世の中には想像できないことは意外と多いですが、特に今のことは想像できてない方が多いのではないでしょうか?
さて!今回も写真集のご紹介!

野村佐紀子さんの「Flower」
野村さんは大好きな写真家のひとり。
去年の「火口のふたり」の展覧会でお会いした時から色んなお話をして頂き、過去の作品を見たり、写真撮影の現場を見学させていただいたり、撮っていただいたり、色んな思いをお伝えしたりと。
私はどの写真集を捲る度に感じる、野村さんと被写体に流れる空気を感じるのが好きです。
野村さんの写真には一種の緊張感と柔らかい穏やかな空間が一緒になっている不思議な特別な空間を感じます。
それは被写体の奥底の部分に触れようと、カメラを通して写そうとしているからではないかと個人的な予想。
そして、それは人だけで無く、花や人形、建物、血液が流れていないものにもそう感じます。

こちらの写真集は、花の写真集。
花と聞いて思い浮かぶのはどんな色ですか?
向日葵のの黄色だったり、薔薇の赤色、かすみ草の白色、パンジーの紫色だったり?
私の中で花のイメージは明るい印象。結婚式やお祝いごと、好きな人にあげるものだったり、花束も一輪のお花もあげるのも頂くのも嬉しいもの。
ですが、野村さんが考えるこの花は死者への手向けの意味を込めたもの。

花と聞いて、植物の花だけを想像しちゃう私はまだまだ広い視野で世界を見れてないなぁと。
マネキンや、花火、暗い場所にポツリと灯りが灯されたホテル、雲だったり、雪だったり。
野村さんの思う花はとても豊か。
なんでも視点を変えたらどんなものにも捉えられます。
この「花たち」は儚げにも魅惑的にも孤高にも見える。

私は野村さんの作品を見る度に自分に対して死についての自問を繰り返している気がします。
死生について考えるということ。
死ぬことと生きることを真剣に考えると、どう生きてどう死にたいのか、
すごく人生でシンプルなことを改めてゆっくり自分と対話する。
死に対して考えることはネガティブに捉えられることが多いですが、実はすごくポジティブなこと。
死を考えて、どう生きるかを考える。

生花や枯れた花、人形や日常の風景の「花たち」はわたしに疑問をなげてくれる、そんな写真集だと私は感じています。
そして「花」ときいてイメージする生花だけで無く、想像したら花になるものとして様々な花を見せられる写真集。

想像したら花のようなもの。そんなもの世の中に沢山あるんだと。
想像したらなんでもなれるんじゃないかとも思っています。人も、自分も、生き方も。
花は美しく儚さも少しの毒々しさをも持ち合わせている、人を魅了し続けるもの。
そんな写真集にうっとりしたり、沢山考えたり。
野村佐紀子さんの写真に魅せられる一冊。
気になる方は是非手に取ってください。
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