考察 Vol.3

川口 達郎 2020.04.27

皆様、こんばんは。

ドレス担当、川口でございます。


闇夜の独り言、「考察」のお時間です。毎朝7時にご紹介している「2020春夏スタイリング」がVol.40を迎え、これはこれで毎回大変なのですが、この「考察」シリーズ、もうやめようかな…と既に心が切れかかっています。


今回は、レジメンタルストライプネクタイについて調べてみました。近年、急増中のレジメンタルストライプですが、アイビーを彷彿とさせるクラブタイ、大柄のパネルタイ、定番の段落ちなどなど、その呼び名は多岐にわたれど、何が元ネタなのか…。向かって右上がりがレジメンタルで英国式とか、逆はレップまたはリバースで米国式とか、そういう話ではなく、実際は「連隊」を意味するレジメントの連隊旗が、現在のネクタイの配色やパターンへどのように昇華したのかを個人的な見解でお送りしていきます。※重ねて申し上げますが、本物の連隊縞は厳格な決まりがありますので、ご紹介する商品は、私が似ていると思ったものをご紹介するだけです。また、中には右下がりのネクタイもございますが、ご容赦下さいませ。


〜Royal Navy〜(1707-)ロイヤルネイビーは、皆様も私達もよく使うネイビーという言葉ですが、英国海軍が正に発祥です。年代は正直難しいのですが、既に9世紀からイングランドでは海軍が存在し、時代と共に繁栄していきました。多くの国が陸軍を上位とする中、島国である英国ではその歴史から形式上とは言え、陸軍、空軍より上位とされています。柄は遠からずとも近からず。イエローを外して、レッドとホワイトがもう少し細いものです。


〜Royal Air Force〜(1918-)ロイヤルエアフォースは、英国空軍の事で、世界最古の空軍と言われています。個人的には、以前働いていた英国ブランドのターゲットマークのラウンデルに馴染みがあります。ホワイトを外して、サックスブルーをもう少し細くするとイメージに近いです。安易ですが、空って感じですね。春夏らしい配色です。


〜Argyll and Sutherland Highlanders〜(1881-2006)アーガイル&サザーランドハイランダーズは、スコットランドの6つの歩兵連隊の1つでした。ほぼ配色はこちらの通りです。想像する一般的なタータンチェックがストライプになったような日本でも馴染み深い配色ですね。


〜Highland Light Infantry〜(1881-1959)ハイランドライトインファントリーは、同じくスコットランドの軽歩兵連隊でした。グリーンをワインレッドとホワイトで挟むとイメージは近いです。しかし、パープルは英国でも日本でも大変高貴な色の1つですし、他の連隊でも多用されている大変ロイヤリティーのある色です。1つ前のストライプより落ち着いた印象ですので、汎用性は高いかもしれません。


〜Brigade of Guards〜(1856-1968)ブリゲイドオブガーズは、英国陸軍の警備旅団でした。イエローを外して、シンプルなワインレッドとネイビーのストライプで、その2トーンのネクタイは多くのブランドから出ていると思います。アイビーに限らず、国内の大学でもどこかにありそうな程、最もポピュラーなレジメンタルです。


〜Royal Army Educational Corps〜(1845-1992)ロイヤルアーミーエデュケイショナルコープスは、英国陸軍の教育隊でした。イエローを外して、グリーンでパープルを挟むとイメージは近いです。更にはブラックが濃いネイビーなら文句なしです。教育隊由来ならば、先生へのプレゼントにいかがでしょうか。


〜Royal Canadian Mounted Police〜(1920-)ロイヤルカナディアンマウンテッドポリスは、王立カナダ騎馬警察です。車が発明される前から存在していた為、その名を残す国家警察です。かつては英国領という事もあり、レジメンタルが存在していると考えられます。ネイビーに細いイエローのみの柄が本家ですが、近年のネクタイにも多く見られます。


以上が、レジメントに由来する現在のネクタイの個人的考察でした。もっと個人的に言いますと、NBAが大好きなので、いつもレジメンタルストライプを見ると、どこかのチームカラーに当て込みたくなるのは私だけでしょうか。まだまだたくさんありますが、もうこれ以上はご容赦下さい。イエローを外す…という言葉を多く使いましたが、現在のトレンドを考慮した上で、各ブランドが挿し色に使用しているのかもしれませんね。これらがその後、英国、米国の大学や高校のユニフォームへと独自の進化をしていきます。ジャケットも遡れば軍服に行き着くわけですから、特にネイビージャケットとの相性は言うまでもありません。あえて、ミリタリーアイテムにレジメンタルストライプネクタイの組み合わせを挑戦してみてはいかがでしょうか。

それでは、またいつかきっとどこかの深夜にお会いしましょう。


川口


注:今考察について、違う見解をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、温かく見守っていただければ幸いに存じます。