スタッフ「Shinnosuke Okada」の記事

ジャズのススメ Oliver Nelson - The Blues and the Abstract Truth / More Blues and the Abstract Truth

前回に引続きジャズの名盤をご紹介します。


今回は2枚のアルバムをご紹介します。


それがこちら



Oliver Nelsonによるこちらの2枚の作品は名前からも分かる通り、同じコンセプトに則って作成されています。

どちらもブルースのマナーをジャズ流に再構築しようという試みの元で生み出されました。


まずは彼の代表作となった"The Blues and the Abstract Truth"からスタートしましょう。

この作品の先ず驚くべき点は参加メンバーです。

Bass: Paul Chambers

Alto saxophone: Eric Dolphy

Piano: Bill Evans

Drums: Roy Haynes

Trumpet: Freddie Hubbard

以上のメンバーをOliver Nelsonがまとめ上げたセクステッドはさながらアベンジャーズです。


豪華なメンバーによる演奏はやはり内容も豪華で、比類無き完成度です。

このアルバムで最も有名で評価の高い"Stolen Moments"は緊張感のある抑圧された空気を揺らすFreddie Hubbardのトランペットがたまりません。

B面に収録されている"Yearnin'"ではBill Evansのクールなタッチでブルースが演奏されます。


アルバムを通してどこかブルースを感じつつもジャズのクールさを忘れない彼らのふるまいには感動せざるを得ません。


そしてこのアルバムでの試みは次の作品へと引き継がれます。

それが”More Blues and the Abstract Truth”です。

演奏のメンバーはガラっと変わりますが、ブルースを追求するという態度は前作と変わらず、楽曲からもそれを感じることが出来ます。

一曲目”Blues and the Abstract Truth”での展開にはOliver Nelsonの作曲家としての才能のエッセンスを感じとることができ、”One for Bob”でのトランペットとサックスの掛け合いは特筆すべき完成度まで高められています。



これらの作品が革新的であったのは、ジャズの起源であるブルースを掘り下げつつも、ジャズの歴史で生み出され、洗練されたクールな態度を貫いたという点にあると思います。

レコードは渋谷のお店においてあるので、ぜひ聞きに来てください。



I will introduce two albums that tried to comprehend blues music in the jazz context.


Oliver Nelson released The Blues and the Abstract Truth and More Blues and the Abstract Truth in 1962 and 1964 from Impulse! Records.


First of all, let me write about  The Blues and the Abstract Truth.

Impressive jazz masters assembled to record this album.


Bass: Paul Chambers, Alto saxophone: Eric Dolphy, Piano: Bill Evans, Drums: Roy Haynes, Trumpet: Freddie Hubbard


This dream team recorded one of the most crucial modern jazz albums of all time.

Stolen Moments is the highest-rated piece of Oliver Nelson. People can feel the energy from Freddie Hubbard's trumpet.

The calm attitude Bill Evans shows in Yearnin' stans me a lot. Yearnin' is my favorite jazz standard.


His attempt continued to the next album, More Blues and the Abstract Truth. The former album and this one shares the same concept, pursue blues music in a jazz manner.


In Pilgrim Surf+Supply Shibuya, you can find these discs. 

ジャズのススメ Head Hunters - Herbie Hancock

これまでのブログで様々なジャズのアーティストたちをご紹介してきました。

今回からは更に深堀りして、アルバムに注目してご紹介していきます。


一枚目ということで、一番のお気に入りをご紹介します。

それがこちら。

  

Herbie Hancock – HEAD HUNTERS

 

先ずは概要から、

1973年にコロムビアレコードよりリリースされたHerbie Hancock12枚目のアルバムです。(こちらの記事でHerbie Hancockについてはご紹介しております)

Hancockはこのアルバムで自身初の全米ジャズチャート1位を獲得します。さらに全体でも13位を記録するなど大ヒットとなりました。

 

70年代前半の音楽は実験的であり、ジャンルの壁を越えたものが多く生み出されました。

例えばMiles Daviesの「On the Corner」や「Bitches Brew」、King CrimsonやPink Floydに代表されるプログレッシブと呼ばれる音楽、Sly & The Family Stoneのファンクとポップスの壁に穴を開けたサウンドなど革新的な発明が次々となされます。


そんな時代の気風をジャズに持ち込んだのが、「Head Hunters」という名盤ではないでしょうか。

モダンジャズで培った即興性にファンクのエッセンシャルなリズム・サウンドを取り入れた独創的なスタイルは

新たなジャズの可能性を提示することに成功しました。

このアルバムが生み出されたことで、モダンジャズからの脱却を模索する大きな潮流が巻き起こります。



私のお気に入り曲はB面の1曲目「SLY」です。

リズムはまさしくファンクのそれなのですが、その上にHerbie HancockとBenny Maupinによるジャズ的な解釈の演奏が乗っかることで

それまでにはなかった疾走感を携えたジャズが見事に表現されています。 

 

私はこのアルバムをきっかけにジャズにハマりました。

是非聞いてみてください。 それでは次回...




I am going to introduce one of my favorite albums, "Head Hunters" by Herbie Hancock. 


This album invoked the jazz movement called fusion.

Fusion jazz is named after how it sounds. The top feature of this musical genre is fusing various genres into jazz.


Music from the late '60s to '70s was very experimental such as "On the Corner" by Miles Davies, "Lizard" by King Crimson, "The Dark Side of The Moon" by Pink Floyd, "Dance to the Music" by Sly & the Family Stone.


Herbie Hancock gave birth to this epoch-making album in the era of transition.

He attempted to cross over jazz and funk through this album. He suggested a new possibility of jazz.


"Head Hunters" led the crucial movement that managed to overcome modern jazz.


Roy Ayers

皆さんの好きな音楽のジャンルはなんですか?


ポップス、ロック、ファンク、レゲエ、ヒップホップ、ジャズ...いろいろなジャンルの音楽がありますよね。


今回はジャズとファンクを融合させ、現代のヒップホップにも大きな影響を与えるアーティスト、Roy Ayer(ロイ・エアーズ)をご紹介します。




Roy Ayersはヴィブラフォン(鉄琴)の奏者であり、作曲家であります。

彼はファンクとジャズを融合させ、独特の新たな音楽ジャンルを打ち立てます。

そのため、アシッドジャズやネオソウルを語る上では彼の存在は欠かせません。


非常に多くのヒップホップのアーティストからサンプリングやカヴァーされていることでも有名です。

2pac、Common、Nas、A Tribe Called Quest, D'Angeloなど名だたるアーティスト達が彼から影響をうけています。


ジャズとファンクを自身の作品においては融合させ、その優れた楽曲で、ジャズとピッフポップ・R&Bに架け橋をかけた絶大な影響力を持つアーティストと言えるでしょう。




メロウなリズムに乗った鉄琴の印象的なフレーズは一度聞くと忘れらません。

そんな印象深いフレーズを世にたくさん送り込んできたからこそ、ヒップホップのサンプリング元として多くのアーティストに愛されているのでしょう。

"Everybody Loves the Sunshine"の「my life, my life, my life...」と繰り返すフレーズなどは非常に有名なので、ご存知の方も多いと思います。

私はこの曲を聴くとタイトルにもある太陽を思い出すので、雨の日によく聞いて気分をあげています。

(梅雨入りしたので再生する頻度がガツンと増えそうです。)



(このアルバムが彼の作品ではもっとも有名なので、ご存知の方もたくさんいるとおもいます。)



ジャズは多くの音楽に影響を与えてきました。なので、ジャズを聞いていないように思っていても、実はいろいろなところで聞いてるかもしれませんね。

The Kinks

みなさんは"British Invasion(ブリティッシュインベイジョン)"という言葉を聞いた事がありますか?

ブリティッシュインベイジョンは1960年代半ばにアメリカにイギリスのポップカルチャー(音楽など)が流入してきて、大きな流行となったことを指します。(イギリスの文化的侵略)


もともとブリティッシュインベイジョンの発端はアメリカの文化がイギリスで流行したことに端を発します。

イギリスでアメリカのブルースやジャズ、ロックンロールが人気になったことで、自分達でもその音楽を表現しようとして国内でアメリカのカルチャーに影響を受けたバンドが数多くうまれます。

その結果、アメリカの音楽とは違った、イギリス流のブルースやロックンロールが生まれる事となりました。

それが今度はアメリカに輸入されて非常に大きなムーブメントとなります。



このブリティッシュインベイジョンで様々な卓越したバンドが世界的に有名になります。

例えばビートルズ、例えばローリングストーンズなど伝説的なバンドが誕生します。


そのなかのひとつが今回ご紹介する”The Kinks”です。

1964年にレイとデイヴのデイビィス兄弟によって結成されました。

(ちなみにThe Beatlesは1960年、The Rolling Stonesは1962年)

The Kinksの曲でもっとも知名度が高いのが「You Really Got Me」でしょう。

様々なところで使われているので耳覚えのあるかたも多いのではないでしょうか。

現代のロックミュージックで欠かせない歪んだギターサウンドは彼らの発明ではないでしょうか。


The KinksはThe BeatlesやThe Rolling Stonesの影に隠れてしまっていますが、大きな影響を後世に残しています。

Van HalenやThe Jam、Oasis、Blurなどロック史に名を残し、全世界にファンがいる数々のバンドに尊敬されています。

The Kinksの曲をカヴァーしたアーティストを挙げていくとキリがないほどたくさんいます。

今日のブリットポップ、UKロックを形作ったのはThe Kinksだといっても過言ではないでしょう。



(上がThe Kinks・下がThe Jam 『David Watts』がカヴァーされています。)


それではまた次回・・・

シティポップってなに

シティポップが国内外を問わず大流行しています。


まずシティポップってなんなのかという点からお話します。

国産の歌謡曲ではないポップスのことを指すんだと私は思っています。


どこからシティポップの流れが始まったかというと、「はっぴいえんど」と「シュガー・ベイブ」が良く挙げられます。

個人的にはシュガーベイブからだと思うのですが、いずれにせよ「山下達郎」「大貫妙子」「細野晴臣」あたりのアーティストたちが起点となり、1970年代ごろに産声をあげた音楽ジャンルだと言えるでしょう。


シティポップの流行は日本の高度経済成長が密接に関係しています。

日本が経済的に豊かになり、物質的にも精神的にも余裕が生まれたことで大きなブームとなったのがシティポップです。

余裕が生まれたことで、新しいライフスタイルを模索する精神性が日本の都市のなかで発展し、西洋文化を日本の土壌を通して再解釈したものが新たなライフスタイルとして定着しました。

その流れの中で、音楽もアメリカやイギリスのサウンドを日本なりに解釈して取り込み、新しいものとしてアウトプットした。その結果がシティポップの誕生ではないでしょうか。


非常に不明瞭なジャンル分けである、”シティポップ”という名のもとで様々な音楽を海外から輸入・吸収・再解釈して音楽が生み出されました。

立ち返って聞いてみるとロック・フォーク・R&B etc...から影響を受けたであろう音楽をシティポップのひとことにごちゃ混ぜにしているなと感じます。



そして多様なアーティストが国内で次々と生まれる過程のなかでジャンルが整理され、住み分けがはっきりさせられたことでシティポップ帝国は終焉を迎えたのだと思います。



しかし現代、失われた帝国が復活しています。

これは日本でガラパゴス的な進化をとげた音楽ジャンルがアメリカやイギリスの音楽好きたちに"発見"されたことに端を発するのではないでしょうか。

シティポップを聞いたことのない海外の音楽マニアたちからすると、貪欲にジャンルレスで新たな音楽を生み出そうとする姿勢・サウンドは新鮮に映ったことでしょう。


ヒップホップの流行もシティポップの復活に一役買っていると思います。

サンプリングし、様々な音楽を元ネタに新しいビートとして再構築するヒップホップ。ジャンルレスに海外の音楽を取り込み再解釈するシティポップ。この二つの相性は抜群で、ヒップホップカルチャーの流行とともに、シティポップも理解とファンを獲得することに成功したのではないでしょうか。



お店にはシティポップと呼ばれるアーティストのレコードが結構あります。

ぜひ日本が世界に誇るガラパゴスミュージックと素敵な洋服を満喫するためにお立ち寄りください。



Sun Ra

現在劇場で公開されている「サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス」という映画をご覧になられたでしょうか。

この映画はもともと1974年に公開されたもので、当時は日本では公開されていませんでした。

しかし、半世紀の時を越え、日本のスクリーンにやってきました。


そしてこの映画のなかで脚本・主演・音楽を担当しているのが、Sun Raというジャズミュージシャンです。


Sun Raはアフロ・フューチャニズムの先駆者として非常に有名です。

彼の宇宙思想と様々な音楽のジャンルという垣根を越えてゆくサウンドは以降の多くのアーティストに影響を与えています。

サウンドだけでなく、彼のパフォーマンス全体が革新的だったと容易に想像できます。

アフロ・フューチャニズムについては彼の映画を見ていただければより感覚的な理解に繋がると思うのですが、基本的には故郷を強制的に追われた歴史を持つ、アフリカン・アメリカンたちが宇宙に故郷を求めたというものです。

そのため、宇宙を感じさせる視覚的表現がアフロ・フューチャニズムのアーティストたちの特徴となっています。


アフロ・フューチャニズムで有名なミュージシャンとしては、ファンク界の帝王 Earth, Wind & Fireやヒップホップの開祖の一人 Afrika Bambaataaなどが挙げられるでしょう。世界的に成功した大御所アーティストたちの世界観や演出に多大なる影響を与えたSun Raのすごさがこれだけでわかりますね。

(Earth, Wind & Fireの「Let's Groove」のPVやAfrika Bambaataa & the Soul Sonic Forceの「Planet Rock」のPVを見ていただければ彼らの世界観やユニークな視覚的表現に触れることができると思います。)



彼は多作なことでも有名で、膨大な数の作曲をし、レコーディングを行っています。

そのため、音楽的な側面から彼について語るのは容易ではありません。

ピアノの美しく理性的な音源もあれば、力強いボーカルと野生的なパーカッションが目立つ曲もあります。

ある時はオーセンティックなジャズマンで、またある時は意欲的な実験音楽をパフォーマンスするアーティストであります。


私は「Sleeping Beauty」というアルバムが一番好きです。

Sun Raのジャズアーティストとしての才能を一番ダイレクトに感じることのできる一枚に仕上がっています。



今回はレコードラックからSun Raという異色のジャズアーティストのご紹介でした。

ではまた次回!


Talking Heads

今回はTalking Headsというバンドをご紹介します。

いつもはジャズについての記事ですが、Talking Headsはだいたい"ポストパンク"というジャンルに分類されます。


ポストパンクとはいったいなんぞやという方も多いのではないでしょうか。

その名の通り、パンクブームの後半から登場し始め、その後の音楽業界を引っ張っていったジャンルになります。

ロックやパンクを更に拡張させるという点においてポストパンクのアーティストは一致団結していると私は思います。


Talking Headsも彼ら以前のロック・パンクを更なるステージへと押し上げた、非常に評価の高いバンドです。

彼らの音楽は実験的で、新しい試みをためらわない姿勢が当時のバンドカルチャーの中では特異な点だったのではないでしょうか。

この実験的で革新的なバンドのスタンスはメンバーの異色の経歴によるものだと思います。

メンバーはロードアイランド・スクール・オブ・デザイン出身です。この学校はアメリカ最高峰の美術大学と言われるほどです。




彼らのリリースしたアルバムは画期的かつ、意欲的な制作によって生まれた作品と言えるでしょう。

一枚のアルバムの中に民族的な雰囲気を感じさせるパーカッション、ロック直球のハードなギターなどをまとめ上げ、ジャンルの壁を感じさせない制作は彼らにしか出来ない音楽で、圧巻の一言に尽きます。


お店には鬼才ブライアン・イーノによるプロデュースの4thアルバム「Remain in Light」があります。

このアルバムはアフリカンミュージックとアメリカのロックミュージックが見事に融合された名盤です。

都市的な音作りでありながら、アフリカンミュージックの持つ自然を感じさせるリズムを刻んでいる。

アフリカンファンクにはない洗練されたモダンさと、ロックやパンクにはない野生のグルーヴがないまぜになった独特な一枚です。

バンドミュージックにブレイクスルーをもたらしたと言えるでしょう。


その証拠に彼らのスタンスは以降のニューウェイブ・グランジのバンドたちに受け継がれています。


彼らの音楽は実験的な側面が強いので好みが大きく分かれるところだと思います。

是非聴いてみてください。

実は身近なジャズ

Roland Kirkというジャズアーティストの名前をご存知でしょうか。



彼をご存知でなくても、多くの人は彼の演奏を聞いた事があるでしょう。

Roland Kirkの演奏で最も有名なものは映画「オースティン・パワーズ」の主題歌として使用されたクインシー・ジョーンズ作曲の『Soul Bossa Nova』という曲です。

この曲はテレビ番組や「オースティン・パワーズ」以外の映画でも度々使われているので、曲名やアーティストに耳馴染みがなくても曲さえ聞けば「あーこれ知っている」となる方はたくさんいると思います。


Roland Kirkだけでなく、様々なジャズアーティストの残した名曲を私たちは知らないうちに耳にしているのです。

この他にも実は知っているジャズの名曲はたくさんあります。



Duke Ellingtonの『Take the A Train』、Miles DavesやBill Evansの演奏で有名な『My Funny Valentine』、数多くのジャズアーティストに愛された名曲『Agua de Beber』あたりは非常に聴き馴染みのある曲たちだと思います。その他にも、Pee Wee Huntの『Somebody Stole My Gal』は、大阪の超有名なコメディ舞台のテーマソングとして日本でもっとも有名なジャズナンバーではないでしょうか。



(私の大好きなシンガーAl Jarreauもカヴァーしています。)


ジャズはなかなかとっつきにくいというイメージをお持ちの方も多いジャンルだとは思います。

しかし、実はいろいろなところでジャズの名曲は使われており、知らないうちに慣れ親しんでいるのです。

ジャズは意外と身近にある音楽です。


私はテレビのCMや映画で聞いたあの曲何て名前なんだろうと調べていたらNat King ColeやFrank Sinatoraの曲を聴くようになっていて、そのままジャズにハマっていました。

そういう角度からジャズを楽しむというのも一つではないしょうか。

Gabor Szabo

お店のレコードからGabor Szabo(ガボール・ザボ)というジャズギタリストをご紹介します。


Gabor Szaboはハンガリー出身なのですが、彼が20歳の頃にハンガリー動乱という大きな蜂起が国内で起こったため、渡米する事となります。

そしてボストンのバークリー音楽院で音楽を学び、チコ・ハミルトンという名ジャズドラマー率いるバンドで腕を磨きます。


バンドを脱退してからはImpulse! Recordsと契約し、ユニークなリーダー・アルバムをリリースしていきます。

60年代から80年代前半頃にジャズミュージシャンとして活躍しました。


彼の音楽は強く自身のバックボーンを反映させていると感じます。

彼の哀愁と浮遊感の漂うギターフレーズ、中東や東欧を思わせる独特なサウンドは彼の出自を映し出しているように思えます。

アメリカにおけるジャズはかなり土着の物としての要素が強く、Gabor Szaboのようなオリエンタルな要素をミックスさせた音楽は当時非常に珍しかったのではないでしょうか。

Gabor Szaboのギター以外のバンドメンバーたちの演奏は従来のジャズらしいフレーズ、サウンドなのですが彼のギターだけ強烈な個性を放っています。


そのため、彼はフュージョンの第一人者として現代でも高い評価をうけています。

私のイチオシはアルバム『Gypsy '66』のタイトル曲である「Gypsy '66」です。

この曲は彼の一番の特徴でもあるフュージョン感にあふれたギター演奏を盛り込んだものとなっています。




彼はいままでにブログでご紹介したアーティストたちとも関係がありました。

CTI Recordsの回で軽くご紹介したGeorge BensonはGabor Szaboの書き下ろした曲である「Breezin'」をカヴァーしてリリースしています。



以前ご紹介したJoe Bataanもですが、アメリカという国には様々なバックボーンを持つ人々が人種や国境を越えてやってきています。

それ故、他の地域や国では起こりえなかった化学反応が起き、新たな音楽の潮流を生み出したのでしょう。


アーティストの生い立ちについて知ることは、音楽を聴く際に新たな視点を与えてくれます。

生い立ちも気にしてみるとより楽しく音楽を聴けるかもしれません。

Anni Albers

今回はAnni Albersというアーティストをご紹介します。

Anni Albersは21SSのPilgrim Surf+Supplyのクリエイションのテーマアーティストのひとりです。(もう一人のテーマアーティストであるLouise Brogueについては以前のブログでご紹介しております。




先ずはAnni Albersのプロフィールから。

Anni Albersはドイツ出身のアメリカ人テキスタイルアーティストです。

以前ご紹介したバウハウスというアート・クラフトスクールに1922年に入りました。

1933年のバウハウス閉鎖に伴い、ブラックマウンテンカレッジに招聘され、渡米します。

そしてアメリカで彼女はアーティストとして・職人として・教育者として後進に大きな影響を与えていきます。



彼女は作品の制作を通して、アートとクラフトを近づけていく事に成功しました。

美しい色彩やモチーフを縦糸と横糸の単純な組み合わせで表現したものを見ると彼女の作品の持つ2面性に気付かされます。

Anni Albersの作品には、ヴィジュアルを通して何かを表現するというアート的側面と、素材を活かして一枚の布に仕立てるというクラフト的側面が兼ね備えられています。

テキスタイルは洋服や絨毯、寝具など私たちの生活のあらゆる場面に登場します。

生活と密接な関係にあるからこそ、クラフトとして実用的なものでありアートとして生活を華やかにするものである必要があるのではないかと思います。

アートの感性とクラフトの技術を合わせもったAnni Albersにとってテキスタイルは相性抜群のジャンルであったのではないでしょうか。




21SSはそんな彼女のアートワークからインスパイアを受けたアイテムがたくさんあります。

店頭・オンラインサイトでご覧いただけるのでぜひご覧ください。

Joe Bataan

今回はNYのラテンソウルミュージックを牽引した存在、Joe Bataan(ジョー・バターン)をご紹介します。




先ずは簡単なプロフィールから。

Joe Bataanは1942年にイーストハーレムでフィリピン系の母とアフリカンアメリカンの父の間に生まれました。

そしてイーストハーレムでプエルトリコ系のストリートギャングを率いていたのですが、車の盗難で刑務所に収監されます。


刑務所から出所してバターンは音楽に興味を持ちはじめ、Joe Bataan and the Latin Swingersというバンドを結成します。

そして60年代にNYのストリートで大流行するラテンソウル(ブーガルー)の立役者となるのです。

ラテンソウルとはその名の通りラテンミュージックとソウルミュージックが融合した音楽ジャンルの事を指します。




彼の独特な音楽はNYという人種のるつぼが生み出した特異なものだと思います。

アメリカは人種のるつぼと言われるほど多種多様なバックグラウンドを持った人々が暮らしています。

この特殊な環境のもとで様々な文化と人種は混ざり合っていったのです。

ラテンミュージック独特の陽気な音と、ブラックミュージックの独特なリズムが混ぜ合わさったブーガルーはまさにNYでしか生まれない音楽でしょう。

母はフィリピーナ、父はアフリカンアメリカンで自身をアフロ・フィリピーノと呼ぶJoe BataanにはラテンとR&Bがミックスしたブーガルーという音楽ジャンルはピッタリはまったのでしょう。


耳にすればJoe Bataanだとわかる特徴的な歌声をR&Bのようなジャズのようなラテンのようなユニークなリズムに乗せて歌い上げる彼の音楽は唯一無二のものでしょう。



(お気に入りの1枚です。)


この血や文化が混ざり合った国のもっとも栄えたNYを象徴するようなJoe Bataanの音楽は今でも新鮮に感じられます。

お店ではよく流しているので是非遊びにいらして下さい。


Creed Taylorというジャズ界のカリスマ(CTI Records)

前回のブログではImpulse! Recordsというレーベルをご紹介しました。

今回はそのImpulse! Recordsとも関係の深いCTI Recordsというレーベルをご紹介します。



この二つのレーベルはどちらもCreed Taylorというアメリカのモダンジャズ史に名を遺す大物によって立ち上げられました。

Creed Taylorは1960年にImpluse! Recordsを立ち上げます。その翌年に他のレーベルへ移籍します。

そして1967年にCTI Recordsという名門レーベルを作り上げるのです。




70年代のジャズはMiles Davisを筆頭として、ジャズが大きな変革を迎えた時代と言えるでしょう。

Miles Davisが72年に発表した「On the Corner」というアルバムがわかりやすい例と言えるでしょう。

「On the Corner」にはジャズ以外の音楽(R&B、ファンクミュージックなど)から着想を得たと思われる意欲的な曲が収録されています。


この内向的な態度から外向的な態度へと転換していく流れを加速させたのがCreed Taylorでしょう。

新たに立ち上げたレーベルでCreed Taylorが目指したのはジャズの大衆化でした。

ジャズの大衆化を進めるために彼が行ったのは、R&Bやワールドミュージックなどの曲をジャズプレイヤーとしての解釈を加えてカヴァーさせるという事でした。

70年代の大転換にいち早く注目し、レーベルを立ち上げたクリードタイラーはジャズの歴史を変えたといっても過言ではないほどの影響を与えたと思います。



70年代以降には彼の築いたムーブメントに影響を大きく受けたアーティストたち(以前ご紹介したHerbie Hancockなど)が作品をリリースしていくことになります。


私がCTIレコード所属のアーティストでもっとも好きなのは、George Benson(ジョージ・ベンソン)です。

私のお気に入りである「Bad Benson」というアルバムはジャズ的なリズムの上にファンクやR&Bらしいサウンドを乗せており、ブラックミュージックのいいとこ取りといった一枚に仕上がっています。




(ギターのフレーズが非常にかっこいいのでロックやブルースも好きな私としてはたまらない一枚です。)



CTI Recordsは今日のジャズの礎となったといえる非常に強い影響を様々なアーティストに与えたレーベルなので聞いた事がないという方はぜひ聞いてみてはいかがでしょうか。

Bill Evansというヒーロー

今回はBill Evans(ビル・エヴァンス)という50年代から80年代に活躍したジャズピアニストについてご紹介します。


Bill Evansを知っているというかたは非常に多いのではないでしょうか。

最も有名なジャズアーティストの1人ということに異論は無いかと思います。


Bill Evansがここまで有名な一つの理由として彼の作った曲は”スタンダード”となったものが多くあるからでしょう。

例えば「Waltz for Debby」、「My Romance」などが挙げられるでしょう。

ジャズのスタンダードというのは、多くのジャズアーティストにカヴァーされジャズの基本とされる曲の事を指します。

これは明確な規定が存在するわけではなく、どれほど親しまれているかという点においてスタンダードと呼ばれるかが決まります。


また彼の活躍した時代に主流だったのはモダンジャズと呼ばれ、ジャズと聞いて多くの人がイメージするであろうジャンルの音楽です。

そのため、イメージ通りで且つ、上品で優雅な彼の演奏は多くの人を引き付ける魅力にあふれています。


Bill Evansの演奏の特徴はそのミニマルさにあるといえるでしょう。

彼は裕福な家に1929年に生まれ、幼いころからクラシック音楽に触れながら育ちました。

このバックグラウンドが彼の演奏のオリジナリティを確立させたのではないでしょうか。

全体的にまとまりがあり、落ち着いた印象を与える彼の演奏にはどこかクラシック的な雰囲気が漂っています。


私のイチオシの一枚は「Explorations」です。

この録音を聞いてBill Evans Trioのメンバーたちの自由さに驚かされました。

ソロパートで即興で披露される彼らの息のあったセッションと引き出しの多さには驚かされます。




現代のジャズのイメージそのままのBill Evansの演奏はジャズの雰囲気をつかむという面においてもぴったりだと思います。

ジャズをあまり知らないという方はぜひビル・エヴァンスの魅力的な演奏を聞いてみて下さい。

Impulse! Records

皆さんは音楽を聴く際に”どこのレコードレーベルから発表されているものか”を気にしたことはありますか。

現在ではサブスクリプションが主流になり、レコードレーベルに関心を向ける人は少なくなってしまったのではないでしょうか。

しかし、レーベルを知って音楽を聴くと面白いということを今回はお伝えさせて頂きます。


レーベルというのは、レコード会社が抱えるアーティストたちを、音楽性ごとに分類したもののことを指します。

つまり、レーベルを見るということはアーティストたちの関係性や影響を知るための1つの有用な手がかりになるのです。


今回はImpulse! Records(インパルス!レコード)という名門ジャズレーベルをご紹介します。

1960年にCreed Tayler(クリード・テイラー)とうジャズプロデューサーであった人物によって立ち上げられたレーベルです。

フリージャズに分類される作品を多く発表したことで有名です。

フリージャズというのはそれ以前のジャズ理論から解放され、即興的な演奏などを重視したジャズの潮流のことを指します。

このそれまでの伝統を打ち破り、自由な創作を盛り上げたという点において現代音楽の土台となったとも言えると思います。


そんな破天荒なレーベルには錚々たる顔ぶれがそろっていました。

現在はユニバーサルミュージックの傘下にあり、再版のみを行うレーベルになっています。


主なアーティストだと、John Coltrane、Duke Ellington、Art Blakey、Oliver Nelson、Gabor Szaboなどが所属してました。


(お店に置いてあるインパルス!レコードのものです)

同じレーベルに所属しているので、もちろんそれぞれアーティスト同士の交流(例えばJohn ColtraneとArt Blakeyがビックバンドの録音で共演していたり)もありました。



このレーベルからリリースされたレコードのジャケットには特徴があります。

オレンジと黒に分割されているジャケットの背表紙を見たらすぐにインパルスレコードの物だとわかるようになっています。



レーベルに注目することでジャズの時代の流れを知り、多くのアーティストの音源と触れ合うきっかけになります。

音楽を楽しむときには是非レーベルにも注目してみて下さい。

Louise Bourgeois

今回は21SSのテーマアーティストの一人でもあるLouise Bourgeois(ルイーズ・ブルジョワ)というアーティストをご紹介します。


彼女は1911年にパリでタペストリー修理の工場を営む家に生まれました。

幼いころはタペストリーの欠けた部分を補う修理の為に必要なスケッチを行い、家業を手伝っていました。


大学では数学を学んでいましたが、次第にアートへ関心がうつり、美術学校へ入学しました

その後、アメリカ人美術歴史家Robert Goldwaterと結婚し、そのまま渡米します。


渡米後は作品の制作に注力しますが、1982年、70歳にして初めてMoMAで個展を開きます。

初の個展を開いた後も様々な制作を行い、テキスタイル作品や彫刻、版画などを世に送り出しました。



彼女の作品の多くが幼少期の父権的な家庭で生まれたトラウマを治癒するためのものとしてうみだされています。

彫刻やインスタレーションアートで有名ですが、版画や絵画にも取り組んでいました。

(渋谷のお店に置いてあるルイーズ・ブルジョワの作品集です。)

彼女の作品のなかでもっとも有名なものが巨大な蜘蛛のオブジェ「ママン」ではないでしょうか。

六本木ヒルズの入り口付近に設置されている金属製の蜘蛛のオブジェが「ママン」です。

この「ママン」は全部で9体作られており、NYのグッゲンハイム、ロンドンのテートモダンなどにも所蔵されています。


私が彼女の作品で気になったものは「布」を使った作品群です。

彼女はその生まれ育ちから布を作品の素材として使用したものが数多くあります。


例えば「Ode à la Bièvre」という作品集です。この作品集の中には美しい色や柄に染色された布や、つぎはぎされ新鮮な印象を与える布、人間の肉体を思い起こさせる優しい刺繍が施された布が集まっています。ただの布が昔ながらの技術を使って表情を変える姿は興味深く、刺激を与えてくれます。

この作品集はMoMAのウェブサイトでも閲覧することができます。


この作品から着想を得てSS21のPilgrim Surf+Supplyのコレクションに登場するアイテムは制作されています。

現在ご予約を承っていますので、ぜひご覧になってみてください。


patagonia

先日patagonia日本支社主催のクライメート・アクティビズム・スクールに参加させて頂きました。

このスクールでは気候変動の実態、どのようにこの問題に対してアプローチするのかを専門家や活動家の方々に講義して頂き、その講義をベースに参加者全員で対話を行いました。


(パタゴニアが出版している気候変動対策活動をまとめた本です。)


義務教育で気候変動についての授業はありましたし、大学でも環境研究の分野の講義を受けたこともあります。

そのため、スクールに参加する前からデータとして気温上昇している、異常気象が起きているということは多少知識がありました。

しかし、その知識が生活や実感と結びついていなかったのです。つまり、当事者意識がありませんでした。


実際に活動して気候変動を止めようとしている人の話からは共通して「自分が気候変動問題を解決するんだ」という当事者としての自覚が感じられました。


つい最近、菅首相が2050年までに「脱炭素社会」を目指す為の実行計画を発表しました。

脱炭素社会というのは地球温暖化の大きな原因とされる二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする社会のことを指しています。

このニュースを聞いたときに「じゃあ実際自分の生活のなにが二酸化炭素の排出につながっているんだろう」と思いました。

どのように社会が変化すれば二酸化炭素の排出を実質ゼロにすることができるのかピンときませんでした。



二酸化炭素排出の要因として、様々なものが挙げられますが、大きな割合を占めているのがエネルギーの生産と消費です。

具体的には石炭や石油を使った発電や、自動車の運転などです。

日本は火力発電に大きく依存して電力を生産しています。


確かにこまめに電気を消す、なるべく冷暖房を使わないという行動も必要です。

しかしそれ以上に、なぜ省エネが必要なのか、どういう社会になることで地球環境の悪化を阻止できるのかという問題について考えることが必要なのではないでしょうか。

知識だけを持っていても、メソッドだけを持っていても目標が達成されることはないでしょう。

問題解決へ至るには両輪で知識とメソッドの両輪で前進する必要があります。


Pilgrim Surf+Supplyでは環境に配慮したアイテムを多数取り扱っています

これらのアイテムを着てファッションを楽しむことも気候変動を阻止するための貢献となるのではないでしょうか。