こんにちは。Thom Yorke Timesの柳です。昨年の11月、彼のソロライブ(東京ガーデンシアター)に行ってきました。2ndソロアルバム『Tommoro's Modern Boxies』ツアーからの演出と同様に、VJとオケを流しながら、シンセやキーボード、ギターを弾いて歌うスタイルで披露。RadioheadからAtoms For Peace、The Smile、ソロと彼のキャリアを総括した選曲に対して、新たなアレンジで臨んでおり、VJも相まって大きく刺激を受けました。あと毎度思うのですが、彼のライブは音質が本当に良いですよね。常に探求しているのだろうなと思います。
そこから僅か半年、新作アルバムをリリースしました。今回は、以前にもコラボしたことのあるMark Pritchardとの共作アルバム。それにしてもThe Smileでのワールドツアーからすぐにソロでのツアー。そして、アルバムリリースと彼の音楽活動は絶えませんよね。
Mark Pritchardは、Reload、Global Communication、Harmonic33、Harmonic313、Africa Hitechなどあらゆる名義を通して、エレクトロニック・ミュージックを90年代から牽引し続けてきたイングランドのプロデューサー。2013年から自身の名前を使って作品を発表し始め、2016年『Under The Sun』ではボーカリストを複数のトラックでフィーチャー。その一人がThom Yorkeでした。
ロックダウン期にThomの方からアプローチがあったようで、Markのアーカイブを使って双方でのやり取りの末に完成。テクノ、アンビエント、フットワーク/ジャングル、ベースなど、名義の数に比例してというべきかMarkのスタイルは様々であるものの、どれにも独特のサイケデリックな気持ち良さがあるように思います。今作ではそれらをバックボーンにしながらもオリジナリティに溢れるエレクトロニックミュージックを構築。さらに、Thomの要素も加わり毒々しさと美しさが絶妙に混ざり合っています。揺れるシンセの音色やチープなリズムマシン。モジュラー、ヴィンテージのエフェクターなど、機材にフォーカスして聴いていても楽しいですね。
そしてもう一つ大事な要素はアートワーク。シドニーを拠点に活動するアーティスト/ グラフィックデザイナー、Jonnathan Zawadaが手掛けています。ファッションブランドのKsubi、モジュラー・レコード、雑誌「Nylon」、コカ・コーラなどを担当した人物で、Markの前作アルバムも彼によるデザインでした。今作でも、特に『Back in the Game』と『Gangsters』のMVが強烈です。氏の得意とするアナログとデジタルの両技法を織り込んだスタイルで描かれる、不気味なアニメーションは、更に本作の世界観を強固にさせていますね。
【LP】Mark Pritchard & Thom Yorke / Tall Tales〈Warp Records〉
価格:¥5,390(税込)
商品番号:29-67-1456-813
Mark Pritchard & Thom Yorke / Tall Tales〈Warp Records〉
価格:¥2,530(税込)
商品番号:29-68-0542-813