The Stories Behind BEAMS 50th

50周年別注の“裏 ”ばなし Vol. 04 - Levi’s®︎ × LOOPWHEELER

〈BEAMS〉の輪郭を形成する別注企画。そのひとつひとつが〈BEAMS〉の“視点”であり、
ブランドの新たな一面を引き出し、ファッションの本質である“自由さ”を表現してきた。

日頃は表に出ることのない、ものづくりの過程と秘話を振り返る「50周年別注の“裏”ばなし」の第4回は、
アメカジの象徴〈Levi's®(リーバイス)〉のエピソード。この度の別注では、世界ー正統なスウェットシャツを提供する〈LOOPWHEELER(ループウィラー)〉をパートナーに迎え、トリプルネームの一大プロジェクトとなった。

〈Levi's®〉の伝統、〈LOOPWHEELER〉の生地、そして〈BEAMS〉の編集。
それぞれが長い時間をかけて磨いてきた十八番を持ち寄れば、どんな服が生まれるのか。
一見大胆な発想の裏側にあったのは、何度もサンプルを往復させ、わずか数ミリまで詰めていく地道で妥協のないものづくりだった。

〈BEAMS〉の輪郭を形成する別注企画。そのひとつひとつが〈BEAMS〉の“視点”であり、ブランドの新たな一面を引き出し、ファッションの本質である“自由さ”を表現してきた。

日頃は表に出ることのない、ものづくりの過程と秘話を振り返る「50周年別注の“裏”ばなし」の第4回は、アメカジの象徴〈Levi's®(リーバイス)〉のエピソード。この度の別注では、世界ー正統なスウェットシャツを提供する〈LOOPWHEELER(ループウィラー)〉をパートナーに迎え、トリプルネームの一大プロジェクトとなった。

〈Levi's®〉の伝統、〈LOOPWHEELER〉の生地、そして〈BEAMS〉の編集。それぞれが長い時間をかけて磨いてきた十八番を持ち寄れば、どんな服が生まれるのか。一見大胆な発想の裏側にあったのは、何度もサンプルを往復させ、わずか数ミリまで詰めていく地道で妥協のないものづくりだった。

鈴木 竹彦


1996年、BEAMSにアルバイト入社。メンズカジュアルバイヤー責任者兼〈BEAMS JAPAN〉 アパレルディレクター。「ビームス 原宿」など、旗艦店の販売員として経験を積みながら、企画会議にて数々のヒット作や長く売れ続ける定番品を生み出してきた。とんちの効いた企画を得意とし“BEAMSの一休さん” の異名を持つバイヤーの大黒柱。アーティストとしての裏の顔も。

@suzukitakehiko0123

小林 景太

1989年、福井県生まれ。中学時代からアメリカに魅せられ、20歳でシアトルへ留学。大学卒業後はカナダ・トロントに移住し、コーヒー作りを学びながら放浪の日々を送る。2015年に BEAMS に入社し、2019年から現職のメンズカジュアルバイヤーに。趣味は食べて飲むことで、1995年式の Mercedes-Benz W124 を愛してやまない。

@gonzo19891016

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Chapter1

Levi's®はアメリカの王様

いつも和気藹々とした空気で始まる本対談だが、この日のバイヤー陣は冒頭から鋭い目つきだった。

それも当然である。何しろ、テーマはあの〈Levi's®〉。ブランドへの想いは純粋な“好き”を超え、“敬仰”に値する。アメリカンカジュアルを主軸とする〈BEAMS〉にとって、〈Levi's®〉に比較対象は存在しないのだ。

鈴木:何と言うか……群を抜いている。僕らの原点であるアメカジにおいて、代表の中の代表だから。

小林:つまらない答えに聞こえるかもしれないですけど、「結局何が一番好きなの?」って聞かれたら、「Levi's®です」って言ってしまいますね。

鈴木:ファッションどころか、アメリカ代表。その次に出てくるのはコカ・コーラか、マクドナルド(笑)

しかし、それほど完成された相手との取り組みでも、常に「BEAMSらしさとは」と自問自答する。

裏返す。異なる年代のディテールを半分ずつ繋ぐ。横に大きく引き伸ばす。アイコンそのものを別物へ変えるのではなく、誰もが知っている〈Levi's®〉を少し違う角度から眺め直してきた。

その流れから生まれ、定着したのが“SUPER WIDE”と呼ばれる〈BEAMS〉のオリジナルシルエットだった。

鈴木:裏返しも、半分半分も、どちらもフィットは〈Levi's®〉のものを使ってきたけど、着ているうちに(洋服的な)合わせに僕らとの差異を感じたんだよね。でも、ただ単純にデカくするのは違って、横に伸ばす方が全部解決するなと思った。

小林:「デカければいいわけじゃない」というのは繰り返し言っていましたね。ヴィンテージへのリスペクトはありつつ、洋服基準、ファッション基準。その視点でフィットを変えたんですよね。

デニムジャケットは『LOT 506XX』、通称「ファーストモデル」を、デニムパンツは1950年代の『501® XX』を基にしながら、ポケットやパッチまで横方向へ引き伸ばす。〈Levi's®〉の歴史的な記号を残したまま、今の〈BEAMS〉のスタイリングに馴染むシルエットへと変換した。

その考え方は、今回の土台にもなった。ただ、50周年で同じことを繰り返しても面白みはない。〈BEAMS〉が考えたのは、〈BEAMS〉が長年付き合ってきた“もうひとつの定番”を持ち込むことだった。

鈴木:50周年だからこその特別なことをしたいと思って。アメリカを代表するデニムブランドの〈Levi's®〉と、日本を代表するスウェットブランドの〈LOOPWHEELER〉。それを掛け合わせたら面白いんじゃないかなという閃きだった。

鈴木はこの企画を「花火を上げるような感覚」と説明し、さらにこう続けた。

鈴木:つまりはアメリカ、日本それぞれの“ドン”の共演。彼らを同じ企画に招いたら、もっと大きなドンが生まれるんじゃないかと思って(笑)

そして何より、この三者にはすでに人と人の繋がりがあった。

小林:礼儀として僕らから〈Levi's®〉にお伺いして、その後に〈LOOPWHEELER〉にご相談と、順番に話していこうと思っていたら、〈LOOPWHEELER〉からは「もう聞いてるよ」みたいな感じで(笑)。それぐらい三者の関係性がオーガニックなものでしたよね。

50年間、世界中からモノを選び、ブランドと関係を築いてきた〈BEAMS〉。今回の企画は、そんな別々の時間が、ひとつの場所で交わるところから始まった。

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Chapter 2

デニムを脱いでもLevi's®

役割は驚くほど明確だった。

〈Levi's®〉は構造と記号、〈LOOPWHEELER〉は生地、〈BEAMS〉はシルエット。主役と脇役の関係ではない。それぞれの“顔”が明確で、別注が成立する組み合わせは、これ以外考えられなかった。

〈Levi's®〉の代表的なアイテムを、〈LOOPWHEELER〉のスウェットで、〈BEAMS〉で作る。

文字にすれば簡単だ。しかし、生地を置き換えた瞬間、デニムでは起こらなかった問題が次々と現れた。

違いを挙げればキリがないが、最大の違いは“落ち感”だった。

小林:デニムがスウェットになると、生地の張りが異なるので重力に逆らえないんです。ただでさえ“SUPER WIDE”は身幅やアームホールが広いので、そのまま置き換えた最初のサンプルはちょっと過剰になりすぎましたね。

一方で、大きく形を変えれば“SUPER WIDE”ではなくなってしまう。その微妙な差を詰めていく作業を担ってくれたのが〈LOOPWHEELER〉の代表・鈴木諭だった。

鈴木:そこからミリ単位の修正を、何ターンかわからないぐらいやったな。

小林:本当にミリの世界でしたね。サンプルに線をビーッと引かれて、『ここ、◯ミリ』と指示をいただきました。指示書の文字の線の方が太いんじゃないかって(笑)

この課題は最初のサンプル制作の遥か前、企画を持ち込んだ時から予想できていたことだった。〈LOOPWHEELER〉も〈Levi's®〉への敬意があるからこそ、むしろ気にしていたのは、名前を冠するにふさわしいクオリティになるのかという点だった。

鈴木:(LOOPWHEELERの)鈴木さんは相談の段階から、クオリティについての熱量が桁外れだった。「名前だけのコラボレーションにはしない」と。

小林:BEAMSも長い間〈LOOPWHEELER〉とはお付き合いをさせていただいています。その名前が入る以上、鈴木さんの目を通してベストクオリティに持っていきたいと思っていました。自分が間に入る立場だったので、このこだわりを〈Levi's®〉側に淀みなく伝えられるかという緊張感はありました。

結果として、一度袖を通せば突き詰めたことは肌身が教えてくれるほどの完成度に仕上がった。そして、細部を見れば、その執念がよくわかる。

裾は数ミリ単位で幅を調整し、スウェットでありながらジーンズらしい見え方を作った。本来なら必要のないパイピングも、折り返した時にセルビッチの“耳”を思わせるように処理した。

小林:スウェットだったら、別になくても成立はするんです。でもパイピングにすると、ちょっと耳っぽく見える。それで最終的にこの仕様にしたんですよね。

バックポケットのアーキュエット(飾りステッチ)も、最後まで議論したディテールだった。当初は目立たせない方向で考えていたところ、上がってきたサンプルが意図せずステッチの存在感を強くしていた。それを見て考えが変わった。

小林:糸の色がオーダーと違ったんですよね。でも「やっぱりこれが〈Levi's®〉の顔だよな」と思いました。

鈴木:「アーキュエットはあった方がいいね」って話したもんな。素材がデニムでなくなったからこそ、どこを残せば〈Levi's®〉として見えるのか。逆にはっきりと浮かび上がっていったね。

光沢、ピスネームの位置、袖の収まり具合。そして、ボタンの硬さまで。あの新品デニム特有の良い意味での留めにくさまでスウェットで再現した。

その作業の中で〈Levi's®〉側もまた、〈LOOPWHEELER〉が求める精度に応え続けた。

鈴木:生産は〈Levi's®〉だったから、最初は「アメリカの人たちにこの細かさが伝わるかな」っていう不安もあったよ。でも〈Levi's®〉のチームも本当に頑張ってくれて感無量だった。

小林:それは我々同様、〈Levi's®〉側にも〈LOOPWHEELER〉へのリスペクトがあったからだと思いますね。

そうして出来上がった服は、柔らかなスウェットなのに、どこか無骨で、土臭い。デニムではないのに、後ろ姿を見れば〈Levi's®〉だとわかる。

その服を支えているのは〈LOOPWHEELER〉の生地であり、輪郭には〈BEAMS〉が積み重ねてきた“SUPER WIDE”がある。

三者の名前を並べたから特別なのではない。それぞれが自分たちの“定番”を持ち寄り、譲らないべきところを繰り返し話し合ったから、ようやく三者のどこにも似すぎない一着が生まれたのだ。

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Chapter 3

三者を繋ぐ、BEAMS流の編集

混ぜたり、掛け合わせたりすることと、それぞれを薄めることは違う。

その姿勢は、プロダクトだけでなく、今回の見せ方にまで貫かれている。

日本では〈LOOPWHEELER〉のものづくりに焦点を当て、吊り編み機や生地が生まれる背景を静かなドキュメンタリーとして記録。一方、アメリカでは乾いた土地とバイクカルチャーの中に完成した服を持ち込み、無骨な〈Levi's®〉の世界を表現した。

小林:伝えたいことが多かったんですよ。〈LOOPWHEELER〉の生地の良さも伝えたいし、僕らがずっと好きでやってきた〈Levi's®〉への愛もちゃんと見せたい。だから今回は、あえて混ぜずに、それぞれをそれぞれの場所で見せることにしました。

前者の舞台は、和歌山県にあるカネキチ工業だ。
〈LOOPWHEELER〉のDNAである生地は、現在では希少となった吊り編み機で生産されている。この機械は修理しながら大切に使い続けられており、生地は1時間にたったの1メートルしか編めない。

一点ものを作るのであれば、その丁寧さでも十分間に合うだろう。だが、この企画は世界の〈Levi's®〉に生地を提供する。それだけでどれだけの稼働と苦労があったかは容易に想像がつくのではないだろうか。

そして、〈LOOPWHEELER〉の魅力は“昔の機械を使っていること”だけではない。

小林:〈LOOPWHEELER〉は、古い機械を使いながら、今も新しいものをつくる挑戦を続けている。僕たちはそこに共感して、惚れ込んでいるんです。

素材の配合を変え、新しい生地を試す。過去の技術を保存するのではなく、今の服へ変換し続ける。それは、“SUPER WIDE”を生み出した〈BEAMS〉の考え方ともどこか似ているものだった。

古いものがいいから、そのまま再現するのではない。歴史を理解したうえで、今着るならどうするかを考える。その共通項こそ、一見遠く見える〈Levi's®〉と〈LOOPWHEELER〉を自然につないだ理由だったのかもしれない。

一方、アメリカでの撮影で目指したものは、その静けさとは真逆だった。

舞台はカリフォルニア。乾いた空気と、土っぽい景色。そこに今回のセットアップを着たバイカーを走らせる。

イメージしたのは、古いアメリカ映画のようなロードムービーだった。そして、洋服は平置きで見るよりも、実際にバイクを乗りこなす人物へ着せた瞬間、物語が完成したという。

小林:着た瞬間に本当に呼吸し始めた感じがしたんですよ。『これ、すげえな』って。

しかも、そこに立つ人物も“モデル”ではなかった。

チームが声をかけたのは〈REAL Skateboards(リアル スケートボード)〉のライダーとして名を馳せ、現在は〈4Q CONDITIONING(フォーキュー コンディショニング)〉を率いるモーターサイクルビルダー、Max Schaaf(マックス・シャーフ)。スケートやモーターサイクルのカルチャーに長く身を置き、まさにライフスタイルそのものがアメリカと感じられる存在だ。さらに、彼の友人であるSteven Orellana(スティーブン・オレリアナ)にも参加してもらった。

小林:僕自身は何の繋がりもなくて、ただ憧れてた人だったので「もし撮れたら最高だな」と思ってました。でも声をかけてみたら、まさかのOKが出た。夢が一個叶ったような感覚です。

鈴木:年齢を重ねてもやっぱりかっこいい。〈BEAMS〉のことも覚えてくれてたし、好きでいてくれたのも嬉しかったね。昔〈BUZZ RICKSON'S(バズリクソンズ)〉と〈4Q〉でコラボをしていたからさ。

小林:でも、最初にリモートで話した時は「スウェットでバイクに乗るってどうなんだ?」って感じでしたよね。僕らもその通りだという認識なんですけど、〈BEAMS〉のひねりの面白さに共感してくれて。

ここから先もまさに裏話だ。

鈴木:撮影が終わる頃にはスウェットがめちゃくちゃ汚くなってたね。サンプルとしては見たことないレベルだよ、あれ。1日であんなになるってすごいよな。撮影開始前の車庫の段階ですでにちょっと汚れてたし(笑)

小林:もう返してもらってもどうしようもないところまで行っちゃってたので「どうぞ」みたいな(笑)。

鈴木:でも、やっぱその辺もリアルで嘘ついてない感じがかっこいい。

小林:撮影も彼に着いていくのが精一杯でしたよ。最終的には見失って「もうマックスの家で集合しましょう!」ってなりましたね(笑)

服だけでアメリカらしさを演出するのではなく、その服を置く環境まで本物であることにこだわった。

片方では、一枚の生地がゆっくりと編み上がっていく。もう片方では、その生地から生まれた服が、乾いたアメリカの道を駆けていく。

つくる時間と、着る時間。静と動。日本とアメリカ。

二つの映像をあえてひとつにまとめなかったことも、〈BEAMS〉なりの両者への最大限のリスペクトなのだ。

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