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Not escape but face.

こんにちは、矢藤ジョーです。



今回はUKを拠点に活動するDJ/プロデューサー/コンポーザー Daniel Avery(ダニエル・エイヴリー)が<Phantasy Sound> からリリースした浮遊感のあるディストピアファンタジーの作品を紹介します。




【CASSETTE】Daniel Avery / Ultra Truth <Phantasy Sound>
価格:¥¥2,530 (税込)(税込)
商品番号:29-69-0086-512


まずこれはジャケ買いでした。


昔からある人物やセルフポートレートを素材として、ダダイズムや脱構築的な手法を駆使して有機的な物をモノ化(ある意味でコンセプチュアル)させたアートワークが個人的に好みで見つけてはジャケ買いをしてしまいます。

 

その為今回の『Ultra Truth』も恐らく人物の輪郭がメタモルフォーゼされていく過程を切り取ったようなアートワークが決め手でした。


Jesse Kanda(ArcaやFKA twigs、Bjorkのアートワークを手掛ける)が表現するアグリーなハイパー美にも近い質感を覚えます。



アルバムに合わせて公開されたミュージックビデオもとてもクールです。


 素早いシーンチェンジで対象が変容していく様は刹那的な美を表現し、イメージビデオでは対照的にシーンチェンジの感覚はゆったりとしていて昔懐かしいWindowsのスクリーンセーバーのような永劫の美を感じます。 


是非ムービーも合わせて視聴頂きたいです。   


話を本題へ。

作品の中へと入っていくと90年代のコーンウォール一派の知的な暴力性と 00年代のPSゲームからなる想像力や横並びにSFアニメ「攻殻機動隊S.A.C.」の世界観のような退廃的なアトモスフィアを纏ったような郷愁があります。 

*実際彼について調べてみると10代の頃、輸入ゲームの会社でアルバイトをしていて、日本のゲームやアニメ文化への関心があったようなので意識的なのか無意識的なのかは定かではありませんが、多少なりともこの線の作用はある気がします。


また近年のNia Archivesを台頭にするドラムンベースリバイバルに潮流にも乗れるようなトラックやmogwaiの初期のような耽美的なノイジーなメロディー、Portisheadのトリップ・ポップな要素も顔を覗かせるように先人達の築いてきたレガシーの継承も見受けられます。


そして楽曲群の下地に鳴り響いているノイズが何処か瞑想的な安寧をもたらします。 


今作以前までの彼の作品に対する態度は"逃避"というアイデアを元に作られているようですが、今作は"暗闇から逃げずに、暗闇を直視することをテーマにしている"とインタビューで語っています。


このテーマからディストピア小説や映画の主題として扱われる「人工知能の実存主義」のような「個」に対して内省的な視点にも通底しているようにも感じ取れます。  


上記で述べたアーティスト名やジャンル、作品の固有名詞が刺さる人や無機質な自然美から生まれるファンタジーの世界観が好きな人、UKテクノやアンビエントテクノなど好きな人必聴です。 


是非に。