こんにちは、イエキです。
Staff Archiveと題して、スタッフのお気に入りのアイテム(私物)をご紹介するこのブログ。
16回目の本日はついに最終回です。
ついに、ということもないのですが
最後なのでこの仕事をしている中で
僕自身が1番に気に入っているアイテムを
ご紹介したいと思います。
それがこちらのスーツ。
ビームスから内定をもらい、配属先がビームス ハウス、つまりドレスレーベルに決まったすぐの頃に記念すべきスーツ第1号として購入したBrilla per il gustoのオリジナルスーツです。
初めて購入した(きちんとした仕立ての)スーツということも勿論あるのですが、
このスーツが思い入れ深い理由が大きく2つあります。
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まず1つ目は購入時のこと。
ビームスから内定をもらい、
大学4年の終盤
ビームスのドレス部配属が決まったので
当時ビームス ハウス 名古屋にて働いていた友人Mに即連絡をしました。(実は僕は大学が名古屋でした。)
そしてスーツを見に店舗へ足を運ぶことに。
ビームス ハウス 名古屋への来店当日は友人Mと、
もう1人
深い懐で名古屋全体のビームスを支ていると言っても過言ではない
ビームス ハウス 名古屋 店長の森に相談に乗ってもらいながら
色々なスーツを試着。
配属前で何の知識も無い状態であった為
非常に心強かったことを今でも覚えています。
そして、1番初めにビビっと来たスーツがこちらでした。
当時は色柄というよりも単純にピークドラペルの形が
かっこいいなと思い一目惚れであったように思います。
(ちなみに初めてのスーツの割に難易度の高いものを選んでしまったと気付いたのは入社して1ヶ月ほど経過した頃でした。)
さてスーツが決まり、
ついにMの採寸が始まります。
今となっては自らが
仕事として何度も行ってきた行為ですが、
学生時代にはこんな経験もなかったので
緊張で汗をかいていたことを覚えています。(真冬の時期なのに)
また採寸中、
いつも一緒になってワイワイと遊んでいた友人が
自分より何ランクも上の大人の男性に
見えたこともすごく覚えています。
それと共に僕自身もこれからこんな仕事をするのだなと
思っていたような気がします。
勿論仕上がってきたスーツは抜群の袖丈やパンツの丈でしたし、
お陰で今も変わらず重宝しています。
このように
初めてのスーツの採寸を
友人がしてくれたという
スペシャルな思い出付きのスーツという訳です。
ここまでがこのスーツを気に入っている1つ目の理由です。
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2つ目の理由が、色についてです。
これは入社後他のスタッフに言われてやっと気付いたことです。(先述もしているように購入の段階で、この色がいいと思って決めた訳ではありません)
一見、グレー×黒のオーソドックスなハウンドトゥースに見えるのですが、
実は茶っぽいグレー×黒のカラーリングなのです。
別の言い方をするとグレージュ×黒のような感じです。
具体的には生地を組成する繊維の内の1本に
茶の糸が使われている為、
グレー色の中に茶っぽい風合いが浮かび上がってくる
という仕組みです。
オーソドックスなグレー×黒のハウンドトゥースだと
パキッとした英国調のイメージですが、
それがグレージュ×黒だと
どことなくぼやっとした
アンニュイな雰囲気、
つまり程よく肩の力の抜けた感じがして
僕らしい気もするんですよね。
ちなみに今巷で話題のフレンチと謳われる言葉の
意味の一つとしても、
トラディショナルをベースにしつつ
こういった肩の力の抜けたような
独特の色使い、或いはアイテムや装いに
編集されたファッションというものが
あるのかもしれません。
またコーディネイト的にも
単純に無彩色のグレースーツとして
足元に黒靴が導かれるようなシャツタイの合わせ方もできますし、
グレージュっぽく見えることで
足元に茶靴が導かれるような茶系統の色合わせのシャツタイも合わせられる
という2面性、懐の深さが生まれてきます。
ひとつのアイテムの中でも
1種類の合わせ方ではなくて
2種類、3種類と
着方の可能性を探ることが
洋服の面白さのひとつであったりすると思うので、
その辺を気に入っています。
以上2つの理由があって
非常に思い入れ深いスーツとして
大事にしているという訳です。
このスーツに関する背景を
今回皆様にお話しできたことは
大変嬉しいことです。
店頭でこのスーツを着ているイエキを見たら
こんな背景があって着ているんだなあと
思って頂ければと思います。
それではこの辺で。
1ヶ月に渡り、各スタッフのアーカイヴアイテム紹介にお付き合い頂きありがとうございました。
今も購入できるもの、できないものとありましたが何かしらの形で今後の皆様のお買い物にお役立て頂ければ幸いです。
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改めまして、
しつこくも計16回に渡って更新して参りました"Staff Archive"は如何でしたでしょうか。
元々、スタッフのアーカイヴを
Instagramの当店アカウントにて3投稿ほど
するくらいのつもりで考えていたのですが、
ありがたいことに各スタッフの協力もあり
ここまで続けることができました。
(本当はまだ幾つかこちらでは紹介しきれていないので他は当店のInstagramをご覧ください。)
そして何回もStaff Archiveを書いているうちに
自分自身気付いたことがあります。
"洋服には、洋服以上の価値がある"
ということです。
例えば、10万円のスーツが店頭に並んでいるとします。
これは十分高級スーツと言えると思うのですが、
そこに並んでいるスーツの価値は、
そのスーツ"単体の価値"でしかないと思います。
しかしそれを思い入れ深い形で手にしたり、
或いは購入して5年、10年、20年と着用し続けたとします。
そうするとそのスーツには、
最初店頭に並んでいたスーツ単体の価値に
プラスアルファで
そのスーツ単体の価値とはまた違う
"思い入れという価値"が合わさってくる
ということです。
これって当たり前のことのようですが、
改めて言葉にしてみると
すごく素敵なことではありませんか?
人によっては(極端な話)、
高級洋服店のディスプレイに並んでいる100万円の最高級スーツの価値に
3000円のハンカチの価値が勝る可能性だって
十分にあり得る訳ですから。
入社1年目からずっと履いている靴や
先輩から譲ってもらったジーンズ、
入社式に着用したワンピース、
初めて自らが商品企画して商品化されたジャケットに、
クタクタになっても直して着用しているシャツ、
若い頃に細かい指定でオーダーをしたトラウザーズ。
なんだかどれも非常に力強さを感じます。
では
何故力強く感じるのか?
その理由は
あなたのみが唯一
知り得ることができるはずです。
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本日より当店は営業再開。
しっかりと感染予防対策をして
皆様をお待ち致しております。
イエキ