】


こんにちは。


先日行いましたPOP-UPは、大盛況で無事終えることが出来ました。今回ご来店下さったみなさま、ありがとうございます!

今回来られなかった方もまた次の機会にお会いできるのを楽しみにしております。


本日は、これからの梅雨の季節や夏の手前の時期に聴きたくなるような初夏の哀愁に寄り添うメランコリックな音色』と題してPICK UPにてまとめた作品をいくつかご紹介します。この時期は、ポストクラシカルやアンビエント、フォークなど穏やかで優しいサウンドを奏でる作品などメランコリックであったり、ダークな要素のある音楽を聴きたくなるのですが、みなさんはいかがでしょうか? 今回ご紹介する作品も、皆様の有意義な時間を過ごせるきっかけになれたらとてもうれしいです。それではまずご紹介するのは知る人ぞ知るピアノ作品!




【LP】H hunt / Playing Piano For Dad <Inpartmaint>
価格:¥3,850(税込)
商品番号:29-67-0240-491

素性不明のピアニスト、H huntが自身の父親へのクリスマスプレゼントとして作ったアルバムで、坂本龍一氏がお気に入りのレストランへ制作したプレイリストに選出したことでも知られています。感謝の気持ちの伝え方を、自身も父親も好きでよく聴いているインプロヴィゼーション・ミュージック(即興音楽)で表現したという趣深い本作は、暖かみを帯びたピアノに、鼻歌や、部屋を出て行く音といった生活音、鍵盤をタッチする音まで聞こえ、まるで誰かの家に忍び込んでいるかのような感覚に。

いわゆる”ピアノ・ミュージック”を聞かないというH huntならではの発想豊かなピアノのメロディがユニークでもあります。雨が降っている日に聞くと、雨音と混ざり、より一層音の深みが増して◎。寛ぎのひとときにはもちろん、神経質な作業などをする際にもぴったりです。







【LP】G.S Schray / The Changing Account <Last Resort>
価格:¥3,960(税込)
商品番号:29-74-0335-526

オハイオを拠点に活動するプロデューサー、G.S.Schrayによる3rd アルバム。ロンドンのインターネット・ラジオ『NTS Radio』の人気番組「Last Resort」がスタートしたレーベルから第4弾のリリースとなる本作は、2年間にわたってじっくりと時間をかけて構想された至高のバレアリック/アンビエント/ニューエイジが織り交ぜられた奥ゆかしいサウンドです。

まるでRy Cooderが手がけたWim Wendersによる『Paris, Texas』のサウンドトラックのようなギターの音色にもうっとりとしてしまいます。ジャームッシュのバンド、Squrl等がお好きな方にも推薦!







【LP】Kenny Dickenson / Les Rivieres: Original Soundtrack <Be With Records>
価格:¥4,400(税込)
商品番号:29-67-0109-526


L.A.を拠点に活動するプロデューサー/音楽家、Kenny Dickensonが、ベトナム系フランス人映画監督、Mai Huaによる映画『Les Rivieres』のために約6年ものの長い年月をかけて書き下ろしたサウンドトラック。Mai Huaが病気の祖母をベトナムからフランスの家族の元へ連れていき、共に過ごした生活を描いた映画とのことで、個人的にとても気になる内容ですが、詳しい情報は日本では特に公開されておらず今後私も情報を追っていきたい映画です。

かなりパーソナルな内容なのではないかと予想されますが、そんな物語で起こる出来事や人々の感情を映し出しているかのような、表情豊かな煌びやかなピアノの音色が堪りません。配信では聴けない作品なので、アナログでゲットしておく価値は大いにあるかと思います!






【CASSETTE】Bjork / Post <One Little Independent>
価格:¥2,530(税込)
商品番号:29-69-0038-526

【CASSETTE】Bjork / Debut <One Little Independent>
価格:¥2,530(税込)
商品番号:29-69-0037-526


アイスランド出身で、今もなお絶大な支持を集めているBjorkによるデビューアルバム(世界的に初発売された作品)と3枚目のスタジオ・アルバム。以前カセットテープでリリースされていた2作がリプレスされました。

ロック、ファンク、ジャズ、アンビエント、室内楽、ポップスなど様々な要素が散りばめられながらも、先鋭さと独特なダークな雰囲気で統一されたサウンド、そしてBjorkの私たちの耳を清めるかのような美しいヴォーカルが何度聴いても素晴らしい内容です。未聴の方はもちろん、昔聴いていたけど最近遠ざかっていた方も是非この機会に聴き直してみてはいかがでしょうか! 今の情勢も相まって、当時聴いていた時とまた異なる感覚で楽しめるのではないかと◎。


以上、レコードが多くなってしまいましたが、CDでももちろんオススメの作品が沢山ございますので、もしお探しのものがございましたら店頭までお問い合わせください。スタッフが皆様に合わせた作品をご紹介させていただきます◎


それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!






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【5/22,25,29,6/1,2,5,8】


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変幻自在な魅力が詰め込まれた”コラボ”作品


みなさま、こんにちは。


今年も早いものでもう2月も終わりに近づいていますね。ここ最近リリースされた新譜がとても素晴らしい作品ばかりで、もっと良い音で音楽を楽しみたい!と思い、つい先日念願のAIAIAIをゲットしました。私はヘッドの部分をBluetoothが搭載されているヘッドバンドH06に、イヤーパッドはPUレザーを用いた耳を包み込む大きい形が特徴的なE04、そして低音がとても効いて気に入ったスピーカーユニットS02をカスタムして愛用中です。








おかげさまで、たくさんのお客様にお求めいただき各パーツやセットの完売が続いていましたが、先日一部入荷しています。店頭ではお試しも出来ますので、気軽にお立ち寄りください!



それでは本題に入りますが、本日は『変幻自在な魅力が詰め込まれた“コラボレーション”作品』 と題して、PICK UPにてまとめた作品をご紹介したいと思います。先ほども述べましたが、ここ最近リリースされた新作が素晴らしいですよね。なかでもThe WeekendとOPN、宇多田ヒカルとFloating PointsとA.G.Cookなどなどコラボレーションによって完成された作品がほとんど。まさかこことここが繋がるなんて!という感動を与えてくれるアーティストの試みに毎回驚かせられるばかりですが、本日はそんな魅力的な作品をいくつかご紹介します。



①【ピクチャーヴァイナル仕様10"】Knxwledge / So Nice Feat. Noworroes



【ピクチャーヴァイナル仕様10”】Knxwledge / So Nice feat.Nxworries <Stones Throw>
価格:¥3,960(税込)
商品番号:29-67-0002-504


L.A.ビートシーンを牽引するノレッジ(Knxwledge)と、ブルーノ・マーズとのコラボ作でもより注目を集めているラッパー/ドラマー、アンダーソン・パーク(Anderson .Paak)から成るスペシャルユニット、Nxworriesによるピクチャーヴァイナル。2人の1st アルバムは2016年にリリースされ、当時とくにヒップホップファンの間で話題になりました。A面に収録された『Itkanbe[sonice]』は、その後2020年にリリースされたノレッジによるソロ・ビート集に収録されたNxworriesの楽曲。サンフランシスコで活動していたファミリー・バンドThe Edwards Generationによる『You're the One for Me』をサンプリングしたスムースでありながらも、しっかりと重厚感のあるビートに、パークのソウルフルで渋みのある歌声が抜群の相性を見せていて、たった1分43秒という短いトラックではありますがこれだけでも2人の魅力が感じられると思います。


高校生の時に所属していたダンス部で、Nxworriesの楽曲を使ってステージで踊った懐かしい記憶が蘇ります。ただひたすら渋い、そしてどこか愉快さや、ほろ苦く切ない空気感も漂わせた唯一無二の2人のサウンド。まだフル・アルバム『Yes Lawd!』を聞かれていない方は、是非こちらもチェックしてみてください!




② Bonobo / Fragments <Ninja Tune>



Bonobo / Fragments <Ninja Tune>
価格:¥2,200(税込)
商品番号:29-68-0022-813

【LP】Bonobo / Fragments <Ninja Tune>
価格:¥4,070(税込)
商品番号:29-67-0040-813

90BPM程度のスローなテンポとメロディアスな雰囲気が特徴的なダウンテンポを代表するアーティスト、ボノボ(Bonobo)による最新アルバム。今作は、これまでの作品の中でも、とくにアグレッシブかつグルーヴィーなサウンドを展開していて、その間に配置された流麗な電子音が際立つバラード・トラックは、まるで今我々が置かれている混沌とした世界に希望を抱かせるかのように輝きを放っています。


同じレーベルに所属しているマルチ・シンガーJordan Rakeiや、多岐にわたって活動を広げるヴィオラ奏者/編曲者Miguel Atwood-Ferguson、若きプロデューサーO'Flynnなど多くのアーティストとのコラボによって、これまでのBonoboのスタイルに新たな風が吹き込まれたようにも感じますね。


歌詞は、根本のテーマについては事前に共有しつつも、ほとんどシンガーに任せていたそう。デビュー時からファンであるR&BシンガーJamila Woodsが参加した『Tides (Feat. Jamila Woods)』は、潮の満ち引きのごとく、物事は繰り返しながらも動いていてずっと同じではない(Them Magzine : Interview 参照)というアイデアの元つくられたようで、ハープの小さなループと、Jamilaの神秘的な歌声の調和が素晴らしいです。この曲だけでなく全曲それぞれのストーリーがあり、とても聞き応えのある内容に仕上がっています。




③Spaven × Sandunes / Spaven × Sandunes <!K7 Records>



【LP】Spaven X Sandunes / Spaven X Sandunes <!K7 Records>
価格:¥4,290(税込)
商品番号:29-73-0419-491

Jose Jamesをはじめ、The Chinematic Orchestraや、Flying Lotus、4 heroといったアーティストのレコーディングや、ライヴ・セッションに参加し、現在のサウス・ロンドンのジャズシーンが勢いを見せる前から、すでに新世代のジャズ・ドラマーとして注目を集めていたリチャード・スペイヴン(Richard Spaven)と、インドのムンバイ出身で、現在はロンドンを拠点とし、先ほどご紹介したBonoboのオープニング・アクトを務めたりとエレクトロニック路線での活動で知られるピアニスト、サンデューンズ(Sandunes)によるコラボ作品。


小鳥のさえずりとキーボードの音色が重なるアンビエンスなオープニングから、一転してビートが刻まれ、テクノよりな感覚で展開されていく1曲目『In Readiness』や、軽快なテンポとメロディが心地良いキーボードと、シンプルなドラムの生音の掛け合いから、徐々に複雑化していくドラミングの流れがクールな2曲目の『Tree Of Life』など、2人だけで演奏しているとは思えない多様なサウンドで、即興的な演奏ならではの醍醐味が感じられる内容です。近年、UKジャズを追ってる方はもちろん、テクノ/アンビエントがお好きな方にも是非聞いてみていただきたい1枚。


以上3つのアルバムをご紹介させていただきました! ほかにも最近多数新入荷タイトルがございますので、是非気軽に店頭まで足を運んでいただけたらと思います。

それでは、また店頭でお待ちしております!最後までお読みいただき、ありがとうございました。





近日中の出勤日は下記の通りです!


【2/27,3/2,3,6,9,10,13】


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シーズナブル・レコメンデーション【2021 WINTER】



こんにちは。

気温が下がり、朝や夜の冷え込みが厳しくなったりと本格的な冬の訪れを感じ始める日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。


本日は、春、夏、秋に渡ってビームス公式サイトのピックアップページでシーズンごとに更新している「シーズナブル・レコメンデーション」から、「センチメンタルな冬に寄り添う情緒豊かな歌声」と題してピックアップしたタイトルをご紹介します。冬の寒さを和らげてくれる温もりに溢れたサウンドをぜひお楽しみください!





♦︎聞くほどに沁み込む極上のネオ・ソウル作



 

【輸入盤CD】Jordan Rakei / What We Call Life <Ninja Tune>
価格:¥2,090(税込)
商品番号:29-24-0496-813

【限定半透明グリーン・ヴァイナル仕様LP】Jordan Rakei / What We Call Life <Ninja Tune>
価格:¥3,740(税込)
商品番号:29-24-0498-813


【限定クリア・ブラック・ホワイト・スプラッター仕様LP】Jordan Rakei / What We Call Life <Ninja Tune>
価格:¥3,740(税込)
商品番号:29-24-0499-813

【限定半透明グリーン・ヴァイナル仕様LP】Jordan Rakei / What We Call Life <Ninja Tune>
価格:¥3,740(税込)
商品番号:29-24-0498-813


UKを拠点に活動するオーストラリア出身のマルチ・インストゥルメンタリスト/シンガーソングライター、ジョーダン・ラカイ(Jordan Rakei)による最新アルバム。ネオ・ソウルから、拠点とするイギリスの最旬のポップスをハイブリッドした彼ならではのスタイルに、更にエレクトロニックや、アンビエント、アコースティックの要素まで内包していて、一貫してしっとりとした心温まる空気感を保ちつつ、その中でもメロディアスなハウス・トラックM7など随所にスパイスが効いた聞き応え抜群の内容です。ホット・コーヒーを飲みながら一息つきたい時に是非!





♦映画からインスピレーションを受けて制作された至高のフォーク・サウンド



 

【CASSETTE】Sufjan Stevens & Angelo De Augustine / Beginners Mind <Asthmatic Kitty>
価格:¥1,760(税込)
商品番号:29-07-0273-512

SufjSufjan Stevens & Angelo De Augustine / Beginners Mind <Asthmatic Kitty>an Stevens & Angelo De Augustine / Beginners Mind <Asthmatic Kitty>
価格:¥1,870(税込)
商品番号:29-07-0272-512


映画『君の名前で僕を呼んで』でサウンド・トラックを手掛け、得意なストーリーテリングが散りばめられたフォーク・ソングからエレクトロニック、ロック、ジャズなど幅広いサウンドで表現し続けているスフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)と、彼のレーベルメイトであるアンジェロ・デ・オーガスティン(Angelo De Augustin)によるコラボ作品。楽曲制作のための合宿中に2人で見た映画からインスピレーションを受けて製作された楽曲が並びます。





♦︎喧騒を忘れさせてくれるような優しいジャズを基調としたR&B/ソウル



 

【完全生産限定盤LP】Leon Bridges / Gold - Diggers Sound <Columbia>
価格:¥3,630(税込)
商品番号:29-08-0358-494


グラミー賞受賞の経歴も持つシンガー、リオン・ブリッジズ(Leon Briges)による、コロナの自粛中も含めた2年間の間、ホテルに籠って制作された1枚。スウィートな歌声で「Feeling born again, feeling joy again」と歌うサビが耳に残る、ロバート・グラスパーとの共演が実現した一曲目「Born Again」から披露する本作は、ほかにもテラス・マーティン、ジャズミン・サリヴァンらを招いて全編に渡って彼の作品の中でも特に生音、ジャズの要素が際立つサウンドに。個人的にアコースティック・ギターの豊潤なメロディと、思わず感情移入してしまいそうになるほど切なさが漂う歌声が堪らない「Why Don't Touch Me」などもオススメです。





♦美しく妖艶な電子音と絡み合う透き通った歌声が素晴らしい1枚


 

【LP】Nite Jewel / No Sun
価格:¥3,960(税込)
商品番号:29-74-0325-526


L.A.を拠点とするRamona Gonzales によるエレクトロ・ポップ・プロジェクト、ナイト・ジュエル(Nite Jewel)による最新作。 12年に渡る結婚生活を2018年に解消すると同時に、UCLAにて音楽学の博士号を取得し始めた彼女は、女性の音楽的な嘆きの習慣に関して研究。それが本作のバックボーンとなっています。その嘆きを共同体や個人の悲しみを表現する手段として用いていた哀悼歌をもとに、単なる道具として見過ごされてきた哀悼者の伝統に敬意を表したそう。(NICEPLAYMUSIC参照)声の持つ計り知れない幽玄な力を強く感じ、思わず女性として、人間として尊敬の念を抱いてしまうほどその内容に惹かれます。



そのほかいくつかアルバムをピックアップしていますので、是非気になる方は冒頭リンクからご覧ください。




また個人的な報告になりますが、現在FM81.3 J-WAVEにて放送中の番組『Flip Side Planet』にご縁があって来月ゲストとして出演します。12/3(金)と12/17(金)の深夜26:30~27:00と夜遅い時間ではありますが、ラジオアプリ「Radiko」にてアーカイブも残るので是非お楽しみ頂けたら嬉しいです。トークがメインではなく、同世代のMC2人と新譜を持ち寄って聴いたり、ひとつのアルバムを聴きながら盛り上がったりなど、ラフな内容となっていますので、暇な時のBGMとしてもおすすめです。新譜紹介ではビームス レコーズで取り扱っていない曲もセレクトする予定なので是非お楽しみに!

HP⇒https://www.j-wave.co.jp/original/dc0/


それでは今年も残り1か月となりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。

長くなりましたが、最後までご覧頂きありがとうございました!



近日中の出勤日↓

【12/1,3,5,8,10,12,15】


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